第三十四話 雅子と僕のオフロード
車を買ったはいいけどなかなかいじれない悟瑠と雅子
その為に必死で仕事する
またまた仕事が増えて?
「お兄ちゃん、あたし、ドリ卒業するよ。今度はオフロードやってみたいな。レースじゃなくてゆっくりでいいんだ。レースはTSでドリ車は百合リンに売っちゃうけどいいよね」
「いいよ。そのうち百合ちゃんもオフロードに来そうだな」
「あはは、そうかもね。親のボンネット4×4ダンプを分捕ってあたしも走るって言って」
「そうだね。オフロードのことは走りも車も隆弘にしっかり聞いてくれ」
「うん、ねえ、お兄ちゃんもオフロードやろうよ。実はそのために2台買ったんだから」
「そうなの?一緒にオフロードの勉強もいいかもな」
僕もたまにはオフロードを走るのもいいかと思うようになっていたのだった。
「楽しそうでいいでしょ」
「いいかもな」
雅子は言う通り、ドリ車を百合ちゃんに売っていた。
聞くと普段のメンテナンスはここでやるので百合ちゃんは雅子に頼んでここに保管してもらうことにしたらしい。
「お兄ちゃん、ってことでオフロード車を作ろうね。隆弘さんに聞きながらだけど」
「そうだね。雅子、とにかく今ある注文を全部片付けないと総輪駆動には本格的に手がつけられないよ」
「そうよね。やっと百合リンから頼まれていたキッチンカー2台納車したよね。次は百合リンの移動販売車の2台のエンジン換装ね」
「うん、大型ノンステロングにはターボはいらないっておもうけどなあ」
「念のためつけるのもいいんじゃない?黒煙対策で出力とトルクは絞って」
「それもいいかな?。ターボにしても500はいらないよね。トルクは160位で十分でしょ」
「うん、いいところ450位にしてかな?うん。それ以上はいらないでしょ。山道はいくけど速度出さないから」
「うん。検討しよう。中型ノンステロングはうちのレッカーと同じくらいかな?」
「うん、そうよね。うーん。バランスが難しいわね。単車なら300あれば」
「そうか。百合ちゃん曰くは乗りやすさで行くんでしょ。パワーは二の次で」
「そうね。百合リンを呼ぶよ。ロザン君と同じエンジンなら同じくらいの出力と、トルクでそう」
「ミッションが在庫に無いよ。ロザン君と同じくトラック用の7速入れるか?」
「7速もいいかな?でも7速は使わないよねこの車は高速乗らないよ。うちのロザン君は乗ることあるじゃん」
「それなら出力絞って445psと155キロにしてRA552の6速にしよう。良いことにミッションの在庫がある。任せろ。積車14.5トンなら大丈夫だろ」
「お兄ちゃんさすがね。」
「さて、どっちも難易度高いけど、大型ノンステロングからやるか。マウントはちょっとの改造で合いそうなんだよ」
「いいわねえ。先に公認でしょ」
「もちろんだ。さて大型ノンステロングはRG8エンジン積んで公認取りだな。良いことに元から6速。なんとかなる。生ならRG8のほうがトルク無いから」
「そうなんだね。その後は中型ノンステロングの積み替えね」
「ああ、それはエンジンさえ積めればもっと楽、生ならトルクもパワーも今のよりないから強度計算要らない。ミッションは9.2のNF6を積む。ターボつけるけどね」
「もうプランあるんだね。パワーは?どのくらいにするの?」
「300psでトルクは100キロ。それだけあれば十分だよ。積車で12.5トンならいいかな?」
「プランちゃんとしてるよね。百合リンもうすぐ来るよ。中型ノンステロングの日程調整だよね」
雅子と喋っていると
「ああ。雅子、呼んでくれてありがと。相談って?」
百合ちゃんが事務所に来ていう。
「移動販売車のプランができたんで、どうかななんだけど。大型ノンステロングはエンジン積み替えてターボもつけて445psと155キロでどうかな?」
「いいよ。出力って言うよりは煙対策でしょ」
「そういうこと」
「そのくらいあればいいよ。主に乗るのはあたしだから。後、中型ノンステロングは?」
「うん、中型ノンステロングなんだけどこれもターボつけて300psでトルク100キロ。普通に走る分には不足ないでしょ」
