第四十五話 ボンネットダンプのレストアと丸松建設の応援に行く
またまたダンプカーを買っちゃった丸松建設
それをレストアする悟瑠たち
あろうことか?丸松建設から応援依頼?
「お兄ちゃん、丸松建設でもうあのTD50ADとKB112Dの2台買っちゃったみたいよ。百合リンも呆れてるの」
「え?もしかしてあの倉庫まで取りに行って欲しいとか?」
「そうよ、あの倉庫の持ち主も倉庫を立て直してそこでキノコ生産するんだって。それで2台のトラック処分しようとして4×2ボンネットダンプを買ってくれた百合リンのところにロハでいいですって言ったんだって」
「それなら譲さん飛びつくでしょ」
「それだけじゃなくて。お父さんも。困ったことに河川工事の途中の仮橋が総重量20トンに耐えられないから16トン迄なら大丈夫ってことで8トン車が欲しいんだって。最大7トン積んで総重量を15トン未満にして使うんだって」
「そうきたかあ」
また、ダンプカー2台の引き取りとレストアの仕事が来たのだった。
次の日、僕んちに百合ちゃんが来て引き取りの段取りをやっていると
「え?百合リンが船底引っ張るの?」
「うん、せっかく牽引免許取ったんだよ。それにトラクターもパワーアップして調子いいんだよ。お兄ちゃんも行くから。狩野さんも。運転の先生ね」
「そう言うならいいけど。じゃあさあたしとお兄ちゃんは4軸のレッカー車で行くからね」
「ノーパンクタイヤ、12本ある?」
「うーん、有るけど6本は低速重機用だよ。9.00-20なんだよ。荷重負荷係数はいいけど速度でないよ」
「そうなのね。今から高速用の物ってないよね。高速用はうちにもあるけど4本しかないのよね」
「お兄ちゃん、過重負荷係数見てもらって大丈夫かな?この前引き取って来たボンネットダンプの重量OKなら4本でOKじゃん」
「雅子、そうだな。ちょっとこの前引き取ってきたボンネットダンプの重量とタイヤの荷重負荷みてみるよ。百合ちゃんのはさいずは?」
僕は隆弘と隆文と4×2ボンネットダンプの軸重とタイヤの荷重負荷重量をみて6本いるのか?それとも4本で済むのか見ていた。
4本でも短い距離をゆっくりと移動するだけなら何とかいけそうだ。
「百合ちゃん、見てきたよ。負荷重量は余裕無くてギリギリだけど空車で倉庫から船底迄の移動だけならいけそうだよ」
「それならノーパンクタイヤはうちのを持って行けばいいのかな?」
「うん。船底で運ぶならお任せするよ。ホイールは?」
「あ、やばい。重機用だから合わないかも」
「だめじゃん。それなら百合リン、うちの低速用貸すから6本持って行くしかないじゃん
「うん、わかった。そうしよ、あたしの船底で低速用を運ぶよ。4軸レッカーで高速用を運ぶのお願いするよ」
「今日は船底で来たんだね」
「うん。明後日迄山の方で雨が降ってるから河川工事って危ないから中止なんだ。こんな時は車引き取りよ。むこうは明日の午後から晴れるからそうなると何とかなるって。まだあの駐車場の暗渠が効いてるみたい」
「そうなんだ。わかった。明後日ね。百合リン、うちのガレージに船底入れてくれるかな?今日のうちにタイヤもってくんでしょ」
「うん」
百合ちゃんは危なげない運転で船底をガレージに入れて僕が指示したところに止めた。
僕らは箱に入れたノーパンクタイヤ6本をフォークで船底に積んでおいた
「百合リン、そのまま前から出ていいからね。ここんちは前後どっちからでも出れるの」
「さすがね。やるじゃん。」
ドリュドリュドリュドリュと百合ちゃんがV8エンジン独特の排気音を響かせて船底を引っ張って帰って行った。
僕らは急いでドライブ君のエアサス化を仕上げて夕方にエムエム君で納車に行った。
次の日は入って来たばかりのボンネットダンプに乗せるエンジンをオーバーホールしてミッションを整備していた。
いつもの3人に見てもらうと
「ここも結構いい環境で保管されていますよ。下回りに錆がないんです。融雪剤対策でがっちり防錆塗料塗ってしかも保管されていた倉庫が床下換気してたか?暗渠が効いてたかですね。この車は荷台の傷みから見てダンプですけど主に物品輸送でしかも狭いところで使うために買ったようですね。あ。そうかこれってもみ殻か稲の運びに使っててロングは入れないけど積載トン数欲しいからかったような感じですね」
「へええ。そこまでわかるんですね」
