第五十五話 雅子のリベンジと愛理沙ちゃんの成長
ミーティングの後にまた修理と言うかパワーアップの依頼が来る
古い車を壊さないようにいじるのは大変
TSカーレースでリベンジの雅子と優勝狙う愛理沙ちゃんは?
主な登場人物
佐野 雅子 ヒロイン 24歳 4月生まれ
峠のバトラー⇒TSカップレーサー、6勝目にトライ中。
家業の佐野自動車販売の中古車販売店兼整備工場の経理、整備の段取り担当の副社長
前職はスーパーで経理兼販売促進
所有免許;大型2種、牽引運転免許。2級整備士免許
レース以外の趣味:
オフロード走行。大型の2軸総輪駆動のエンジン、サスペンションをいじって自分好みした。
パソコン:プログラム組むのも好きでシステムを自力で組める
所有車:ニジュちゃん、エムエム君、大型総輪駆動、イチゴちゃん
僕;佐野 悟瑠 雅子の兄 27歳、3月生まれ 妹の雅子より4学年上
家業の佐野自動車販売に就職して6年目、整備工場の工場長兼副社長。
所有資格 2級整備士、MIG溶接機、レーザー溶接機、ガス溶接、玉掛。免許は大型、けん引免許
カーキチ、スペックオタク 所有車:バス9台+大型総輪駆動、サンゴちゃん、三四郎君
加藤 隆弘 27歳
悟瑠の同級生で親友。専学卒業後家業の内燃機整備工場に就職、佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。悟瑠の幼馴染、所有車両 大型総輪駆動、CBA-GVB。
加藤 隆文 24歳
隆弘の弟。雅子より一学年上だが、3月生まれで実はほとんど同い年。工業高校から家業へ就職。佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。所有車 大型総輪駆動、ロックン
松尾 百合 24歳
雅子の親友、丸松建設のお嬢さん。雅子と同じ高校卒業して同じスーパーに入って家業に転職。
所有車;武蔵君、ラムちゃん、美浜ちゃん、徳次郎君、エッちゃん
現在は丸松運輸の副社長
兄は譲さん 26歳 所有車 ビーフさん、旦那さん、KE70HT
小笠原 愛理沙 23歳
雅子の一つ後輩。小笠原食肉のお嬢さん。元レディス総長。2児のママ かつて雅子がいたスーパーに勤務 大型免許所持 所有車:GXE10
兄は哲史さん 26歳 所有車AE70セダン
長野さん 29歳。
バス会社に居たが欲しい車が排ガスの関係で登録できなくて雅子がいたスーパーに転職。今は愛理沙ちゃんの上司 所有車9メートルワンドア、9メートル観光、NE
狩野さん 29歳
運送会社にいたが首都圏の事業縮小で地方に転勤になったが偶然募集していた松尾建設に転職
所有車 6×4V10ダンプ、6×4V8ダンプとND
盛況のうちにミーティングが終わった僕らは会場を片付け、レンタルトイレの返却してアジトに帰って来た
「お兄ちゃん、予想通り6トンボンネットの車検とレストア整備お願いします。って来ちゃったよ」
「そうか、頑張って仕上げるよ。オーバーホールか」
「あらら?それだけじゃなくて譲さんの旦那さんにターボ欲しいって。もうちょっとパワー欲しいってことで」
「わかった、検討するか。旦那さんなら部品あるからまだまだ楽だよ。KC規制クリアしたエンジンだ」
ミーティングの収支計算が終わる前に修理の注文が来たのだった。
「6トンボンネットが先かな?」
「うん、これの代わりのエンジンってないよね」
「ない。でもさ。その辺は何とかするよ。」
「じゃあ、これと旦那さんだけど、中型ロングと同じメニューかしら?」
「多分だけど、旦那さんのデフの耐トルク考えたら95kg以上のトルクはやばいって思うよ」
「そうかあ、それじゃあ無理ねえ」
「燃料絞ってトルク落とせばターボで310ps位迄やってみる手はあるよ。KL-規制のPF6用電制ポンプにして噴射量絞ればトルク落とせる」
「そうかあ、それでいってみようよ。310psねえ」
「結構速いよ。軽いから。もともと320psまで行けるんだからエンジンは大丈夫」
「速くなって譲さんのお気に入りになったりしてね」
「あははは、そうかもね」
「おーい、悟瑠。V10ダンプのパワーアップ依頼が来たぞ。KC-CXZ81K2Dだ。パワーアップしたくてターボがほしいんだってよ」
雅子と工場でしゃべっていると親父が入ってきて言う
「親父、10PEだな、結構売れたからなあ。確かにトルクはほしいよなあ、ミッションも8TD用に入れ替えないともたないよ」
[12PEのトラクター用で何とかするかだろ」
「そうだね。そうだ。隆弘、これに合うインクラはうちの2軸レッカー車のやつと同じ仕様を持ってくるか」
と言っていると、雅子に電話がかかってきて、話していたが切ると
「お兄ちゃん、高尾さんの6トンボンネットにターボって着くかなあ?」
