第二十九話 レースお預けの雅子と移動キッチンと移動事務所
整備する車が溜まってレースお預けになった悟瑠と雅子
家業にまい進する2人
「すっごーい。雅子って」
百合ちゃんが見ていたのをすっかり忘れていた。
「百合ちゃん、ワリイな。完全に雅子のことばっかりで」
「いいんですよ。雅子って走るの好きだもんね。ここでフルに走っていいんですか?相手に手の内さらすようで」
「いいんだよ。雅子はここ専用のセッティング見つけたよ。いい状態だ。多分セッティングのために走ったんだよ」
「はああ、雅子がまた遠くに行っちまったな」
「隆文、考えて走れって言うのわかっただろ」
「兄貴、まずは雅子に追いつくぞ。おれもTSカー出る。KP61で行くよ」
「そうか。応援するぞ」
雅子は5車身引き離してファイナルラップに突入していた。
ファイナルラップを危なげなく走って戻って来た。
その後は雅子が買ったという部品をキューピーちゃんに積んで、帰ってきた。
雅子は百合ちゃんが買った元レントゲン車のキャブオーバー4WDに乗って帰ってきていた。
そのまま、百合ちゃんは僕らのアジトにお泊まりして雅子としゃべっていたのだった。
次の日からの仕事の段取り組しているうちに寝落ちしていた。
休みが終わった次の日から僕と隆弘、隆文、そして新しく来てくれた3人と古株の職人たちは作戦を考えていた。
社長の親父から工場内に溜まっている大型車を他の仕事ができないから何とかしろと発破がかかってしまった。
「ええと。まずはボンネット6×6ダンプとスーパーのキッチンカーか」
「はい。工場長。ボンネット6×6ダンプのミッション強度は大丈夫ですかね?」
以前から見ていたという廃業した工場から来て頂いた3人のうち一番年配のリーダー格の人が聞く
「まあ、ターボ効かせて1500回転迄上げてドカンとやればやばいけど。海外サイトも見ると結構丈夫に作ってありますよ。それに予備のミッションも在庫あります。駄目ならP系エンジンのミッションにします」
「それならいいかも。ターボは出力のためですか?」
「それもあるけど半分は黒煙対策ですよ」
「そうですね。生だと黒煙すごいですもんね」
「まあ。ボンネット6×6ダンプはエアクリーナーも性能いまいちなんで新型の物に換えます。そのためにキャビンを載せ替える。松尾社長の希望なんですよ。タコメーターも欲しいとか言ってた」
「ああ、松尾社長は好きだもんな。それでは僕らはボンネット6×6ダンプにTXD33Aのキャビン乗せのをやるんですね?」
「お願いします。すみませんが渡辺さんと鈴木さんはKC-RM211GANをキッチンカーに。内装に取り掛かる前に外板の錆を見て外装の塗り替えもお願いします。図面は来てます」
「はい。これは?お弁当屋さん仕様ですか?」
「はい、車内で電気炊飯器と電気フライヤーを使うんで上手く振動が入らないように台をフローティングで。専用品じゃなく業務用使うんです」
「はい。丸松のお嬢さんも好きですよね。俺たちが作った車で買い物難民やお弁当難民が助かると思えば嬉しいな」
「いいことにKC-RM211GANはエアサスなのでリーフよりは振動は少ないはずです。ベローズ交換とセンサー調整が要るかも」
「エンジンはいじらないんですね」
「はい、でも現状販売なんでメンテお願いします。オイル交換とかフィルター類」
「工場長、図面も印刷お願いします。厨房機器はきてますね」
「はい、フライヤーと炊飯器ですね」
「へえ、注文販売型式でなんですね」
「そうです。ネットでの予約もOK」
「いいなあ、実家のところにも来て欲しいよな。親は飯作るのも大変とか言ってるよ」
「うちのところにも欲しいよ。在宅でカミさん仕事しててお弁当やファーストフード買えるのはいいよ」
