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走り屋の妹(全年齢版)  作者: 浅野 武一
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第三話 初めてのビジターバトルにいく

「お兄ちゃん、来週は遠征だからね。隆弘さんが挑戦状たたきつけちゃってさ、ダウンヒルよろだってさ」


「やれやれ、この前勝ったからって」

「お兄ちゃん、来週は遠征だからね。隆弘さんが挑戦状たたきつけちゃってさ、ダウンヒルよろだってさ、○ミジラインだって」


「やれやれ、全く。この前ホームコースで勝ったといったってな。調子乗りすぎだろ」


その頃は盛夏がおわっていたが、まだまだ残暑が厳しい金曜の夜だった。

仕事から帰ってきた妹の雅子が通勤用の軽自動車から降りてリビングに入ってくるという。

どうやら雅子のスマートフォンにも連絡が行っているらしい。

その日は雅子が残業で遅くなって僕が先に家に着いて夕食の準備していた。


「どっかで練習いきたいよね。ぶっつけ本番って無理でしょ」


「よーし、わかった、雅子にとっては初めてのビジターバトルだ。如何に早くそこのコース攻略方法ををつかむかだ。ま、極端だけど、いつものところは目をつぶっても走れるだろ。そこまでとは言わないけどコースを全部覚えることだな」


「当たり前じゃん。でもさ、初めてのサーキットだってイメドラすれば大丈夫でしょ。下見した動画は来てるよ、ようつべでここのコースで走っている動画も見つけてみたよ。コーナーのバリエーションが多いんだよね。動画を会社のpcに送ってくるんだもんなー」


「ああ、僕もみたよ。このコースで速くはしるなら、雅子の未だに舵角大きくとってやや抉る様な走りをするところが残っているから進化させる必要あるからね。ここの峠は距離がいつものところより3倍くらい長いからタイヤ労われるかで勝負が決まるよ。しかも最後のほうがストレート長くてコーナーも大きくてスピード乗るからね、上のタイトでタイヤ痛めてしまうといくら上で差を付けてもふもとの近くの高速コーナーで追いつかれる。」


「さすが、お兄ちゃん、いまから下見に行ってみようよ」


「んー、じゃ、サンゴでいってみよ、久しぶりだから準備に時間かかるけどその間着替えて飯食べよう。そうすれば時間の節約だ」


「そうね、この制服じゃね」


そういうと、僕は新品のエンジンオイルを規定量はかって鍋に入れて火にかける。

80度になったところで火を止め、サンゴのオイルフィラーから投入した。

チューンしたばかりの○Bなので簡単には扱えない。

慣らしさえ終わればいいのだが、仕事の関係でなかなか距離が伸びていない。

既定の量を入れ終わるとバッテリーのマイナス端子をつないで、念のためブースターもつないでエンジンを始動する。

くううっ、シュバッバッブルルルーンとエンジンが目を覚ます。

アイドル時の音を聞きながら、異常がないか確認して、異常がないとわかったらそっとリフトにうつして、持ち上げる。

タイヤが浮いたところでギヤを2速にいれてアイドルのままエンジン水温が80度くらいになるまでまつ。

その間、僕も店の名前が入ったつなぎを脱いで、いつものサポート用つなぎに着替える。

雅子もスーパーの制服を脱いでジーンズとドライビングシューズに着替えてきた。

二人で作っておいた飯を掻っ込む。


「じゃあ、シュッパーツ」


僕の隣の席で言う妹の佐野 雅子、普段は軽自動車で麓の会社に通って3年目の21歳。

高卒で入った地元スーパーの本社で経理をしている。

雅子は地元の商業高校を断トツ1番の成績で卒業して、商業簿記2級、電卓検定初段、キーボード早打ち選手権全国準優勝、エクセル1級、アクセス1級、ビジュアルベーシックなら任せての技能をもっていたので、地元資本の大手スーパーの経理部に学校推薦で入って高卒ながら3年目の今は大卒3年目と同じくらいの給料をもらっている。