「雅子、6DB1にターボ?聞いたことないよ。スーパーチャージャーなら有ったけど。220psで72kgだったかな?」
「悟瑠、スーパーチャージャーのエンジン有っても結構レアだろ。あの頃はターボの信頼性が低くてめったになかったから、スーパーチャージャーなんだろ。どうしてもって言うならポンプどっかのターボ用がいるよ。プレコンバッションだから直噴用流用しても噴射圧力落としてだなあ。直噴で高圧噴射にしてるのを落とせるかだけどな」
父親が言う
「まあ、直噴にはできないから噴射量はとにかく、噴射圧落としてプレコンバッションとしては高めでもいいけどなあ。結構大掛かりな改造になりそうだなあ」
「それでもいいか聞いてみるよ。お兄ちゃんが作ると壊れないようにでしょ」
「気を付けるけど、古い車はどこが傷んでいるかわかんないことが多いんだよ。ターボにするなら念のためクランクとコンロッドに罅がないか確認するけどな」
「そうだよねえ。もしクランクなかったら削り出しで作るの?」
「うん。そうなったらべらぼうにコストがかかるって。あ、海外に頼む手もあるよ。削り出しで作るところがあるから。ゴーゴーくんやなごみちゃんは海外製だよ」
「だよねえ。うちのは入れてあるけどあれは?趣味の世界?」
「あれはうちで販売前提のテスト用だからね。趣味の様で実は販売目的で作ったからその分の費用は経費にしてある。全部のバスそうだけどレストアの宣伝用でかかった費用は全部損金にしてあった」
「やるわねー、さてはママの入れ知恵って言うか。ママが経理してたからね」
「そうだな。雅子のバスを作っていたころ、雅子はスーパーいたからうちの経理をみてないもんなあ。今年のトラクターのエンジン交換したけどそれも販売前提のテストということで損金にしてある」
「そうねえ、確かにそうだわ。それで気が付かなかったのね。ってことは今年も所得税払わず?儲けは出てるけど損金で赤字だよね」
「キャッシュフローは黒字だから銀行は貸してくれるよ。開発用の部品を組み込み長期テストってことにしてある」
「わかった。お兄ちゃん。とにかくその2台のボンネットダンプよろしくね」
「任せろ。それよりもV10ダンプだな。レイアウトが難しいかもな」
そう言うと雅子は事務所に戻っていった
「悟瑠。ダンプだと確か、キャビンの嵩上げいるよ。2軸レッカー車車は総輪駆動だからいいけどダンプってV10にターボって無理でマニ割かサージタンクだよね」
「隆弘。それはメーカーが違うからわかんないよ。6×4トラクターの時は嵩上げしたけどさ。この会社のエンジンはコンパクトだから行けるかも。それに親父にエギマニ上手く作ってもらえば行けるよ。吸気系も親父に作ってもらってデュアルにするとパワーアップするよ」
「そうだな。レイアウト検討するか」
「V8なら隙間あるから確実って、そうかあ。この車はV12があるからV10ならまだ簡単にいけるかもな」
「そう言っちまったらそうだなあ。うちの2軸レッカー車車はV8がベースだからちょっと違ったけどそう言うことか。そうだなあ、これにはV12があるんだな」
「そう言うことだ。当時総輪駆動にV12なかったんだよ」
「やってみるか。ツインターボ×2かなあ?」
「隆弘、V10ならツインエントリーのツインターボで行けるよ。V12なら4つがいいけど」
「それなら楽か。マニフォールド作ってもらってだな」
僕は親父に頼んでターボ用のエギマニとインマニを作ってもらっていた。
参考にうちの2軸レッカー車車と同じ仕様にすべく予備としてあった部品を組んでいた。
「副社長、旦那さんと言われてるダンプのエンジン換装って言うかターボにするの終わりました。NF6ターボ用の6速入れましたからミッションはOKです。デフが小さいんでそこがどうなるかですね」
「鈴木さん。電制で燃料絞ったから問題起きない見込み。計算上は耐久性考えてマージン10%見ても95kgまでなら行ける。」
「さすがですねえ。次は高尾さんの6トンボンネットにターボですよね。このエンジンはいいところ250psですかねえ?」
「計算してみたら出力は230psでトルクは80kgまでならミッションとデフ含めていけそうですよ。220psのスーパーチャージャーとどうやら部品は共通なんで230psならいけそうです。純正よりもちょっとアップですよ」
「そうですか。それ良いですね。無理がかからないところで辞めておくんですね」
「はい、僕がオーナーなら何時でも直せますが、お客さまだと難しいですからね」
「そうですね」
「鈴木さん、高尾さんの6トンボンネットのフレームはお任せしますね。重いもの積んでないんで痛みはそれほどとは思いませんがいかんせん古いので。隆弘。ターボのレイアウト検討しよう。インタークーラーとオイルクーラーは必要だ」
