第四十一話 愛理沙ちゃん念願の優勝とそのお兄さんの車で
あらら、愛理沙ちゃんが悟瑠に惚れちゃった?
実はもう一人
順調にお仕事こなす佐野自動車
「お兄ちゃん、衰えてないわね。ドリフト出ても優勝するんじゃない?TSでも速かったし」
「いいんだよ。僕はいじる方が好きだから。セッティングドライバーで」
「はあああ、悟瑠さん。素敵過ぎです。先輩と悟瑠さんがうまいのは努力してたんですね。あたしももっと勉強します。悟瑠さん。素敵」
「ええええ?愛理沙。まさかあんたねえ」
うっとりした目で僕を見る愛理沙ちゃんだった。
「はああぁ、愛理沙。あんたって昔から惚れっぽいのは変わんないね。お兄さんの友達の先輩に惚れ込んで在学中から押しかけ同棲して、できちゃったって言って高校卒業とほとんど同時に結婚しちゃったし」
「う、先輩。あたしのこと知ってますから。ヤバっ」
「百合リンとお兄ちゃんの取り合いしないでよ。朴念仁なお兄ちゃんじゃねー。車の事はめちゃくちゃわかっても女の子の事にはからっきしだからね」
「え?百合ちゃん?」
「はああ、やっぱり気が付いてなかったのね。お兄ちゃんは簡単に名前で呼ぶから」
「松尾さんと言っても、社長とか奥さんとか。区別しないと」
「愛理沙はどうすんのよ。全くぅ。愛理沙は今独身だから良いけどね」
「そうか、ついつい百合ちゃんの感覚で呼んでた」
「いいんです。百合先輩もそうですか。それで。納得いきましたよ。道理でなんかおかしいと思ったんですよ。いきなりバス2台も買っちゃうし。ダンプの総輪駆動車もらっちゃうし。先輩のお兄さんが仕立てた車買ったでしょ」
「まあ、そうね。今は牽引も取ろうって言ってるから」
「そうですね。船底を引っ張るって言ってますね」
「え?丸松建設にトラクターないでしょ」
「百合リンが免許取ったら復活させるって。KC-FP515DRを今はナンバー切ってある」
「へえ、V8のターボかあ。ショートホイールベースタイプだね」
「ほらね、愛理沙。お兄ちゃんは車のスペックだとどんなのでも頭に全部入ってるの」
「はい。わかります」
「でもね、女の子のことはからっきし。そんな鈍いお兄ちゃんだかんね。覚悟しろよ」
「はい、わかります。先輩。あたしはトコトン極めた人ってあたし好きです」
「はいはい。旦那さんもJA71で隆弘さんと対等だったもんね。クロスカントリー選手権の上位の常連」
「そうですね。隆弘さんは先にJB33にしてて上のクラス行って」
「ああ、隆弘のだろ。チューンドNAクラスだよ。エンジンこそっとテンロクにしてたんだよね。スポーツの部品使って。あの会社は縦だろうが横だろうが共通だからなあ」
「ですよねえ。元旦那も300cc違うと異様に走りやすいって」
「んもう、愛理沙も車の話だと簡単についてくるのね。今日はお休みでしょ。哲也ちゃんと愛美ちゃんとふれあいしなきゃあ」
「先輩言いたいことはわかりますけどね。今日はいいんですよ。今日はママ業もお休みの日」
「あ、お子さんたちをもしかしてお母さんに見てもらってるの?」
「はい、お兄ちゃんにも」
「そうかあ、親友の忘れ形見だもんね。そうだよね」
「お兄ちゃん、子供たちを可愛がってますよ。そうだ、走り方聞きたいって。ドリフトであたしに抜かれたから」
「雅子、時間合わせてかな?」
「お兄さんにです。兄も峠のバトルやったことないんですよ」
「そうなんだ。競技一筋なんだね」
「そうですね。お兄ちゃんはクロカンからいきなりドリフトに転向したの。隆文さんは峠やっていたからレースでもバトルになると上手いって」
「そうね。隆文もそのへんはうまいよ」
「それもあってお兄ちゃんも聞きたかったんだけど、昨日はあたしがじゃんけんで勝っちゃった」
「はああ?それで昨日来たのが愛理沙だったの?」
「その通りです」
「じゃあ、来週どこかで日程合ったらね」
