第三十五話 オフロード車を造るぞ
次から次へと注文が来て必死な悟瑠たち
ボンネットでオフロードに挑戦する百合ちゃん
さて?
「ありがと。雅子、そういえば雅子は総輪駆動のトラック買ったよね。それで何かするの?」
「エンジンはターボ付けて脚を弄ってオフロードで遊ぶの。それくらいだよ。エンジンは仕様決めたけど脚はまだわかんないから隆弘さんに聞きながら弄るよ」
「あたしもそうしよう。ボンネット4×4ダンプの脚を弄って遊んじゃえ。パパってダンプ4台もあるもんだからせっかく車検取ったのに会社で使わないからってあたしに押し付けて乗れだもんね。お兄ちゃんもママも古いの好きで排ガス対策無い車探して買ってくるんだもんな」
「良いかもね。後二軸駆動ダンプってうちでメンテかな?いいけどね。このところ忙しかったもんね。ゆっくり休みなよ」
「ありがと。あたしも総輪駆動勉強しよ」
そう言って百合ちゃんは客間に行った。
「お兄ちゃん。なんかわかんないけど言ってた通りになったね。百合リンもボンネット4×4ダンプでオフロードで遊ぶっていったらその通りになったの」
そう言う雅子の眼は何処か未来を見ているようだった。
その次の日、僕と雅子は売却するKL-PK262NFZ 増トン改積載車(ウイング式荷台+スライド+ウインチ)に乗って笠木さんのお店に向かっていた。
「これもすごいねえ。440psだっけ?」
「うん、試しで作った一台だからね。それに今は空だからね。どうよ速いだろ」
「そうね。車重は6トンちょっとくらいでしょ」
「うん、それ考えると十分すぎるパワーだね。空ならゴーゴーくんよりもパワーウエイトレシオいいよ」
「そうなのね、道理で。このくらいなら6速で簡単に登ってるよ。ゴーゴーくんなら5速なのに」
「空のトラックは速いからね。ほんとこのクラスが速いよ。軽いし、ギヤは低いし、パワーあるから」
「そうね。軽いってこんなに楽なんだって思ったよ。6速で登るって笑っちゃう」
「1トンに換算したら大凡70psでトルクは25kgに近いよ。そん所そこいらの車じゃあ簡単には勝てないって」
「すごーい。どんな速いかよくわかるわね」
「だろ。ほら。って雅子、4速、5速で全開かましたらだめじゃん」
「きゃははは」
コーナーを抜けた登りの直線でミニバンがこのトラックを登坂車線から抜こうとしているが、雅子は4速におとしてリミットまで回して5速にしてさらにレブリミットまで回した
隣のミニバンからエンジンがガーガーうなる音が聞こえてくるが、全く並ぶこともできず離されていく。
「お兄ちゃん、これも大容量ラジエターも入れてるよね。それじゃあ水温も油温も安定しててめちゃっぱや。これかった人ビビりそう。高速になって回すから風当たるとしても」
「まあ、その代わり燃費劇悪になるけどね」
「まあそういったらそうね。今はバイオ燃料だからいいことにしてね。笠木さんが使いそう」
「それもよしだろ」
下りに入っても軽い重量と大きめの排気量のおかげで速い。
「積載前提でリターダーつけてるでしょ。めっちゃ止まるじゃん」
「だろ。総重量11トンにしてるけどフル積でゴーゴーくん位になるんだよ」
「楽でいいわこれ。昨日乗ってたボンネット4×4ダンプとは段違い」
「比べちゃいけないよ」
きつい下りも難なく下って笠木さんのお店についた。
「おはようございます。お世話になります。」
「いらっしゃいませ、こちらこそお世話になります」
「笠木さんのお店で委託販売お願いしたくて」
「え?これ?増トンですねえ。11トンですか?」
「はい、11トンです。中型で乗れるギリですね。」
「これいいですね。ホロウイングですね。」
「そうです。スロープも着いててウインチはシングル3トン対応です」
「スライドは?」
「スライドはするんですが下まではしなくてここでこのゲートを使います。アルミで軽いので使い勝手がいいです」