僕はそう言って隆弘とターボのレイアウトを検討していた。
この車のいいところは同じキャビンでV8の設定があるので、左右方向に余裕がある。
その代わりに前後方向は余裕が少ない。そこにエアコンというかクーラーをつけているのでインタークーラー、オイルクーラーはエアコンのコンデンサーの冷却を邪魔しないようにする必要がある
フレームを直してる鈴木さんと連携してエンジン回りのチューニングをやっていた。
次の日、僕は仕上がった旦那さんの最終チェックをやって、V10ダンプの排気系を作っていた。
仕事が終わるころに笠木さんからトレーラーダンプが納車できてミッションも見つかったのでどうするかと連絡がきた
「雅子、旦那さんの漏れ確認も終わったから久しぶりに確認行くぞ。ついでに百合ちゃんの車に使う予備のミッション見つかったから笠木さんのところに行くぞ」
「はい、でもそれじゃあどれに積むの?」
「積むのは旦那さんにもう一台うちの2軸トラクターも行くよ。帰りに3軸のトレーラーダンプの引き取りもあるんだよ」
「え?どこで使うの?」
「松尾建設で使うらしい、もう一台トラクターヘッド探してるよ。3軸が欲しいとか」
「百合リン言わないんだから」
「これは、譲さんからなんだよ。重量品トラクターないかって。笠木さんでもなかなかないみたいで探してるんだよ。譲さんも呼んだから一緒にならしだな」
「わかったわ、明日は旦那さんの確認と引き取りね。お仕事の段取りはママに頼んでおくね」
「うん、じゃあよろしく」
「かえろうね。あたしは旦那さん?」
「雅子、乗ってみて。結構面白いよ。レブの2800rpm迄行くから。310psを2500rpmで発揮するよ」
「お兄ちゃんのセッティングはこれだよ。330ps仕様よりはいいか。愛理沙が速すぎって言ってたよ」
「あはははは。やりすぎか」
僕らはアジトに帰って次の日の準備していた。
「ねえ、お兄ちゃん。重トラクター見つかったみたいよ」
「えええ?ってことは、引き取ってこれるか。あああ、そうか。登録しないと単機でしかはしれないのか」
「そうねえ。ってことは2台で行って帰りは3台ね。トラクターいいか譲さんに見てもらって、よかったら買うってことで」
「もうすぐ来るかな?」
「そうね。道が混んでるかな?」
といってると、ドリュドリュドリュドリュというV8+デュアルマフラーサウンドを響かせて百合ちゃん自慢の武蔵君が入って来た
「おはようございます!んもう、お兄ちゃんはあたし迄引っ張りだすことないじゃん」
そう言いながら降りてきたのは百合ちゃんだった。
「百合リンもいくの?」
「そうよ。今朝、笠木さんからあたしにも連絡きたの。W-FV414JRが入ったって。お兄ちゃんあたしに見て欲しいっていって引っ張り出されたの」
「親父が絶対に百合を連れて行けって。お袋も言うんだよ」
「百合リンはそうね。車を見る目があるもんね」
「良いけど、どうやって乗ってくの?」
「百合ちゃん、僕と譲さんで310psになった旦那さん。雅子と百合ちゃんはうちの2軸トラクター、帰りは僕が2軸トラクターでトレーラーダンプを引っ張って、雅子は笠木さんが見つけたV103軸トラクターが良かったらそれ。百合ちゃんが旦那さんでどうかな?」
「そうね。それで行くよ。百合リン。2軸トラクターに乗りな」
「うん、これってV10積んだんだよね」
「そう、26リッター改造の25リッターのV10なんで結構走るよ。旦那さんも速くなったからねえ。軽いから」
「ふーん、帰り乗ってみよ。お兄ちゃんが無理に引っ張ってきたんだからあたしも乗るよ。徳次郎くんといい勝負なのかな?」
「百合ちゃん。多分、徳次郎くんが速いって。デフとミッションが最新なんだよ。旦那さんはミッションは最新だけど。デフが持たないから95kgで辞めたんだよ」
「そうなんだ。雅子、行こう。お兄ちゃん帰りに運転させてね」
そう言うと雅子と百合ちゃんは2軸トラクターの助手席に乗りこんでいった
「お兄ちゃん、先に行ってるね」
雅子はブオンとクラクションを鳴らすと、ふおおおーんと等長マフラーサウンドを響かせ走って行った。
「譲さん、行きましょう」
「はい。僕の運転で?」
「はい、その通りです。6速にしたんで少しはいいと思います。元は直結5速でしたから」
「非力なエンジンでしたからね。排気量大きくして楽になりましたが、これは?やばっ」
譲さんは4速で全開にした時の加速にびっくりしていた。
取り付けたタコメータを見ながら2600rpmくらいでシフトを繰り返す
「これ、すごい。この登りを6速で登れるんですか?速過ぎです」
「ターボがきいていればですね。速くていいでしょ」
「これは楽ですよ。310psは伊達じゃあないですね。この速さ良すぎます。僕のKE70より早いかも」
