第五十七話 バスのレストアとエンジンスワップと百合ちゃんの冷静さ
TSカーレースで6勝目をあげた雅子。未勝利の百合ちゃんはどうする?
あろうことか雅子の母親が大型車に嵌って
主な登場人物
佐野 雅子 ヒロイン 24歳 4月生まれ
峠のバトラー⇒TSカップレーサー、7勝目にトライ中。
家業の佐野自動車販売の中古車販売店兼整備工場の経理、整備の段取り担当の副社長
前職はスーパーで経理兼販売促進
所有免許;大型2種、牽引運転免許。2級整備士免許
レース以外の趣味:
オフロード走行。大型の2軸総輪駆動のエンジン、サスペンションをいじって自分好みした。
パソコン:プログラム組むのも好きでシステムを自力で組める
所有車:ニジュちゃん、エムエム君、大型総輪駆動、イチゴちゃん
僕;佐野 悟瑠 雅子の兄 27歳、3月生まれ 妹の雅子より4学年上
家業の佐野自動車販売に就職して6年目、整備工場の工場長兼副社長。
所有資格 2級整備士、MIG溶接機、レーザー溶接機、ガス溶接、玉掛。免許は大型、けん引免許
カーキチ、スペックオタク 所有車:バス9台+大型総輪駆動、サンゴちゃん、三四郎君
加藤 隆弘 27歳
悟瑠の同級生で親友。専学卒業後家業の内燃機整備工場に就職、佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。悟瑠の幼馴染、所有車両 大型総輪駆動、CBA-GVB。
加藤 隆文 24歳
隆弘の弟。雅子より一学年上だが、3月生まれで実はほとんど同い年。工業高校から家業へ就職。佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。所有車 大型総輪駆動、ロックンTSカーレースでやっと1勝あげた
松尾 百合 24歳
雅子の親友、丸松建設のお嬢さん。雅子と同じ高校卒業して同じスーパーに入って家業に転職。
所有車;武蔵君、ラムちゃん、美浜ちゃん、徳次郎君、エッちゃん
現在は丸松運輸の副社長 TSカーレースでは初優勝目指す
兄は譲さん 26歳 所有車 ビーフさん、旦那さん、KE70HT
小笠原 愛理沙 23歳 TSカーレースで念願の1勝をあげた
雅子の一つ後輩。小笠原食肉のお嬢さん。元レディス総長。2児のママ かつて雅子がいたスーパーに勤務 大型免許所持 所有車:GXE10 ババロアちゃん。兄は哲史さん 26歳 所有車AE70セダンとマーシーちゃん所有
長野さん 29歳。
バス会社に居たが欲しい車が排ガスの関係で登録できなくて雅子がいたスーパーに転職。今は愛理沙ちゃんの上司 所有車9メートルワンドア、9メートル観光、9メートル路線前中、NE
狩野さん 29歳
運送会社にいたが首都圏の事業縮小で地方に転勤になったが偶然募集していた松尾建設に転職
所有車 6×4V10ダンプ、6×4V8ダンプとND
「雅子、6勝目おめでとう」
「パパありがとう」
「4台のバスを整備なのね。悟瑠はまたバス買ったの?」
「あははは。ついつい。KL-の96MCのロングなんでつい」
「あたしにバスをどれか一台頂戴よ」
「じゃあ、錦くんがいいかな?」
「それね。バスも楽しいかもね。短い方がいいわね」
「ママさあ。ママ迄バスに沼ったの?」
「うん、松尾運輸の社長がボンネットのデビちゃん乗ってるじゃん。楽しそうで」
「はあああああ」
呆れたように大きなため息ついていた雅子だった。
僕らはまず先に前から注文されていたMR520とB806Kのレストアに取り掛かっていた。
「悟瑠、B806Kだけどさぁキングピン周りがサビでおかしいよ」
「キングピンを交換かな?何があったんだろう」
「たまたま防錆が悪かったんじゃあないかな?それよりもピンが上手く抜けるかなあ」
「抜く作業が大変ってことか?錆びてて固着ってことかあ」
「そういうことだ。うちの古いV8トラックでも起きてるよ。塩カルのところに行って洗ってなかったんだよ」
「そうか。固着したピンの抜き方を親父に聞いてみるよ。ピンに浸透潤滑たっぷり吹いてだな」
「そうだなあ、俺も親父に聞いていいやり方ないか」
「わかった。それにMR520は移動事務所にしてエンジンスワップとパワステ欲しいとか言ってたから結構やることあるなあ」
「悟瑠、パワステってギヤに仕込むか?それともドラッグリンクをアシストするかだよね」
「隆弘、簡単なのはギヤをパワステ付きのに交換するんだけどな。新型のバス用にするのがいいよ。モノコックだから車体のギヤ取り付け点のところ補強して」
「それだな。部品は形が近けりゃなんでもいいか?エンジン違ってもいいかな?」