「はい、今日はお礼にここのお掃除しますね」
「あはは、確かにあたしは家事全般苦手」
「先輩。それじゃあ、お嫁にいけないですよ」
「ううう、愛理沙に一本取られたわ。今日は愛理沙先生に家事を聞くよ」
「雅子。僕は4輪バーストした車のタイヤ交換とサイバー君足回りやってるから」
「あ、今日は隆弘さんたち来るのね」
「ああ、隆文はまゆかちゃんのマニ割うまくいったもんだから楽しくて仕方ないみたいでさ。隆弘に脚やろうってせっついてる」
「あれは実力で290psは出てるんでしょ」
「そう。トルクもカタログ通り出てるからエンジン換装前よりもすごく速くなったって喜んでる、換装前は実力で190位でトルクも60位だからね」
「へえ、そうなんですね。大型車で泥んこの中を走るんですか?」
「そうよ。あたしのは脚もエンジンも全部出来上がって慣らし中。お兄ちゃんのはエンジンは出来たけど脚がまだだからね」
「へえ、面白そう。いいかも」
「クロカンなら哲史くんが嵌るんじゃ?昔の血が騒ぐとか?」
「そうかも。お兄ちゃんが嵌りそう。元々クロカン。あ、でも免許無いの。あたしは旦那が居なくなったから就職するために大型とったけどお兄ちゃんは運転する仕事じゃないから普通しかないのよ」
「そうか、それは残念。僕は作業してくる」
「お兄ちゃん、よろしく。泥んこコース場作って走ろうね」
「おうよ」
そう言って僕はガレージにいってタイヤ交換していた。
すると、ドリュドリュドリュドリュという音が聞こえ隆弘と隆文が来た。
あろうことか美浜ちゃんと別の総輪駆動だった。
「隆弘、これはどうしたんだい?」
「実はだな、V8が欲しくて買っちまったよ。スノープラウ取っ払ってナンバーも取った。改造型式だからそのままでいけそうだ」
「やること早いぜ、それなら美浜ちゃんは?置き場ないだろ」
「佐野自動車販売で売れないかなっておもって、相談に」
「そうか、これもしかしてターボにすんの?パワー欲しいんだろ」
「いいや、これはマニ割にする。重いけど低速からトルクでガンガンがいいかなって。やっぱりさV8のマニ割の音って良いじゃん。速さよりも音で」
「そうか、ええと買って来た車の型式は何だ?2軸だな」
「ああ、U-FR415H改だよ」
「エンジンと脚をいじってか?オーバーホールだろ」
「荷台を修理してかな?」
「わかった、じゃあそれで」
といっているとドッドッドッドッドッドッというマニ割の音。
見るとデビちゃんと呼ばれている百合ちゃんのお母さんのバスが入って来た
「こんにちは、佐野さん。いつも百合がお世話になってます」
「悟瑠さん、お世話になってます」
「こんにちは。こちらこそ、おや、百合ちゃんどうしたんだい?」
「実は総輪駆動探してて。あたしの鉄子ちゃんはこのところ現場に行きっぱなしで」
「そうなんです、泥の作業が多くてしょっちゅう、ダンプが嵌るんですよ。それで、百合の鉄子ちゃんも借りされてるんです。6×6総輪駆動と2台で嵌ったときの救援用で」
「そうなの。あたしの鉄子ちゃんは脚がっていうか?あちこちいじって有るもんだから救援しやすいっていって」
「うちの旦那にも困ったもんですよ。百合に車を渡したのに会社で使うって」
「そうですか。あ、隆弘の美浜ちゃんはどう?隆弘が別の総輪駆動買っちゃって売ろうかって言ってた」
「あ、これ?」
「うん、名変すればすぐに乗れるよ」
「いいわねえ。これってGVW8トンでしょ。隆弘さんこれ買います。あたしの鉄子ちゃんの脚のチューニングのベースになってる車ですね。あたしの鉄子ちゃんと同じくらいいじって有ってターボですよね」
「そうだよ。285ps仕様しかもミッションはクラッチも変えて大型用にしたから丈夫になったよ」
「いいわねえ。これにしよ。もう一つ相談はあの6×6総輪駆動を脚伸ばせないかな?それとデビちゃんをエアサスにしたいの」