「いいよ。それで。運転はベテランの運転手さんだから。っていうかさ。長野さんってもとバスのドライバーが入って来たんだよ」
「ええええ?長野さんも?こっちに来たんだ」
「うん、雅子を知ってるって言ってた。いい腕してるよ。スムーズで凄かったって」
「長野さんの運転ね。じゃあいいわね。クラッチも痛まないし」
「そうね。それでやって。社長はやり手で農家から直取りやってるんだよ。この移動販売車も畑や家の近くに行くからそこで仕入れてそのまま売っちゃう」
「やるねえ。まさに新鮮野菜」
「農家も引き取りくるんでお店まで運ばなくて良いってことでしょ。楽でいいじゃんね」
「そこが狙いよ。販売車に積みきれない時は軽トラックで取りに行ってるよ」
「そうね。百合リン。儲かる話はいろんな所に転がってるから探すと結構あるかもね」
雅子は百合ちゃんの話を聞いてさもありなんという顔していた。
その週はなんとか移動販売車の大型ノンステロングのエンジンベイにRG8を積んで動作確認のあとに公認を取りに行った。
良いことに同じKL規制のエンジンなので比較的簡単に済んでいた。
その後エンジンを下ろしてターボを組んでラジエターの交換、インタークーラーの設置に追われていた。
お店が休みの日、アジトで僕と雅子はる中型総輪駆動トラックからエンジンとラジエターをおろして大容量ラジエターとインタークーラーを組む場所を探していた。
「雅子、純正の位置にインクラ置こうとするとエアコンが難しいね。うーん」
「エアコンコンデンサーを移動しようよ。運転席の側のスペースにすれば大丈夫よ」
「やっぱりここか。そうだよな」
「ここだとちょっと風当たりにくいから電動ファンがいるけど良いかな。エアコン無いほうがやばいでしょ」
「そうだな。補助電動ファンとダクト付けて導風板いるな。でもここなら行けそうだ。段ボールで作って当たらないか見よう」
「そうね。これって出力はどのくらいだっけ?」
「285psの75キロ。それ以上は多分だけどクランクがもたないよ。車重がかるいとは言っても」
「タービンは大丈夫だからなんとかなるわね」
「うん、そうだね。エアコンはここかな?」
喋りながら段ボールでエアコンのコンデンザーを模したのを作って配置したい場所に置いてあちこちに当たらないか見ていた
「ええと、これなら多少動いても当たらないな」
「お兄ちゃん。コンデンサーってこんなに厚くないけど?それにパイプも太く無いよ」
「それは学校で習ったんだけど走ってると振動で動くんだよ。その分を見越して倍くらいに大きくするんだよ。それが当たらないなら大体は大丈夫」
「そうか。お兄ちゃんのいじった車って問題ないのはそのせいなのね」
「たまたま、うまく行ってるだけかもしれないけどね」
「いいことよ。安心して頼めちゃう」
「ありがと」
大凡のレイアウトが決まったのでエンジンを下ろして会社に持って行けるよう準備していた。
「ううん、ロックンじゃ乗らないか。増車するかな?フーセンちゃんに乗せるしかないか?ミッション無しでも駄目だな。ちょっと無理だなあ。やっぱりトラック買うか」
「そうね。それとも置き場無いから、ロックンで引っ張るトレーラーにする?」
「その手もあるか。ありがと考える。今後の会社のこと考えるとやっぱりトラック欲しいなあ。となるとロックンはどうしようかな?」
そう考えているとアジトに来てTSカーの整備していた隆弘が
「悟瑠、ロックンどうするんだ?」
「売ろうかと思ってる。と言っても相当いじったからさ、元に戻すの結構大変だなって」
「それなら俺が買うよ。通勤車が欲しかったんだよ。今使ってる軽のバンを隆文がほとんど一人で使ってて今日も用あると言って後で迎えになったよ」
「まあ、隆弘ならいいよ。実はさ、トラックないと結構不便でさ。買おうと思ってる。ここに置くんだけど場所がいっぱいになって来たからロックンを手放すしかないと思ってさ」
「そうだな。トラック買うなら理想はクレーン付きの平ボディだろ。俺も言おうと思ってた。ものが運べなくて今は4軸のレッカーで運んでるもんな」