「同じメーカーなら何でもよさそうじゃん。エンジンスワップするとき用のエンジンは6D15のターボなら在庫あったぞ。パワステポンプは大丈夫だ。何ならインタークーラー追加もいける」
「悟瑠、PSギヤはトラックの物でもいいか?」
「PSポンプの流量次第だな」
「よし。方針は決まったな。エンジンは排気量が7リッターに小さくなるけどいいか」
「隆弘。排気量の理想は6D17だけどターボにするからいいよ。6D16が良いけどなあ」
「6D16は結構競争率高くてなあ」
「そうだなあ、中古も高いよなあ。排気量は7.5リッターあるからいい感じだけどなあ」
「言ってもしかたない。じゃあ、載せ替えやるぞ」
「そうだな。長野さんにMM115Hにターボいるか聞くか?」
「聞く限り欲しそうだな」
「6D14はターボで200ps位になれば楽だろ。6D15は純正で245あるから弄って250以上にすればいいんじゃない?」
「だな。後は長野さんの予算次第だな」
僕と隆弘はMR520とMM515Hからエンジンをおろしてオーバーホールの準備と足回り他の部分を点検して要修理箇所が無いか見ていた。
幸いにも2台ともいい個体のようでボディとフレームのサビがほとんど無く、予想だが昔にセットした電気防錆が結構最近まで生きていて、錆を防いでいたのだろう。
「悟瑠、結構いい個体で助かったなあ」
「そうだなあ。錆がほとんどなくてよかったよ。電子防錆って昔っからあったんだなあ」
「そう思う。こんなコンディションの個体が残ってるってすごいよ」
「B806Kもナックル以外は全く問題なしだよ」
「最悪、解体部品でもいいからフロントサス本体交換かなあ」
「さっき見たら隆文も鈴木さんたちもお手上げみたいだよ。鉄工所に頼んでも取れないならサス全体交換のほうがいいよ」
「雅子に中古部品探しを頼んでおくか?」
「もう既にフロントサスアッシーで探すように頼んであるよ。ウッディパラソルとボンネット総輪駆動のキャビン買ったお店と、ニジュちゃん買ったお店に」
「やるなあ」
そう言っていたら雅子が工場に来て
「お兄ちゃん、ウッディパラソルでB806K用っていうかそれに付くアクスル見つけたって。MS513NA用が解体部品であったみたいね」
「路線用かな?」
「ううん。観光用。あの当時は路線も観光もそんなに差がないって。そうそう。なんかTSカー用のエンジンとミッションもあるみたいよ」
「TSカーのエンジンとミッションなら明日見に行くぞ。雅子も来いよ。時間はありそうか?」
「良いけど、またバス買うとかしないでよ」
「KL−UA452PANのエンジン積みかえやるから無理だな」
「だといいけどねえ。お兄ちゃんって見つけてこの車が良いって思うと暴走するから」
「そのストッパーで来てくれ」
「やれやれ」
半分呆れかえっていた雅子だった。
「悟瑠。部品見つかったんだな。それならB806Kからフロントアクスルを落とすからトラックに積んで行ってウッディパラソルの現物とあわせで間違いなく付くか見てきてくれ」
「もちろんそのつもり。じゃあ下ろそう」
「OK流石だな。ところで、笠木工房って今もやってるのか?」
「ああ。細々とやってるよ。兼業でやってるさ。中古車店と農業との兼業で。米農家と蕎麦農家と大豆農家との兼業っていうか農業は従兄弟の本業で冬の農閑期に工房」
「作物をローテーションするんだろ。田圃の後は休耕にしてその後は蕎麦作って大豆作って田圃にしてって」
「そう。なんで今は笠木工房は笠木さんの従兄弟といっしょにやってるよ。笠木さんはお店とがメインで工房が副かな?農業はアルバイト。自分が売る車の整備と売った車の車検とかメンテナンスとか防錆作業とか言ってたね」
「そうか。それじゃあ、持って行く準備しよう。悟瑠、アクスルをみてきてくれ」
そう言っていると、母親が入ってきて
「悟瑠、雅子。この前にレストアと車検とターボをやった6トンボンネットの高尾さんが8DC8エンジンとミッションあるんで欲しいか?って聞いてきたわよ。取り来れるならなおのこといいって。ほんとはB806Kに載せ替えるつもりができなかったらしくて、昨日別のところを整理してたら仕舞ってあったのに気が付いたって」
「よかったよ。8DC2のオーバーホールどうしようかと思ってたから。もう噴射ポンプがないんだよね」
「お兄ちゃん。明日はデーブ君でいくんだよね。積めるかな?」
「あ、悟瑠、雅子。明日はTD50ADで行けるかな?全開で走ったときの調子見て欲しいの。うまくすれば乗んないかしらね。入手したから。TD50ADのニックネームはデコちゃんね」