作業してくれている人たちがワイワイ言いながらやっている。
僕と隆弘たちは休み明け初日は車検で来た車や百合ちゃんのスーパーの定期点検をやっていたのだ。
次の日のお昼前のこと
「工場長、ボンネット6×6ダンプにTXD33Aのキャビン無事に乗りました。ちょっと全体的に浮いた感じで少し違和感出るけどおかしくなさそう」
「おおお、これくらいならいいですよ。総輪駆動なんでフェンダーとのクリアランス必要ですから」
「じゃあ、今は仮に固定してるんでマウントの位置決めて作ってこれで行きます」
「お願いします。これならエンジンルーム内にインタークーラーとエアクリナー入る。外観ノーマルで行けそう」
「松尾社長のポリシーですね。外観ノーマル、中身ギンギンは。ちょい古のセドリッ○買った時なんて嬉しそうでしたよ。」
「ああ、サザン君だね。350psにしたやつ」
「へ?知ってるんですか?」
「僕が作った車ですよ。雅子がかつて乗ってました。もとが4WDなんでGTRの部品移植して作ったんです」
「へえ、工場長と松尾社長は合いそうですなあ。ちょい古の車が好きで。私たちはキャビンの修理しますよ。いいことにボンネット6×6ダンプとドアが共通だから錆びてるTXD33Aのドアはオリジナルに交換しましょう。そのほうがつぎはぎするより早い」
「よろしくお願いいたします。僕らはボンネット6×4ダンプのターボ化しますので」
「工場長、次はキャブオーバーバスですよね。修理してこれは移動事務所ですか?それとも何か?」
「まだ聞いてないですね。松尾さんに聞きますよ。キャブオーバーバスの次はキャブオーバー4WDを移動事務所にする依頼来てます。キャブオーバーバスは今の現場で使うのかな?」
「ああ、松尾社長は現場飛び回っていて大変ですからね。今はダムの底ざらいなんでパワーアップしたバスで仕事してますよ。サロンバスなんでテーブル広げて。今の現場は本社と現場が離れてて移動が大変だとか。キャブオーバー4WDの移動事務所は若の専務が他県のダム工事に使うって聞いてますよ。お嬢さんに頼んで探してもらったとか」
「そうみたいですね。ターボとか言ってきそう」
「主に専務が乗るならそのままでいいかな?あ、でもエンジン換装かも。10PCから10PDあたりに。若は生エンジンが好きなんですよ」
「はああ、親父がマニ割やりそうだ。別に電源用のエンジン積んでるからアイドルする必要も無い。あ、そうかレッカー車から外したマニ割りのエギゾーストマニフォールドがある。うわーやべえ、簡単に出来る。」
「悟瑠、決まりだな。エンジン積み替えマニ割り」
「アハハそれはいいですね。普段は快適な移動事務所、走るとドコドコなら。松尾さんの若はマニ割り系のマニアですよ。デュアル四本出しが好きだそうですよ。そうだ。松尾社長ならこの前納めたダンプカーもターボにしてとか言いそうですね」
「はああ、さきに準備しておこう。隆弘。人も」
「悟瑠、その通りだな。先手打って準備だろ。ボンネット6×4ダンプが仕上がったら順番に一台ずつきそうじゃん。ミッションも探しておく?」
「KL-CW55XHUDはゴーゴーくんの例があるからその部品で何とかする。KL-FS1KKCDは形上はF21Cにして中味はF20Cの方がいいかも。ルーシーちゃんと同じにすれば部品もわかっているから楽だよ」
「そうだな、そうか、あのエンジンはボア間隔狭いからライナーで厚くするんだろ。厚み確保して音対策して」
「うん、出力、トルクもルーシーちゃんと同じく520psの190キロがいいところだろ。それ以上だとミッションが持たない」
「そうだな。松尾さんなら排気量は最低でも19リッターは欲しいって言うだろ」