「これいいですね。うちで買います。運んでいる車が8トン車なんで最近の電動車とか積めないのが増えてて。軽量設計なんですね」
「そうです」
「これはしかも10都市対応ですね。いい車です。この価格だとええと2台のトラックよりも高くなっちゃいますね。昨日の2台は佐野さんはロハでこの車の方が高いのでうちがお金を払うことになりそうです」
「いいんですか?」
「ターボですね。尚のこといいですね。リターダーもつけたんですか?いいですねえ。うちの用途にピッタリです。5トン積みは言うことなしですね」
「それでは、笠木さんのいい値で」
「運賃込みでこれでいかがでしょう?ここまで持ち込んだ運賃は払いますよ。キロ50円換算で」
「え?こんなに?」
「佐野自動車でチューンした車でしょ。壊れないって評判聞いてますよ。うちはこれで買います。増トン探していたんですよ。書類ありますか?」
「はい、これが契約書です」
「どうもありがとうございます。お金はちょうどあるから払います。じゃあ、これで」
「おお、ありがとうございます。それから今日は丸松建設の車も引き取りに」
「聞いてます。これですね」
と、案内してくれたのは10トン積みダンプで見た目は結構やれては居たが、エンジンは快調に回っていた。
「仮ナンバーですね。自力走行は出来そうです」
「わかりました。お預かりします」
「うちもこの車大事にします。親父の趣味でもつかいそうだなあ」
「そうですねえ。またお世話になります。ありがとうございました。」
「こちらこそ」
僕らは2台のトラックを引き取って帰ってきていた。
雅子は4トンNA運搬車に乗って、僕は後二軸駆動ダンプを乗って会社に帰って来た。
約束では現状渡しとのことだが、調べるとエアクリナーが詰まって限界に近かったので交換。
エンジンオイルとミッション油、デフ油は汚れ方が酷いので交換、タイヤも10年以上前のものだったので交換して納車した
「お兄ちゃん、パパって4トンNA運搬車と後二軸駆動ダンプ見たらマニ割やりて―とか言ってるよ。」
「親父はマニ割り大好きだからなあ」
「良いけどね。百合リンのお兄さんがメインで後二軸駆動ダンプ使うんだって」
「そのうちキャビンと荷台のあおりの修理ってきそうじゃん。親父がその時マニ割やるよ」
「いいんじゃないの?マニ割りはパパの趣味だよね」
「そうだね。親父曰くマニ割は大トラの文化だとまで言ってるからね」
「そうだよね。パパってマニ割マエストロと言われてるもんね。叩き重視から鳴き重視迄自由自在に作っちゃう」
「そうそう、丸松建設の総輪駆動のバスもマニ割ダブルの4本出しだもんなあ。あの車は黒煙減らすんで僕は高圧噴射にしちゃったんだよ」
「ふーん、そうか。お兄ちゃんは煙減らすの得意よね。それもよしね」
「いいだろ。さて、これから僕は移動販売車の大型ノンステロングを仕上げるぞ。隆文と3人にはレストアお願いしてたけどどうかな?」
「ママが言うにはもうすぐ元レントゲン車はもうすぐできるって。移動事務所なんだけどターボにするっていうやつね」
「念のためテストに行くか。フルに重量は積む必要ないなら楽だな。空のままで行ってみるか」
「あたしは、データ取りね。今回はお兄ちゃんのドライブね」
「うん、燃料はバイオで行こう」
「それはいいわね。どっちにしても煙くないようにって発発もバイオでやるって言ってるからね」
「隆弘に聞いてみるよ。いつ頃行けそうか」
「うん、そうね。あたしはこれから今日のお金の整理しよ」
「よし、移動販売車の大型ノンステロング仕上げてこれもテストに行く準備だな。車両総重量に合わせて積もう」
その週仕事をしてお店の休みの日の前日
「お兄ちゃん、大変。この前納車した後二軸駆動ダンプがエンジンブローだって」
「ええ?おかしいなあ。何が?調子良かったよ」
「ちょっと見てだって。現場で泥に嵌って土砂積んだままだから引っ張るなら4軸レッカー車いるかも」
「うん。行ってくるよ。隆弘。一緒に頼む」