「ギリかも。エンジンとミッションか。うーん無理かなあ。トン数は行けそうだけど。ダンプの荷台は苦しいよ。短いから」
「悟瑠、向こうにフォークかクレーン無いと大変だけどな」
「そうか、隆弘、それなら2台でいくしかないって。2軸クレーン付きレッカーと」
「悟瑠、わかったわ、荷台短いからのらないよね。今回はデーブ君でね。あたしもデコちゃんをお出かけの時になるべく乗るから。」
「え?ちょっと待って。ママってもしかしてデコちゃんを百合リンのところから買っちゃったの?」
「うん、丸松運輸で泥んこのところに行く6×4トラクター買ったでしょ。車の置き場が足りなくなって困っていたの。それでボンネットダンプのデコちゃんを売ってくれたの。って言っても納車前の整備したのは悟瑠たちだからね」
「何に使うのよ?」
「荷台を取っ払って、5,5t積みの総輪駆動6×6みたいにクレーン車にするの。このところ重機の救援で2軸クレーン付きの頻度高いでしょ。そうなると2軸総輪駆動レッカーが救援の時に苦労するの。自由度の高いブームを持ってないから」
「それそうだ。4軸総輪駆動レッカーにはクレーンって言うか可動ブームがついてるもんな」
「デコちゃんに積むクレーンキットはもう発注したから来たら改造を頼むわね。後は錦くんを移動事務所にしてね。丸松建設で移動事務所使ってるの見たけど便利そうでいいなあって思ったのよ。オークション会場で待ってるときにもネット環境バッチリなら最高じゃない?」
「はいはい。貨物から移動事務所に変更で部品のサンプル積むからって1tの積載場所作ればいいのか」
「そうね。ニジュちゃんもそうしてあるんでしょ」
「OK。わかった。さーて、明日の準備しよ」
僕らはその日のうちにB806Kからフロントのアクスルを降ろしてデーブ君に積んでおいた。
アジトへの帰りは僕が2軸クレーン付きレッカー車に乗って、雅子はデーブ君に乗っていった。
次の日、僕と雅子は笠木さんのお店に行ってアクスル同士を並べ、比べていた。
「うーん、トレッド、取り付け点は全く一緒ですね。見た感じMS513NA用は若干キャスターついててビームが全体的に太目ですね」
「本格的に高速道路を走ること優先したんですかね。それなら納得です。パワステ前提か?」
「ですね、高速専用ほどではないですけど路線用とはちょっと違ってそうですね。路線はパワステ無し前提みたいですね。元は路線用と共用に見えますね」
「ですね。B806Kは路線の用途にも対応できるようにしてありますからね」
「笠木さんこれ買いますのでお願いします。後はTSカーのエンジンはどこでしょう?」
雅子が言う
「あ、はい。AとKどっちもワンボの商用車からおろしたものです。ミッション付きです。倉庫に置いてあるので持ってきますから。パレットに固縛してあります」
「それもお願いします」
「今日はそのままお帰りですか?良かったら従兄弟のやってるお店で取れたての蕎麦でも」
「ありがとうございます。実は、ちょっと戸隠に行ってバス用のエンジンとミッションを引き取りに」
「ああ、もしかしたらこの脚のバスのエンジンとミッションですかもしれないですよ。MS513NAは買って2年もしないうちに雪崩でつぶされて復活を頼まれたんですが修理の予算を大幅に超過するんで泣く泣く廃車にしたんですよ」
「そうなんですね」
「ええ。フレームって言うかフロアは無事なんですがボディのモノコックが全部作り直しに近くて。新車買った方が安いって言うことになったんですが、たまたまうちにあった中古のB806Kを買ったんですよ。予備でエンジンとミッションも付けて」
「え?高尾さんのところがですか?」
「はい、親父がこの前B806Kを運んでいるのを見かけて懐かしかったとか言ってましたよ。親父が売ったんですよ。でもその後に大手の食用油の安売り攻勢に負けて製油工場を撤退かってことになって規模縮小したんですよ。その時にバスは倉庫に仕舞われて眠ったんです。それを悟瑠さんたちが引き上げたんです。今は相当合理化して復活みたいですけど。無農薬の菜種って契約農家と作って無農薬、無添加キャノーラ油、米油を売ってます」
「そうなんですね。道理でこのへんに菜種多かったですもん」
「実はオリーブもあって品種を改良して雪に耐えられるようにしたのがあるんですよ。そこも無農薬オリーブ油って言ってますね」
「すごい」
笠木さんが説明してくれたのは高尾製油所の現状だった。かつては笠木工房で車の面倒を見ていたらしいが一時期の製油所閉鎖危機で車は使用休止して今に至ってると聞いた。