「直ぐに雅子に部品発注準備してもらおう。とにかく僕らはボンネット6×4ダンプのターボ化が先だな。公認は取ったからターボつけて排気作ってか」
「おう、今週中に仕上げよう。このままじゃあ、車の置き場が無くて他の仕事が入らない。悟瑠と一緒に作ったマニ割りV10ダンプの車検も来てるんだよ。マニ割にして初めての車検だよ」
「来週の後半だな、ダンプのターボは遅らせよう。マニ割りV10ダンプは来週後半に車検やっちゃおう」
各人が仕事していると工場に雅子がやってきて
「お兄ちゃん、さっき百合リンから連絡が来ちゃった。U-RB1WEAAが納車されたから持っていくんでヨロだって」
「まあ、いいや。っていうか今は置き場ないよ。それに段取りを話してないから、スーパーに聞きに行って来よう」
「うん。キッチンカーでどうするかね。お惣菜車とお弁当販売車の作り分けわかんないよね」
「百合ちゃん次第だなあ?コンセプトも聞いて無いじゃん」
「うん、それの件で百合リンが話したいんだって。ちょっと悩んでるみたいね」
「なんだろうね」
「うーん。あたしもわからない」
「百合ちゃんに会ってくるか」
「あ、もうここに来てるよ」
雅子が自分のスマートフォンを見て言う
「え?まさか車持ってきた?早っ」
「そう、せっかちなんだから。連絡来たと思ったら、来たよだもんね」
「百合ちゃんの帰りには親父のいい子ちゃんを使ってもらおう。それなら置き場出来る」
「そうね、大きさ一緒だもんね」
「隆弘、ワリイが一緒に来てくれ。U-RB1WEAAの製作コンセプト聞こう」
「おう、総菜のキッチンカーと言ってもだなどうするか聞いた方がいいな。隆文。アルバイト君とでボンネット6×4ダンプのエンジンルームの配管と排気系やってくれ」
「はいよ、兄貴、このインタークーラーつけてオイルクーラー強化?排気は左右出し煙突フルデュアルだよね」
「おう、ラジエターはすでに強化品だ。エアコン忘れんなよ」
「はいよ。オイルクーラーもだな」
「頼むぞ」
僕と雅子、隆弘は事務所に行った。
すでに百合ちゃんと雅子の元上司が来ていた。
「百合リンったらせっかちなんだから。キッチンカー1台目に取り掛かったばかりだよ。搭載する什器が昨日やっと来て」
「雅子、方針が変わったの。お惣菜を先にやるのよ。デリバリーっていうか、その地域にいるフードデリバリーサービスと連携して配達もするの。取りに来てもいいけどね」
「なるほどね。でもさあ、それならお弁当用の車にお惣菜乗っけてもよくね?前側のスペース余ってるよね。お弁当の事前予約を主で。アプリ使えない人がどのくらいいるかだけど」
「雅子、電話注文もOKにするよ。メニュー渡して。二人で回るからね」
「車内でおまたせしないようにするならお惣菜使ったお弁当にしたらいいじゃんね。店舗でやってるじゃん。プラスで何かつけて華やかにするとか」
「あ、そうか。俺って馬鹿だ。街のお弁当やとの競争ばっかり考えてた。店舗でやってる材料に容器を変えるとかで行ける」
「あたしも。そうかスーパーの店舗で売ってるお弁当でいいじゃんね。ヘルシー系とか」
「路線変更。佐野さんが抜けたのは痛いなあ」
「雅子の発想には感謝よ」
「百合リン、設計変更よろしく。ちょっとお弁当のキッチンカー方は内装の改装止めるから。軽食系のキッチンカーは予定通りやるよ」
「あ、そうだこのU-RB1WEAAお惣菜やらないならどうしよう使われず眠っちゃうじゃん」
「松尾さん。それは大丈夫。U-RB1WEAAは窓を改造して道の駅のキッチンカーにする。メキシコから来てる人いるでしょ。メキシコ料理やるから。タコスとかブリトーストとか」
「百合リン、良かったね」