「ええ。このボンネットはダンプにしては荷台の塗装の傷みがないんですよ。よく見るとフレームのところに稲わらがあるんです。よくわからないのは3メーカーあったんですよね」
「はい」
「あ、もしかして工場のどこかに高さ制限があったのかもしれませんね。キャブオーバーだと3メートルですけど、これは2.8メートルあればいけます。あ、そうか。4トンクラスではあのあたりの坂がきついからか」
「そうかも。蕎麦の実がありますよ。お米とかおそばを工場に運んでいたのかもしれませんね」
「なるほどね。雪深いからデフロック?いや違うなあ。冬用のタイヤがないってことは冬は倉庫でお休みってことですね」
「そう、総輪駆動がどこかに有ってもおかしく無いですね。それとも先に売っちゃったか。あれ?もしかして」
と言っていると親父が来た。
「話しは聞いたよ」
どこかで聞いたようなセリフで入って来た
「社長、いつのですか。今の若い連中に言ってもわかりませんよ。僕らだって見たのはDVDとかですから」
「あははは。昨晩。ちょっと昭和の刑事ドラマの配信見てたんでな。もじゃもじゃ頭で渋い雰囲気の刑事が出てきてなあ。その刑事が執務室で事件が起きて刑事たちがボスと言われる刑事としゃべっているときに入ってくるんだがその時言うセリフがついつい耳にのこってな」
そう言っている僕の父親
佐野自動車の社長である父親は元大型車整備メインのディーラーにいたが、結婚を機に独立してこの店を立ち上げた。
若いころはマニ割をやっていて、今もその技術を使ってマニ割り+左右の煙突デュアルマフラーに自分で改造してしまうほどのマニ割マニアっぷりを発揮している。
マニ割仕様のエギマニはステンレスパイプをベンダーを使って手曲げで作ってしまうほどの腕を持っている。
大型車メインの整備工場に勤めていた時にはマニ割車を100台以上作ってはお客さんに収めていた。
トータルでマニ割車を何台作ったか覚えていないというマニ割マエストロでもある。
その業界ではいまだに名の知れた存在で旧車のマニ割作って欲しいという発注がいまだに来る。
「お父さん、悟瑠たちが呆れますよ」
そう言っているのは僕らの母親だ
営業担当副社長の母親は、独身の頃にドリフト競技、ラリーに出ていたという位の運転好きだ。
かなり上手く何回か入賞する位の腕を持っていたらしい。
ドリフト競技に出ていたころ、ドリ車の整備と改造を当時大型車メインの整備工場に務めていた父親に依頼したのが馴れ初めで結婚したのだ。
乗用車の整備工場では見てくれなかったが、大型車メインの工場なのにうちの父親が仕事を引き受けていたのだ
この両親を見れば僕と雅子が車大好き、運転大好き、競技に出たいとなってしまうのは当然だろう。
「あははは、冗談はさておき、総輪駆動は代替えしてて新しいのにしたんだよ。それでも仕事をバルク車にして使わなくなって売りに出されたんだよ、それを買ったのが丸松建設の2軸総輪駆動だよ。その前の3軸総輪駆動は隆義が買ってまだ庭の倉庫にあるんじゃ無いのかな?」
「親父よく知ってるな」
「笠木先輩が仲介したんだよ。丸松建設昔の倉庫で眠っていたボンネット6トンはボンネットダンプを売った運送会社で使ってたんたけど、4トンにするってことで売りに出されて隆が買ったんだよ。ってことは6トン系が他に2台あるはずだな。確かTXD60DとDA100Dがあるはず」
「え?パパ、もしかしてそれも譲さんが見つけちゃったら買っちゃうのかな?」
「6トン積みだかんな。総重量10トン以下にするなら買うかもなあ。もしかするとナンバー取らないで工事現場専用にするかもね。それならナンバー無しで大丈夫だかんな、移動は船底で運べばいいんだろ。百合ちゃんが牽引取ったから。イベントも船底でいけばいいし、ここには重機として整備に出すんだろ」
「おおお、そう来たか」
「ええええ?またダンプカーを引き取りいくの?はあああああ」
親父の話を聞いて呆れ返って、しかももううんざりという顔しているのは妹の佐野 雅子。
峠のバトラーからTSカップのレースに参戦するようになっていて、前回のレースではウエットコンディションをものともせず4勝目を上げていた24歳。
参戦しているTSレースで既に4回目の優勝して次は5勝目にチャレンジするぞと意気込んでいる。
雅子のTSカーはうちの会社でスポンサーしてて、他には元職場のスーパーと百合ちゃんの家の建設会社、新たに小笠原精肉会社からもスポンサーを受けている。