「そうなんだよ。部品を配送してもらう時はいいけど、このところトラックのエンジンオーバーホールする時、運ぶの大変で。積載やレッカーに積んでなんだよ。エンジン工場は機械の関係で隆弘の家の会社にあるから」
「それなら、お兄ちゃん。笠木さんのお店にあるかな?」
「聞いてみよ」
「あたし聞くよ」
雅子は笠木さんのお店に連絡していた。
「お兄ちゃん、いいのがあったよ。U-FC3WJAA。見に行こうよ。明日ならいいって」
「まあ、いいけど。悪いけど隆弘、お店頼むよ」
「仕方ないよ。大型やる時はエンジンとか運ぶんだよな。2トンでもいいけどエンジンとミッション同時に運ぶなら4トンクラスが欲しいよな」
「そうなんだよね。4トンクラスで小さめの。最悪クレーン無くてもいいから」
「明日見てくるよ」
「あ、悟瑠。そういえばあした出来上がった丸松建設のボンネット4×4ダンプ見るんじゃなかったか?」
「そうか、今から車とってくるか。雅子そのまま出れた方がいいもんな」
「うん、そうね。お兄ちゃん車よろしく。あたしはご飯準備しておくよ」
「ええと、僕はこれから錦君をお店に置いてボンネット4×4ダンプ持ってくればいいな」
「お兄ちゃん。よろしくね」
「隆弘。ロックン乗って行っていいよ。これもLPG混焼ついてるから黒煙防止だからよろしく」
「ありがと、隆文に迎えに来いって言わなくていいか。自力で帰れる」
「よろしく。もしかするとトラックをそのまま乗ってくるかも知れないから明日は雅子と行って来る。ロックン今日のうちによろしく」
「いいよ。俺はあと2時間はTSカーのいじりやるよ。軽いの活かしてコーナーで何とかしたいんだよ」
「そうね。いい考えね」
次の日、僕と雅子はターボをつけてパワーアップしたボンネット4×4ダンプを何時もの道でテストしていた
「お兄ちゃん、これ230psとはいっても結構大変ね」
「まあね。排気量あげたけど総輪駆動だから結構大変だったよ。ミッション考えるとパワー出せない」
「そうね。このくらいでいいかもね」
そう言ながらボンネット総輪駆動を走らせている妹の佐野 雅子。
峠のバトラーだったが、負け無しのまま卒業してドリフト競技に参加して対戦クラスで3回も優勝してしまった。
やっぱりレースの方が自分に向いていると言って、TSカーを作ってTSカップのレースデビューもしてしまった24歳。
そこでも既に2勝あげていた。
今、雅子は親が経営している中古車販売店兼整備工場で経理、整備の段取り担当の副社長している。
雅子は僕といっしょに仲間内からアジトと呼ばれている祖父母が経営していたもと製材所に併設の家に住んでいる。
そこから親のお店には大型9メートルカテゴリーのニジュちゃんと呼んでいるバスを改造した貨物車のU-RP210GAN改275ps仕様、またはエムエム君と呼んでいる、大型9メートルカテゴリーのバスを改造した貨物車の○アロスターMMのU-MM618J改の300ps仕様で通勤している。
この2台には元職場から買っている使用済みの食用油から作ったバイオ燃料を使って環境に配慮している。
使っているバイオ燃料は雅子が自分で営業して取引を始めた雅子の元職場のスーパーが調理に使った油をリサイクルして作ったものだ。
バイオ燃料をうちのお店の車に買うことにして、車に問題出ないかまずは自分の車で、その次に僕のコレクションのバスにも詰めて結果をみていた。
全く問題が出なかったので、今は会社で使ってるトラクターやバス達、積載車にもつかっている。
雅子は家業についてから大型2種免許と牽引免許を取っているので仕事で必要ならトレーラーや増トンの積載車を運転して買い付けた車の引き取りもするのだ。
それに車の整備も好きなので整備士の資格を取っている。
その免許を活用して時には整備工場に来て納車前のお客さんの車をメンテすることもある。
雅子は地元の商業高校を断トツの1番の成績で卒業して、在学中に商業簿記2級、電卓検定初段、キーボード早打ち選手権全国準優勝、エクセル1級、アクセス1級、ビジュアルベーシック1級を取っていて事務系なら引っ張りだこになるくらいの技能をもっている。