僕はすぐに4軸レッカー車のエンジンをかけて暖機しながら隆弘と一緒には隆文に仕事の段取りを説明していた
「隆文、悪いけど移動販売車の大型ノンステロングの仕上げ頼む。俺たちがやってる元レントゲン車はちょっと止めていいから」
「兄貴、悟瑠さん。残ってるのは漏れ確認と重量積みだよね」
「おう、隆文頼むぜ」
「漏れ確認中なら元レントゲン車できる。重量積んでだな」
「後二軸駆動ダンプ引き取ってくるから。エンジン降ろしやすいように天井クレーンの下の置き場開けておいてくれ」
「ハイ、レッカーだから押し込みもOKですね」
「おう、行ってくる」
僕と隆弘は4軸レッカー車に乗って後二軸駆動ダンプを救援に工事現場に向かった。
「おかしいな。この前乗ってきたときにはエンジンの調子はとっても良かったんだけどなあ」
「ああ、隆弘。エンジンオイルには金属片なかったんだよな」
「うん、冷却水も交換したよな。うーん」
「ちょっと錆が有ったけど変なことはなかったよ」
「うーん、なんだろ?思い当たらない」
工事現場についた。
この前、納車ばかりの後二軸駆動ダンプが土砂を積んだまま動けず止まっていた。
「どうしました?」
「すみません。泥に嵌ってしまって無理させ過ぎたようでクラッチブローしてフライホイールが割れたんです」
現場で監督していた百合ちゃんのお兄さんが説明してくれた
「ええ?」
見るとクラッチハウジングが割れたようでその影響なのか?フライホイールの破片が飛んでいる。
これではエンジンをかけけられないのでパワーテイクオフも使えないので土砂を下ろせない
僕らはこの土砂をおろさないと大変なのでレッカーで後二軸駆動ダンプを引き出すとレッカーに装備してあるアームを使ってトラックの先端を持ち上げてそこからバックホーを使って土砂をおろしていた。
「大体落ちたな、引き取ります。エンジンおろして修理出来るか見ますね」
「お願いします」
フロントを持ち上げてゆっくり走って会社に帰って来た。
「どうするかな?直せるか?」
「うーん、クラッチハウジングとブロックごどうなってるかだな」
「だよなあ」
エンジンをおろしてみたところ、あろうことか?クラッチハウジングが割れて交換が必要でしかもシリンダーブロックのフライホイールハウジングをつけているところに罅が入っていた。
どうやらこの罅のせいでクラッチが均等に押し付けられなくて滑ってブローしたようだ。
「うーん。古いせいかな?結構このブロックくびれているなあ。溶接して修理は無理だな」
「そうだよなあ。なんかこのブロック結構きてるぞ。出ようとして結構乱暴にクラッチつないだような感じだな。1速でも壊れたか」
「非力だからなあ。無理したな」
「これのエンジンあるか?もう部品無いんじゃないか?」
「多分ブロックもないよな。雅子に中古探すの頼もう」
僕は雅子に積んでるエンジンがあるか探してもらっていた
「お兄ちゃん。これじゃあないけど2つ後の6QB1ならあるって。笠木さんのお店」
「え?そうか。それ積んでみよう。明後日かな?引き取り行こう」
「僕らはエンジン乗せられるように車の準備するよ」
お店がお休みの日は買って来た総輪駆動の脚を弄る為に隆弘にどうすればいいか聞いていた。
「悟瑠、こいつらにはできればフロントのホーシングにラテリンがいるよ。ステアリングのドラッグリンクの軌跡とサスの軌跡合わせると上下に動いた時にふらつかなくなるんだよ」
「隆弘はさすがだな。雅子、一緒にレイアウト考えよう」
「うん、さすがね」
「後はストロークをたくさん取れるようにしたいな。シャックル延長とか」
「リーフだもんな。かといって積載重量の関係もあるんだよな抜きリーフかな?」
「ああ。一番いいのはリーフを延長することだよ。できればリーフの幅広げて」
「そうだよな。よく動く脚っていいよねえ」
「まあ、軽い中型総輪駆動トラックの方がやりやすいよ。大型の元除雪車の総輪駆動は積載量あるからきついかもなあ」
