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走り屋の妹(全年齢版)  作者: 浅野 武一
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第五十一話 百合ちゃんと愛理沙ちゃんのTSレースデビューと大型車の改造と

愛理沙ちゃんと百合ちゃんのTSカーレースデビューはどうかな?

大型旧車の改造依頼とマフラーづくりが増える佐野自動車


主な登場人物


佐野 雅子 ヒロイン 24歳 4月生まれ

峠のバトラー⇒TSカップレーサー、5勝目にトライ中。

家業の佐野自動車販売の中古車販売店兼整備工場の経理、整備の段取り担当の副社長

前職はスーパーで経理兼販売促進

所有免許;大型2種、牽引運転免許。2級整備士免許

レース以外の趣味:

オフロード走行。大型の2軸総輪駆動(U-FZ2FJCA改)のエンジン、サスペンションをいじって自分好みした。

パソコン:プログラム組むのも好きでシステムを自力で組める

所有車:大型バス2台、大型総輪駆動(U-FZ2FJCA改)、イチゴちゃん。


僕;佐野 悟瑠(さとる) 雅子の兄 27歳、3月生まれ 妹の雅子より4学年上

家業の佐野自動車販売に就職して6年目、整備工場の工場長兼副社長。

所有資格 2級整備士、MIG溶接機、レーザー溶接機、ガス溶接、玉掛。免許は大型、けん引免許

カーキチ、スペックオタク 所有車:バス9台+大型総輪駆動(KC-CF53XH改)、サンゴちゃん、三四郎君


加藤 隆弘 悟瑠の同級生で親友。専学卒業後家業の内燃機整備工場に就職、佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。悟瑠の幼馴染、所有車両 大型総輪駆動(U-FR415H改)、CBA-GVB。


加藤 隆文 隆弘の弟。雅子より一学年上だが、3月生まれで実はほとんど同い年。工業高校から家業へ就職。佐野自動車販売に事業譲渡でそのまま異動。所有車 大型総輪駆動(K-SKS390)。ロックン