そう言って百合ちゃんと小型のキッチンカーについて話している妹の佐野 雅子。
最初は峠のバトラーだったが、負け無しの、まま卒業してドリフト競技に参加、3回も優勝してしまった。
今はTSカーを作ってTSカップのレースデビューしてしまった23歳。
普段は家業の中古車販売兼整備工場の仕事に従事している。
お店には大型9メートルカテゴリーのニジュちゃんと呼んでいるバスを改造した貨物車のU-RP210GAN改275ps仕様、またはエムエム君と呼んでいるこれまたバスを改造した貨物車の○アロスターMMのMM618J改の300ps仕様で通勤している。
時には僕のバスコレクションから乗ってみたいバスを選んでは自分で運転して僕らが住んでいるアジトと言われている元祖父母の家から大きな市内にある実家が経営している中古車版売店兼整備工場のお店に通ってる。
家業では経理担当の副社長になっている。
普段は車両の仕入れ、売却、メンテナンス部品手配や整備した車の納車が主な仕事だが整備も好きで整備士の資格を取っているので、時には整備工場に来てお客さんの車をメンテすることもある。
工場が立て込んでいるときは僕らが住んでいるアジトと仲間たちから呼ばれているガレージでもお客さんの車を積載に乗せて来てメンテすることもある。
雅子は地元の商業高校を断トツの1番の成績で卒業して、在学中に商業簿記2級、電卓検定初段、キーボード早打ち選手権全国準優勝、エクセル1級、アクセス1級、ビジュアルベーシック1級を取っていて事務系なら引っ張りだこになるくらいの技能をもっている。
その雅子は進学せずに高校卒業後すぐ入社したスーパーでわずか4年チョイという異例の速さで係長まで出世して、同期からは初の高卒30代女性役員誕生かとうわさされた。
しかし、当の雅子はいろんな車に乗る仕事したいと言ってあっさりスーパーを退職して家業についてしまった。
なぜなら雅子はスーパーでは出世することに全く眼中になく高卒ながら大卒でも7年はかかるはずの係長に5年目でなって大方の大卒5年目よりも多くの給料をもらっていたが事務所で仕事するのは性に合わないというのだ。
雅子は家業に従事してからは危険物、大型2種免許を取ってしかも整備士の二級免許、牽引免許も取ってしまったほどの車好きだ。
雅子はこのところGHATGTPやロボタイズのようなプログラム組むのが好きなこともあって自分のドリ車のエンジンの制御コンピューターも自分でプログラム組んでいた。
僕は雅子にエンジンを載せ替えたトラックのBCMのフルコンのセッティングをお願いしたらきちんと仕上げてくれた。
それに最新の点検機器も扱えるので整備の面でも助かる
他には実家の規模に合わせたいろんな経理システムを組んでいて、両親も大助かりといっている。
何せ、しっかりとお店の財務状況がわかるようなソフトを作って管理しているので、今までのように確定申告のときにバタバタだった準備作業が雅子の組んだソフトのお陰ですべてデータとして蓄積されていて簡単にネット上で確定申告できるようになっている。
確定申告の時期は例年何日も夜なべして伝票整理、資料記入していたが、全くすることがないのだった。
部品の発注も整備の受注もネット上でできるようにしてあるので電話での対応も減っていてその分営業に時間がさけると営業担当の父親と母親は喜んでいるし、僕もネットで事前に不具合の状況を画像等でもらっているので修理箇所の予測がつけやすくなって仕事が早く進むと喜んでいる。
雅子は僕の古くからの友人で整備工場の副工場長をやっている隆弘がリーダーを務めるチームいて、そこでは僕と共にサブリーダーになっている。
ホームグラウンドでは断トツトップの速さで時には新たにチームに加入してきた後輩たちの運転指導もするようになっていた。