進学せずに高校卒業後学校推薦で入社したスーパーではわずか4年チョイという異例の速さで係長まで出世して、同期からは初の高卒30代女性役員誕生かとうわさされた。
しかし、当の雅子はいろんな車に乗る仕事したいと言ってあっさりスーパーを退職して家業についてしまった。
なぜなら雅子はとにかく車好き、運転好きなので1日中事務所で仕事するのは性に合わないというのだ。
家業なら買い付けとか、売却、納車でいろいろな車に乗れるのでそれが楽しみと転職した。
雅子はこのところGHATGTPやロボタイズのようなプログラム組むのにも嵌っていて、自分のドリ車のエンジンの制御コンピューターも自分でプログラム組んでいた。
それに雅子はエンジンを載せ替えたトラックのBCMのフルコンのセッティングをお願いしたらきちんと仕上げてくれた。
また、最新の点検整備機器も扱えるので整備の面でも助かっている
他には実家の規模に合わせたいろんな経理システムを組んでいて、両親も大助かりといっている。
何せ、しっかりとお店の財務状況がわかるようなソフトを作って管理しているので、今までのように確定申告のときにバタバタだった準備作業が雅子の組んだソフトのお陰ですべてデータとして蓄積されていて簡単にネット上で簡単に確定申告できるようになっている。
部品の発注も整備の受注もネット上でできるようにしてあるので電話での対応も減っていてその分営業に時間がさけると営業担当の父親と母親は喜んでいるし、僕もネットで事前に不具合の状況を画像等でもらっているので修理箇所の予測がつけやすくなって仕事が早く進むと喜んでいる。
雅子は僕の古くからの友人で僕んちの整備部門の部長で整備工場の副工場長をやっている隆弘がリーダーを務めるチーム入っている。
そこでは僕と共にサブリーダーになっていてホームグラウンドではいまだに断トツトップの速さた。
雅子が得意なのはダウンヒルで、大Rコーナーにノーブレーキで入ってアクセル全開のままドリフトさせっぱなしで抜けられるのは、チームの中ではいまだに僕と雅子しかいない。
それにサーキットを走らせたタイムもダウンヒルのタイムもチームの中では一番だ。
今はTSカーでレースしたいと言ってデビューしているのでこれも会社PRのためにスポンサーしていた。
このところは大型の総輪駆動に興味を示して自分で車を買ってきている。
エンジンからサスペンションまでいじってしまうのだろう。
オフロードに詳しい隆弘がいるのでサスペンションのセッティングも勉強できてしまいそうだ。
雅子の運転はとてもスムーズで隣に乗るとついつい寝てしまうくらいだ。
普段は車を労って走らせているのがよく分かる。
かつては大型バスを使ったスムーズドライブ競争でもバスドライバーや、トラックドライバーのプロに勝ってしまうほどのスムーズさなのだ。
僕:佐野 悟瑠は妹より4学年上の3月生まれの27歳。
地元の大学を卒業して家業の中古車屋に就職して6年目、大学の頃は自動車部でラリーやジムカーナをやっていた。
今は家業の中古車販売店、整備工場で中古車の納車前整備や車検、修理、一般整備もしていて、時には中古車の買い取り査定もする。
大学のころから家業の手伝い=バイトしていてMIG溶接機、レーザー溶接機、フレーム修正機はバッチり使えるようになったし、板金もできるようになった。
また、○ントリペアも勉強して資格もとった。
加えて、カラスリペアと危険物の免許も取って玉掛けも資格を取っているので入社4年目の4月から整備工場の工場長兼副社長をしている。
大型免許は大学在学中にとってさらに就職してから直ぐにけん引免許もとっているので、オークションに買い付けに行く時には自分でキャリアトレーラーを運転していく。
使っているキャリアトレーラーも中古車で買ったものでもある。
在学中に2級整備士の資格も取っていて、バスの管理士になれるのもあり、大型バスも持ちたい放題だ。
それを良いことに中古だが、大型観光バス4台と大型路線バス5台もってしまった。
ほかには丸松建設のバスの管理者にもなっている