松尾 百合 雅子の親友、丸松建設のお嬢さん。雅子と同じ高校卒業して同じスーパーへ。兄は譲さん


小笠原 愛理沙 雅子の一つ後輩。小笠原食肉のお嬢さん。元レディス総長。2児のママ 兄は哲史さん

今日の練習を終えてTSカーを積載に積んで帰ってお風呂に入ってくつろいでいるとスマートフォンを見ていた雅子が言う


「えええ?百合リンの会社からまた2軸8トン探してだって」


「ああ、笠木さんに頼んだよ」


「え?もう見つけたの?KC-EP515FXDだって。車検無し」


「早すぎ、まあいいや。明日早くここをでて取りに行こう。船底だな」


整備の仕事がまた来たのだった。


「明日はお休み返上ね。百合リンもお仕事かもだって」


「仕方あるまい。隆弘と隆文にTSカーのメンテは任せよう」


「笠木さんには行くって言っておくね」


「うん。頼むよ」


「百合リンにも言っておくかなた」


「そうだね、見に来るっていうかも」


「引っ張るトレーラーないでしょ。あ、もしかして自分のになった徳次郎君(TK20GD)で遠出してないって言ってたからなあ」


「お兄さんのKE70で来るとか?」


「そうねえ。エンジンを載せ替えたんでしょ5Kに」


「そうだね。税金変わらないし、どっちも排ガス規制変わらないから強度だけだよ」


「なるほどね。明日早いから寝よう。おやすみ」


雅子は自分の部屋に行った。

僕は隆弘にTSカーの整備をお願いするメールを打って寝た。


次の日、僕と雅子は早起きしてロザン君(KC-RU3FPCB)で会社に行って仮ナンバーと念の為の牽引ロープを用意していた。

その日の車は百合ちゃんの徳次郎君(TK20GD)だ。

何故なら、百合ちゃんは徳次郎君(TK20GD)がどのくらいの性能なのか見たいという。

話し合った結果、今日は徳次郎君(TK20GD)で笠木さんのお店に行くことになったのだ。


「百合リン。3人乗りって言っても、意外に狭いのね」


「まあね。悟瑠さんのシートベルトがいいのよね。ちゃんと3人分の3点式があって」


「巻き取りが後期のものがあったからね。上手くついたよ」


「ですよね。実は登りが楽しみで。これは速度のリミッター無いですから」


「百合リンの飛ばし屋ぶりが発揮されるのね」


徳次郎君(TK20GD)って空荷だとめちゃくちゃ速いんですよ。悟瑠さん速くしてくれてありがとう」


「百合ちゃんがそう思うのわかるよ。空荷だと6.7トンだからね」


「そうか。同じエンジンの獅子丸君(U-UA440HAN)は凡そ10トンあるもんね」


「そう。獅子丸君(U-UA440HAN)に500PS位のエンジン積んだと同じだよ」


「うわ~、百合リンが全開で登りそうじゃん」


「そうよ、徳次郎君(TK20GD)のオリジナルは185PSでしょ、それが355PSよ。トルクもほぼ倍増でしょ。速いに決まってるじゃん」


「お兄ちゃん、百合リンに危ないの作っちゃったね」


「まあ、仕方あるまい。フル積で15トン弱か。それじゃあ空荷は速過ぎだな」


「そうそう。ミッションも6速にしてあるから実質5速でしょ」


そう言っていると、峠で登りのきついところに差し掛かった。

しかし、わずか7トン弱のボディに355psのパワーを持つ徳次郎君(TK20GD)はこの程度の上り坂なら全く苦にせずにガンガン登っていく。

あろうことか、全開を続けると5速を使い切って6速でも十分な加速していくのだった。


「悟瑠さん、これ速くていいですよ。普段からストレス無く走るんで良いと思ってたらこんなに速いなんて思いもしてないです。十分ですよ。トルクもあって」


「もう、百合リンこんなに速いんだからって飛ばしすぎじゃん。80キロ超えてるじゃん」


「あはは、雅子。ここでこんなに速いなんてねえ。6速で登るっていうか加速できるって悟さんすごすぎでしょ」


「お兄ちゃん。登坂車線から抜こうとしたミニバン呆気にとられてるわよ」


「まあそうだろうね。こんなに旧いダンプが80キロ超えたスピードで登るからねえ。ミッションとペラとデフは全部CD45用に入れ替えたからファイナルのギヤ比をあげれば140もいけるよ」


「お兄ちゃんはいつの間に?」


「これは駆動系の設計が旧いから交換したほうがいいんだよ。この年代のマイクロバスが高速道路でペラ辺りが焼き付いて外れて地面に刺さって横転した事故起きてるんだよ。百合ちゃんちの車には全部ペラの脱落防止してある」


「さすがですねえ。悟瑠さん素敵」


「こらあ、百合リン前見なさいよ。もう下りじゃん。リターダー使ってよ」


「うわー凄い。空荷だとやばいくらい減速するじゃん。あ、後ろごめんねえ、ブレーキランプつかないから」


「そうかあ、そうよねえ。そんな規制がない時代のトラックだし、お兄ちゃん、リターダーもあんまりないんでしょ」


「そうだね、排気がせいぜいな時代だよ。そんなにバルブの精度良くないから排気の効きは良くないってお爺ちゃんに聞いたよ」


「だよねえ。それじゃあやばいわよね。お兄ちゃんは隆文に頼んで精度上げたシャッターバルブ作ったんでしょ。リターダー2連装で」


「うん、隆文って手先が器用ですっごく漏れの少ないバルブ作ってしかも耐久性もいいんだよ。この車の排気はめっちゃ効くよ。リターダーも2連装だからバッチリ」


「すごーい。うん、あたしも気をつけます。6速で排気とリターダーだけで下れるなんて楽すぎて下手になりそう」


「あはは、それは悪かったかも。8トン積む前提で作ってるからなあ」


「うん、百合リン。そうよ。この車は8トン積むのが普通なんだから」


無事に下って僕らはウッディーパラソルについた。


「笠木さん、おはようございます。何時もお世話になってます」


「笠木さん、おはようございます!お世話になります。見つけてくれてありがとうございます。」


「佐野さん、松尾さん。おはようございます。こちらこそ。例のKC-EP515FXDですよ」


「ええ、買う前提で来ました」


「さすが早いですね。ちょっと待ってね。情報を売約済みして。全部調べましたが事故にもあってないし意外に無理がかかってないいい個体ですよ」


「それはありがとうございます。仮ナンバー持ってきました。乗って帰ります」


「はい、書類はこれですのでサインを」


「はい、これは内金です。現状渡しですね」


「毎度ありがとうございます」


「こちらこそ」


KC-EP515FXDのエンジンを掛けてみると気になる異音も無くいい感じで回っている。

暖機をしている間にタイヤの状態を確認して空気圧をあわせていた。


「どうもありがとうございました」


「こちらこそ」


KC-EP515FXDは僕が運転、雅子が徳次郎君(TK20GD)を運転してアジトに帰った。

丸松建設でKC-EP515FXDを増車したのは、総輪駆動は小回りが効かないので現場で使うと切り返しがキャブオーバーよりも遥かに多くて大変だというのだ。

それなので、総輪駆動は救援用に徹して土砂運びをする為にKC-EP515FXDを増車したのだった


「百合リン、すっごくトラックって言うかダンプカー増えてない?」


「うん、仕方ないよ。でもねえ、あの台数ダンプカーがあるといいことに運送業の条件を満たすから、会社を運送業者登録して事業用ナンバーが取れるの。佐野自動車が整備のメイン工場になってるでしょ」


「そう来たかあ」


「緑ナンバーの方が税金とか安くなっちゃうし、かかる費用は全部経費に出来ちゃう。会社の仕事専用で。パパが事業免許申請してて取ったみたい」


「百合リンのは?」


「あたしのは全部白のまま。お兄ちゃんのも。それはいいけど。知っての通り6トン系にも緑ナンバー付けるんでメンテよろしくね」


「はいよ。船底で運ぶんだね」


「うん、この車もメンテしてマニ割りと煙突にして納車よろしく。これでも車が足りないってくらいなのよ。帰ったらあたしは今日は砂利運び。別の会社がマンション工事してるの」