「車見ないとわかんないな。隆弘。このデビちゃんはフロントにラテリン入れてやればいけそうか?」
「多分な、コンプレッサー大型にしないと。エアサス用のコンプレッサーにして。リーフ+エアアシストの方がいいかも」
「とにかく、お店の重量計無いとわかんないよな」
「そう。明日お店に来てもらえれば」
「エアサスにはできるんですね。イベントで乗せるときに乗り心地が悪そうで。時々座席から人が跳てるんですよ」
「わかりました。エアの方がフレームも長持ちするんでいいかもしれないです。百合ちゃん、6×6総輪駆動の方は仕事が空いたら持ってきて」
「はい、あ、そうかこの美浜ちゃんがあれば6×6総輪駆動は改造できるかも」
「荷台に3トン積めば救援は大丈夫だよ」
「そっかーちょっと軸数減るけど、鉄子ちゃんとペアで行けば何とかなるわね」
「百合、よかったわねえ」
「松尾さん、明日お店にこのバスを持ってきてください。やりますよ」
「6×6総輪駆動もお願いします」
といっていると、雅子と愛理沙ちゃんが降りてきた
「あ、松尾さん。こんにちは、百合リンどうしたの?」
「こんにちは、百合さんの高校の一年後輩の小笠原です」
「雅子さん。小笠原さん、こんにちは、百合の後任になったって聞いたわよ。よろしくね」
「雅子、今日来たのはあたしの鉄子ちゃんがほとんどおうちのお仕事にとられちゃったから代わりの車ないか相談に来たの」
「そうなんだ。あれ?隆弘さん?あの総輪駆動。どうしたの?」
「そう、V8が欲しくなって買っちゃった」
「そうなのね。もしかしてマニ割に?」
「その通り、隆文の4本出しがいいと思ってね」
「そうなんだ。脚のベースはあるから簡単にいじれちゃうもんね」
「その通り。ロングシャックルにとかはやるよ」
「先輩達って車の話になると止まんないですね」
「あ、ヤバ。お兄ちゃん。買い物に行ってくるから。三四郎君借りるね」
「おう」
「暖機終わるまでね」
そう言ながらガレージの休憩場で百合ちゃんと愛理沙ちゃんと話している妹の佐野 雅子。
峠のバトラーだったがドリフト競技に参加して卒業。
今はTSカップのレースに参戦している24歳。
TSレースでも3回も優勝してしまった。
雅子のTSカーはうちの会社の他にも元職場のスーパーと百合ちゃんの家の建設会社からもスポンサーを受けている。
運転が大すきな雅子は今度はオフロードに嵌って大型の2軸の総輪駆動を買ってきて、エンジンをいじって、サスペンションを自分好みにいじった。
その総輪駆動はV8の大排気量エンジン+ターボ追加してオンロードでもそこそこ速い車にしてある。
オフロード車は隆弘が詳しいのでエンジン特性やサスペンションのセッティングも勉強できてとてもたのしそうだ。
オフロードコースを作って丸松建設と共同で運営したいといっている
雅子は親が経営している中古車販売店兼整備工場の経理、整備の段取り担当の副社長になっている。
運転免許は大型2種免許と牽引免許を取った、資格は2級整備士を取っている。
必要なら大型トレーラーや積載車を運転して買い付けた車の引き取りや、納車前のお客さんの車をメンテもやれる。
それにくプログラム組むのも好きなので、実家の規模に合わせたいろんな経理システムを自分で組んでいて、両親も大助かりといっている。
自分の車の脚を組むときに計算してスペックを探してしまっていたし総輪駆動では動きのシミュレーションもしていた
雅子は僕といっしょに仲間内からアジトと呼ばれている祖父母が経営していた製材所の跡に併設してある家に住んでいる。
そこから市内のお店に通っている、使う車は大型9メートルカテゴリーのニジュちゃんと呼んでいるバスを改造した貨物車のU-RP210GAN改280ps仕様か、エムエム君と呼んでいる、大型9メートルカテゴリーのバスを改造した貨物車の○アロスターMMのU-MM618J改の300ps仕様、エンジンと足回りを改造した総輪駆動で藤子ちゃんと呼んでいるU-FZ2FJCA改の440ps仕様だ。