雅子が得意なのはダウンヒルで、大Rコーナーにノーブレーキで入ってアクセル全開のままドリフトさせっぱなしで抜けられるのは、チームの中ではいまだに僕と雅子しかいない。
それにサーキットを走らせたタイムもダウンヒルのタイムもチームの中では一番だ。
ドリ車を作ってでた競技で出場5回で3回の優勝してしまったほどの出来だった。
しかも優勝した3回はすべてドリフトとレース両方でトップという完全優勝だったのだ。
帰りのローダーの中ではもらったトロフィーを持って嬉しそうに笑っていて、やっぱり表彰台は真ん中がいいといっていた。
今はTSカーでレースしたいと言ってデビューしているのでこれも会社PRのためにスポンサーすることにしていた。
雅子の普段の運転はとてもスムーズで隣に乗るとついつい寝てしまうくらいだ。
普段は車を労って走らせているのがよく分かる。
かつては大型バスを使ったスムーズドライブ競争でもバスドライバーや、トラックドライバーのプロに勝ってしまうほどのスムーズさなのだ。
僕:佐野 悟瑠は妹より4学年上の3月生まれの26歳。
地元の大学を卒業して家業の中古車屋に就職して5年目、大学の頃は自動車部でラリーやジムカーナをやっていた。
今は家業の中古車販売店、整備工場で中古車の納車前整備や車検、修理、一般整備もしていて、時には中古車の買い取り査定もする。
大学のころから家業の手伝い=バイトしていてMIG溶接機、レーザー溶接機、フレーム修正機はバッチり使えるようになったし、板金も大分できるようになった。
また、○ントリペアも勉強して資格もとった。
それに、カラスリペアと危険物の免許も取って玉掛けも資格を取っているので入社4年目の4月から整備工場の工場長兼副社長をしている。
大型免許は大学在学中にとってさらに就職してから直ぐにけん引免許もとっているので、オークションに買い付けに行く時には自分でキャリアトレーラーを運転していくこともある。
キャリアトレーラーも中古車で買ったものでもある。
2級整備士の資格も取ってあるので運行の管理士になれるのもありバスも持ちたい放題だ。
それを良いことに中古だが、観光バス4台と大型路線バス5台もってしまった。
妹の雅子がメインで使っているバス含めて全部ターボにしてパワーアップと同時に黒煙対策している。
特に唯一のKL-規制対応のゴーゴーくんはDPDが付いているのでエンジン本体での黒煙を減らしておきたかったのだ。
11台のバスにはパワーアップに対応して止まる方も強化としてリターダーを追加している。
家業の整備工場は大型車の整備もするようになった関係で場所がいる。
そのために小型車のオイル交換等の軽整備は元々隆弘の親が経営していた整備工場に機器を移していてそっちでやることにした。
他に整備する工場としてはアジトと仲間から呼ばれている僕と雅子が住んでいるかつて祖父が経営していた製材工場跡のガレージでやることになったのだ。
アジトと呼ばれているところには車両をいじる設備として、すべて中古ではあるが、大型車対応のボードオンリフトが2機、大型エアーコンプレッサー、スポット溶接機、MIG溶接機、プロパン+酸素バーナー、レーザー溶接機、板金道具一式、定盤、2000トン油圧プレス、油圧けん引機、油圧ベンダー&カッター、ボール盤、旋盤、フライス盤、20トン対応天井クレーン、ワゴンしき工具箱、タイヤチェンジャー、バランサーまでそろっているので、メンテどころか改造迄できてしまう。
事実、ドリ車とTSカーはここでどんガラの状態から作り上げたのだ。
もっとも、スポット溶接機、レーザー溶接機、タイヤチェンジャー以外は祖父が現役の頃林業で道具や木材運搬車等が壊れると、そこで修理していたのでそれを受け継いだのだ。