「そうなんだ。あ、そうかあ、砂利の外販もやるの?」


「もちろん、土砂輸送とオフロードコースの近くに採石場もあるから砂利も運んで納入もやるの。ママって上手く人集めるから。お兄ちゃんは企画上手くて最近読みが外れないの」


「いつの間に?」


「うん、それに最近はダンプカーと運転手が少なくて砂利を建設現場に運ぶの大変なのよ。雅子。緑ナンバーの申請と事前整備よろしくね。そうそうこのKC-EP515FXDも緑ナンバーで納車よろしくね」


「毎度、ありがとう」


「いかなくちゃ。雅子またね」


百合ちゃんは、ブォーンと徳次郎君(TK20GD)のクラクションを鳴らすとヒュオーン、プッシューとタービン、ブローオフの音を響かせパワー全開で帰って行った。

僕らはそのままアジトでTSカーのメンテしていた。


「悟瑠、いいことにリーフのホーシング見つかったよ。百合ちゃんの車用のデフが。古いライトエースのバンの廃車があってそのホーシング買って来たよ」


「そうかあ、いいのがあったか」


「うん、いいのがあったよ。これに載せ替えるよ、FDは4.875だ」


「いいところじゃん。これって5.444もあったなあ」


「おめえの博識ぶりには呆れるぜ。サーキットによってだな」


僕と雅子、隆弘、隆文は日曜日なのに結局夜までTSカーのメンテと改修に明け暮れてしまった。


月曜に僕がKC-EP515FXDを乗って、雅子はエムエム(U-MM618J改)くんでお店に行った。


「悟瑠、聞いてるとは思うが、丸松建設からトラックを全部緑ナンバーにしてくれって仕事来た。運送業者の免許取ったらしい。分社して丸松運輸って会社にしたって。そこの奥さんが社長で百合ちゃんが副社長とか言ってるぞ。丸松建設の子会社にしたとか」


「そういうことなのね。百合リンのパパってやり手ね」


「とにかく、車を引き取ってナンバー取ってくれ」


「はいよ」


月曜日は今引き受けている2台のトラックの再生と丸松建設のダンプを引き取ってナンバー変更前の整備を行って、緑ナンバーへ変更の作業に追われていた。

その週はナンバーを切っていた6トン系も船底で運んできてすべての車検整備、必要な申請して緑ナンバーをつけていたのだった。

全部ナンバーをつけ終わって、最後になった3台の6トン車を丸松建設に納車に行っていた


「こんにちは、これが最後です。緑ナンバーは完了ですね」


僕と雅子、隆弘、隆文が獅子丸君(U-UA440HAN)で丸松運輸のTD50AD、KB112D、DA100Dの6トン系に緑ナンバーをつけ終わって丸松建設の本社まで納車に行った。


「雅子、ありがと」


応対してくれるのは百合ちゃんだ


「あ、百合リン、お隣の土地も買ったの?」


雅子が以前、空き地になっていたところに丸松建設で使っている大型クレーンが停まっているのを見て言う


「うん、ダンプカーふえたら資材置き場がなくなって困ったのよ。それでお隣の空き地を買って新人君に練習の一環で地ならししてもらって、資材置き場と建機置き場にしてるの。大型クレーンが出払ってたらTWD20改を使って資材積むのよ。トラクターと船底も緑ナンバーにしたでしょ。建機も自分たちで運ぶの、加藤運輸は船底もってないでしょ、そことは競合しないからうちで運ぶのよ」


「なるほどねえ」


「そうそう、土砂も運んで選別もやるからね。コンクリートは一旦砕いて鉄筋も取りだして選別しちゃうのよ。何するにしても場所が無いとね」


「へええ、なるほどねえ」


「そうだよねえ。狭くなってたもんね」


「その通り、砂利置き場をなくした分でやってけど、やっぱり狭いってことで買っちゃった」


「でもさあ、そのコンクリートの処理機はどこにあるの?」


「あのオフロードコースのところに併設してあるんだけど、そこってコンクリートのスクラップを道に敷いたの。そしたらしっかり締まっていいわよ」


「なるほどねえ、それは良い手ね」


「あ、やばい。しゃべっちゃった。レン君(BD50改)の定期点検いいかな?これもできれば緑ナンバーに」


「あははは、そうね。頑張ってね、いいわよ。副社長さん」


「雅子もね。明日はレースの予選だよね。あたしは最初なんで慣れるためにボチボチ行くわよ」


「うん、そうね。慣れないとね」


僕らは整備をお願いされたレン君(BD50改)に乗って、代わりに乗っていった獅子丸君(U-UA440HAN)を置いて会社に戻った。

その日の午後、僕らは見積もりした4台のトラックのオーナーに連絡を入れて入庫の日程を調整していた。

するといつもの3人組が来て


「副社長、P-FS668BAとP-CW66VE仕上がりましたよ。キャビンは意外に錆が無くてよかったです」


「そうですねえ。いつもありがとうございます」


「次は来週ですか?」


「はい、今日はこれでお仕事は終了です。みんなで掃除して整備機器の確認したら帰りましょう。今週の土曜日は鈴木さん、日曜日は親父が出るのでそのほかの人はお休みにして下さい」