「トルクならそうですね。空車で言えば5トンに95kgですから5で割れば1トンでは19kgですからね」
「出力はそうすると大凡60ps+αくらいですか」
「ですね。マフラー付けての台上設備の実力ですからグロス72psなら8掛けで実力60psあるかくらいですね。トルクの分速いかもしれませんね」
「やばい、それにしても2軸トラクターは速いですねえ。全然追いつきませんね」
「そうですね。実力で480psでてます。空車だと7トンくらいですからトン当たり70ps-αですね。トルクは170kgですからトン当たり20kg超えますね。速さが違います」
「それは追いつきませんね。それにしてもこのターボいいですねえ。これなら、坂道でも楽でいいですよ。それにパワーを搾りだすためにガンガン回さないので耐久性もよさそうで」
「そうですね。回さないのはいいことですよ。燃費もいいですし静かで」
といいながら僕らは笠木さんのお店に行く登り坂を登っていた。
登りを軽々と乗り切って下りに入った。
「排気は一緒ですね」
「そうですね。念のためリターダー追加しましてツインにしてます。ブレーキの強化は難しいので補助ブレーキ追加です」
「おおお、リターダーを2段目にするとブレーキ要らない。ここまで減速するなら心強い。この前、百合の徳次郎くん乗りましたけどもっと速かったですね」
「ですね。百合ちゃんは楽しそうに乗ってましたよ。ここののぼりを全開でカッとんでました。大凡6トン半ちょっとのボディに355psですから速いです」
「百合はほんとに速い車が好きで、せっかちで困ったもんです。父親の血を強く引いたようです」
「そうなんですね。それは大変ですね。でもいい腕してますよ」
「多分、母方のお爺ちゃんの遺伝ですねえ。レースやってました。父方の方は大型トラックのドライバーで車両感覚の塊でしたもん。それの両方とも百合に行ったようですね」
「そうですか、百合ちゃんは相当優秀な遺伝子を持ってるんですね」
「はい。そのせいなのか?あっという間に牽引も取れましたよ。残念ながら僕には才能が来なかったようです」
「ここまでスムーズ乗れるのは大したもんですよ。お上手です」
「どうもありがとうございます。この車乗りやすいです。速さも手に入れて気に入りました。こればっかり乗りそうで」
「気に入っていただいて何よりです」
と、しゃべっているうちに笠木さんのお店に着いた。
すでに雅子たちが着いていて、V103軸トラクターとトレーラーダンプを見ていた。
百合ちゃんは譲さんと行流すると雅子に声をかけた
「雅子、どうだい?」
「うん、3軸トラクター事故は起こしてないからいいかも。エンジンはV10なんだね。エンジンかけてみたらオーバーホールいるよ。距離のわりには結構ヘタってる。でも百合リンは気にしないで買いそうね。パワー欲しいって言うよ」
「オーバーホールはどっちにしろやるからいいじゃん。ツインターボかな?」
「うん、多分530ps位欲しいって言いそうね。ミッションの関係あるよね」
「やってみるよ。ちょっとは排気量落とさないと無理かもね、11型だよね。10迄落としてかなあ」
「わかったあ。百合リンには言っておくよ。でも排気量は落としても20Lくらいでしょ」
「その通り、上手くやっていくよ。インタークーラーの置き場を考えないとな。V10はちょっと長いから」
「そうだよね、V103軸トラクターはツインターボでインクラでそれで決まりね」
「もちろんだ」
「それなら、百合リンも満足するよ」
「まあな。その次だよ。雅子たちのレースが来週に迫ってるだろ。ここで買ったミッションを百合ちゃんのKE55に組み込むんだよ。T50の方がいいよ」
「うん、そうね。31ちゃんのフロントハブベアリングはどうしたの?」
「今度はキャンバーを少し寝かせて対策した。次回のFは高強度にするよ。どうやら他はスピード乗ってないからよかったけど、雅子とリタイヤになった3台は速度が乗っててベアリングが持たなかったんだよ」
「さすがお兄ちゃんね。もう対策出来てるなんて」
「雅子、データ見たけどやっぱりあのサーキットは超高速だよ。第一コーナーの突込みがカギだって」
「そうなのね。そこでか」
「それに雅子は予選と決勝で同じ走りで行くだろ、すると負担はでかかった。隆文と愛理沙ちゃんはちょっとペース落とす。それに百合ちゃんと隆文はノーピットだろ。少しペースを落とすから耐えきったって感じかな?2台とも左側のベアリング交換しないとね」
「そうなの?あ、百合リンたち戻って来たよ」
「雅子、トレーラーダンプも買うよ。うちの現場に必要だから。油圧装置の調子悪いから直してね」
「いいよ。今まで持ってなかったのが不思議なのよね」
「と言うか、乗れる人いなかったの。狩野さんが乗れるから買うことにしたのよ。狩野さんには現場監督と時にはトレーラーダンプのオペレーターで」