「積載量は考えるよ」
「うん、ヘルパースプリングって手もあるよ」
「そう、後はエアを使うかだな。積んだ時エアでアシスト」
「それもいいかもね」
僕らはアジトで車を見ながらどうするかあーでもない、こうでもないと言い合っていた。
お店の休みの次の日、僕と雅子は4トンターボトラックでエンジンを引き取りに笠木さんのお店に向かっていた。
「お兄ちゃん。このトラックってエンジンいじるんだよね」
そう言ながら4トンターボトラックを走らせている妹の佐野 雅子。
以前は峠のバトラーだったが、チーム戦で負け無しのまま卒業、その後はドリフト競技に参加して対戦クラスで3回も優勝してしまった。
ドリフトをやってみてやっぱり自分にはレースの方が自分に向いていると言って、TSカーを作ってTSカップのレースデビューもしてしまった24歳。
そこでも既に2勝あげていた。
会社では雅子がTSカーでレースデビューしているので会社PRのためにスポンサーしている。
雅子は親が経営している中古車販売店兼整備工場で経理、整備の段取り担当の副社長している。
僕といっしょに仲間内からアジトと呼ばれている祖父母が経営していたもと製材所に併設の家に住んでいてそこから市内のお店に通っている。
使う車は大型9メートルカテゴリーのニジュちゃんと呼んでいるバスを改造した貨物車のU-RP210GAN改275ps仕様か、エムエム君と呼んでいる、大型9メートルカテゴリーのバスを改造した貨物車の○アロスターMMのU-MM618J改の300ps仕様だ。。
この2台には元職場から買っている使用済みの食用油から作ったバイオ燃料を使って環境に配慮している。
そのバイオ燃料となくのそふれへは雅子が自分で営業して取引を始めた雅子の元職場のスーパーが調理に使った油をディーゼル燃料にリサイクルしたものだ。
しばらく雅子の車で使ってみて全く問題が出なかったので、今は会社で使ってるトラクターやバス達、積載車にもつかっている。
雅子は家業についてから大型2種免許と牽引免許を取って、整備士の資格も取っているので仕事で必要ならトレーラーや増トンの積載車を運転して買い付けた車の引き取りもできるし、時には整備工場に来て納車前のお客さんの車をメンテすることもある。
雅子は地元の商業高校を断トツの1番の成績で卒業して、在学中に商業簿記2級、電卓検定初段、キーボード早打ち選手権全国準優勝、エクセル1級、アクセス1級、ビジュアルベーシック1級を取っている。
高校卒業後学校推薦で入社したスーパーではわずか4年チョイという異例の速さで係長まで出世して、同期からは初の高卒30代女性役員誕生かとうわさされが雅子はいろんな車に乗る仕事したいと言ってあっさりスーパーを退職して家業についてしまった。
なぜなら雅子はとにかく車好き、運転好きなので1日中事務所で仕事するのは性に合わないというのだ。
家業なら買い付けとか、売却、納車でいろいろな車に乗れるのでそれが楽しみと転職した。
雅子はGHATGTPやロボタイズのようなプログラム組むのにも嵌っていて、自分のドリ車のエンジンの制御コンピューターも自分でプログラム組んでいた。
また、最新の点検整備機器も扱えるので整備の面でも助かっている
他には実家の規模に合わせたいろんな経理システムを自分で組んでいて、両親も大助かりといっている。
その効果はお店の財務状況がわかるように管理しているので、今までのように確定申告のときにバタバタだった準備作業がすべてデータとして蓄積されていて簡単にネット上で簡単に確定申告できるようになっていらなくなった。
ほかには部品の発注も整備の受注もネット上でできるようにしてあるので電話での対応も減っていてその分営業に時間がさけると営業担当の父親と母親は喜んでいるし、僕もネットで事前に不具合の状況を画像等でもらっているので修理箇所の予測がつけやすくなって仕事が早く進むと喜んでいる。