「はい」


僕らは工場の掃除と機器の軽い手入れをすると定時に帰宅した

アジトについて、僕と雅子はTSカー4台をトレーラーの積載に積んで次の日のレースの準備をしていた。

今回のサーキット遠征の相棒は2軸トラクター(KC-SH3FGEG)


「お兄ちゃん、明日の予選は車のセッティングも考えながら走るからポールは取れたらね。」


「うん、雅子はホーシング変えて初めてのレースか。この前のところで大体は合わせたけどな。あそこのサーキットには魔物が住んでるって言われてるからなあ。後ろのトレッドを30mm広げたからその分も高速コーナーにはいい方向になるはずだよ」


「そう。高速系のサーキットだからいいかなって思うけどね。後ろが踏ん張ってくれた方が」


「そうだね、高速系だと隆文がきついかな?結構空力の差が出るからなあ。それにトレッド狭くってロール剛性とスタビリティ取りづらいよ。百合ちゃんの車はトレッド広くて空力がいいからメインストレートが速いだろ。でもストレートの終わりが下りで減速気をつけないとね。愛理沙ちゃんの車は後ろもベンチディスクだからフェードは有利だよなあ」


「そうねえ、ここも右コーナーを重視するセッティングでしょ」


「いいや、今回はまっすぐ止まる方を重視。下りで姿勢乱さないように注意した。ストレートエンドは下りでフロントの負荷がでかいから気をつけないとやばいんだよ。後ろの荷重が抜け過ぎるとスピンするから」


「そうなんだ。さすがお兄ちゃん」


「そのためもあってリアのバネを柔らかくしてフロントを硬めにして下りのブレーキングに対応したよ。ノーズダイブを減らしてある。フロントもリアもアンチジオ組んでみた。乗り心地は悪くなるだろうけど。フロントはブレーキかけると突っ張るようにして、リアは加速するとボディーを持ち上げてブレーキングの時は下に引っ張るようにしてみた」


「へええ、なるほどねえ」


「スタビで、ロールをコントロールしてショックはフロントもリアも縮みを強化してやや伸びを下げて全体で大きく変わらないようにしてみたよ」


「道理で、先週走ったとき、ホーシング交換前と全然違うと思ったんだ、お兄ちゃんありがとう。明日走ってみるよ。明日は朝早いから寝るね。おやすみー」


「おう。早く寝てくれ」


そう言うと雅子は自分の部屋に行った。

次の日早朝、寝ぼけ眼の雅子はゴーゴーくん(RA552RBM改)に乗せて、僕は4台のTSカーを積んだトレーラーを運転してアジトを出発した。

ゴーゴーくん(RA552RBM改)を運転するのは隆弘でゴーゴーくん(RA552RBM改)には雅子の他に隆文と百合ちゃん、愛理沙ちゃんと上の男の子と哲史さんが乗っている、部品が積んであるキューピーちゃん(KC-LV280N改)を運転するのは長野さん、狩野さんには交信機器を積んだ、伊吹君(P-CVS19改)を運転してついてきたもらっていた。


「悟瑠、お疲れ。無事についたから車を降ろして準備だな」


「ああ、キューピーちゃん(KC-LV280N改)から部品とエアとかテレメおろしてだな」


「今回は4台のテレメを動かすからなあ。電源を2つ持って来たけど不足なら伊吹君から取ろう」


「うん、そうですね」


僕らはレース参加者以外でピットの設営をやって雅子たちドライバーはめいめいの車のセッティングしてフリー走行時間を待っていた


「雅子、隆文。先輩のお前たちが百合ちゃんと愛理沙ちゃんに教えてやるんだそ」


「うん、あたしは愛理沙ね。愛理沙。とにかくブレーキの容量が小さいからそこかポイントだかんね。ここはホームストレッチのエンドが下りでブレーキング競争が激しいよ。スポンジバリアとお友達になっちゃだめだかんね」


「はい、先輩。第一コーナーですね。ドリフトやってたんでスピンは怖くないけど、コースアウトしないように気をつけますから」


「じゃあ、愛理沙行くよ」


「はい」


雅子と愛理沙ちゃんが自分の車に乗って慣らし走行しに行った。


「雅子、聞こえるか?」


『チャンネル1感度良好、お兄ちゃん、これいいよ。めっちゃくっちゃ安定してるよ。愛理沙の確認よろしく』


「愛理沙ちゃん。聞こえる?」


『はい、愛理沙。チャンネル3、感度良好』


「何かあったらよろしくね」


『はーい、こちらこそ。このセッティングレースにはいいですよ。ブレーキが踏みやすい。エンジンも回ります。水温110OKです』


「OK、テレメも同じ。隆文と百合ちゃんもコースインしたぞ」


『はい、C1了解』


『はい、C3了解』


フリー走行で確認していた雅子と愛理沙ちゃんが戻って来た。


「悟瑠さん、ちょっとこの車トラクションかかるせいか?第一、第二コーナーではプッシュアンダ―が強いようです。踏めないんです」


「はい、ありがとう。ってことはフロントの伸びを強くして、後ろの縮みをあげるか。部品の在庫見る」


「お兄ちゃん、あたしはこれでばっちり。このまま行くよ。ゴーゴーくん(RA552RBM改)で寝る」


「はいよ。雅子はセッティング決めるのはやいからなあ」


「悟瑠さん、あたしのと先輩とは何が違うんですか?」


僕はPCを開いて仕様表を見ていた


「雅子のと同じはずだよ。ちょっと見よう。あ、愛理沙ちゃんのが前のバネが一ランク低いのか。バネ交換だ。スタビ落として、バネ2ランク上げよう。前はスタビのロール剛性落として。後ろはスタビが細いのか合わせよう」