2000トン油圧プレスは材木が反ってしまったときの修正用兼圧縮用でかなり大きいのだ。
油圧牽引機は木材で変形した運搬用トレーラーを直すためのものでその能力は200トンと聞いた。
それにアジトの敷地は木材搬送のために大型トレーラーが20台くらい悠々と停められる広さがあり、父親がこの場所を借りて中古車版売店を始めた場所でもある。
ここもお店の整備工場として登録してある。
僕らの両親はどちらも車大好きでそれが高じて中古車屋兼整備工場を経営している。
父親は元は大型車メインのディラーにいたが独立してこの店を立ち上げた。
このところ僕の趣味に感化されたのか中古のバスを3台も買ってきて全部をマニ割仕様して、それに乗ってどこどこ音をさせて営業に行ってしまっている。
それに会社のトラクターも若いころやっていた技術を使ってマニ割り+左右の煙突デュアルマフラーに自分で改造してしまうほどのマニ割マニアっぷりを発揮している。
エギマニは自分でマニ割仕様をステンレスパイプをベンダーを使って手曲げで作ってしまうほどの腕を持っていた。
若いころに大型車が主な整備工場に勤めていた時にはマニ割車を相当数作ってはお客さんに収めていた。
トータルでマニ割車を100台近く作ったというマニ割マエストロでもある。
その業界ではちょっと名の知れた存在だ。
そんな父親なので、整備工場では僕が工場長になったのを良いことに運送会社をやっている隆弘の親が経営していた整備工場を買い取り本格的に大型車も整備するようになった。
加えて父親は雅子の親友の百合ちゃんの父親が経営する建設会社の重機の整備も引き受けた。
以前建設会社の重機の整備をやっていた会社が廃業して、重機の整備が出来ないと困っていた話を聞いてその会社の重機の整備も請け負った。
親父は困った人見ると黙っていられないらしい。
母親の独身の頃はドリフト競技、ラリーに出ていたという位の運転好きだ。
かなり上手く入賞する位だったらしい。
競技に出ていたころ、ドリ車の整備と改造を当時大型車メインの整備工場に務めていた父親に依頼したのが馴れ初めで結婚したのだ。
乗用車の整備工場では見てくれなかったが、大型車メインの工場なのにうちの父親が仕事を引き受けていたのだ
この両親を見れば僕と雅子が車大好き、運転大好きになってしまうのは当然だろう。
「雅子、U-RB1WEAAの図面今日中作って送るよ。帰ったらメキシコの人に聞いて」
「百合リン、急ぎ過ぎはまずいよ」
「そうだけど、一月後道の駅でイベントあるんだよ。そこに間に合わせたいな。本格的なメキシカンで販売するの」
「百合リン。間に合うかのポイントは什器が入庫するかだよね~」
「什器は全部会社にあるのよ。鉄板焼き機もガスバーナーもイベント用なんで普段はお店の倉庫で眠ってるの。それを積んでほしいんだけど。車載用の冷蔵庫もあるし」
「じゃあさ、什器をここに持ってこないと」
「雅子、ニジュちゃん借りれない?」
「いいわよ。今からいくの?」
「課長いきましょうよ。今持ってくれば早くできるでしょ」
「僕と隆弘も手伝うよ」
「お兄ちゃん、よろしくね。あたしも行くよ。什器によって日程変わるから。百合リン、スーパーへ帰る時はいい子ちゃん使ってね。今うちに置き場ないんだよ。駐車場めいっぱいで」
「雅子、どうもありがとう助かる。リース車全部出払っててないんだよ。借りるね」
「いい子ちゃんマニ割だからドコドコ言うけどね」
僕らは百合ちゃんと一緒にニジュちゃんといい子ちゃんでスーパーの倉庫に行って什器を引き上げてきた。
コンロとフライヤー、鉄板焼き、簡易流し台も引き取って来た。