「実は6トンボンネットのレストアとターボ化の依頼がうちの工房に来てたんですけど、何せ従兄弟と二人でやってる小規模のお店なんで入庫迄半年、傷んでるところ全部直すと1年かかるっていうことで佐野さんのところに行ったんですよ」
「そうなんですね」
「あの6トンボンネットは毎日使っているんであちこち傷んできてて、さすがに痛みがひどくなる前にすぐにでも直したかったようです」
「そうですね。荷台の痛みが酷かったですね」
「でしょうね。あの車は普段からあんまり土砂積まないようにしてたんですけど田畑開拓、開墾、復活もあってその工事にも使ったみたいです。地盤が柔くて20トンは無理だったんですよ」
「そうですかあ。道理で他のボンネットに比べたら傷みがあったと思いましたよ」
「あ、お引き止めしてすみません。アクスルはこれで」
そう言って笠木さんが示した価格は
「え?こんなに安くていいんですか?」
「はい、これは不良在庫でそろそろ捨てようと思ってたんですよ。売れるならこの価格で」
「好意に甘えます。どうもありがとうございます」
僕らは調子のいいアクスルを入手して2台で高尾さんのところに行った
「佐野さん、遠路はるばるどうもありがとうございます。」
「いいんですよ。お声がけありがとうございます。別件も有ってこっちに来てましたので」
「実は昨日なんですよ。親父が倉庫を片付けててB806Kを買う前に使ってたMS513NAのエンジンとミッションが置いてあるのをあるのを見つけたんです。これは廃車になる時に笠木工房でおろして念のためにバルブを閉じっぱなしになるようにしておいてくれたみたいです。しかも燃料ポンプは分解したままで組んでない状態にして箱に入れてありました。実はそれを今はもう組める人が居なくてB806Kに乗せられなかったんですよ」
「そうなんですね」
「このへんは坂道が多いんでパワーいるんですよ。当時の4トンではせいぜい130psなんてパワー足りなくて仕方なく大型にするんです、今はターボあるからいいかもしれませんが」
「そうですね。エンジンは何処ですか?」
「今持ってきます。さすがですね。クレーンも持ってきてくださって」
「前回来た時に1.2tのフォークなのとここが土なんで厳しいかと思って」
「ありがとうございます。よくご覧になってましたね。それでは」
そういうと高尾さんがフォークのエンジンをかけてパレットに固定してあったエンジンを持って来た。積載量に対して荷物の重量の重さがギリギリなので無理せずに広くなっているところにおいてもらった。
「ミッションもってきますね」
「お願いします。僕らは積んでますね」
2軸クレーン付きレッカー車のアウトリガーを出して固定するとクレーンを操作してエンジンをデーブ君に積んでいく。
「ミッションはこれです」
「はい」
僕らはまたクレーンを操作してミッションを積んで固縛。帰る準備していると
「佐野さん、すみませんがバスの公道復帰のお仕事お願いします。6トンボンネットの仕事見てぜひ佐野さんにお願いしたくなりました。実は古いバスを復活させたくて。エンジンは6トンボンネットと同じです」
「え?まだバスがあったんですか?」
「ええ、製油工場全盛期に女工さんを運ぶバスが3台あったんですよ。今は使ってませんが80年代前半まで使ってました。祖父がもったいながりで捨てないんですよ。見てもらっていいですか?」
「はい」
別の倉庫と言うかかなり古い製油機がある工場だった。
そこに古いバスが2台並んでいてどちらも前ワンドアで同じ顔していた。
「どっちを復活ですか?」
「短い方をお願い致します。MR510です。両方とも6トンボンネットと同じエンジン積んでるので」
「はい、ええと今はMR520とB806Kをやってるんでちょっと待ちになりますがいいですか?」
「待ちます。できればこの長い方はエンジンがかからなくてどうしようもないので部品取りにしようかと思ってるんです」
「仕方ないですね」
「買い手が居ればお譲りすることも可能です」
「はい、もしかすると」
「買う方がいるんですか?」
「はい、聞いてみます。この前に来た長野さんという方なら買いそうです。型式はなんですか?」
「型式はMAR480です。エンジンはどうするんですか?エンジン交換しないと走れませんよ」
「ああ、エアサスですね。エンジンは載せ替えますよ。」
「え?そうなんですか?それにもうサスペンションのエアバッグの部品がないって聞いててあきらめました」
「そうですか?この車たちも結構いい個体ですよ。外観に錆が全くないですから。それに日陰にずっと置かれてここって換気はしっかりしてるんですね」
「そうなんです。祖父が再開するまでって言って、外板にうちで捨てる油を塗っておいたんです。それも一年ごとに塗りなおすという徹底ぶりで。後は電子防錆も付けてましたよ。錆が出ないように徹底してました」