それは自分で、各店舗から集まる情報処理集計システムを組んで採用されたのだ。

そのおかげで今まで買っていたソフトが不要になった。

しかも妹が作ったソフトのほうが勤めている会社に事情に合っているのと、パソコンになら大体標準で入っている○クセルを使うので、他に導入費とメンテナンス費用が浮いた。

万一、おかしなことが起きても、雅子がすぐに治せる。

それも褒美もあって、雅子は異例の速さで主任に昇格してしまったのだった。

それに自動化を進めた結果、経理業務が効率化され間違いが相当減っていて確認作業が今までの10%も無くなったらしい。

その効率化のやり方が認められ、高卒の3年目に入ったときに主任に昇格してしまって、部下を持ってその指導もするようになったという。

7月からは今年入ってきた大卒を指導しているのだから驚く。

その雅子がバトルに行くと言っているのは峠だ。

雅子は峠を走り始めて既に4年目になっていて、その地域でトップクラスの速さになっていた。

得意なのはダウンヒルで、大Rコーナーにノーブレーキで入って全開のままドリフトさせっぱなしで抜けられるのはここらでは雅子しかいない。

ダウンヒルなら、雅子が一番だ。

運転している僕:佐野(さの) 悟瑠(さとる)は妹より4学年上の24歳。

大学を卒業して家業の中古車屋に就職した3年目、大学の頃は自動車部でラリーやジムカーナをやっていた。

今はそこで中古車の納車前整備や修理をしていて、時には中古車査定もする。

大学のころから家業の手伝い=バイトしていてMIG溶接機や、フレーム修正機はバッチり使えるようになったし、板金も大分できるようになったし、○ントリペアも勉強して資格もとった。