そんな雅子は今、オフロードに嵌って大型の2軸総輪駆動を買ってきて、エンジンをいじって、サスペンションを自分好みにいじった。
その総輪駆動はV8の大排気量エンジン+ターボ追加してオンロードでもそこそこ速い車にしてある。
オフロード車は隆弘が詳しいのでエンジン特性やサスペンションのセッティングも勉強できてとてもたのしそうだ。
それが高じてオフロードコースを作って丸松建設の百合ちゃんと共同で運営すべく準備している。
雅子は親が経営している中古車販売店兼整備工場の経理、整備の段取り担当の副社長になっている。
運転免許は大型2種免許と牽引免許を取った、他に2級整備士も持っている。
必要なら大型トレーラーや積載車を運転できるし納車前のお客さんの車をメンテもやれる。
それに、プログラム組むのも好きなので、実家の規模に合わせたいろんな経理システムを自分で組んでいて、両親も大助かりといっている。
自分のTSカーの脚を組むときに計算してスペック決めていたし総輪駆動では動きのシミュレーションもしていた
雅子は僕と仲間内からアジトと呼ばれている祖父母が経営していた製材所の跡に併設してある家に住んでいる。
そこから市内のお店に通っている、車は大型9メートルカテゴリーのニジュちゃんと呼んでいるバス改造の貨物車のU-RP210GAN改280ps仕様か、エムエム君と呼んでいる、同じカテゴリーのバス改造の貨物車の○アロスターMMのU-MM618J改の300ps仕様、エンジンと足回りを改造した総輪駆動で藤子ちゃんと呼んでいるU-FZ2FJCA改の440ps仕様だ。
雅子の車を含めたうちの会社のディーゼルエンジンの車には以前勤めていたスーパーから買っている使用済みの食用油をリサイクルして作ったバイオ燃料を詰めて環境に配慮していて、使っている車全部に”環境にやさしいBDF”と書いたステッカーを貼っている。
「雅子、その6トンダンプはオフロードコースで使っていいんじゃないか?全部のボンネットダンプにはデフロックついてるよ。なんでかって言うと田圃や蕎麦畑にも入って実を回収してたんだ」
「そうか、それでボンネットダンプのあおりの形が違うのか?低くしてあるじゃん」
「あ、そうですね。見落としてましたよ。特注の荷台になってますね。それに運転席から後ろを見やすくしてあってキャビンの窓も広げてあって、あ、そうか、キャブオーバーはキャブをチルトさせるから当時の技術じゃあ鉄物が変形してガラスが割れちゃうんだな」
「そうか、思いつかなかった」
「それもあってボンネットなんですね。ボンネットならチルトしないから」
「そうすると、オフロード行ったらフレームもキャビンもねじれで割れるんじゃ?」
「このボンネットダンプのキャブマウント見るとあ、すげえエアで浮かせてアクティブダンパー入ってる。そうか。トラクターのシステム流用だ。」
「へえ。なるほどね、雅子がエンジンかけたときは短時間だったしエアが抜け切ってたから気づかなかったのか。」
「道理で、エアコンプレッサーがエアサスのバス用だと思ったんだよ。エアタンクも増設してあってでかいし、エアサスじゃないし、いくらエアオーバーブレーキにしても大げさだとおもったんだ」
「それなら、残りの2台も多分おなじですね、バックしやすいようにってことですかね」
「多分。もみ殻や蕎麦の実をおろすところに合わせやすいようにですよ。左の後ろを直接目で見えるようにしたんですよ」
「なるほど。運転手だけで合わせやすいようにミラーと目視だな。相当カスタマイズしてるなあ。もしかしてこの車改造したのは笠木先輩かな?」
そう言うと親父は踏み台に乗るとハンドライトを持ってボンネットを開けて何やらのぞき込んでいたが
「やっぱり、笠木先輩って言うか笠木工房が改造したんだよ。改造したのは先輩の親父さんだな。ってことは6トン系はウッディパラソルにあるかもな」
「わかったよ。明後日引き取り行ってくる4軸レッカー使うぞ」
「おう。トレーラーの緊急の救助がない限り大丈夫だろ。ノーパンクタイヤ12本いるんだろ。20インチに履いてだから高速用」
「まあね。8トン系は9.00-20だよ」
「そうか。公道で使わないなら10.00-20があるよ」
「そうだね。レストアの時に履かせるのもいいな。とにかく明後日は40キロ以下で走ってくるからゆっくり行ってくるよ。それに百合ちゃんに9.00-20も低速用持って行ってもらうから」