雅子の車を含めたうちの会社のディーゼルエンジンの車には以前勤めていたスーパーから買っている使用済みの食用油をリサイクルして作ったバイオ燃料を使って環境に配慮している。
全部に環境にやさしいBDFとステッカーを貼っている。
僕:佐野 悟瑠は妹より4学年上の3月生まれの27歳。
地元の大学を卒業して家業の中古車屋に就職して6年目、今は家業の中古車販売店、整備工場で中古車の納車前整備や車検、修理、一般整備が担当だ。
大学のころから2級整備士を取って家業の手伝い=バイトしていてMIG溶接機、レーザー溶接機、フレーム修正機はバッチり使えるようになったし、板金もできる。
会社にはいってから、へこみのリペア、カラスリペアと危険物の免許と玉掛けも資格を取って入社4年目の4月から整備工場の工場長兼副社長をしている。
免許は大学在学中に大型をとってさらに就職してから直ぐにけん引免許もとった。
オークションに買い付けに行く時には自分でキャリアトレーラーを運転していける。
またバスの管理士になれるので、中古の大型観光バス4台と大型路線バス5台もってしまった。
ほ他には丸松建設のバスの管理もやっている。
僕らの両親はどちらも車が大好きでそれが高じて中古車屋兼大型車や建設機械の整備もする整備工場を経営している。
万一、小型車を整備する場所が不足した時は僕と雅子が住んでいるアジトのガレージでやる。
そこもお店の工場にしてある。
アジトの車両をいじる設備はすべて中古で、大型車対応のボードオンリフトが2機、大型エアーコンプレッサー、スポット溶接機、MIG溶接機、プロパン+酸素バーナー、レーザー溶接機、グラインダー、エアツール一式、板金道具一式、定盤、2000トン油圧プレス、油圧けん引機、油圧ベンダー&カッター、ボール盤、旋盤、フライス盤、20トン対応天井クレーン、3トン対応のリフター3機、ワゴンしき工具箱、タイヤチェンジャー、バランサーまでそろっているので、小型車のメンテどころか大型車の改造迄できてしまう。
事実、僕らの総輪駆動はここで脚を組んだのだ。
アジトは元製材工場なので木材搬送のために大型トレーラーが20台以上を悠々と停められる敷地の広さがあり、父親が中古車版売店、整備工場を始めた場所でもある。
社長である父親は元は大型車整備メインのディーラーにいたが、結婚を機に独立してこの店を立ち上げた。
若いころはマニ割をやっていて、今もその技術を使ってマニ割り+左右の煙突デュアルマフラーに自分で改造してしまうほどのマニ割マニアっぷりを発揮している。
マニ割仕様のエギマニはステンレスパイプをベンダーを使って手曲げで作ってしまうほどの腕を持っている。
大型車メインの整備工場に勤めていた時にはマニ割車を100台以上作ってはお客さんに収めていた。
トータルでマニ割車を何台作ったか覚えていないというマニ割マエストロでもある。
その業界ではいまだに名の知れた存在で旧車のマニ割作って欲しいという発注がいまだに来る。
副社長の母親は、独身の頃にドリフト競技、ラリーに出ていたという位の運転好きだ。
かなり上手く何回か入賞する位の腕を持っていたらしい。
ドリフト競技に出ていたころ、ドリ車の整備と改造を当時大型車メインの整備工場に務めていた父親に依頼したのが馴れ初めで結婚したのだ。
乗用車の整備工場では見てくれなかったが、大型車メインの工場なのにうちの父親が仕事を引き受けていたのだ
この両親を見れば僕と雅子が車大好き、運転大好き、競技に出たいとなってしまうのは当然だろう。
雅子の小学校からの親友で高校の同級生の松尾 百合ちゃんも同じく車好き。