「百合リンもでしょ」
「そう、あたしは船底のオペレーターだよ。そのうちにトレーラーダンプも乗るよ」
「じゃあ、書類にサインして帰るよ。」
「佐野さん、毎度ありがとうございます。」
「いえいえこちらこそ、助かってます。では、失礼します」
僕と譲さんはトレーラーダンプを2軸トラクターに連結して僕の運転ではしる、買ったばかりのV103軸トラクターは雅子が運転してうちのお店に持って行く、旦那さんは百合ちゃんが運転して帰るのだった
「百合リン、一旦アジトによって武蔵君と2台でお店に来てよ。松尾運輸と修理の契約結ぶから」
「そうね。お兄ちゃんアジト迄はあたしが旦那さん運転するから、アジトからはお兄ちゃんが乗ってね。そのまま会社に行ってもいいよ。あたしと雅子のところで契約すればいいからね」
「みんな、出発、それぞれのペースで行っていいよ。雅子は排気とリターダーとジェイクの効きを確かめてよ」
「はいよ」
帰りはそれぞれのペースで帰って来た。
早かったのは雅子で僕がお店に着いた時、既に駐車場に停めてあった。
僕が工場に入れて切り離していると、ドリュドリュドリュドリュという音とともに武蔵君で百合ちゃんがやって来た。
「雅子、トレーラーダンプの整備とV103軸トラクターのエンジンオーバーホールとパワーアップよろしくね。出力は500ps超えていればいいから」
「うん。確かに」
百合ちゃんは整備依頼契約書にハンコ押すと帰って行った。
工場に戻ると鈴木さんが
「工場長、V10ダンプのキャビンの修理終わりました。ばらして気付いたと言うか袋状のところの雨水排水口が泥でふさがって抜けなくて結構錆が来てボロボロでしたんで一旦全部剥がしてパネルを作り直しておきました。防錆メッキと塗料塗っておきましたんで10年は大丈夫でしょう」
「どうもありがとうございます。さすがですねえ」
親父が持って来た仕事の一つであるV10ダンプのターボ化が無事に終わって漏れチェックしたら引き渡す段取りだった。
「悟瑠、お帰り、ところで6トンボンネットはどうだ?ポンプはいいのあったか?」
「いやあ、意外に無いなあ。見る限りだけど6発で300ps以上用は無くてせいぜい200ps位だな」
「6D21用か後はPP6か、どっちにしても古いよ」
「やっぱり近いのは6d2系のポンプか」
「圧力落として使えはいいよ。噴射量上手く出せればいける。ターボにしてインタークーラーつければ220psはいける。クランクとかコンロッドに罅がなければ235psは大丈夫。ブロックにも罅ないか見ておく必要あるよ」
「よし、まずは洗浄した部品にスーパーチェックかけてか」
「そう、それから錆止めの塗料塗ってだな」
「クランクに罅があったらどうする?」
「うん、その時はその時で交換するか削り出しで作るか」
「OK、じゃあそれはオーナーに聞いておくよ」
僕はその場でオーナーに電話してもし、クランクに罅が入っていて交換が必要ならどうするか聞いていた。
海外で図面か画像を撮って渡すと作ってくれるところを知っている。
フルオートで作るらしく、意外に安いのもある
僕らは全部ばらしてクランクシャフト、シリンダーブロック、コンロッド、シリンダーヘッドに罅がないか調べていた。幸いにも表面検査でも罅もなく高周波探査で確認しても問題がなかった。
強度確保の為と念の為にコンロッドとクランクシャフトには鏡面加工、クランクには特別にフィレットロールも掛けておいたのだ。
親父にターボ用のエギゾーストノートマニフォールドを作ってもらってターボ、インタークーラー、オイルクーラーのレイアウトを決めて作っていた
その間、V10ダンプを引き渡し、雅子のTSカーのロアアームを交換してキャンバーを寝かせ気味にしておいた。
僕らは6DBエンジンをスタンドにつけて組み立てていた。
組み立てている途中でレースの有る週末になって、僕らは地元のドリフト大会が行われるサーキットに乗り込んでいた。
今回も土曜日予選、日曜日決勝のスケジュールだった。
僕らはTSカー4台乗せるのはうちの積載車、予備部品用にキューピーちゃん、雅子たちの休憩用兼通信機材運びにはなごみちゃん、応援に来る愛理沙ちゃんのお子さん休憩用に譲さんが移動事務所である伊吹君でついてきていた。
「お兄ちゃん。今回は優勝狙うからね。ここは近くて楽だよね」
「そうだね。僕らはこのへんだけの参戦だからなかなか連勝は難しいよね」
「それはいいんだけどね。一回はSの耐久にも出てみたいって気はするね。24時間だって。愛理沙は実はスーパーの看板背負ってレース活動だよ、入賞が至上命令みたいね」
「それじゃあ、プレッシャーすごいよねえ」
「愛理沙はさすがママって感じでさ、強いよ。販促推進部所属なんで部長もこの手があったか―とか言ってるよ」