「それじゃあそうですよ。ここまで錆が無いのはいいです。」
「燃料も抜いて、オイルはこれまた廃棄する菜種油を入れてました」
「これはお買い得ですよ。書類はあるんですよね」
「きちんとファイルにして耐火金庫にしまってありましたよ」
「さすがですね、いつでも復活できるようにってやつですね」
「はい」
「お兄ちゃん、後で2台引き取りね。2軸クレーン付きレッカーじゃあ引っ張れないよね」
「MR510なら2軸クレーン付きレッカーのブーム力が4tあるから引っ張れるんだよ。ゆっくり帰れば大丈夫。この重量を引っ張ってだと旧道抜けていけばいいけどいつもの道でもゆっくり下ればいけるか。リターダー追加してあるから」
「そうか。これってリターダー追加したんだよね」
「うん、よし。今日は2軸クレーン付きレッカーでMR510を引っ張る」
「え?いいんですか?」
「うちの工場に入れておきます。それにMR520からおろしたエンジンありますから、エンジンの復帰は簡単ですよ」
「え?おろして?」
「MR520はエンジン載せ替えてます。今後のメンテ考えると新しいエンジンにした方がいいんですよ。6DBエンジンは部品の入手とか大変なんでエンジンを新しいものにするんです」
「そうなんですね」
「この間引き取ったB806Kは今日持ち帰る8DC8エンジンにします。MAR480は買った人がどういうかですね」
「そうですか。エンジン載せ替えも良い手ですね」
「そうですね。今日はまずMR510を出しましょう。」
「お兄ちゃん、タイヤは?パンクしてるよ?」
「2軸クレーン付きレッカーに積んであるよ。ノーパンクが4本。後ろに履かせて前はあげるからいいよ」
「それじゃあ引っ張り出して交換ね」
「うん。2軸クレーン付きレッカーにはジャッキも積んであるし、いつもバースト対応でノーパンク積んであるよ」
「僕も手伝いますよ」
「お願いします」
僕はMR510の前輪を持ち上げてタイヤ交換作業をしやすいところまで引き出した。
そのあと、板を敷いてジャッキで持ち上げてタイヤを交換していた。
小一時間で交換が終わって
「それでは引き取ります」
「ありがとうございます。これは少ないですが」
「え?いやいやこれは」
10万円入った袋だった。
「MR510公道復帰の手付金としてください。お店迄の輸送費もあるでしょうから」
「エンジンとミッションの代金まだ決まってないですよ。それにこれは来たついでの荷物なので」
「あれは捨てるんでロハでいいんですよ。処分料かかかるのがゼロになるので」
「どうもありがとうございます。甘えます。雅子、デーブ君に乗ってくれ。僕は2軸クレーン付きレッカーに乗って帰る」
「はーい」
「佐野さん。これもどうぞ。途中お店でご飯は無理でしょうから」
高尾さんの奥さんが紙袋に入ったものを二つ持って来た
入っていたのはお弁当だった、おにぎり2つと唐揚げ、たくあん、ペットボトルのお茶だった
「すみません、助かります」
「佐野さん。MR510の公道復帰よろしくお願いいたします。」
「はい。承知いたしました。」
僕と雅子はいつもの倍くらいの時間をかけてアジトに戻った。
アジトに一晩停めて次の日の朝早くお店に行った
「悟瑠、また買ったのか?」
「修理依頼だよ。MR510の公道復帰だと」
「すげえ、60年近く前のバスじゃん」
「67年式、最終型だよ。4灯ヘッドになった仕様だな」
「ボディは北村?純正じゃなさそうだな。呉羽でも川崎でもないようだな」
父親がバスを見て言う
「もう一台あって、買い手探しもだよ。MAR480、67年式。4灯ヘッド。エンジンは載せ替えがいいかな?」
「それにしてもあの製油所は短いの多いなあ」
「前の道が狭いからな」
「うん、そうよ。船底入れるのすら一苦労だったわよ」
「相当狭いんだね」
するとピンポーンと雅子のスマートフォンがなった
「あ、お兄ちゃん。長野さんはさすがにもういいって」
「そっか」
「え?愛理沙?あははは、お兄さんが乗る?大型免許取ったのね」
「ん?ちょっと待った。ってことは小笠原食肉で買うってこと?」
「お兄さんが個人的に乗るんだって。KE70持ってるでしょ。なんか昔のシンプルな車がいいとか」
「へええ、そうか」
「後で2軸総輪駆動レッカーで引き取り行く準備しよ。」
「お兄ちゃん、B806KとMR520片付けなきゃやばいじゃん」
「すまん、MR520は6D15のターボで250psにしたよ。純正は245psなんでちょっとアップ。ミッションは245ps用があるし、インタークーラーも移植出来た、排気系は作れば良い。なんでそんなに慌てる必要も無いよ」