「わかった、明後日行くなら今日と明日は6×4ボンネットダンプと4×2のボンネットダンプのレストアだな。笠木工房の車なら防錆は大丈夫だよ。多分だけど掃除すればいいんじゃないか?キャビンも見る限り傷んでない。軽いものばかり運んでいたようだし」
「よし、やるぞ。今日も御安全に」
「「「おー」」」
そう言って工場に向かう僕:佐野 悟瑠は妹の雅子より4学年上の3月生まれの27歳。
地元の大学を卒業して家業の中古車屋に就職して6年目、今は家業の中古車販売店、整備工場で中古車の納車前整備や車検、修理、一般整備が担当だ。
資格は2級整備士、MIG溶接機、レーザー溶接機、ガス溶接、玉掛。
フレーム修正機も使え板金もできる。
他にはへこみのリペア、カラスリペアと危険物の免許と玉掛けも資格を取って入社4年目の4月から整備工場の工場長兼副社長になった。
免許は大型、けん引免許を持っている
オークションに買い付けに行く時には自分でキャリアトレーラーを運転していける。
またバスの管理士になれるので、中古の大型観光バス4台と大型路線バス5台もってしまった。
他には丸松建設のバスの管理もやっている。
僕らの両親はどちらも車が大好きで中古車屋兼大型車や建設機械も整備する整備工場を経営している。
大型の入庫が多く、小型車を整備する場所が不足した時はアジトのガレージでやる。
そこもお店の工場にしてある。
アジトの車両をいじる設備はすべて中古で、大型車対応のボードオンリフトが2機、大型エアーコンプレッサー、スポット溶接機、MIG溶接機、プロパン+酸素バーナー、レーザー溶接機、グラインダー、エアツール一式、板金道具一式、定盤、2000トン油圧プレス、油圧けん引機、油圧ベンダー&カッター、ボール盤、旋盤、フライス盤、20トン対応天井クレーン、3トン対応のリフター3機、ワゴン式工具箱、タイヤチェンジャー、バランサー、ユニフォーミティマシンまでそろっているので、小型車のメンテどころか大型車の改造迄できてしまう。
事実、僕らの総輪駆動はここで脚を組んだのだ。
アジトは元は製材工場なので木材搬送のために大型トレーラーが20台以上を悠々と停められる敷地の広さがあり、父親が中古車版売店、整備工場を始めた場所でもある。
「工場長、社長の言う通りですよ。汚れてこそいますけど錆は殆んどないしフレームの変形もほとんどない良い個体です。エンジンは1気筒完全に死んでますね。ピストン割れたのか?」
「もう、このピストンないでしょ」
「もうないですね。しかもこそっとPP6に載せ替えてありますよ」
「そうか。もしかして元祖BDF?」
「そうかもしれませんね。そう言えばいろんなところで植物油出ますから」
「ってことは、TD50ADはエンジンをE110に載せ替えてあるとか?KB112Dは元からプレコンバッションだよ」
「車が来たらみましょう。ありえますね。油カスとか米ぬかからも食用にはなりませんが油取れますから」
「悟瑠、あり得るぞ。菜種を絞った滓をプレスして固めるんだよ。運ぶ時にカサを減らすために。その時も油が出る。米ぬかも同じくプレスするからその時も油が取れる。それを燃料にしてたんだろ。セタン価のばらつきがでかいから直噴やめたんだろ」
「なるほどね」
「でも凄いじゃん、50年も前にでしょ」
「そう言っちまったらそうだけどな」
「とにかくエンジン交換して、降ろしたのは開けて見てみな。いい勉強だよ」
「はい」
僕らは6×4ボンネットダンプと4×2のボンネットダンプのレストアをやっていたが、4×2のボンネットダンプの痛みが少なくフレーム、キャビン、荷台は汚れを落として脱脂して色を塗り直すだけで良かった。
エンジンの不調はどうやら燃料系の詰まりが原因で1気筒燃焼していないのが原因だった。
精製されていない植物油をそのまま使っていたのだろう。
それに、この車相当車検がいい加減でブレーキシューがブレーキフルードまみれで、フルードが焼けた跡が残っている。
見るとカップキットがボロボロになっていてフルードが漏れている、継ぎ足しているようでそれも燃料と同じ植物油のようだ。
「使い方が穏やかだからいいかもしれないけど。結構ひどいねえ」
「隆弘、多分だけどせいぜい40キロくらいで田圃と工場と搾りかすの処理場の往復だろう。荷台に結構油が残ってる。見るとキャビンにも油がかかった後があるし、フレームで水が溜まって錆びるところに油がたまってるよ。車全体が油漬けだよ。それなら錆はないし。もっといいことに積んでもせいぜい4トンチョイ。エンジンのパワーで大型にしたようなものだろう」