このところは大型の総輪駆動に興味を示して自分で車を買ってきている。
この総輪駆動に嵌ってしまってドリフトを辞めると決めてドリ車を売ってしまったのだ。
この総輪駆動もエンジンからサスペンションまで自分好みにいじってしまうのだろう。
うちにはオフロードに詳しい隆弘がいるのでサスペンションのセッティングも勉強できてしまいそうだ。
雅子の運転はとてもスムーズで隣に乗るとついつい寝てしまうくらいだ。
普段は車を労って走らせているのがよく分かる。
かつては大型バスを使ったスムーズドライブ競争でもバスドライバーや、トラックドライバーのプロに勝ってしまうほどのスムーズさなのだ。
僕:佐野 悟瑠は妹より4学年上の3月生まれの27歳。
地元の大学を卒業して家業の中古車屋に就職して6年目、大学の頃は自動車部でラリーやジムカーナをやっていた。
今は家業の中古車販売店、整備工場で中古車の納車前整備や車検、修理、一般整備もしていて、時には中古車の買い取り査定もする。
大学のころから家業の手伝い=バイトしていてMIG溶接機、レーザー溶接機、フレーム修正機はバッチり使えるようになったし、板金もできるようになった。
また、○ントリペアも勉強して資格もとった。
加えて、カラスリペアと危険物の免許も取って玉掛けも資格を取っているので入社4年目の4月から整備工場の工場長兼副社長をしている。
大型免許は大学在学中にとってさらに就職してから直ぐにけん引免許もとっているので、オークションに買い付けに行く時には自分でキャリアトレーラーを運転していく。
使っているキャリアトレーラーも中古車で買ったものでもある。
在学中に2級整備士の資格も取っていて、バスの管理士になれるのもあり、大型バスも持ちたい放題だ。
それを良いことに中古だが、大型観光バス4台と大型路線バス5台もってしまった。
ほかには丸松建設のバスの管理者にもなっている
僕と雅子がメインで使っている大型車は全部ターボにしてパワーアップと同時に黒煙対策している。
特に唯一のKL-規制対応のゴーゴーくんにはDPDが付いているのでエンジン本体での黒煙を減らしておきたかったのだ。
所有している11台のバスにはパワーアップに対応して止まる方も強化としてリターダーを追加している。
僕らの両親はどちらも車大好きでそれが高じて中古車屋兼整備工場を経営している。
この整備工場は大型車の整備もするようになった関係で場所がいる。
そのために小型車のオイル交換等の軽整備は元々隆弘の親が経営していた整備工場に機器を移していてそっちでやることにした。
他に整備する場所としては僕と雅子が住んでいるアジトのガレージがあるのでそこでやることになったのだ。
アジトの車両をいじる設備はすべて中古ではあるが、大型車対応のボードオンリフトが2機、大型エアーコンプレッサー、スポット溶接機、MIG溶接機、プロパン+酸素バーナー、レーザー溶接機、板金道具一式、定盤、2000トン油圧プレス、油圧けん引機、油圧ベンダー&カッター、ボール盤、旋盤、フライス盤、20トン対応天井クレーン、3トン対応のリフター、ワゴンしき工具箱、タイヤチェンジャー、バランサーまでそろっているので、メンテどころか改造迄できてしまう。
事実、ドリ車とTSカーはここでどんガラの状態から作り上げたのだ。
いまは大型の総輪駆動の改造もそこでやろうとしている。
もっとも、スポット溶接機、レーザー溶接機、タイヤチェンジャー以外は祖父が現役の頃、林業で使う道具や木材運搬車等が壊れると、そこで修理していたのでそれを受け継いだのだ。
整備や改造にも活躍する2000トン油圧プレスは材木が反ってしまったときの修正用兼圧縮用でかなり大きいのだ。
これがあるおかげで改造が楽なのは言うまでもない
油圧牽引機は木材で変形した運搬用トレーラーを直すためのものでその能力は200トンと聞いた。
祖父も大型免許と牽引免許を持っていて自分でトラックをもって運搬していたのだった。