「愛理沙のB806Kは?」
「エンジンを引き取ってきたばかりの8DC8に載せ替える。315psで行くよ、ミッションも6MTにして排気干渉しない様にマニ割して叩きも鳴きも静かにする。4本出しがいいかな?」
「お兄ちゃんはプランがしっかりなのね」
「見てきたとおりボディは両方とも電子錆止めバッチリついててサビが全く無くて修理不要なんで楽だよ。ボディの防錆処理して塗り替えて電子防錆は交換するよ」
「MR520は移動事務所に変更だよね」
「材料が揃うまで一旦長野さんに返すよ。仮ナンバーで返して於けば大丈夫。荷物室も欲しいって言ってたなあ」
「後は愛理沙のB806Kね」
「愛理沙ちゃんのは乗車定員を29人以下にする分シートを間引くんだ。シートピッチが狭いから一列ごとに取っ払って広くしちゃう」
「わかったわ。ところでMAR480は来週の何処かにでも取りに行くの?」
「レースが終わった次の日だ。再来週の火曜日。それまでに2台のバスを仕上げて、MM515Hのキャンパーをやってでしょ。エンジンオーバーホールすればボディワークは簡単だし、その間に6DB1エンジンオーバーホールしておいてMR510に載せる。MR510からおろしたオリジナルのエンジンとミッションは予備として高尾さんに納品する」
「その段取りで行こうね」
僕らは仕事を片付けるべく必死になっていた。
無事に愛理沙ちゃんのB806Kを29人乗りに変更、防錆処理、オールペン、エンジン載せ替えて公認を取って納車した。
長野さんのMR520は防錆処理、オールペン、エンジンを載せ替えて公認を取って一旦仮ナンバーで納車、その後はMM515Hのエンジンのオーバーホールとキャンパー化、並行してMR520から下ろしたエンジンのオーバーホールと路上復帰のメンテナンスをやっていた
時が流れ、SサーキットでTSカーレースの日が来た。
「お兄ちゃん、31ちゃんの空力のセッテングがうまくいかないよ。ミッションに空気を当てるようにしてるせいかしらね。ちょっと浮き気味」
「ダウンフォースがちょっと不足してるのか?そうだなあ。良い手ないかって言うと流れをっていうか空気を引っ張れば、あ、そうか。わかった」
「お兄ちゃんなんかわかったの?」
「空気を吸い出すようなセッテングにすれば良いよ。一枚追加する。絞り入れて流速あげるよ」
「よろしくね。ふうう、一休みするね」
そう言って雅子は休憩所になってるロザン君に行った
「悟瑠、隆文の車がちょっと調子が悪いのか?タイムが伸びない」
「区間タイムは?何処が遅いの?」
「どこもまんべんなく遅い」
「ってことはエンジンがくたびれてきてか?このところ開けてもいないだろ」
「そうだなあ。オーバーホールの時期かも。5戦目か」
「そろそろ限界かもなあ。それにしても同じエンジンの百合ちゃんのKE55はボディと脚の熟成が進んでいいタイムじゃん」
「今回は貴文にとっちゃ我慢のレースかもな」
「予選が物語っているな。愛理沙ちゃんがポールでセカンドは百合ちゃん、隆文が3番手、雅子は空力変更の影響で6番手か」
「雅子は対策は終わったから決勝はいいところ行くだろ。エンジンも開けて修正したんだろ」
「そうだけどな。隆文には悪いが今回は我慢の展開でってことか。雅子がベテランの久保田と玉城の後ろって苦労しそうだけど」
「走路妨害になんないくらいにブロックしてくるだろ」
「雅子がどこで躱せるかが鍵だな」
「ああ。片付けて宿舎に行こうぜ」
「とにかく明日だな」
次の日、快晴のなか決勝の開始だった。
すでにフォーメーションラップが終わってレーススタートしていた。
"Sラウンドの開始です。今回、解説には元山さん、実況は日吉です。最後までよろしくお願いします。元山さん、今回は佐野選手が6番手となってますがどこまで挽回ですかね?"
"ベテランの久保田と玉城をうまく躱せるかですね。このところ久保田も玉城もリタイヤが続いていてトップが欲しいところですね。トップを狙う走りをするかもしれませんね"
"そうなると佐野選手にも勝機がありそうですね”
"そうですね。それにはポールの小笠原選手と2番手の松尾選手がどう走るかですね。この二人がキーですもんね。見どころはそのへんになりそうですね"
場内の放送が告げている、レースは始まっていて2周もしないうちにトップの愛理沙ちゃん、2番手の百合ちゃんが逃げ切り体制で後続を離しにかかっている。
"小笠原選手と松尾選手が逃げ切りのようですね。ベテランが来る前にタイヤ交換の分の貯金を作るって感じですか?"