「そうかもね、その頃の中型って排気効かないだろ、排気量がせいぜい5.5リッターくらいじゃあ」
「そうだな。この山坂走るなら排気がばっちり効く大型のほうが楽だよ」
「ベアリングとカップキット、ゴム部品の交換と燃料系の掃除だな」
「明日は引き取りの段取りだな」
「ノーパンクタイヤ積んでだな。エアジャッキ忘れんなよ」
「無くてもいいよ、4軸レッカーなら釣ればいいよ」
「言う通りだな、インパクトとトルクレンチか」
「そうだ。どうもありがとう。じゃあ明日の段取り決めたら解散だな」
「うん、この車も公認とらないとねえ。オリジナルからパワーアップするからなあ」
「ターボが有ったから大丈夫だよ」
僕と雅子はアジトに帰ってきて喋る
「全くっていうか?百合リンの家って古い車好きだよね」
「ある意味昔の大型車って修理効くからね。今のドラックは電子部品多くて変な故障起こすからでしょ。」
「そうね。突然エンジン止まっちゃったとか」
「そう。それがない分古いほうが良いんでしょ。うまくするとハブとかベアリングは現在のものが使えるんだよ」
「そうね。明日はあの倉庫に現地集合だって言うからうまくしたらお昼お蕎麦食べようよ。無理なら買って帰ろうよ」
「そうだな。この前はそんな余裕なかったからね。今回は狩野さんも来るし、お兄さんもでしょ。力作業楽だよ」
「うん、そうね」
次の朝早くから僕と雅子は4軸レッカーで4×2のボンネットダンプを引き取った倉庫に向かっていた。
ターボで武装された26.5リッターV10のパワーと8×2ミッションの組み合わせは速く軽自動車のターボでも喘いで登る急坂も難なく登っていく。
しかも下り坂では増設したリターダーと排気を使うとほとんどブレーキを踏まずに下ってしまう
「お兄ちゃん、これってシフトチェンジこそ忙しいけどすごすぎ。目一杯回して走るとこの急坂で簡単に100キロ以上出ちゃうの?」
「そうだな。最高速100超えるよ。この4軸レッカーは8ナンバーの特車なんでリミッター要らないからね」
「これだよ。でもさあ、この重量級が爆走するのって良いかもね」
雅子が楽しそうに4軸レッカーを運転している。
約束の時間よりも30分以上早く倉庫についた時、すでに丸松建設の船底を引っ張ったトレーラーが街道に止まっていた
「百合リンも早くついちゃったのかな?」
「そうだな」
僕らは降りて百合ちゃんに声を掛けた。
「おはよう。百合リン、早いじゃん」
「あ、雅子。おはよう。うん、自信なかったから早めに出たら道が空いてて思ったよりも遥かに早くついちゃった。見てよ、お兄ちゃんなんか眠いって言ってあっという間にベッドでねてんのよ」
「やれやれね。無事について良かったわよ。狩野さん。おはようございます。百合リンにお付き合いありがとうございます。」
「悟瑠さん、雅子さん。おはようございます。百合さん、お上手ですよ。百合さんのお母さんも昔は走り屋だったとか」
「そうですよ。あたしのところとは別の峠で走ってたんですよ。百合リンも同じ峠のチームにいたよね」
「そうね。ママは高校卒業して専門学校行った後に教習所の職員になったの。走ってたのは専門学校の頃ね。教習所では車両感覚の良さもあって珍しい女性教官だったんだけど、パパが教習所のコース改修に行ったときに出会って付き合ってって感じかな?」
「道理で」
「ママの車両感覚の良さを引いたから牽引迄取れちゃった。あ、高尾さん来たわね」
この前と同じボンネットダンプで売主の高尾さんがきた
「松尾さん、佐野さん、あ、ええと」
「初めまして、狩野です。丸松建設の従業員です。運送会社に居たので今日はこのトレーラーを百合さんが運転するんで助手です」
「初めまして、高尾と申します。TD50ADとKB112Dのボンネットダンプを引き取っていただけるということで、とても助かります。父親がもったいながりで捨てると言ったらただでもいいから欲しい人にやれというので引き取り手を探していたらボンネットダンプを一台買い取ってもらったんでお声がけしたら、2台買うといったんです。父親が松尾社長に会ってえらく気に入って只にということでしたので引き取りお願いしました」
「百合リン、そうだったの?」
「うん。パパに頼まれて船底で来たの。パパが来たいって言ってたんだけど。市内の競争入札に参加してるんで来れないから」