僕と雅子がメインで使っている大型車は全部ターボにしてパワーアップと同時に黒煙対策している。
特に唯一のKL-規制対応のゴーゴーくんにはDPDが付いているのでエンジン本体での黒煙を減らしておきたかったのだ。
所有している11台のバスにはパワーアップに対応して止まる方も強化としてリターダーを追加している。
僕らの両親はどちらも車大好きでそれが高じて中古車屋兼整備工場を経営している。
この整備工場は大型車の整備もするようになった関係で場所がいる。
そのために小型車のオイル交換等の軽整備は元々隆弘の親が経営していた整備工場に機器を移していてそっちでやることにした。
他に整備する場所としては僕と雅子が住んでいるアジトのガレージでやることになったのだ。
アジトには車両をいじる設備として、すべて中古ではあるが、大型車対応のボードオンリフトが2機、大型エアーコンプレッサー、スポット溶接機、MIG溶接機、プロパン+酸素バーナー、レーザー溶接機、板金道具一式、定盤、2000トン油圧プレス、油圧けん引機、油圧ベンダー&カッター、ボール盤、旋盤、フライス盤、20トン対応天井クレーン、ワゴンしき工具箱、タイヤチェンジャー、バランサーまでそろっているので、メンテどころか改造迄できてしまう。
事実、ドリ車とTSカーはここでどんガラの状態から作り上げたのだ。
もっとも、スポット溶接機、レーザー溶接機、タイヤチェンジャー以外は祖父が現役の頃、林業で使う道具や木材運搬車等が壊れると、そこで修理していたのでそれを受け継いだのだ。
祖父も大型免許と牽引免許を持って自分で運搬していたのだった。
整備や改造にも活躍する2000トン油圧プレスは材木が反ってしまったときの修正用兼圧縮用でかなり大きいのだ。
これがあるおかげで改造が楽なのは言うまでもない
油圧牽引機は木材で変形した運搬用トレーラーを直すためのものでその能力は200トンと聞いた。
それにアジトの敷地は木材搬送のために大型トレーラーが20台くらい悠々と停められる広さがあり、父親がこの場所を借りて中古車版売店、整備工場を始めた場所でもある。
ここもお店の整備工場として登録してある。
社長である父親は元は大型車整備メインのディーラーにいたが、結婚を機に独立してこの店を立ち上げた。
このところ僕と雅子のバスコレクション趣味に感化されたのか中古のバスを3台も買ってきて全部をマニ割仕様して、それに乗ってどこどこ音をさせて営業に行ってしまっている。
それに会社の生エンジンのトラクターも若いころやっていた技術を使ってマニ割り+左右の煙突デュアルマフラーに自分で改造してしまうほどのマニ割マニアっぷりを発揮している。
エギマニは自分でマニ割仕様をステンレスパイプをベンダーを使って手曲げで作ってしまうほどの腕を持っている。
若いころに大型車メインの整備工場に勤めていた時にはマニ割車を100台以上作ってはお客さんに収めていた。
トータルでマニ割車を何台作ったか覚えていないというマニ割マエストロでもある。
その業界ではいまだに名の知れた存在で旧車のマニ割作って欲しいという発注がいまだに来る。
もとから大型車好きの父親なので、整備工場では僕が工場長になったのを良いことに、運送会社をやっている隆弘の親が経営していた整備工場を買い取り本格的に大型車も整備するようになった。
加えて父親は雅子の親友の百合ちゃんの父親が経営する建設会社の重機の整備も引き受けた。
建設会社の重機の整備は別の会社がやっていたが、整備をやっていた会社が廃業してしまい、重機の整備が出来ないと困っていた話を聞いてその会社の重機の整備も請け負った。
親父は困った人見ると黙っていられないらしい。
母親の独身の頃はドリフト競技、ラリーに出ていたという位の運転好きだ。
かなり上手く何回か入賞する位だったらしい。
競技に出ていたころ、ドリ車の整備と改造を当時大型車メインの整備工場に務めていた父親に依頼したのが馴れ初めで結婚したのだ。
乗用車の整備工場では見てくれなかったが、大型車メインの工場なのにうちの父親が仕事を引き受けていたのだ