中古車で人気がないが、程度のいいFRを見つけては整備して雅子の走り仲間へ売っている。

今ぼくらは僕の同級生がリーダーを務める走り屋チーム碓〇ブルームーンズにいる。

僕はそのチームの整備係になっている。


「お兄ちゃん、お兄ちゃんってさ動画見るだけで、簡単に的確にアドバイスできるし、実際走ればあたしよりも速いのに、走らないのもったいないよ」


「いいんだよ、僕は一回しか走れないんだよ、集中力が続かないからね。ラリーやってたのもあってね、振り回すんだよね」


「まあ、一発勝負ならってことね、それであたしの振り回そうとする走りって言うのがわかったのね」


「ま、そういうことだよ、とにかく、実際コース見て見ておかしなところとか、この前みたいな側溝に落ちるとかないか見ないとね」


「OK」


そういうと僕らはアジトとしている祖父母が住んでいた家を出て高速入り口に向かっていた。

祖父母は病院に通うのに不便ということで、僕らのお店付の実家にいる。

それと入れ替わりで雅子と僕が祖父母の家に住んでいる。

この前からでイチゴちゃんも進化した。

整備の時にロールゲージを組んでいるリアフロア着地点の溶接に亀裂がみつかったので、鉄板を加工して補強し直した。

直すついでにリアのフロアアンダーフロアブレースを作り直して、センターサイドメンバーとリアフロアサイドメンバーのつなぎを雑誌を参考に更に強化した。

そのおかげもあって、イチゴちゃんは後ろのスタビを強化できて、トラクションの掛りが更によくなった。

その代わりだが、向きがきちんと変わる前や舵角が大きいときアクセルオンするとプッシュアンダーが強めに出る。

妹はその特性の変化になれようとしていた。

妹がサンゴちゃんといっているのは○35○ーレルだ。

○34GTRの部品とイチゴちゃんの部品、80○ープラのT/M部品をつかっていじってある。

特製のクランクと○B26用のビスカストーショナルダンパーを組んであるので、オセアニアむけ○ファリのブロックを使った3リッターNA仕様で9000まで回せる。

もちろん、ベッドは26ヘッドにしてある。

最高出力もNAながらも約295KWを8600回転で叩きだす。

見かけは純正のリアスポを組んだだけであるが、フェンダーのたたき出しと爪折を目立たないようにして235/45R-17を○33GTRのホイールに組んで履いている。

ブレーキも○33GTRのものを組んである。

オイルクーラーも組んでいて純正のインタークーラーの場所に組んであるのでパット見では全く分からない。

しかし、室内を覗くと只ものでないことがばれてしまう。

純性にない6MT仕様で水温計、油温計、T/M油温計等の冷却関係の各メーターがダッシュボードに並んでいるし、車内にロールゲージを組んである。

T/Mは○34GTRのおかまと80○ープラのお尻を組み合わせ、ペラは某製作所特注の強化競技用をサンゴちゃんのホイールベースに合わせて作ってある。

ファイナルはトルクに余裕があるので3.7にしてある。

オイルポンプ焼付き対策でドライサンプにしてるのもこの車のポイントだ。

この車は後ろのボディー構造がイチゴちゃんと同じなのでこれで強化の効果を試して、イチゴちゃんのボディー剛性アップになる様部品開発していたのだった。

サンゴに各計測機器をセットして現地に向けて出発した。

家の最寄りのインターから高速に乗って高速を目的地に向かってひた走っていた。


「お兄ちゃん、イチゴちゃんね、今までだと踏めなかったところから全開できるんで更に速くなったよ。後ろ安定してるっていいよね」


「よかったねー、さすが雅子だよ、もう乗りこなしてるんだね」


「最初はねちょっとアンダー強いねって思ったけど、舵角減らしたコーナリングと荷重移動でしっかり向きが変わってさえいれば、今までならテールスライド考えて60%しか踏めないところでも100%の全開よ、その分速くって。これいいわよ」


「そうか、雅子に良いっていってもらえてよかったよ」


「もちのろんよ、このサンゴちゃんで開発したパーツだもんね」


「そうだよ。今回は宿題あるかみないとね、雅子もこのサンゴちゃんで走って感触つかむんだぞ」


「OK、サンゴちゃん乗るの初めてだけど楽しみかも」


そういって言いながらしゃべっていると雅子と僕は現地についていた。

下からゆっくり登っていく。

サンゴちゃんの前後左右にカメラを着けていて、画像をとってきた。

僕は各コーナーでのギヤ位置とエンジン回転、スピードのデータも同時に取った。

GPSとヨーレイトセンサー、車両前後につけた3方向の加速度計も使って軌跡も記録した。

登り切ったところで向きを変えると下りは雅子がハンドルを握る。


「うーん、お兄ちゃん、ちょっとサンゴちゃんイチゴちゃんよりも前が重いからかな?それにホイールベースながいよね。その分考えて走るね。あとはミッションのギヤが高いんだよね。6割以下でいくね」