百合ちゃんは雅子と同じ地元の商業高校を2番目の成績で卒業して雅子と同じスーパーに入った。
販売部にいた時、提案した買い物難民救済用の移動販売車の成果が認められて主任になってキッチンカーの担当もしていたが、家業の人手不足もあってやむなく家業に転職した。
この百合ちゃんも大型バスにも嵌って2台買った。
2台ともV8エンジンで、その排気音が好きというほどの車好きだ。
百合ちゃんの一家も車好きで社長の百合ちゃんの父親は旧車好き、且つ速い車が好き。社長の奥さんで副社長の百合ちゃんのお母さんも大型車好きでしかも旧車好きのオリジナル志向、百合ちゃんの兄も旧車好きで、なんとマニ割好き。
この百合ちゃんのお兄さんは車を作るときはマニ割優先で出力よりも優先している。
それに百合ちゃんの家の会社の車と建設機械のメンテもうちの仕事になっている。
もう一つの仕事として雅子の元職場のスーパーのリース車両のメンテを引き受けた。
雅子が辞めた後はリース車を各店舗で管理してメンテする方式にしたが、車検切れさせたので、元通り本社で一括管理にしてそのメンテナンスをうちで引き受けた。
その仕事もあって人員も増強したがそれを上回る仕事量で嬉しい悲鳴を上げている。
「お兄ちゃん、お仕事来たのね。百合リンの会社も仕事増えたよね」
「そうよ、この底攫いの仕事はあたしの家の建機じゃないとできないから他の仕事は断ってるよ。ダンプの台数もギリだし。悟瑠さんに改造してもらったダンプの人のお父さんもアルバイトで来てるの。底から攫ったばかりの泥を水抜きに運ぶ仕事」
「そうなんだ」
「お兄ちゃんも今は底攫い場の現場でダンプドライバーよ。泥の掻き落としする人も限界よ。あたしもダンプのドライバーよ」
「そうなのね。百合リンは救援もやるんでしょ」
「うん、あたしも普段は掬った泥を水抜きのところに運ぶの。ダンプが嵌ったらアルバイトのお爺ちゃんと一緒に救援。あたしたちは総輪駆動で泥運びだから」
「ところで明日はお店に来れるの?」
「車はママに頼む。先に6×6総輪駆動もって来てかな?デビちゃんはその後かな?ママの趣味車だから」
「百合先輩も大変なんですね」
「まあね。ママ。車は見つかったから帰ろう」
「良かったわね。エアサスにできるならよかったわ」
「保険かけてくれるならこの美浜ちゃんをここで渡せますよ」
「え?そうか。雅子。保険できる?」
「ええと、いいわよ。平日だからすぐに連絡すれば大丈夫」
「じゃあ、お願い。」
「隆弘、書類よろしく」
「百合リン、車庫証明よろしくね」
「うん」
「あたしはこの美浜ちゃん乗って帰る。愛理沙。またね」
そう言うと百合ちゃんは美浜ちゃんに乗って、お母さんはデビちゃんに乗って帰って行った
ドドドドドドドドドというマニ割の音を響かせて走り去っていった
「お兄ちゃん。これから愛理沙と舵角小さくする練習してくるね」
「OK。僕らはタイヤと隆弘の車やっておくよ」
僕らはリフトで件の車を上げてタイヤを交換していた。
さすがに3人でやると早く15分くらいで終わった。
その後は隆弘のU-FR415H改でマニ割のレイアウトを見て、サスペンションいじる寸法取り、ラテリンを入れるためのレイアウトを検討していたのだった。
次の週末、僕らは前回とは別のサーキットでドリフト競技のチームスタッフになって来ていた。
僕らはゴーゴーくんで来ていた。
そこには愛理沙ちゃんとお兄さんの哲史君が出ていて今回は愛理沙ちゃんのチームスタッフなのだ
「雅子、愛理沙ちゃんは上手くなったの?」
底攫いが一段落して休みになっていた百合ちゃんも来ていた。
「うん、百合リン、やや攻めた走りでもきちんと荷重移動使って曲げるから舵角小さくなったよ。今までは抉って曲げてたところがなくなっていたの。この前お兄ちゃんの隣で見てるだけであんなに走りが変わるんだもん」