それにアジトの敷地は木材搬送のために大型トレーラーが20台くらい悠々と停められる広さがあり、父親がこの場所を借りて中古車版売店、整備工場を始めた場所でもある。
ここもお店の整備工場として登録してある。
社長である父親は元は大型車整備メインのディーラーにいたが、結婚を機に独立してこの店を立ち上げた。
このところ僕と雅子のバスコレクション趣味に感化されたのか中古のバスを3台も買ってきて全部をマニ割仕様して、それに乗ってどこどこ音をさせて営業に行ってしまっている。
それに会社の生エンジンのトラクターも若いころやっていた技術を使ってマニ割り+左右の煙突デュアルマフラーに自分で改造してしまうほどのマニ割マニアっぷりを発揮している。
エギマニは自分でマニ割仕様をステンレスパイプをベンダーを使って手曲げで作ってしまうほどの腕を持っている。
若いころに大型車メインの整備工場に勤めていた時にはマニ割車を100台以上作ってはお客さんに収めていた。
トータルでマニ割車を何台作ったか覚えていないというマニ割マエストロでもある。
その業界ではいまだに名の知れた存在で旧車のマニ割作って欲しいという発注がいまだに来る。
もとから大型車好きの父親なので、整備工場では僕が工場長になったのを良いことに、運送会社をやっている隆弘の親が経営していた整備工場を買い取り本格的に大型車も整備するようになった。
加えて父親は雅子の親友の百合ちゃんの父親が経営する建設会社の重機の整備も引き受けた。
建設会社の重機の整備は別の会社がやっていたが、整備をやっていた会社が廃業してしまい、重機の整備が出来ないと困っていた話を聞いてその会社の重機の整備も請け負った。
親父は困った人見ると黙っていられないらしい。
母親の独身の頃はドリフト競技、ラリーに出ていたという位の運転好きだ。
かなり上手く何回か入賞する位の腕を持っていたらしい。
ドリフト競技に出ていたころ、ドリ車の整備と改造を当時大型車メインの整備工場に務めていた父親に依頼したのが馴れ初めで結婚したのだ。
乗用車の整備工場では見てくれなかったが、大型車メインの工場なのにうちの父親が仕事を引き受けていたのだ
この両親を見れば僕と雅子が車大好き、運転大好き、競技に出たいとなってしまうのは当然だろう。
雅子の親友で高校の同級生の松尾 百合ちゃんも同じく車好きでもある
百合ちゃんは雅子と同じ地元の商業高校を2番目の成績で卒業して雅子と同じスーパーに入った。
販売部に配属されて仕事していたが、雅子が辞めたので後任に引き継いだがやり切れずその主任として経理部に兼務で来たらしい。
販売部にいたときに提案した買い物難民救済用の移動販売車の成果が認められて主任になって今はキッチンカーの担当もしている。
百合ちゃんの一家も車好きで車を探してくれと頼まれるのだ。
それに親の整備工場を拡張した時に百合ちゃんの親が経営している建設会社に工事をやってもらった。
その会社で使っている建設用の大型重機やトラックをメンテナンス出来るようにしてあるのだ
丸松建設の社長の奥さんで副社長でもある百合ちゃんのお母さんも大型車好きでしかも旧車好き、それなので50年位前に作られたバスを2台も買ってうちの工場にレストアを頼んできた。
それに社長夫婦の息子からも旧車のキャブオーバーバスのレストアも頼まれている状態だ。
もう一つ、新たな仕事として百合ちゃんが勤めているスーパーで使っているリース車両のメンテをうちに依頼され引き受けた。
百合ちゃんが経理に来るまではリース車を各店舗で管理してメンテするようにしていたが、その方法ではメンテがおろそかになるのがわかって、本社で一括管理することにしてそのメンテナンスをうちの会社にお願いしてきたのだ。
その仕事も請け負ったので人員も増強したがそれを上回る仕事量で嬉しい悲鳴を上げている状態だ。