そう言って雅子はスピードをあげる、本人は60%と言っているが、その走りは普通の21歳の女の子の走りではない。

トーヒールは完璧でクラッチつなぐときに全く回転にずれがない。

測っていると、時々7m/s2近い旋回加速度でコーナーを抜けている。

ブレーキも踏み始めが優しいので気が付きにくいが、同じく時には7m/s2以上で減速する。

とにかくスムーズなのだ。


「このへんって舗装の荒れひどいねー」


「うん、ここは捨てよう、ここはタイトなんだから、前に付いていければいいよ」


「うーん、そうなるとここは次のコーナーにつなぐのね」


「うん、このコーナーは絞りがきついから、前のコーナーをやや外目にして制動距離取ろう。ここはで抉る走りをすると一気にタイヤに来るぞ」


「はーい」


コーナーいくつか過ぎた、急にストレートが長くなる


「ここから高速ステージだ、一気に速度上がるから対応するんだぞ」


「うん、ここからね、たしかに、えー?3速でここまで?」


サンゴちゃんで3速7500までまわっている


「イチゴちゃんなら4速行くぞ」


「いきなりだねー」


雅子はそのまま連続するコーナーをそのまま3速で抜けて行く、2速主体のタイトから、3速、4速主体の高速への切り替えもうまい


「最終はきついね、下手するとここで失敗するとリタイヤになるよ」


「もう、気がぬけないのね。落とし穴いっぱいね」


「そう願うよ、ちぎってきて最終でコースアウトリタイヤなんて、落とし穴だね。コースを熟知しないとまずいよね」


「来てよかったわよ」


僕らは下見した後、家に帰って動画や取ったデータの分析をしていた。

雅子はエクセルデータ落としたらマクロで軌跡から速度、ギヤ位置までわかる分析ソフトを作っていたので、分析中はコンピューターに任せて一眠りしていた。


「お兄ちゃん、ベストライン外すと1秒以上ロスするね」


朝に分析結果をみた雅子が言っている。


「そうだな。バトルの時はベストラインは取れないから早くちぎればいいよ」


「そうね」


「今日の夜はバイパスに行って高速コーナの練習するぞ」


「うん」


次の週、僕と雅子はローダーにイチゴちゃんを積んで集合場所の駐車場についた。

走りや仲間もきた。


「雅子、調子はどうよ?」


「ちょっとイチゴちゃん進化したから、ここに合うようにセットするよ」


「今日も頼んだぜ、ダウンヒルじゃ雅子がチームのトップだからね」


「ま、何とかね、隆文、クライムはヨロね」


「OK」


そういうと、雅子と僕はイチゴちゃんで足回りのセッティングを確認する。

分析ソフトの結果を入れてきたといっても現地での調整はいる。


「うーん、ちょっとお尻フルフルね」


「だねー、あ、そうか、フロントダンピング3つ挙げてみよ、タイトに合わせすぎたかも」


「うん、ちょっと戻ってもう一回ね」


「雅子、舗装のあれが思ったよりきつい、これでだめなら、フロントタイヤをこっちにしてみよ」


「うん、でもまず、ダンパーでみてね」


もう一回下る。

こっちのほうがいいと雅子はいう、フロント落ち着いて踏めるとして、タイヤはこのままでいくことにした。

チームのもう一人のドライバーである隆文は雅子の一つ上でチームリーダーの隆弘の弟だ。

乗っているのは○ンプだ。

これはエンジンを2.2から2.5にしてパワーを稼いでいる。

300kw仕様だ。

他にはロールゲージを組んである。

ブレーキはイチゴちゃんと同じだ。

こちらのセッティングが終わってここのルールを説明して開始だった。

ここも狭いので地元と同じ後追い方式にだった。

先行、後行を決め、先行が10秒以上話してゴールすれば勝ち、それ以下なら入れ替えわってやり直しだが、ここの場合、前走で6秒以上差がついていたらその差の秒数以上離してゴールしないとその時点で負けになる。