向かっている積載車で雅子としゃべっていた。
サーキットについて
「雅子、キャンバーいじって一回も走ってないからチェック頼むぜ。フロントのサスメンは全周シームレスしてキャンバー剛性上げてみた。今までのは剛性不足で旋回の時にポジ方向に行ってたんだよ。それもあって舵角が増えてベアリングに負担がかかったとみた。愛理沙ちゃんの車見て気が付いた。サスメンとロアアームの剛性がめっちゃ高くてさ。さすがラリー車って感じだよ」
「へえ、愛理沙の車ってすごいんだね」
「え?そうなんですか?あたし初めて知りました」
「愛理沙、素性はいいってことよ。あんだけ攻めても全く問題ないってすごいでしょ」
「はい、びっくりしてました」
「みんなでトップ狙うから争いは激しいわよ」
「うん。そうですね」
「お兄ちゃん。ちょっと見てくるよ」
そう言うと雅子は足回りが新しくなったレースカーに乗ってプラクティスに行った
「百合ちゃん、ここは高速からテクニカル迄あるからセッティングが勝負だよ」
「隆弘さん。行ってきます。セッティングはいいはずなんで」
「兄貴、俺も行ってくるぜ。2連勝狙うよ」
「その意気だ」
ごわごわわわわーんと吸気音を響かせて隆文がコースに行った。
5周ほどで戻って来たのは雅子だった
「お兄ちゃん。キャンバーちょっと起こせるかな?それともトーをイン方向に出来る?」
「ブレーキか?」
「そうなの。安定しなくて」
「トーをインにしてみる。パラレルにしてみよう。多分、今はアウト2位ついてるかも」
「それをゼロかイン1かな?」
「やってみるよ。タイヤの内側の負担がちょっと増えるかな?」
「キャスターは寝かせたんでしょ」
「ああ、5度にしたかな?ハイキャスター、スクラブ半径をゼロに近づけてみた」
「それならもっとまっすぐ走れるはずなんだけどね」
「そうだなあ。テンションロッドも見てみるよ」
「うん、よろしくね」
テンションロッドブラケット左右連結バーを見るとボルトが緩み気味でしかも左は車体側もゆるゆるだったのだ。
すべて規定トルクで絞めて雅子の言う通りトーをイン0.5に合わせることができた
「雅子、乗ってみてくれ」
「はいよ。ありがとう」
その間、来てくれた新入社員が窓を拭いて燃料を満タンにしておいてくれた
雅子がでていくと愛理沙ちゃんが入って来た。
「悟瑠さん、もう少しアンダーにお願いします。最終と第一コーナーで安定しなくて」
「タイトは?」
「タイトは滑らせます。なんで高速重視で」
「わかった、フロントスタビをワンサイズ太くするよ」
「悟瑠さん、やりましょう」
長野さんがやる気だ。
二人でスタビを交換して愛理沙ちゃんを出すと同時に隆文と百合ちゃんがピットに戻って来た
「悟瑠、ワリイ。手伝ってくれ。百合ちゃんの車が高速コーナーでオーバー強くて踏めないとか」
「OK、フロントスタビか」
「ワンサイズ上げるか」
「こっちはやるよ、隆文をよろしく」
「わりいな、隆文はどうもエンジンが調子悪いのかタイムが出ないんだ」
「FDはいくつだ?Fの時のままなら出ないぞ」
「え?あれ?兄貴。5.18じゃないんだっけ?」
「5.18だぞ」
「ミッションは?5速がOD?」
「あ、そうだ、5速がODのままだ」
「5.57入れるほうがいいんじゃ?6.1とか」
「そうだな、ここは出ても180だよ」
「5.57にするよ」
「しまった。ミッションの入れ替え忘れたか」
「ホーシング入れ替えるぞ。5.57もってたな」
「取りに行こう」
隆弘と隆文はキューピーちゃんにホーシングを取りに行っていた。
「百合ちゃん。OK。これでいいかみて」
「どうもありがとうございます。いってきます」
百合ちゃんのKE55がコースに行った。
その後は新人君に雅子と愛理沙ちゃんとの通信を任せて隆文の車のホーシングを交換していたのだった
「兄貴、悟瑠さん、どうもありがとうございます。行ってきます」
隆文のKP61がコースイン。
セッティングが決まったようで午後の予選に臨んでいた
予選はこの前のリベンジに燃える雅子が気合のポール、セカンドには成長著しい愛理沙ちゃん、サードに百合ちゃん、隆文は0.01秒差で4番手、その後ろにベテラン勢が並ぶという結果だった
次の日、決勝は快晴で暑いくらいだった
「ママ―。がんばってー」
応援するのは愛理沙ちゃんの上の子だ。男の子だけあって車が大好きでレースも大好きだ。
「行ってくるね」
そう言って愛理沙ちゃんがセカンドグリッドに車を停めた、ポールでは既に雅子がコンセントレーションを高めるためのいつものルーチンワークをやっている
"TSカーレース決勝です、元山さん、今回の見どころはどこでしょうね。"
"やはり、前回リタイヤの佐野選手でしょう。今回どういった対策してくるかですよ。ここは超高速サーキットでない分負担は少ないでしょうが"