今、僕らは仕事で荷物を運ぶトラックでエンジントラブル起こした後二軸駆動ダンプに積むためのエンジンを買い付けに行っている。
ついでにノーマルの4トンターボトラックの状態をみてどういじろうかと考えている。
ノーマルも見る限り黒煙も少なく、エンジンの回り方も軽くて調子良さそうだ。
笠木さんのお店について
「また、お世話になります」
「こちらこそ、トラブルはあのトラックですか?エンジン古いですからね」
「そうなんですよ。ターボにしようかと思ったんですがミッションが無くてなかなか難しいですね。バスなら負荷軽いからミッション流用でいいんですけど」
「仕方ないですね。エンジン積みますよ。パレットに固定してあります。パレットは返却不要です」
笠木さんはパレットに固定して積む準備してあるエンジンをパレットごと4トンターボトラックに積んでいた。
僕と雅子はパレットを動かないようにがっちりと荷台に固定していたのだ。
その帰り
「ふう、お兄ちゃん。旧い車は壊すと大変よね。部品出ないって普通だもんね」
「そうだよ。百合ちゃんのボンネット4×4ダンプに積んでる6BDは海外でまだ使っているから修理する部品があるんだけど、純正はもうない。サードパーティから買わないとないよ。今買ってきたエンジンはバスで結構あったから何とかなるとしても、後二軸駆動ダンプに積んでるエンジンそのものがほとんどないからなあ」
「そうね。それにこれのミッションがないもんね」
「そうなんだよね。バス用はあるけどギヤ比が合わないんだよ」
「だよね。6速ってないもんね」
といいながらゆっくりと下ってきた。
お店について
「隆弘、隆文。どうもありがと」
「いいってことよ。それじゃあおろして載せ替えだな。」
「ああ、ミッションも付いてるから」
僕らは後二軸駆動ダンプに買って来た6QB1エンジンを積んで仕上げていた。
「悟瑠、これも公認必要なんだよな」
「そうだけど、排ガス試験ないから強度だけだよ」
「そうか。規制前のシャシーだもんな」
「強度計算書雅子に出してもらって書類出せばOK」
「じゃあ、出して車検取ってだな」
「ああ、自賠責と重量税の戻しの申請も。新規に13ヶ月入り直しておけばいいよ」
車検メニューの確認していたら後のブレーキからフルードが漏れていたので修理して車検を取り直して申告して無事に車検証をもらうと納車していた。
この仕事は主に丸松建設のリアエンジンバスをやっていた3人組に任せておいたのだ。
忙しいところに隆弘の親がやっている会社の車がトラブルで救援要請がきてこれまた4軸レッカー車で200キロ先まで救援に行って来た。
路線で使っているカーゴトラックの自動MTがクラッチトラブルか何かのようでギヤは入るがつながらず走れなくなったらしい。
「悟瑠、困ったことにこの車種これで5台目だ。この対策はミッション載せ替えが一番いいよ。親父には保証切れてるから載せ替えると言っておくよ」
「そうだな。トラブル頻発はたまらんよ。トラックは使えないし。修理費はかかるし」
「おう。結局ヨーロッパの自動MTは日本の道には合わないってことだな」
「うん、この会社オリジナルの7MTにしよう。在庫あったよな」
「おう、幸いにもペラが一緒だから楽だな。FDも一緒でいいだろ」
その週はほかにもスーパーのリース車両のトラブルのような突発的な仕事に追われていたが何とか片付けてやっと仕上がった移動販売車の大型ノンステロングをいつもの坂道でテストしていた。
「お兄ちゃん。データ上は全く問題ないよ。さすが高過給でリーンバーンにしているだけあって煙でないし、燃焼温度も十分低い」
「それなら、いいや。これで納車しよう」
「うん、次は中型ノンステロングね。運転する人が普段MTの大型乗ってないとクラッチ痛めるよね」
「うん、小排気量は発進が難しいんだよね。何にせよ排気量に勝るチューンはないって」
「そうね」
坂道でのテストを終えた僕らは会社に戻ってバイオ燃料を満タンにして納車していた。