「そうだな。親父は仕事取るの上手いから。百合。元職のスーパーの耐震補強工事が明日から始まるぞ。船底で重機輸送頼むぜ。今うちの家族で牽引持ってるの百合だけだろ」
「そうか。やばいなあ。とにかく今日は早く帰って重機を船底に乗せないと」
「百合リン、先に乗せるね。お兄ちゃん。譲さん。ボンネットダンプタイヤ交換お願いします。あたしは百合リンと船底を駐車場に上手く入れるからね」
「雅子、頼んだ。頭から入れば右バックで駐車場入れるよ」
「ハイよ」
僕と譲さん、狩野さんがタイヤをノーパンクタイヤに交換し終わった頃、やっと船底を駐車場に入れてホッとしていた百合ちゃんだった。
譲さんと百合ちゃんで船底に乗せている間に僕と雅子、狩野さんでボンネットダンプにノーパンクタイヤを付けてプロペラシャフトのデフ側で切って走行中はずれないように吊るしていた。
4軸レッカーで引っ張る準備が出来た頃に百合ちゃんと譲さんが船底にボンネットダンプを乗せて車の固定が終わってゆっくり大きな通りに移動していた
大きな通りの広くなっているところに停めて高尾さんとあいさつしていた
「百合リン、先に出てね」
「ハイよ。雅子。先にお店についたら隆弘さんと下ろせばいいのね。」
「そうね」
「高尾さん、本日はありがとうございます。大事に使いますので」
譲さんが言う
「いえいえ、旧車イベントで松尾さんの6×4の3軸ボンネットダンプとか2軸総輪駆動は有名ですから。あ、そういえば、もう2台6トン系のダンプがあるんですがいかがでしょう?ご覧になりますか?」
「え?ホントですか?見たいです。今から良いんですか?」
そう言って百合ちゃんが運転するトラクターから降りた譲さんが嬉しそうに目を輝かせていた。
「お兄ちゃん、ねえ。また買うの?」
「見てからだよ」
「ええええ?」
「それでは松尾さん、ダンプ迄ご案内しますね」
「ぜひ、あ。百合。僕がダンプを見に行って帰りが遅くなると悪いから百合は先に帰ってて、僕は電車で帰るから」
「はあああ、お兄ちゃん。わかったわよ。狩野さん。行きましょう。高尾さん。どうもありがとうございます。じゃあ。雅子お店で」
「こちらこそ。お気をつけて」
ブオーンとエアホーンを鳴らしてドドドグオオオッっとV8デュアル煙突マフラーからのエキゾーストノートを上げて船底を460psにチューニングしたトラクターが引っ張って小さくなって行った。
「譲さん、高尾さん。僕らも失礼します」
「遠くからありがとうございます。」
「佐野さん、ありがとうございます。2台のボンネットダンプのレストアよろしくお願いします」
「承知しました」
ファンと雅子がクラクションを鳴らして4軸レッカーを発進させた。
「お兄ちゃん。譲さんやっぱり6トンダンプ買う気まんまんね」
「多分ナンバー登録しないで現場作業用だろうな。重機扱いだよ」
「確かに、それならナンバー要らないね」
「船底に乗せて百合ちゃんが引っ張って行けばOKだろ」
「そうね。もしかして後ろで引っ張ってるボンネットダンプもナンバー取らないかもね。いつも工事現場に番屋を建てるでしょ。これらはそこに停めて置いてナンバー無しで使うとか?」
「多分ね。古い大型車でノンパワステなら簡単には乗れないよね。大体がクラッチアシスト無いしオイルブレーキの負圧ブースターでしょ。このボンネットダンプにはクラッチアシスト無くてオイルブレーキ+負圧だよ」
「そうよね。ギヤもヘタっていたらオーバーホールして直さないと簡単には入らないよね」
「ほんと、今の大型って楽だよね。ミッションもエアアシストでしょ」
「それ考えたら昔の人って凄いよね。そんな車をきちんと走らせてたんでしょ」
「そうだよね。エンジンは非力で登りではがっくり速度落とすし。ブレーキは二度踏みしないと止まんないってお爺ちゃんがよく言ってたよ」
「だよね。エアブレーキになってめっちゃ楽じゃん」
僕らは途中でお蕎麦を堪能して車輪の制限の40キロ以下でゆっくりとお店に帰って来た。
既に百合ちゃんは船底からボンネットダンプをおろすと会社に戻ったらしい。
「悟瑠、雅子、悪いが明日は丸松建設の応援に行ってくれ。トレーラードライバーがいなくてと2名頼むと言うのと船底貸してくれって来たんだよ。うちでって言うか牽引持ってるのは俺と悟瑠と雅子と鈴木さんしかいない。悟瑠と雅子に行って欲しい。2台のトラクターと船底貸し出しだ」