「隆弘、隆文のセッティングはどうだ?」


「ああ、OK。後ろにショック間をつなぐブレースを入れてレーザーで全面溶接したらばっちりだ」


「それは良かったよ。わりいが愛理沙ちゃんの車のセッティング手伝ってくれ。フロントのバネを2ランクあげてスタビを一ランク落とす、後ろのスタビを1ランクあげる」


「急ぎだな。やろう」


「僕らもやりますよ。小笠原さんの車ですよね」


長野さんが言う


「はい」


「長野。大型じゃないからな」


「おう。全くよ。俺のロドスタは大型か?まあ狩野もこっちに来るとは思わなかったぜ。リジッドラックだな」


「アハハ!長野。前後あげるぞ」


「ありがとうございます。僕と隆弘でバネ交換しますね。」


「悟瑠さん、スタビとブッシュ持ってきました。ばねはこれですよね」


愛理沙ちゃんがキューピーちゃん(KC-LV280N改)から部品を持って来てくれた


「あ、愛理沙ちゃんありがと。うん、これこれ」


僕と隆弘がストラットを外して準備していたバネに交換する。

カッシャーンという工具を置く音がピットに響く、僕と隆弘がばねを交換する間、長野さんと狩野さんが前後のスタビの交換を終わってしていた


「悟瑠さん。前と後ろのスタビ、ブッシュ交換OKです」


「どうもありがとうございます。ばねとショック組みます」


20分たらずで交換を終えて愛理沙ちゃんに声をかけた


「愛理沙ちゃん、乗ってみてちょっと前のバネをあげて、スタビのロール剛性を落としてバランス取った。後ろのスタビ上げて回りこむようにした」


「ありがとうございます。行ってきます」


ヘルメットをかぶってフォンフォンとアクセルをあおって愛理沙ちゃんがコースイン

すると、グォン、グォンというキャブの音とともに百合ちゃんが戻ってきて、カチャっとドアを開けてヘルメットをかぶったままシールドをあげて言う


「悟瑠さん、この仕様だと第一コーナーと第二コーナードアンダーなんです。踏んでいくとドンドン外に行くんです」


「うん、わかった。後ろの伸びが不足かも。アシストスプリングの1段目をもう一段弱めて早期に線間当たりするようにするか?後ろの姿勢下げるかだなあ」


「悟瑠、これ以上下げるとパンパ―ラバーでステア特性急変するよ。あ、そうかバンパーラバーをゴムからウレバンにして縮みを早当てにして突っ張らせる手もあるぞ」


「ウレバンのミディアムのハイ使って早当てにするか?」


「一回やってみよう」


今度は狩野さんが


「百合さんの車ならやらなきゃまずいだろ。後ろですね」


「狩野、俺もやるぞ」


「悟瑠、在庫のこれだよね」


「これだよ。交換しよう」


「へええ、ブラケット式ですね」


「レースですから、交換部品は簡単にできるようにしてます」


「ウエルドナットとはいいですね」


これも15分もかからずに交換して


「百合ちゃん、交換終わったよ」


「どうもありがとうございます。いってきます」


くううんとエンジンをかけてグォングォンとあおってピットアウトしていった


「愛理沙ちゃんが来たぞ、すっげえ、さすが元ドリフタ―。うおおお、あの位置から踏んでるぜ」


「あと10分か、感触はよさそうだな」


「うん、そうだな。このラップで最終コーナー見たら次はクーリング取って戻ってくるよ。いい感じって走ってるなあ」


「おわあああ、百合ちゃんも攻めっぷりがすげえ。これに乗ったのは初めてでここ走るのも初めてだよねえ。ここまで攻めてるのか?」


「えええ?百合さんってここ走るの初めてであそこ迄突っ込めるの?」


「狩野、上には上がいるってほんとだなあ。雅子さんや隆文さんの完成した走りもすごいけど、あらけずりでも百合さんがここまでガンガン攻めるとは。それに小笠原さんもスピン怖がってない。やるなあ」


「百合ちゃんもこの音だと、第一、第二コーナーでガンガン踏んでるなあ」


「愛理沙ちゃん。OKだな」


「そうだね、どうやら良いってことで流してるね」


「百合ちゃんがOKなら予選だな」


「おう、百合ちゃんもよさそうだ」


『こちらC3戻ります』


「はいよ、気を付けて」


『C5戻ります』


「気を付けて」


戻って来た愛理沙ちゃんに声をかける


「愛理沙ちゃん、どう?」


「ばっちりですよ。自分をならすために走ってきました。初めてのコースなんでベストラインがつかめなくて時間かかりました。ドリフトで出ようかって思ってたんですけど子供が小さくって」