"そうですねえ、後は前回優勝の加藤選手が4番手ですね"
"加藤選手のいいところは安定した走りですよ、それに車を壊さないですからね"
"後は松尾選手が3番手ですね。重いボディを上手く走らせますね"
"そうですね、この選手も安定して入賞してますね"
スタンドのビジョンに移る実況と解説が選手紹介の後にしゃべっている
"ピーッ"と鳴ってエンジン始動。きゅうううっ、ブルブルごわわーん。と各車が雄叫びをあげる。
フォンフォンとアクセルをあおる音、シグナルがレッドからイエローの点滅になってフォーメーションラップスタートだった
ブロロロロローンとエギゾーストノートが上がりスタートしていく
一周で整ってペースカーが右ウインカーを上げてピットに入ると同時にシグナルが青に変わってレースのスタートだった。
飛び出していくのは雅子と愛理沙ちゃんの2台だ
その後に上手くスリップでついていく百合ちゃん、隆文は序盤は無理しない作戦なのか3人のハイペースについて行かずにしかし離されずというポジションで走る。
どうやら雅子と愛理沙ちゃんはあえてバトルとせずにまず後ろを離す作戦に出たようだ。
『相変わらず雅子は早えなあ』
「隆文、ギヤ比はいいか?」
『何とか、31勢は高回転の伸びが全然違うって』
「我慢してくれ、って言うかKではほぼトップタイムだろ」
『まあな。オーラきやがれー』
"ああ、色部選手が仕掛けた。いやあ、抜けない。加藤選手上手く抑えましたね"
"加藤選手はブロックもうまいですからね。最高出力はAに劣るのによくやりますよ"
"松尾選手も上手く逃げてますねえ"
"ええ、上手いと言うか速いですね。前の2台のスリップを上手く使ってますね。徐々にトップ3台が離れていってます"
"色部選手から見たら加藤選手を躱せないのはきついでしょうが加藤選手もうまいですよ、徐々に色部選手を離してますからね"
「隆弘、隆文成長したなあ。無駄なバトルを避けて離していくぜ」
「ああ、アイツは非力なりに走ってるよ。それにタイトはKPが速い。高速は百合ちゃんに上手く引っ張ってもらってるなあ」
「うん、このままのペースなら最後は雅子と愛理沙ちゃんの直接対決か?」
「悟瑠、うーん、そうなんだがピット作業がちょっとヤベえぞ。4台同時にタイヤ交換は無理だ」
「3台か」
「隆文がどこまで無交換でぴっぱるかだな。軽い分2周くらい多く回れるか」
「ああ、ベテラン勢は無交換と交換と別れるなあ。クラス1は無交換だろう。クラス2は今回も微妙だなあ」
「悟瑠、多分だが、雅子と愛理沙ちゃん、百合ちゃんが同時に入ってきそうだな。」
「よし、それはやるしかないだろ。新人君たちが頼りだ」
レースは後半に入った、そろそろ雅子たちのタイヤがやばくなってきたころだ。
"各車そろそろ交換ですね。現在トップは依然として佐野選手。その佐野選手と同等のペースで走るのは小笠原選手ですね。二人の女性選手が速いですねえ"
"ピットのタイミングですよ、あ、松尾選手が入りますね。色部選手も入るようですね"
『交換お願いします。4輪』
「百合ちゃん。OK」
するとゴワゴワという吸気音で入って来た。
「交換」
4輪を持ち上げて交換。その間に燃料を詰めて
「左前OK」
「右OK」
「後ろOK」
僕らは百合ちゃんを送り出した、その後無線で
『愛理沙です、入ります』
「はいよ」
愛理沙ちゃんが次にはいるようだ。タイヤ交換もあって暫定トップは依然として雅子だ
"タイヤ交換入り始めましたね、これで順位変動がどうなるかですね"
"ええ、クラス1は無交換でいくでしょうからクラス2で交換した車がクラス1に引っかかってとかおきますよ"
"ここがポイントですね"
僕らは愛理沙ちゃんの交換を済ますと、次に来たのは予想通り雅子だった
『お兄ちゃん、入るよ』
「はいよ」
"ええと今のトップは加藤選手ですね。それを追うのは小笠原選手、松尾選手ですかね。早い。佐野選手も戻って小笠原選手の前に戻れたようですね。元山さん、これからはクラス1の処理ですね"
"色部選手がどこで仕掛けるかですね。多分松尾選手を狙って。いったー"
"おおおお、踏み合いだ。パワーで勝る?ええ?松尾選手の方が伸びる?"
"今度はブレーキ競争、色部選手?え、エンジンブロー?"
ベテランの選手の車から白煙が上がる、クラッチを切ったのか惰性のまま走ってピットに戻れそうだ
"松尾選手のエンジンはKですよね。色部選手がオーバーレブですか?"
"そのようです。レブリミットは色部選手の方が高いはずですが"
"色部選手どうやらピットに入れたようですね"
"ピットには惰性で戻れたようです、よかったと言えばそうですが"
"エンジンがくたびれていたんでしょうか?3連続リタイヤですねえ"
"これで楽になったのは佐野選手でしょうか?"