外したエンジンはストックしてトラブルがあったときに使うようにしていた。
また、休みの日になった。
隆弘がアジトに来てなんだかんだと総輪駆動の足回りのセッティングを考えていた。
「悟瑠。やっぱり大型の後ろはロングシャックルとエアベローズでアシストだな」
「そうだよな。伸びてる時は当たらず。縮んだ時にしっかり当たるようにしようと思う」
「うん、エアべローズを車体につけて当たったらしっかり支えるようにするとか?」
「エアベローズの2段重ねもあるかな?」
「ああ。それもいいかな?その辺は峠のセッティング名手の悟瑠に任せる」
「お兄ちゃん。あたしのは?」
「減リーフとアシストスプリングかな?」
「そう。軽いからね」
「そうなんだ。大型は重いから?」
「こそっと半分しか積まないって手もあるよ」
「そう。重量バランスでバラスト積んでかな?」
「重心下げつつだろ」
「そうね。リーフの反りも変えるんでしょ」
「うん、前後にスタビライザーもいるなあ。リーフのバネ定数下げて伸びの反力大きめに取りたいんだよ。オンロードのスタビリティーも重視して」
「そうだな、悟瑠はわかっているな。その通りなんだよ。伸び無いとスタックする確率上がる。雅子の車も伸び重視にするんだろうな」
「隆弘、わかった。方針はこれで行こう。フロントはドラッグリンクと軌跡合わせる、前後とも伸びストローク重視。重量バランス、ロール剛性は維持。雅子のは軽いからバンパーラバーで勝負かな?」
「そうだな。やり方はどうでもいいが方針が決まればそれでいいよ」
「わかった。じゃあ。部品集めればいいのね」
「部品というより、材料だよ。シャックルにはどういう材料居るかだよね」
「シャックルは鍛造で作りたいね。やるか」
「そうか。バーナーとプレス機でつくろう。リーフを使うと良いよ」
「そうだな。疲労強度上げてあるから」
「車をリフトに乗せるぞ」
「ああ、俺も欲しくなったよ、総輪駆動。また走るのもいいな」
「隆弘、ミイラ取りがミイラになったか」
「隆弘さん、いいわよ。笠木さんのお店に聞くわよ」
「ありがと」
その日は雅子が乗りたいと言っていた中型総輪駆動トラックの脚をばらして終わった。
次の日
「お兄ちゃん、見つかった。KC規制の元除雪車の総輪駆動があるって」
「形式は?」
「KC-CF531XH」
「へえ、いいじゃん」
「なんかさ、あたしがその総輪駆動欲しくなっちゃった、これってミッションいいのあるからロザン君と同じにできそうじゃん」
「脚をバラしてる中型総輪駆動トラックはどうする?」
「隆弘さんに売る」
「そうか、それならアイツの家の庭に置けるからいいかもな」
整備工場に行って隆弘に
「隆弘。トラック見つかったけど大型だ。置き場考えるとうちで持ってる中型総輪駆動トラックを買ったほういいけどどうする?」
「中型総輪駆動トラックなら庭に置けるよ。大型だと入り口がヤベえと思っていたんだよ」
「それでいいな。雅子が大型のKC-CF531XH見つけたみたいで」
「雅子は大型か?それもよしだな。総輪駆動はパワーじゃないから」
「さすが。じゃあ、明日取りに行ってくるよ」
「中型総輪駆動トラックをいじる場所は借りるぜ。総輪駆動の大型2台はまずはエンジン整備だな」
「その通りだな」
「よし。それなら今週も張り切って仕事しよう。俺は元レントゲン車仕上げだな」
「僕は中型ノンステロングだな。公認は楽だ」
僕らは新たに車を仕上げるべく仕事に励んでいた。
「ねえねえ、大変。百合リンが自分ちに転職だって」
「ええ?移動販売車の面倒誰見るの?」
成果を出していた百合ちゃんがなんと家業に転職?
スーパーは一体だれが面倒を見るの?
いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。
今回はここで更新します。
お気に召しましたらイイネやコメントいただけると励みになります