"そうですね、この展開だと佐野選手を抑え込もうとすると差がついて逃げられますね。かと言ってどこで追いかける展開になるか判断が難しいですね。僕なら駆け引き抜きで追いかけますよ。このところトップを走ってる女性選手の実力上がってますから差が広がった状態で追いかけるのはきついですよ"
"そうですね。今のこの2台の走りは抑え込むことを重視してそうな気がしますが"
"そうなんですよ。シリーズは今回入賞を逃すともう次はFだけなので来季のシード権も危ないですよ。ここは一発トップ取りたいところです"
場内のアナウンスの通り、ベテラン2台は雅子を巧みに抑える走りしている、
しかし、好調な愛理沙ちゃんや百合ちゃんは後続をどんどん引き離す走りで3番手の隆文よりは1秒以上速い走りで引き離す。
雅子を抑えようとしている2台よりも2秒以上速い。
愛理沙ちゃんと百合ちゃんの2台とはみるみるうちに差が開いていく、そこで楽になったのは隆文で不調を抱えるKPを労りながら走ることが出来るからだ。
『お兄ちゃん、ベテラン勢はブロックうまいよね。並べもしないよ』
レースが前半の10周が終わって中盤に差し掛かってきたとき雅子から無線が入った
「雅子、タイヤをどうすればいいか考えて置いてよ。勝負は多分そこだ」
『あ、そうか。ありがと。わかったよ。先に交換でも無交換でも良いってことね、そうか、このペースなら無交換でいけるかも』
「たのむぜ」
『任せて』
雅子と交信を終えると隆文から
『兄貴、デフがやべえよ。とうとう異音しだした。エンブレのたびに唸り音がする』
「わかった。ベアリングが逝っちまった。ピットじゃあ治すすべは無いよ。デフ交換したらレースが終わっちまう。規定の周回85%を保たせるよう頼む。そうすればリタイヤでなく完走扱いだ。最低でも1ポイント入る」
『やってみる』
「よろしく」
"加藤選手ちょっとタイムが伸びないですね。トラブルでしょうか"
場内のアナウンスが言う
"断定は出来ませんが、これは作戦でタイヤ無交換科でしょうね。このペースでいいなら後ろが来ても何とか逃げ切れるでしょう。仕掛けるにしても佐野選手を抑えながらは厳しいですよ"
"そうですか、確かに。加藤選手はタイヤを労った走りにも定評ありますから、亀とうさぎ作戦ですかね"
「隆弘、まだ周りは隆文の車の不調に気がついてないな。隆文には何とかこのペースで行けと言っておくか?これなら完走できそうだな」
「これならいけるさ。次は百合ちゃんだけどハードなタイヤを使っているけどなかなか健闘してるな。2番手だもんな」
「愛理沙ちゃんは逃げ切るにはちょっとタイヤが辛いか?」
「徐々に百合ちゃんを引き離しているから残り10周くらいで交換だろ。左のみだな」
「交換の準備しておくぞ」
『兄貴。なんとか行けそうだ。後ろが遅い』
「雅子を抑えるから、遅く。いったー。雅子が2台を抜いたぞ」
『雅子?』
"なんだこれー?佐野選手このブロックをかわすかあ?あのラインで行くとはさすがドリフト選手"
"ほんとノーチャンスかと思ってたんですが、ピンホールを突きましたね"
「上手い。ベテラン勢がクラス1に引っかかったところをついて一気に抜いた。雅子が4番手に上がったぞ」
『兄貴。今日は仕方ない。この状態じゃあなすすべなしだ。完走狙う。雅子が追いついてきたら譲るよ』
「隆文も大人になったな。残り10周なんとか頼む。そろそろ愛理沙ちゃんがピットに来るか?」
『3号。無交換でいきます。百合先輩がすぐ後ろなんで』
「OK」
『5号、無交換でいきます。愛理沙を抜けるかは微妙です』
「はいよ」
「隆弘、ってことは今追いかけてる雅子がどこで隆文に追いつくかだろ。後ろとはラップで3秒以上違うからベテラン勢は放置でいい。どうやらベテラン勢はタイヤ交換無しだろ」
「ああ。今の雅子と隆文との差は大凡15秒。7周で追いつくか」
「いいや、雅子のこのペースだと5周もすれば追いつく。さっきからフルにぶん回してる」
「悟瑠、まさに鬼神の走りになってるな。そうかペースが落ちていたんでタイヤが元気なんだな」
「そう、後は愛理沙ちゃんのタイヤが最後まで行けるかだな」
「今のペースだと雅子は愛理沙ちゃんまでは追いつかないだろ。前半で離れすぎたな」
「そうだな。百合ちゃんがどうなるかだな。完全に隆文は無理しない作戦だな。ギリクリアでいいんだ。後ろは来ないし、勝負となっても一周ならデフがもつかな?」
そう言ってるうちにレースは残り5週を切った、雅子が隆文に追いついた
"さあ、佐野選手が加藤選手に追いつきました。あ、あっさり加藤選手は道を譲りましたね"
"もしかしたら加藤選手のタイヤが限界なのかもしれませんね。それにしても今日の加藤選手は走りがおとなしいですね"
"そうですね。後は佐野選手が前を行く小笠原選手と松尾選手に追いつくかですね"
"正直言って厳しいですよ、小笠原選手も松尾選手もいいペースで走ってますからね。いくら佐野選手でも追いつくのは厳しいですよ。ベテラン勢の巧みなブロックにやられましたね"
"そのベテラン勢もペース上がらないのはやはりタイヤですか?"