「愛理沙ちゃんはセンスはいいかも。言った通りのことができるんだよ」
「だよねえ。愛理沙の運動神経は愛理沙のお父さん譲りね。お母さんもいいみたいだけど」
「そうか、それはそれは」
と駄弁っていると
”第一組目は前回の覇者と準優勝の対決。因縁の対決と言っていいでしょう。前回お兄さんを破って決勝に行った愛理沙選手と覇者の橋本選手注目の対決です”
場内にアナウンスが流れる
「愛理沙、いけー」
雅子が応援する
「愛理沙先輩ー、ファイトー」
「愛理沙先輩―」
応援席にいたレディースのメンバーらしき女子30人ほどが一斉に応援
「え?春名の人たち?」
「そうね。後輩たちも応援に来てるよ。レースって言うか表舞台で活躍してるのって愛理沙だけだもん」
「愛理沙ちゃん、元総長だもんね」
「そうね。ママになって引退したけど。腕っぷしも強かったもんね」
「そうか」
と言っているとプオーンとなってスタートだ。
”さあ、2台がスタート。600ps同士の対決。どういくか?ええええ?なんだそれ?愛理沙が外からいったあ?こんなことありえんのかよー”
場内実況の興奮したような声、あろうことか愛理沙ちゃんは何と突込みのブレーキングを極限ところか完全にオーバースピードともとれるような速度で前走車のアウトから真横というよりも120度くらいのドリフトアングルで第一コーナーに飛び込んでいく
”あああ、かわしたー、次はインだ。立場逆転。うおおお、一気に行ったー”
立ち上がりで並ぶと次のコーナーの有利なインを奪ってそのまま一気に向きを変えるドリフト
前回の覇者を躱していく
”完璧だ―、抜いたー。愛理沙選手。今度も抜いたーしかも華麗なドリフトのまま。もう嫌、もう嫌”
「7代目、愛理沙先輩やったー」
観客席から上がるレディース応援団の声
勝負はそこで決したようでそのまま危なげなく回った愛理沙ちゃんが先に一周回って来た
次は愛理沙ちゃんのお兄さんだった
「お兄ちゃん、イケー」
車を降りて愛理沙ちゃんが叫ぶ
”次はお兄ちゃんの登場です、前回は妹のしてやられたお兄ちゃん。今回はどうなる”
会場の実況
プオーンとなって哲史君も後追いでスタート
この前、妹に負けて決勝を逃した雪辱とばかりに攻める。
”おおお、これも外からいったああああ。なんだこれー?これも。あああ、前の車戻った戻ったこれは減点”
ドリフトの最中に前の車のカウンターが戻ってしまう、これは減点になる
”今度はお兄ちゃんがインからいったああああ。かわしたー、うまい。”
「お兄ちゃん、そこそこ。いったー」
「きゃー、お兄さんやったー」
観客席からの歓声第3コーナーで抜いて前に出るとそのまま逃げ切った
”お兄さんも逃げ切りました。勝負は次の入れ替えで決着か?一本目が終了です”
一回目が全車走り終わって2回目が始まった。
今度は愛理沙ちゃんが先行でいく番だった
プオーンとなって2台が行く
”さあ、前回は上手く抜いた愛理沙選手。ええええ?このままいく?うおおおお信じらんだろ。またあ?こんなのあり得んのかよー”
絶叫する場内実況
”あああ、橋本無念のスピンだ。今回は愛理沙選手に完敗だあ、これは痛い。リタイア。シリーズチャンピオン争いから一歩後退”
愛理沙ちゃんを抜こうとして無理したのか?コントロールしきれずスピン
しかもコースアウトしてサンドトラップでも止まり切れずタイヤバリアに後ろから突っ込んでそのままリタイヤだった
その後に走ったお兄さんも危なげなく走って兄妹で決勝に進出していた。
午後の決勝は15周のスプリントレースだ。
ポールを取ったのは予想通り愛理沙ちゃん。
セカンドはお兄さん、ここで兄妹対決が起きてしまった
”決勝レースはポールには前回準優勝の愛理沙選手、セカンドにはお兄さんの哲史選手です。今度は舞台をレースに移しての兄妹対決。さあ勝つのはどっち?はたまたサード以下の選手か?”