「それにしてはよくせめていたよ。さすがだね」


「どうもありがとうございます。いい車です。皆さんの胸を借りるつもりでいきます。動画でイメトレはしたんですけどね」


「そうか。それなら大丈夫。頑張ってね。あ。百合ちゃんも戻って来たな」


「どうもありがとうございます。これ、いいですよガンガン行けます」


百合ちゃんが車から降りてきて言う


「百合ちゃんもここは初めてだよね」


「はい、昨日、動画見てイメージトレーニングしてきました」


「やるなあ。それでかあ。車を点検したら予選だ。左のベアリングは要チェックだぞ」


僕ら4人で4台の車を点検して不具合ないか確認、ブレーキとタイヤを見て予選の準備していた


「雅子を起こしてくるか」


「先輩っていい度胸よねえ。寝てるって」


「雅子ってそうだよ。高校の頃からいい度胸」


「へええ、雅子先輩って大物って感じですよね。先にクラス1からですね」


「うん。起こすかあ」


僕はゴーゴーくん(RA552RBM改)に行って雅子を起こしてきた


「愛理沙はOK?」


「うん、ちょっと後ろのロール剛性あげた。」


「多分、今日のライバルは愛理沙になるよ。目立たないけどラインの勉強してる。隆文やばいかも」


「良い読みだな」


「先にクラス1ね、車を見てかな?ブレーキの慣らしもOKだからね」


雅子が車に乗って、ドラポジを合わせてクラス1の終了を待っていた


「雅子、クラス2予選だ」


「OK、行くよ」


フォン、ふおおおおーん、ふおおおおーん、とシフトアップして雅子がピットアウト。

グォン、グォンと言う音ともに隆文と百合ちゃんがコースイン

最後にブオオオーンとエギゾーストノートを響かせて愛理沙ちゃんがコースインしていった


「みんないったな。雅子はどうかなあ?雅子聞こえるか?」


『こちらC1。3周目行くよ』


「はいよ、水温、OK、油温もうちょっと。いう通り3周目だな」


『了解!』


『こちらC2。次クリアなら行くよ』


「いけ。水温も油温も安定してるからがっちり踏める」


『兄貴ありがと」


「隆文が先にいくか」


「ああ。また甘やかしたなあ」


「しかたないだろ。車体補強うまくいったんだろ」


「ああ、百合ちゃんの車がヒントになったよ。バラストちょっとおろしてだな」


としゃべっているとテレメから


『こちらC5。次行きます』


「はいよ、狩野さん。テレメよろしくお願いいたします」


「はい、水温、油温とも正常範囲。思い切っていける」


『C5了解」


「お、隆文が行ったな、ハイビームにしてアピールだ」


「おう、それに百合ちゃんもだ。これまたハイビームでアピールだ」


『こちらC1行きます』


「雅子いけえ」


その後に


『こちらC3も行きます』


「愛理沙ちゃん、よろしく」


『はい』


「長野さん、テレメよろしくお願いいたします。」


「はい。遠隔でわかるなんてスゲーなー」


「この走りのデータが次のレースに役立つんですよ」


「そうかあ」


予選はトップは雅子、2番手に上位の常連のベテランが入って、その後に僅差で隆文、愛理沙ちゃん、百合ちゃんの順番だった


「お兄ちゃん、いいわねえ。後ろががっちり踏ん張ってくれるからガンガン踏めちゃう」


「百合ちゃんは大変だったね、クリア危なかったねえ。相手は5秒+のペナルティで予選はクラス1の所からスタートだよ」


「大丈夫です。高回転は愛理沙の方が速いんですね。隆文さんも速いなあ。Kエンジン勢のトップでしょ」


「いやあ、愛理沙ちゃんからかろうじて逃げ切ったって感じだよ。兄貴のブレースがなかったら1秒は遅かったよ」


「よし、明日に備えてメンテしてお泊まりの場所にいくぞ」


「そうだな」


その日はメンテして予約していたホテルに泊まった、愛理沙ちゃんは連れてきた上の子がレースの雰囲気に大興奮して相当はしゃいだいたらしく、夜はすぐ寝て起きなかったと言っていた

次の日はあいにくの雨だった、しかし、中断するほどの強い雨で雨ではなく、しかも風もほとんど吹かずにしとしとと雨が降るという天気だった。


「雅子、セッティングこのままでいくかチェックだな」


「うん、もしかすると、減衰落とすかも」


「愛理沙ちゃんも同じく」


「はい、練習で確認します」


別の方では隆文に隆弘が僕と同じことを言ってた


「百合リン、ウエットはややアンダーに振るといけるよ」


「そうよねえ、走ってみて。後ろの早当て辞めてかな?」


「あたしは後ろのスタビ落とすかな?」


本番前の練習走行になっていた。

雅子たちは後ろのスタビを落としてアンダーに振っていた。


「行ってくるね」


「悟瑠さん、隆弘さん、長野さん、狩野さん。いってきます」


雅子と愛理沙ちゃんも車に向かった


「兄貴、行ってくるぜ」


「隆弘さん、悟瑠さん、狩野さん、長野さん。行ってきます」


隆文と百合ちゃんも車に向かった

今日は雨なのでドライバーが降りて紹介することはキャンセルされてそのままスタート、レースも15分短縮されて45分だった

ピーンとなってエンジンスタートの合図が出る

ブロロローン、と各車からエギゾーストノートが上がる、グリーンフラッグが振られフォーメンションラップがスタートした。

"TSカップ開始です。本日はあいにくの雨ですので45分に短縮されます。ポールポジションは佐野自動車の佐野選手、セカンドはチーム次郎の色部選手、サードは佐野自動車の加藤選手、その後に小笠原精肉の愛理沙選手、丸松運輸の百合選手と続きます”