"だと思います、佐野選手を抑えるためにタイヤに結構負担かけていたんでしょう、今更交換に行っても順位を落とすだけ、しかも佐野選手はペース上がらないのでタイヤを温存してたんでしょ。20代前半であのクレバーさは末恐ろしいですよ。楽しみな選手です"
「雅子褒められてるぜ、とはいってもちょっと愛理沙ちゃんには届かないよなあ」
「うん、あ、愛理沙ちゃんタイヤがつらいか?」
「ちょっとペース落ちてきたね」
「残り2周、百合ちゃんが差を詰めている」
「雅子はおおお、まさに鬼神の走りだな。セッティングもばっちりだからきてるなあ」
レースはファイナルラップになった。
あちこちのポストで青旗が振られている、クラスⅡの争いを邪魔するなということなのだろう
「もう雅子は上位二人には届かないだろ。あ、百合ちゃんが追いついた。愛理沙ちゃんうわあ、これなすすべないか?」
「もう愛理沙ちゃんはタイヤがないんだろ。ズルズルでインにつけない。ファイナルラップとはいえ厳しいなあ」
「あ、百合ちゃんが冷静に愛理沙ちゃんがあけたところを抜いて行ったな」
「雅子は後2周あれば追いついたな」
"ああああ、松尾選手が小笠原選手を抜いた。小笠原選手抵抗しませんでしたね"
"もうタイヤがないんですよ。逃げ切れる見込みが逃げ切れずでしたね。冷静に走った松尾選手の勝利ですねえ"
"ということは松尾選手の初勝利ですね。あ、ゴール。トップは松尾選手、2番手は小笠原選手、3番手に驚異の追い上げを見せた佐野選手、4番手は加藤選手、5番手に久保田選手、6番手には能條選手が玉城選手を抜いて初入賞ですね"
"今回のクラスⅡは見どころありましたね。見事なのは佐野選手ですね。あのブロックをクラスⅠの周回遅れを使って躱すのは"
場内の放送が響く中、4台がピットに帰って来た。
「百合リン、おめでとう。初勝利ね」
「雅子、ありがとう」
「愛理沙、惜しかったね」
「作戦ミスですね。もうちょっとペース落とした方が良かったんですね。抑えてたんですけどね」
「そうだな。タイヤを無交換でいくならね」
「え?愛理沙、あれで抑えてたってこと?」
「はい、百合先輩。9500~10000でシフトしてました。大体が9500です」
「そうなんだ。あたしはフルにぶん回して9500ちょっとでシフトしてたよ」
「エンジンの差かあ」
そう言うのは隆文だ。
「隆文。悪かったなあ。デフのベアリングが逝ったなあ。よく気が付いてくれたよ。それにエンジンがくたびれてるよ」
「兄貴、それもレースだよ。うまく4着に入れてよかったよ。異音が酷くて踏めないんだよ。音が大きくなってきて」
「そうだな。よし、撤収。長野さん、狩野さん、アルバイト君たち、ありがとうございました。撤収しましょう」
僕らはサーキットから引き上げてきた。
アジトでは百合ちゃんの初勝利を祝う祝賀会をやっていた。
次の日会社に行くと
「雅子、惜しかったな」
父親が言う
「予選がね。でもいい経験よ」
「それならいいよ。ところでMAR480用にいい6D17見つけた、KC-の6D17だ。ターボにするんだろ」
「うん、6D17があったかあ。ってことはエムエム君と同じ仕様にするよ。6MTにして」
「お兄ちゃん、MAR480って、あ、ニックネームはマーシーちゃんね。愛理沙のB806K、これはババロアちゃん。よりもパワフルになんないの?」
「重量とパワーだけならそうかもね。それはそれでいいよ。排気量は8DC8の方があるからそれはそれでよしでしょ。15リッターあるし、NAは扱いやすいから」
「そうなのね。あたしのエムエム君は軽いから良いけど。マーシーちゃんにはターボの6D17はどうなのかしらね」
「そうだね。といっても元が8.5リッターだよ。それが8.2リッターだろ。そんなに変わんないでしょ」
「そうね。マーシーちゃんが終わったら長野さんのMR520とMM515H片付けだな。今は仮ナンバーで納車だからな」
「お兄ちゃん、高尾さんのMR510もあるからね。うちのママの錦くんの移動事務所に改造も」
「なんか、しばらくバスを見たくないかも。あああ、でも僕のKL-UA452PANもやりたいなあ」
「ママのはクレーンキットが1月かかるから良いけどね。3週間後はFだよね。あたしは7勝目行くよ」
「うおおお、仕事が溜まってる」
「「「あはははははは」」」
笑い声が工場にしていたのだった。
仕事がいっぱいの佐野自動車。しかし、レースも手を抜かず
初勝利をあげた百合ちゃん、勝ち方を知ったら怖いぞー
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