「何時にどこに集合だい?」
「ああ、早くて悪いが6時に丸松建設の本社。船底に重機積んで、悟瑠は鉄骨積んで走る。補強用の鉄骨と重機運び終わったら丸松の本社に戻ってダンプで土砂運び。川砂使うのと掘り出した土は残土置き場に行く。大まかにはそんな段取りだ。2日間ということだけどレストアする車が4台もあるんじゃあ、2日も抜けたらうちの仕事止まるから1日だけ応援にしたんだよ」
「はいよ、わかった。雅子帰ろう。親父は明日の段取りよろしく」
「おうよ。任せろ。車をざっと見たけどどうも予想通り製油工場で働いていた車だな。掃除したら菜種も出てきたし、大豆も出てきたよ。内装と言うかシートはそうとっかえでウレタンも交換する。あっちの暗い倉庫に保管だからいいけど炎天下だと油の自然発火の恐れがあるよ。今やってる4×2ボンネットダンプは内外装掃除して油落としたから良いけど。シートは交換したほうがいいな。内装屋には頼んであるからよ」
「全く、親父はやること早いぜ。シートのウレタン交換ついでに表皮も交換なんだな」
「そう言うことだ。シート屋に出すから」
「残りの2台も先に洗浄か」
「ああ、そこは明日やっておく、シート外してウレタンを加工してもらうよ。キャビンの中も全部掃除だな。シートはSバネ平置きだと思うけどな。たまにフィッシュマウスのときもあるから。それはおろしてのお楽しみだな」
「親父、頼んだ」
「全く、お父さん。スパナにぎった手で書類書くのはやめてよ。パソコンも。べとべとなんだから」
「わかったよ。明日は悟瑠と雅子が居ないから、康子は事務と経理頼むぜ」
「はいはい」
僕らはすぐにアジトに3軸トラクターと船底を引っ張った2軸トラクターで帰ってすぐに丸松建設の本社に迎えるよう準備していた
次の日、親父に言われた6時に丸松建設の本社に行くと
「おはよう。雅子、早朝から来てくれてありがとうね。輸送会社にも人が居なくて困っちゃったわよ。今日も明日もはママもバスで人運びよ。お兄ちゃんは移動事務所の伊吹君でもう現場入りしてて段取り中。天気持つの2日間しかないの。今日中にコンクリート施工して明日は乾かすのよ。突貫だからお願いちゃったの。狩野さん、雅子の船底にホイールローダー積んで」
「はい」
「あたしは重機でお兄ちゃんは鉄骨ね」
「あたしも重機運搬よ。雅子は終わったら、バスで人運びいいかな?ママはデビちゃんでパパはドライブ君、狩野さんはリングちゃん。雅子はラムちゃんでお願いね。あたしはマキちゃんでいくから」
「ええ?5便も?」
「そうよ。時間差があって雅子とあたしは9時着便。パパとママが7時着便でもう駅に行っちゃった。狩野さんが8時着便。ママは1時間間隔で駅と現場往復してて早帰りとか残業の人を運ぶのよ」
「家族総出なのね」
「うん、今日と明日はね。狩野さんはバスで一往復したらその後ダンプで土砂運びやって、パパはここでお仕事。雅子はあたしと同じよ。ダンプはあたしがどれ使えばいいか案内するから。ああ、やばい、もういかなくちゃ。現場はあたしたちの元職場よ。雅子、道はわかるよね。」
「分かった。え?狩野さんがもう重機を乗っけたの?嘘でしょはやっ。OK、百合リンについていくよ」
「雅子さん、重機の固縛OKもです」
狩野さんの声、雅子が手を上げてトラクターに乗り込んでいた
「悟瑠さんは鉄骨運び2往復終わったらダンプお願いします。トラクターの止める場所とダンプはパパか事務の神山さんに聞いてくださいね」
と言うと、百合ちゃんはブオォンとエアホーンを鳴らして重機を乗せた船底を引いたトラクターで走っていった。
雅子も百合ちゃんについてマニ割のババババという排気音を響かせ2軸トラクターでホイールローダーを積んだ船底を引っ張って行った
「悟瑠さん、連結しましょう」
「狩野さん。誘導よろしくお願いします」
僕は狩野さんの誘導で鉄骨を積んだトレーラーを連結してブレーキが寛解するか確認していた。
「これが通行証です。全長18メートルになるんで携帯よろしくお願いします。2往復目は神山さんと社長が鉄骨を積みます。僕はこれからダンプとバスの点検やって8時便で皆さんと合流です」
「どうもありがとうございます。僕も行きます」
そう言ってゆっくりと鉄骨を積んだ3軸トラクターを発進させた。
流石に鉄骨を積込んで総重量50トンになるトレーラーを引っ張るのは重い。重量物運搬しない条件で燃費を重視して変更したカーゴ用のFDなので16速ミッションと言っても1速でスタートして慎重に引っ張っていく。