この両親を見れば僕と雅子が車大好き、運転大好き、競技に出たいとなってしまうのは当然だろう。
雅子の親友で高校の同級生の松尾 百合ちゃんも同じく車好きでもある
百合ちゃんは雅子と同じ地元の商業高校を2番目の成績で卒業して雅子と同じスーパーに入った。
販売部に配属されて仕事していたが、雅子が辞めたので後任に引き継いだがやり切れずその主任として経理部に兼務で来たらしい。
販売部にいたときに提案した買い物難民救済用の移動販売車の成果が認められて主任になって今はキッチンカーの担当もしている。
百合ちゃんの一家も車好きで車を探してくれと頼まれるのだ。
それに親の整備工場を拡張した時に百合ちゃんの親が経営している建設会社に工事をやってもらった。
その会社で使っている建設用の大型重機やトラックをメンテナンス出来るようにしてあるのだ
丸松建設の社長の奥さんである百合ちゃんのお母さんも大型車好きでしかも旧車好き、それなので50年位前に作られたバスを2台も買ってうちの工場にレストアを頼んできた。
それに社長夫婦の息子からも旧車のキャブオーバーバスのレストアも頼まれている状態だ。
もう一つ、新たな仕事として百合ちゃんに勤めているスーパーで使っているリース車両のメンテをうちに依頼され引き受けた。
百合ちゃんが経理に来るまではリース車を各店舗で管理してメンテするようにしていたが、その方法ではメンテがおろそかになるのがわかって、本社で一括管理することにしてそのメンテナンスをうちの会社にお願いしてきたのだ。
その仕事も請け負ったので人員も増強したがそれを上回る仕事量で嬉しい悲鳴を上げている状態だ。
今、僕らは仕事で荷物を運ぶトラックを買い付けるついでに丸松建設から車検とターボ化を頼まれたボンネット4×4ダンプのテストをやっている。
4速でレブリミット迄回して登っている。
見る限り黒煙もなく調子良さそうだ。
「雅子、水温はだいじょうぶか?」
「問題なし、フルに踏んでもこの車には登るのきついよね。と言ってもこの前にうちの2軸のトラクターでパスを積んで走ったときよりはいいけどね」
「それは仕方ないな。これは230psしか無いからさ」
「そうよね。やっぱりしかたないけどね。それにこの車5速でもギヤ低いよね」
「総輪駆動はそんなものだろ。実力で230あるからノーマルよりはいいだろ」
「うん、3軸の方はもっと速かったよね」
「255psでトルクは70キロあるよ。それなら速いって」
「そうね。これってトルク60キロだもんね」
「エンジンの構造見たらストローク短いからクランク交換して合わせたけど低速を考えると結構難しいよ。高回転のみならいいけど総輪駆動だからさ」
「仕方ないよね。走りやすさを出すんだよね」
「もちろん。」
そう言いながら笠木さんのお店に行った。
「いらっしゃいませ。毎度ありがとうございます。」
「こちらこそ、ありがとうございます。いいトラックがあるとか」
「はい、2台あるのでいい方を」
「はい」
僕と雅子が紹介されたトラックを見ていた。
「あれ?ママからだ。なんだろ?」
雅子のスマートフォンに母親から連絡が来たようだ
「僕は先にU-MK250FNを見るよ。これは良いことにターボなんだな」
「お兄ちゃん、ママにトラック探すって言ったら会社で使うの見てこいだって」
電話が終わった雅子が言う
「えええ?うーん、それならこの2台を買うか?」
僕と雅子はU-FC3WGAAも見ていた。
「うん、どっちもいい車よね。両方買おう」
「うん、そうしよう。笠木さん、2台買います」
「そう思って書類準備終わってます。ここにサインを」
僕らはサインして2台の内金を入れると今日のって帰れるというU-MK250FNに乗ってアジトについた。
アジトで乗って来たトラックをどうするか話していた
「お兄ちゃん、ママには会社のはU-FC3WGAAにするって言っておいた。多分だけどパパはマニ割にするよ」
「そうかもなあ。ターボはいらないだろ。どっちにしても工場間の行き来だけだろ」