他には冷蔵庫とバイオ燃料もくれると言うので積んできたのだ
「いい子ちゃんのことはお兄には内緒にしよ。おうちに乗って行ったらキャブオーバー4WDをマニ割にしたいって言ってきそう」
「百合ちゃん、遅いよ。親父がマニ割にしちゃうよ。悪いことにもうマニフォールドあるんだよ。うちのレッカー車から外したやつが」
「はああああ。お兄は頼んじゃうよ。いくらかかってもいいって言って」
「それに、親父はマニフォールドはロハっていうよ。今のところ使い道無くて雅子に邪魔って言われてたから。捨てるなんてもったいないって言ってるんだよ」
「ああああ、やばいー決まりだー」
「百合リン。ってことは叩き重視で作るのかな?」
「お兄は鳴きもっていうよ。お兄はピヨピヨも好きだから。あたしはピヨピヨはあんまり好きじゃないけど」
「あはは、じゃあやるか。デュアルマフラーも好きとか?」
「うん。フルデュアルにしたらもうキャブオーバー4WDを離さないんじゃ?あたしのマキちゃんとか武蔵くんのフルデュアルが好きだって言ってるよ。ほんとは2台ともマニ割のフルデュアルにしたいとか」
「うちの親父と一緒か。筋金入りだ」
「いいや。どっちにしてもあたしはキャブオーバー4WDには乗んないから。お兄もキャブオーバーバス見つけちゃったとか言ってるよ」
「えええ?」
「パパと引き取りに行く話してたから直してって来るかも」
「やべえ、ボンネット6×6ダンプとボンネット6×4ダンプの作業早くしないと破綻する」
「そうだな。とはいっても仕事あるのはいいことだ」
「ところで百合リン。小型のキッチンカーの図面はどうすんの?」
「うん。さっき聞いたらもう出来てるって。この車を使う人が作って有ったの。社内の決定会議で軽食とメキシコ料理とどっちにしようか検討した時に作ってあったのが残ってた。それをU-RB1WEAAに合わせてアレンジしたから雅子に送ったよ」
「わかったわよ。お兄ちゃん。U-RB1WEAAも引き取りよろしくね。窓を開けてそっから販売するんだって」
「お兄さん、よろしくお願いいたします。じゃああたしはお弁当の車の図面引き直すから。それまでU-RB1WEAAもよろしくお願いいたします。」
「はい、承知しました。什器そろったからやるしかない」
「そうそう、今度スーパーでお惣菜工場で使った菜種油を移動販売車全部の燃料にするの。余ったら雅子にも売るから。格安でいいわよ。パパがプラント建てたんだよ。社長ってやり手だよね。環境に配慮だって言うことで。昨日からプラント稼働したの。そうだ。中古でいいから中型のローリーよろしくね。多少古くていいから。今は小型しかないから集めきれなくって」
「ええええ?そこまでやったの?わかったわよ。増トン?」
「うん。増トンがいいな。キッチンカーの図面書くからね」
そう言って百合ちゃんはいい子ちゃんでドコドコさせてスーパーに帰って行った。
「お兄ちゃん、一台一台仕事しようね。そうそう、一月後にはボンネット4×4ダンプの車検も来るからね。これもターボにして欲しいとか」
「ええええ?そうなの?」
「うん、松尾社長は遅いとストレスたまるっていって」
「うへー、部品探さないと」
「もうあるよ。エギマニはパパに頼んでおいた。キャビンも来るからね。載せ替えてね」
「やべえ、ボンネット6×4ダンプ仕上げ急がないと」
次の休み迄僕らは松尾社長の車と雅子の元職場のキッチンカーのを作るべく必死になっていた。
最初に出来上がったのはボンネット6×4ダンプのターボ化で半日エンジンを回して放置、水漏れ、オイル漏れがないことを確認して問題ないとわかったら雅子と一緒に納車に行った。
僕がボンネット6×4ダンプを運転、雅子がアサイ―君でついてきた。