アナウンスが選手紹介、フォーメンションラップしている


「始まったな」


「隆文が愛理沙ちゃんから逃げ切れるかだな」


「大丈夫だろ。何と言っても峠のバトラーの隆文ならウエットは得意だろ」


「そうだな。ドリフターの愛理沙ちゃんはスピンを恐れないからガンガンいきそうだけどな」


「ベテラン勢がどう出るかだよ」


「だなあ」


1周でペースカーがピットに入ってシグナルが青になってレースがスタート


「雅子が逃げ切りか?」


「ちょっと。ペース落としてるなあ。なんであのラインだ?」


「えええ、2番手がどうした?ああああ、第二コーナーでアウトに行ったぞ。隆文、愛理沙ちゃん、百合ちゃんにも抜かれた」


「あ。オイルだ。あああ、クラス1の一台がスローダウンだ。エンジンいった?」


”イエローフラッグです。いきなりトラブルの連絡が入った模様です。コース上にオイルがこぼれているとPRがあり、スタートやり直しです。コースを掃除しますので少々お待ちください”


「いきなりのハプニングだな」


「やり直しか。一週走って戻ってくるんだな」


見ていると、コースのスイーパーが来てオイルの上に石灰を撒いてスイパーで片付け更に水を撒いて石灰を流していた。

”お待たせしました。スタートです。”

そう言うと、元のポジションに戻ってペースカーが走りだしフォーメンションラップが始まった

ブオオオーンと各車のエギゾーストノートがたからかに響き

”スタートです”

アナウンスとともにレースがスタート。

”いきなり逃げ出したのは佐野選手です”


「雅子はオイルを見つけてペースを落としたんだな」


「ああ。あ?2番手は?えええ?いきなりスローダウン。」


”おっと、2番手の色部選手どうした?”

イエローフラッグが振られた。

最後尾迄おちたベテランが選手が無念そうに一周して戻って来た、ボンネットから白煙が上がっている。

”色部選手、どうやらオーバーヒートですねえ。リタイヤです。トップ争いは?まずは佐野選手が逃げてます”

”色部選手が居ないなら今日は佐野選手がぶっちぎりですよ。佐野選手を追えるのは。加藤選手位でしょうが。後ろとバトルになっててペースが上がらないでしょ”

解説がいう

”え?小笠原選手。バックストレッチでいったああ”


「愛理沙ちゃん?えええ?ブレーキング。やるなあ。インから躱したぜ」


「そうかあ。パワー差でいけるか。空力の差だよ」


”もしかすると、愛理沙選手が佐野選手を追いかける展開?”

”愛理沙選手は今日が初戦ですよね。いきなり、参加経験豊富な加藤選手をあっさり躱すとは”

”ドリフトの選手でしたけど、あの突っ込みは鳥肌ものですよ”

”おおお、最終コーナーで加藤選手が愛理沙選手に仕掛ける。ああ、惜しい躱せない。メインストレートの伸びは小笠原選手の勝ちだ”


『くっそー、空力の差かあ。』


『さすが先輩、速いなあ』


”おおお、なんと百合選手も加藤選手に仕掛ける?、第一コーナーブレーキング競争だ。ウエットをものともしない突込み”

”これはワクワクしますね。加藤選手防戦一方だ”

”この選手も初戦ですよ。しかもKPじゃない。KEの重いボディのハンディキャップなんのそのだあ”

”このコンデションなら安定してる方が有利ですよ。トレッド広い方が。とはいっても加藤選手と同じエンジンですからねえ”


「雅子はベストラインが使えるから逃げ切りかなあ」


「うん、愛理沙ちゃんもいいペースで走っていくなあ」


「やっぱり安定ではKA11が上だなあ。第一コーナーの突込みは愛理沙ちゃんの方が速い」


「うん、ホイールベースの差はきついか」


”愛理沙選手が少しずつ加藤選手を離していく。逃げ切りか?”