"ですね、佐野選手が逃げ切るかですが小笠原選手が離れないですね"
"ええ、徐々に松尾選手を離してますから"
"トップはこの2台の争いですね"
実況の通り、レースは雅子と愛理沙ちゃんが一騎打ちになっていて2台で他の車に対して差を広げている。
「百合ちゃんってオーバーレブでシフトダウンしてたよね」
「隆弘、僕らが作ったクランクだろ。鍛造でフィレットロールもやって高周波焼き入れもやって窒化もやったろ、11000迄回しても壊れないよ。ピン径も太くしたし」
「そうか、ってことは隆文の車もか?」
「もちろんだ。それにラダーフレーム入れたんだろ?」
「あ。ビームは入れたけど」
「おいおいおい、頼むぜ。百合ちゃんのエンジンにはラダーフレーム入れたぞ、愛理沙ちゃんも」
「その差かあ」
"松尾選手が3着でどうやら一人旅ですね"
"加藤選手は苦しいですかね。4番手で一人旅ですね"
"レースは残り2周ですね"
"おおおお?小笠原選手仕掛け?いや、佐野選手が抑えましたね"
"この2台のバトルですね"
"小笠原選手成長しましたね"
「悟瑠。ファイナルラップだ。雅子がここまで追い込まれるのは初めてだよなあ」
「愛理沙ちゃんが上手くやったなあ」
"ファイナルラップです。トップは依然として佐野選手。直後に小笠原選手。少し離れて松尾選手ですね。松尾選手はタイトの処理がうまいって言うか"
"ええ、あれっ、佐野選手スローダウンだ"
「雅子、どうした?」
『3速に入らない。4速で行くしかないの』
テレメには異常が来てないので雅子に聞く
「とにかくゴールまで」
『うん』
"佐野選手どうしたんでしょう?最終コーナーに入っていく。もう少し。あああ、松尾選手が躱していく"
"松尾選手2番手ですか?"
"トップは小笠原選手。2番手は松尾選手、3番手に逃げ切った佐野選手。加藤選手が4番手ですね。表彰台を女性選手独占ですね"
「悟瑠、もしかしてミッションブローか?」
「そうだ、わかったよ。冷却だよ。愛理沙ちゃんの車はトンネルに71ミッションが入る、でも雅子の車には入らないんだよ。その分トンネルが狭い。ここのタイトで冷えなくて一番使う3速がいっちまったな。百合ちゃんのT50は容量でかいのかもな」
雅子たちの車が戻って来た
「お兄ちゃん、ミッション壊しちゃったね」
「仕方ないって、冷却だよ」
「去年は大丈夫だったけどね」
「タイム見たら5秒以上速いよ。それで負担がかかったんだよ」
「そうかあ、愛理沙の車は?」
「愛理沙ちゃんのはトンネルに71が入るよ。その分トンネルがでかい。風が入って冷えるんだよ」
「そうなのね。速くなると問題が出てくるね」
「気づかなかった僕のミスだな」
「隆文、お疲れ」
「百合ちゃんの車はあそこで2速に落としたらオーバーレブでしょ」
「そうなんだけど、11000迄持つクランク入ってるんだよ。隆文の車にも入ってる」
「え?そう言うこと?」
「そうなんだよ。そこを言ってなかったから隆文はブレーキがきつかったんだろ」
「その通り。後半はブレーキが怪しかった」
「ところが百合ちゃんは11000でシフトダウンしてたからその分ブレーキが持ったね。雅子たちは言うまでもなく11000でだろ」
「そういうことかあ」
「減速だけだけどな。その分百合ちゃんが速かったんだよ」
「勉強になったぜ」
「雅子、ミッションの冷却はやるから。Fは高速で冷えたんだよ」
「そうね。愛理沙。トップおめでとう。って泣きすぎ。ほら、表彰式よ」
「ううううう、ぜんばーい。うううう。うれじじゅぎー」
表彰式でも愛理沙ちゃんが泣き止めず雅子と百合ちゃんに支えられて優勝カップを持ち上げていたのだった。
アジトに帰って
「お兄ちゃん、いろんなところに足元すくわれるって言うかさあ、落し穴あるんだね」
「僕も初めて知ったよ。愛理沙ちゃんの車ってポテンシャル高いんだね」
「うん、でもいいんだ。次回はトップ取っちゃうもんね」
「そうだね」
「百合リンもやるわねえ。うかうかしてらんない」
「速くなったよね」
その後はみんなで愛理沙ちゃんの祝勝パーティしていた
また、上の子に涙を拭かれていたのが幸せそうだった。
次の日、お店で雅子としゃべっていた
「雅子、6トンボンネットは235psの80kg迄行くからね」
「耐久性もばっちりね」
「もちろん、鏡面加工とフィレットロールもやった。高尾さんが取りに来るって言ってるから楽しんで帰るんじゃ?」
「そうね、あれ?愛理沙から?はい?長野さんがバス買ったって。それで移動事務所に改造してくれって来たよ。エンジンオーバーホールも」
「ちょうど仕事掃けたからいいよ。」
「悟瑠、あの前にマニ割にしたV10ダンプあっただろ、それをサージタンクにしてくれって来たぞ。予備車なんだが、マニ割禁止のところに行くみたいで」
「いいよ、やるぞ」
「雅子、レースはいろんなことが起きるんだよ。悟瑠も見逃すってことだ。風の流れも計算できるようにしようぜ」
「うん、今回はあたしも運転ミスかも。愛理沙との争いに熱くなり過ぎたわよ。今まで勝ってたのはビギナーズラックもあったかもね」
そう言って、次こそ勝つぞと意気込んでいる雅子だった
念願の優勝した愛理沙ちゃんと隆文を下した百合ちゃん
次のレースを見据える雅子と隆文
次は一体?
いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。
今回はここで更新します。
お気に召しましたらイイネや感想いただけると更新のモチベーションアゲアゲになります