「うん、そうね。パワーが必要ならU-MK250FNつかえばいいんだよね。ニジュちゃんと同じエンジンだよね。」
「そうだな。と言っても重量増は積載減らすから考えないとな。インクラ追加はいいけどミッション変更できないからいいところ255psの72キロだよ。ポンプは純正の255ps用にすれば行けるよ」
「それなら、それでいいじゃん。リターダー追加が無理ならゆっくり下るんだよね」
「まあそうだね。平坦路メインなら総重量で8トンで済むんで、リターダー無しでもいいかもね。排気量そこそこあるからゆっくり下ればいいよ」
「そうね。重量増は最小限にしないとね。ママたちのは明日引き取りね」
「ああ」
僕らがその日会社に行くと親父が言う
「悟瑠、悪いが稼働率の低い積載一台売るよ。KL-PK262NFZ(ウイング式荷台+スライド+ウインチ)は殆んど動いてないよ」
「ああ、いいよ。U-FC3WGAAと入れ替えだね」
「そうだな。笠木さんのところに委託するよ」
「明日、乗って行くよ」
「たのんだぞ」
その後、僕らは丸松建設にボンネット4×4ダンプを納めてスーパーの移動販売車のエンジン換装していた。
仕事を終えてアジトに売却するKL-PK262NFZ(ウイング式荷台+スライド+ウインチ)を運んで次の日にU-FC3WGAAを引き取りに行く準備していると”ドリュドリュドリュドリュ”とV8フルデュアルの排気音が聞こえてきた。
「百合リン?どうしたのかしら?」
「わかんないな。なんか急ぎかな?」
そう言っていると、ピンポーンとなって
『雅子、悪いけどお泊まりいいかな?」
「百合リン、どうしたの?」
「んもう、聞いてよ。パパったらあたしのマキちゃん寄こせっていうの。その代わりラムちゃんと今日納めてもらったボンネット4×4ダンプやるからって」
「はああ?」
「実はお兄ちゃんが後二軸駆動ダンプ見つけて買ったんだよ。それを明日お店から取ってきてだって。直す所あるみたいだけど、その後二軸駆動ダンプを自分でも使うみたいで」
「もしかして笠木さんのお店に?」
「そうなの。委託販売であるの。自力で走れるからそれとってきてって。お休みのあたしにだよ。なんだと思ってるのかしらね。聞いたら雅子たちもお店に行くっていうから一緒にと思って来たの」
「いいけど、じゃあ、3人で乗って行こう。お兄ちゃん、KL-PK262NFZ(ウイング式荷台+スライド+ウインチ)は3人乗れるよね」
「乗れる、行きは一台で帰りは2台か。それなら僕と雅子で行けば大丈夫。百合ちゃんが行かなくても大丈夫だよ」
「良いの?」
「良いわよ。あたしとお兄ちゃんが行くから」
「お願いしちゃう。このところ忙しくて寝たいのにと思ってたよ。ここで寝かせて?」
「良いよ。明日はここでゆっくりしてな」
「ありがと。雅子、そういえば雅子は総輪駆動のトラック買ったよね。それで何かするの?」
「エンジンはターボ付けて脚を弄ってオフロードで遊ぶの。それくらいだよ。エンジンは仕様決めたけど脚はまだわかんないから隆弘さんに聞きながら弄るよ」
「あたしもそうしよう。ボンネット総輪駆動の脚を弄って遊んじゃえ。パパってダンプ4台もあるもんだからせっかく車検取ったのに会社で使わないであたしに乗れだもんね。お兄ちゃんもママも古いの好きで排ガス対策無い車探して買ってくるんだもんな」
「良いかもね。これってうちでメンテかな?いいけどね。このところ忙しかったもんね。ゆっくり休みなよ」
「ありがと。あたしも総輪駆動勉強しよ」
そう言って百合ちゃんは客間に行った。
「お兄ちゃん。なんかわかんないけど言ってた通りになったね。百合リンもボンネット総輪駆動でオフロードで遊ぶっていったらその通りになったの」
そう言う雅子の眼は何処か未来を見ているようだった。
注文の残りは丸松建設の車たちのレストアとスーパーのエンジン載せ替え
ダンプ2台の具合は?
いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。
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