すなわち、6秒離されてゴールしたら、次の回6秒以上離してゴールしないと負けになるのだった。

この部分だけちょっと違っていた。

今回は先にダウンヒルで雅子は先行だった。

相手はクリオスポールだった。

ボディー周りをしっかり補強していていい排気音もする

イチゴちゃんのタイヤをざっと自分の目で見確認して乗ろうとしたときに、


「おめえ、ビジターが美人でも手抜きすんなよ。完膚なきまであおってやれ」


そう相手チームリーダーらしき奴がいうのが聞こえる。

ピキッと雅子が反応する。

乗り込んでドアを閉め、ベルトを締めると


「へん、いいこと言うじゃん、こっちもやってやろうじゃん」


もう完全に雅子はバトルモードに切り替わった。

雅子が乗ってしまった。

走りや仲間も”こりゃいけるぜ”という顔している。

そう、雅子は普段の生活ではおくびにも出さないが実は負けん気がめちゃくちゃ強い、その負けん気で突っ走っている、

僕をナビシートにのせてスタートだ。

スタートコーナーを立ち上がったところで、雅子はフルスロットルをくれる。

しばらくはタイトが続く、


「雅子、まずは7500以下でまずは走れ、舵角は片手ハンドルバトルを思いだせ」


「え?ははーん、何かあるわね、いいわよ」


2速でタコメーターの針が7500に近づく。

3速にたたき込んで更に全開、1コーナターンイン前で2速におとし、しっかりインを締めて下る。

次はすぐ来るが、7500でシフトアップして、またすぐ2速にダウン。

ここもしっかりインを締めてしかも片手ハンドルバトルを意識して荷重移動を目いっぱい使って走る。

タイトではフロントを極力労わって走り、高速ステージにきた。


「雅子、ここでも7500でいくぞ、勝負は2本目だ」


「やっぱりね、任せて」


高速ステージでも同じように回転を抑えて走る、が、残り4つになった時クリオが高速の立ち上がりでやや遅れる。

相手の作戦に気が付いた僕は変更した。


「まさこ、次の3つは9000で行くぞ、」


「え?いいの?」


「最終は気を付けろ、目いっぱい行くぞ」


僕は雅子に指示を出した。

一気にレッドの9000を目指すイチゴちゃんのタコメータの針

間隔が一気に開く、虚をつかれたようなクリオはシャカリキになってきた。


「いいぞ、雅子、次の右は対向車なし、目一杯2車線つかえ。ベストラインだ」


「はいよ」


最終の一つ手前、4速全開で抜けて行く。

クリオは5秒は離れたようだ。

軽く窓を開けていると、相手がレブリミッターに当てる音がする。

予想通りだ、ここだけギヤが合わない。

最終を慎重に抜けて雅子がゴールイン、クリオは何とか8秒遅れて入った。


「お兄ちゃん、さては相手の作戦に気が付いたね」


「そうさ、あいつは5秒遅れで入って、タイヤ温存作戦だったんだよ。こっちの作戦読まれてね、想定の範囲内だから裏かいてやった。レブに何度か当てているから、下手すると途中でブローかもな、ルノーエンジンは当たりはずれでかいんだよ、f系は特に。これも作戦の一つさ、クリオのギヤ比をいれると残り3つだけ合わないんだよ。あと一伸び不足するんだ。はまったね。7500ならいけるけどね」


「さっすがー」


今度は前後入れ替えてスタートだった。

スタートコーナーを抜けまた雅子はフルスロットルだ。


「まさこ、タイトでインを狙え、そうすれば高速ステージのどこでもいいから相手ははらむからインを突け、多分もうブロックできない。並べば勝ちだ」


「いいわよ」


そういうと、雅子はターンインを重視して入ってインを突く。

9000までぶん回すので伸びが一伸びちがう。

相手は3つめあたりから、外にはらみだした。

クリップに着けない。


「よし、もう一突き」


「はいよ」


雅子はさらにインに入ってプレッシャーをかける。

クリオがまたリミッターにあてる。


「まさこ、後3回当てたらフェイルに入る、行くぞ」


「いいわよ、さすがー」


タイトも残り4つだ、各コーナーのアプローチで相手のラインの自由度を奪う。

それから逃れようとまた踏み込んでいくクリオ。

また、リミッターに当てる


「よし、次の高速で仕留める。インから行けるぞ」


クリオが高速ステージ入って立ち上がりでまたリミッターにあて、進路がみだれ車が外にはらんだ。

高速でそれは痛い、イチゴちゃんにあっという間にインに入られた、3速9000まで引っ張り雅子はフルブレーキ、クリオ抜き去った。

そのまま高速コーナーを攻め、ゴールイン。

相手のクリオはイチゴちゃんのあと7秒後にゴールインすると同時にボンネットから大量の白煙と下から黒々としたオイル、黄色いLLCをまき散らした。

エンジンブローだ。

相手は積載を呼ぶ算段をしていた。


「やっぱりなー、多分、ヘッドからオイルが戻り切れなかったんだろ。それがブローバイから吸気系に入ってオイルハンマーだ」


「お兄ちゃんそれわかってたでしょ」


「そうだよ、調べてきた。もっと言うと、あのエンジンは冷却が出口制御だからさ、今の時期はバトルならサーモ取らないとサーモが高温で逝って即オーバーヒートするんだ。サーモも品質悪くってサードパーティーのほうがいいんだよね。多分、1回目で雅子につきすぎてオーバーヒート気味でサーモがやばかったかな。もしかしたらラジエター容量あげてないんじゃないかな?」


「なーんだ、へぼいねー。まあやったね。じゃ、戻ろっか」


「ああ。積載に積んで帰ろ、隆文たちの応援しながらだね」


「そうね、相手は同じメガーヌよ、登りならインプなら楽勝じゃん。トラクションの係りが違うでしょ」


結果は雅子の言う通りで、先行で逃げ切った隆文がぶっちぎりで勝利した。

その日は隆文たちは朝から用があるので上で帰るといっていたが、僕らは観光するといって下道を走る。

一旦北に抜けて道の駅になっている牧場に寄って人眠りしていた。

朝になってお店が営業開始すると美味しいソフトクリームに舌鼓を打っていた。

そこからの帰り道、日光を抜けるところでお昼になった


「そうだ。ここのそばも美味いんだよな」


「うん、鮎の塩焼きもあるじゃん」


「そうだね」


「そば定ってあるじゃん。川魚の刺身付き。それにしようよ。お腹すいちゃった」


「それもいいね」


僕らは美味しいお蕎麦と刺身、ご飯を堪能して家に帰った。

雅子の腕が上がったことがわかった日だった。


いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。

今回はここで更新します。


雅子と悟瑠のコンビはどんな進化するのか?

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