「流石に18リッターだとターボが効くまで厳しいなあ。これもV10にしよう。エンジン頼んだほうがいいな。雅子が乗って行った2軸トラクターもV10の生にしよう。多分百合ちゃんトラクターについていくの大変だろうな」
信号で停まって1速で発進するたびにそう思っていた。
30分もしないうちに雅子の元の職場に着いた。
どうやら、今日はお店が休みの日で出勤していた人は雅子の元上司の課長さんと愛理沙ちゃんだった
「えええ?悟瑠さんもですか?」
愛理沙ちゃんがびっくりしたような口調で言う
「愛理沙、今日は佐野自動車さんに二人を派遣してもらったの。うちには今トラクターがこれ一台でしょ。4往復もしてたら日が暮れちゃう。それにダンプの運転する人も不足なのよ」
「そうですよね。それじゃあねえ」
「悟瑠さん、すみませんが鉄骨をクレーンでおろすんで雅子が出たらそこにバックで入ってください」
「はいよ」
「じゃあ、愛理沙、あたしはバスで人を運んて来るからね。雅子も。その後はダンプで土砂運びよ」
そいうと、雅子と百合ちゃんは空になった船底を引っ張って丸松建設の本社に帰って行った。
「悟瑠さん、誘導しますね」
譲さんがホイッスルを"ピピー、ピピー"と吹きながら誘導する
誘導に従ってバックでクレーンの隣に停めていくと、譲さんともう一人の丸松建設の従業員が固定してあったワイヤーローブを外して鉄骨をクレーンで釣りあげおろしていく。
「悟瑠さん、全部おろしました。もう一往復お願いします」
「はい」
僕は空になった鉄骨運搬車を3軸トラクターで引っ張って本社に戻った。
空だと全く痛痒を感じないが、鉄骨がフルに乗っているとFDを高めた分きついものがある。
2回目の鉄骨を丸松建設本社で積んている間に笠木さんのところに3軸トラクターと2軸トラクター用のV10エンジンとミッションを1機ずつ発注した。
すると、丸松建設本社で鉄骨を積み終わる前に連絡が来た、明後日には届くらしい
「ええええ?早いなあ。明々後日は載せ替えやるか。3軸トラクターは4軸レッカーのメニュー入れればOKだな」
と、この3軸トラクターをいじる計画を頭の中で考えているうちに鉄骨を積み終わって固縛したと言われたのでまた運んで行った。
鉄骨運びが終わった僕とバスの送迎が終わった雅子はあろうことかレストアしたばかりのボンネットダンプ2台で土砂運びだった。僕が乗ったボンネットダンプはT901DDで雅子はTM65ZDだった。
マニ割の音を響かせて土砂運びする一日が終わって3軸トラクターと2軸トラクターに乗ってアジトに帰って来た。
「お兄ちゃん、2軸トラクターなんだけど。パワーアップしたいけど無理かなあ。登りで百合リンのトラクターに全くついていけないのよね」
「大丈夫。ちゃんとエンジン手配したから。明後日には着くって。V10積む」
「はあああ、もう手配したのね。やること早いわよ」
「さすがに3軸トラクターでもGVW50トンはきついよね。信号の発進は1速だよ」
「そうね。ハイギヤのFDにしちゃったもんね」
「そうだね。まさかこんなことなるとは思わなかったからね」
「あたしが乗ってた2軸トラクターの方は20リッターの排気量あるから発進はよかったけど、途中のトルクないんだよね。そうかあ、お兄ちゃんが乗ってた3軸トラクターはストロークを150に改造したにしても18リッターだもんね。ターボ効かないとかったるいんでしょ」
「その通りで、発進が常に1速だよ。やっぱり排気量は大事ってわかったよ」
僕らがアジトで今日の汗を流して寝ようとすると
「やっぱり、お兄ちゃん。譲さんは6トンダンプ引き取りヨロだって。どっちもボンネット」
「覚悟はしてたよ。とにかく持って来たボンネットトラックの2台のエンジン修理って言うか必要に応じて交換して納車だな。親父からは全く錆びがなくて脱脂して色を塗ってるって」
「うわあ、それなら外観はすぐに終わりそうじゃん、その後にエンジン交換でしょ。それとこの2軸トラクターと3軸トラクターもエンジン交換でしょ」
「もちろんだ」
僕らの車いじりは止まらないのだった。
悟瑠たちがダンプの運転手になってアルバイト?
人手不足影響はここまで?
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