「こんにちは、ボンネット6×4ダンプの納車です」
丸松建設の事務所に行くと副社長の百合ちゃんのお母さんが出てきた。
「ありがとうございます。すみませんねえ、これが先になったんです。移動事務所にして欲しいって言うことで引き取りお願いいたします。」
指さしたのはキャブオーバー4WDだ。
社長からはキャブオーバーバスと聞いていたので確認した
「次はキャブオーバーバスと聞いてましたが」
「急遽です。今は息子はリングちゃんとか娘が呼んでるバスで仕事してるんですが、山間部はどうしても総輪駆動が必要でして。主人もやむなくと言うか。これをやって欲しいということで」
メモを差し出した。
見ると予想通りエンジン載せ替えとマニ割だった。
「はい、承知いたしました。それでは引き取ります」
僕と雅子は
「仮ナンバーも準備してますので」
僕らは仮ナンバーをつけてキャブオーバー4WDを引き上げてきた。
お店に戻って
「お兄ちゃん、次から次に来るよね。お仕事あっていいけどTSカーも放置になっちゃうね」
「そうだね」
「雅子、俺もTSやるぞ。○P61で」
「いいわよ。楽しみじゃん。どこからでもいらっしゃい」
「悟瑠さん、アジト貸してくださいね。仕上げるから」
「いいぞ、頑張れよ」
「はい」
「隆文、次はキャブオーバー4WDだかんね。移動事務所なんだけどエンジン換装ね。また公認取ってね」
「ハイハイ、マニ割でしょ」
「そう、今度は鳴きもヨロね」
「おう。兄貴。やるか。エンジン換装と事務所にするの」
「そうだな。どうせならエアサスにしたいよな」
「そうだ。アウトリガーも残すんだろ」
「そうね。風吹くたびに揺れるんじゃ事務所になんないじゃん」
「いいよ。とにかくやろう」
「そう来なくっちゃ。隆弘さん、隆文頼んだよ」
「マニ割したマニフォールドあるんだもんな」
「いいじゃん。簡単で」
「とにかくやるよ」
そう言って作業に取り掛かる隆弘と隆文だった。
「はああああ。お兄ちゃん。走りたいなー」
「でき上がったら確認で走りいくか?ボンネット6×4ダンプはいけなかったから」
「そうね。お兄ちゃんも隆文たちと一緒にキャブオーバー4WDの改装やるんでしょ」
「もちろんだ。出来上がったらマニ割で全開もいいだろ。リターダーもつける予定だし」
「そうね。とはいってもレントゲン設備無いから軽いもんね。大排気量エンジンだから排気とリターダー一つで大丈夫かもね」
「うん、給湯設備もだって言うんだもんな」
「事務所だかんね。トイレもつけてでしょ」
「そう、寝ることもできるようにだよ。ほとんどキャンパーと一緒。しかも普通車登録になっちゃう」
「えええ?そうなの?」
「そう、11トン未満にしてくれって言うから」
「なるほどね」
僕も一緒に作業していた。
忙しく作業して休日の前日になった。
仕事を終えてアジトに帰る前に会社で雅子としゃべっていた
「お兄ちゃん。明日午後からミニサーキット行くよ。走行枠取ったの」
「そうか。積載だけでいいか?」
「うん、トレーラーで行こうよ隆文もエンジンはまだ決まって無いけど慣れる為に走るって」
「おう、そうか。隆文の車も積んでいくか」
「うん、タイヤも」
「よし」
「隆文は物足りないって言うかな?」
「そうかもな。600psから100psもないよ」
「そうね。いくら700kg切って軽くてもね」
「うん。そうだね。準備しよう」
「うん」
3週間ぶりに走りに行けるとなった雅子はにっこりしていた
その可愛さに僕はクラクラ来ていた。
注文をさばく悟瑠達
しかし追いつかず。
いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。
今回はここで更新します。