”ですね、車両の安定度ではトップ2が上ですね。安定したタイムの加藤選手でもこの雨じゃあ厳しいですね。ホイールベースの長さが長い分高速では安定するんですよ”

”加藤選手は頑張ってるんですね”

”ええ、その辺はいい腕してますよ。上位の4台は他よりも1秒近く速いペースで走ってますよ”


「雅子がぶっちぎりで逃げ切りかな?」


「後はラップ遅れの車をどう躱すかだよ」


「そうだな、隆文に勝機があるとすればラップ遅れの処理か。愛理沙ちゃんはそんな経験無からなあ」


”佐野選手いいペースですねえ”

”愛理沙選手もほぼ同じペースで追ってますね”

”加藤選手も百合選手を離したんでペース上がってますね”

”百合選手もいいペースでいってますねえ、ウエットではパワー差というより、安定の差でしょうねえ。ブレーキングの姿勢はKEの方が安定してますよ。加藤選手は下りの第一コーナーの突込みで苦労してますね”


「そうかもな。アナウンスの言う通りだ。隆文の車のブレーキング修正が多い」


「荷重が抜けるのかな?」


「違うよ。後ろのブレーキの大きさが違うだろ。ってことはシューの使ってる摩擦領域が違うだろ」


「ああ。そう言うことか。隆文のは210だったか」


「百合ちゃんのは240だろ」


「そうかあ、左右の効きバランスは百合ちゃんのほうがいいのか」


「そう、愛理沙ちゃんはディスク。ってことでバランスが取りやすい。雅子のも240だから」


「そうかあ、ドライだとハンディになんないけどウエットはその分くるかあ」


”佐野選手がラップ遅れに追いついて、一気に躱しました。愛理沙選手も躱すの上手ですね”

”ええ、恐ろしい新人ですねえ。さすがドリフトでチャンピオン取る選手ですからねえ。躱すのは慣れてるのんですね”

”そうですねえ、おおお、加藤選手もうまいですよ。峠のバトラーだったとはいっても。加藤選手のいいところは何と言っても時計と言われるくらいのラップの安定度ですからね”

”そうですよね。ラップタイムの安定度は佐野選手よりも上ですもんね”


「隆文が褒められてるよ。それは認めるよ。時計だもんな」


レースは雅子が安定したレース運びで愛理沙ちゃんに10秒の差をつけてトップでゴール。

2番手には初出場でこれまた見事なレース運びを見せた愛理沙ちゃん、3番手は5秒差まで詰めたが追いきれなかった隆文、その5秒後ろに百合ちゃんが入った

”お見事、佐野選手通算5勝目です。2番手には初出場の愛理沙選手。3番手加藤選手と続きました。4着には惜しくも表彰台とならなかった百合選手です”

”大型新人の登場ですねえ。この車を作った佐野自動車には脱帽ですね”

”ええ。雨で加藤選手は下りのブレーキングに苦しんでましたけど、腕で押さえましたね”

その後の表情台では、顔をくしゃくしゃにして泣いている愛理沙ちゃんが印象的だった。

ピットに戻ってくると


「愛理沙、泣きすぎ」


「せんばーい、ありがどうございまずう、ざどるざん、だがびろさーん。ながのざーん、がりのざーんありがどうございまずう」


「んもう、愛理沙って本当は泣きむしなんだよねえ」


「ママ、よちよち」


哲史さんに抱っこされてた上の子供がハンカチで愛理沙ちゃんの涙を拭いていた


「あははは、きゃあ、可愛いー」


雅子と百合ちゃんがニコニコしてみていた


「愛理沙、泣きすぎ。まあ、あいつが亡くなったときに自分で言ってたけど涙は封印って。今日ぐらいいいか。トップにはならなかったけど初出場で表彰台だ」


子供を抱っこして哲史さんが言う


「うん。今日は愛理沙が頑張ったよ。お兄ちゃん。車ありがとう」


「兄貴、車ありがとう。まさか愛理沙ちゃんに抜かれるとは思わなかったぜ」


「隆文、これは俺のミスだ。すまん。荷重移動減らそうとバラストを重心位置に持ってきちまった。ほんとは後ろのアクスル上に持ってくるべきだった」


「え?え?え?そうなのか?」


「ああ、ドライならいいんだが、ウエットは後ろの荷重多くしてブレーキの時の荷重抜け防がないとな。第一コーナーの突込みで不安定になったんだよ」


「ああ、そうかあ。俺が気が付かなかったんだな。勉強になったぜ」


「隆弘、すまん、僕も気が付かなかった。雅子と愛理沙ちゃんと百合ちゃんのはバラストを後ろのアクスル上に置いたけど、隆文の車は見る時間がなかった。」


「悟瑠さん、兄貴。これは俺のミスだ。今回は3着に入れてよかったと思うべきだな。そうかあ。脚をやったときに気が付かなかったのはミスだ」


「隆文も腕をあげたな、勉強になったな」


僕らば片付けを終わらせると4台の車で帰って来た。

次の日、会社行くと


「雅子、5勝目やったなあ。おめでとう。注文がまた来ちまった」


「うん?」


「今度は古いトラクターでなあ、って言うか総輪駆動で8DC8らしいが10DC8にしてくれだと。しかもエンジン持ち込みだ」


「載せ替えかあ」


「よろしく、その前に4台の注文こなしてだろ。10DC8もサージタンクと煙突だとさ」


「はいはい、先にエンジンオーバーホールだな」


僕らは勝利の余韻に浸る暇もなく仕事に戻ったのだった。

愛理沙ちゃんと百合ちゃんは隆文には手ごわい相手?


いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。

今回はここで更新します。

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