会場を盛り上げる
「お兄ちゃん、愛理沙の車はキャンバー3だよね」
「そう、突貫で交換したからな。なんとかなるよ。雅子がここでぶっちぎりで優勝した時のスペックだよ」
「そうね。後は腕次第。でもお兄ちゃんの隣に乗って勉強した愛理沙とのってない哲史さんじゃあ大違いじゃない?」
「そうかもね。」
「え?悟瑠さん。愛理沙ってもしかして雅子と悟瑠さんに走りを聞いたんですか?」
「そうよ。押しかけ生徒かしらね」
「あたしも雅子とお兄さんの大型車の走りは見てるんで知ってますけどスムーズさと荷重移動のうまさを知ったら他はかなわないでしょ」
「もう一つ、あるの。愛理沙はお兄ちゃんの隣でバトルで抜く方法もみてるの。でも哲史さんは知らないの」
「それじゃあ勝てませんよ予想ですけど、終盤愛理沙がタイヤ温存してタイヤが垂れてきたお兄さんたちをぶっちぎりでって感じかな?」
「そうね。百合リンの読み通りになるよ」
としゃべっているとプオーンとなってフォーメーションラップがスタート。
「愛理沙先輩、ファイトー」
レディスたちの応援の声
レースはまさに愛理沙ちゃんの独壇場だった。
コーナーの突込みから立ち上がり迄他の車たちよりも速く、しかも安定しているのでどんどん後続を引き離していく
「百合リン、いった通りよ。今の愛理沙に逆らえるのはいないんじゃ?」
「雅子って自分が走っても速いけど教えても上手よね」
「それだけじゃないよ。お兄ちゃんもそうだから。愛理沙はお兄ちゃんに走り方を聞いてるんだよ。ほんとはあたしよりもうまいんだよ。お兄ちゃんは表舞台に出てないから知られてないけどね」
「雅子。そんなにほめたって何もでないぞ」
「雅子、ってことはレースはこれで決まりね。もうベストタイムラインで走っていっちゃうから」
「そうね。あ。ぶっちぎりで愛理沙の勝ちじゃん」
「そうね」
”小笠原 愛理沙選手、2戦目にして優勝。しかも完全優勝です。大型新人の登場です。2児のママさん。働くママさんたちにも勇気を与えることが出来たんでしょうか?”
レースは愛理沙ちゃんがぶっちぎりで優勝していた。
表情台の真ん中で応援してくれたレディースの後輩たちに手を振る笑顔は何よりも嬉しそうだった。
「お兄ちゃん、百合リンとの泥んこコースの設計よろしくね」
「おう、隆弘と相談しながらだな」
「雅子、あの美浜ちゃんって脚が伸びるよね。」
「うん、あの車のいいところは前が伸びるんだよ。ミッションが大きくなってるからトランスファーが後ろにあるからね。フロントのペラが長くなって」
「そうか。後ろもだよね」
「後ろはスプラインの長さを伸ばしたんだ。百合リンの乗ってた鉄子ちゃんは設計が1950年代なんでやっぱりレイアウトが厳しいのよ」
「そうなんだね」
「その辺は、お兄ちゃんたちが対策したけど限界ね」
「そうか、ってことは6×6総輪駆動もかな?」
「6×6総輪駆動はフロントは2軸の鉄子ちゃんと同じだよ。後ろは後々軸が伸びないんだよ。後前軸の伸びを確保したからその効果でどこまで行けるかかな?」
「そうなんですね」
としゃべっていると愛理沙ちゃんが戻って来た
「愛理沙、おめでとう。念願の優勝ね」
「今日は応援とスタッフどうもありがとうございます。うん、お願いがあって。お兄ちゃんのドリ車交換するの。隆文さんが車をくれたの。それをメンテしてほしいの」
「いいよ。って言うかそれなら隆文が嬉々としてやるよ。哲史君のなら。それから愛理沙ちゃんのドリ車は僕が面倒見るよ。2戦使ったからボディアライメント見るからね。来週あたり積載で持ってきてね」
「はい、ありがとうございます」
「そうだ。百合リン、ダムの攫いはもう終わりかしらね」
「うん、今年はね。でも夏に干上がるようならそこがチャンスなの。抜かなくても攫えちゃうから」
「そうか、それはそうね。それまでダンプのメンテね」
「うん、それと建機も。現地で分解するのはうちでやるからね。クレーン持って行ってダンプに乗せて帰ってくるのよね。ブルドーザーとショベルカーね」
「そうか。大変ね」
「いいのよ。分解するのがメンテなんだから」
「お兄ちゃん、忙しくなるね」
「雅子、ホイールローダーの修理も出すからよろしくね。ママのデビちゃんもエアサスに」
「あ、先輩、補充用のトラックもエアサスにするのいいですか?野菜がって言うかイチゴに傷入っちゃうんで」
「ええええ?仕事があああ」
またまた仕事が増えて嬉しい悲鳴の僕らだった。
方向性が全く違う女性二人
悟瑠の作ったドリ車はいかに
いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。
今回はここで更新します。
お気に召しましたらイイネや感想いただけると更新のモチベーションアゲアゲになります




