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走り屋の妹(全年齢版)  作者: 浅野 武一
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第二話 バトルする妹のナビは僕

峠でバトルする妹とナビシートで的確に指示を出す兄

兄妹の走り屋です

「お兄ちゃん、今日も峠行くからね。他のチームから挑戦状がきちゃたよ」


「よーし、いくよ、この前の走行会では荷重移動きちんとやってコーナーリング中の舵角小さしてクリアすること学んだから、今日はその応用だ」


「当たり前じゃん、この前の走行会でおはちの人めっちゃ速かったもんね。イチゴちゃんが進化してなかったらぼろ負けだったよ。加速で勝っていたからよかったけど」


「だろ、雅子はコーナーでの舵角が大きくってアンダー強くて踏めないから遅れていたんだよ。後半タイヤ垂れてきたところじゃアプローチできちんと荷重かけてターンインしないとドアンダーでまがんなかっただろ、荷重移動きちんとすると、舵角ちいさくなった分早く走れたよね、今日はその応用だぞ」


「さすが、お兄ちゃん、今日もいつものようにナビよろしくね」


4月生まれの妹の佐野(さの) 雅子(まさこ)、普段はチューンアップした軽自動車を駆って会社に行っていて3年目になった21歳。

普段はスーパーの本社で経理をしている。

妹の雅子は商業高校を1番の成績で卒業して、商業簿記2級、電卓検定初段、キーボード早打ち選手権全国準優勝、エクセル1級、アクセス1級、ビジュアルベーシックなら任せての技能をもっていたので、大手スーパーの経理部に学校推薦で入って高卒ながら大卒の同じ年次と同じくらいの給料をもらっている。

自分で得意のビジュアルベーシックを駆使して会社の売り上げ自動集計システムを組んでしまい、今まで買っていたソフトが不要になった。

しかも妹が作ったソフトのほうが勤めている会社に事情に合っているのと、使うのがパソコンになら大体標準で入っている○クセルなので、他のパソコンに入れる導入費とメンテナンス費用が浮いた。

万一、おかしなことが起きても、雅子がすぐに治せる。

それも褒美もあって、雅子はあっという間に昇格してしまったのだった。

その雅子が行くと言っているのは峠だ。

峠を走り始めて既に3年がたって、僕らのチームではでトップクラスの速さになっていた。

得意なのはダウンヒルで、大Rコーナーにノーブレーキで入って全開のままドリフトさせっぱなしで抜けられるのはチームには雅子だけしかいない。

ダウンヒルなら、雅子が一番だ。

妹は普段からサーキットでも腕を磨いていて、つい先日走りに行ったところ、コーナーでめっちゃ速い人の運転を目の当たりにして、目からうろこが落ちたといっていた。

僕:佐野(さの) 悟瑠(さとる)は妹より4学年上の3月産まれで24歳になった。

大学の工学部を卒業して家業の中古車屋に就職して3年目。

大学の頃は自動車部でラリーやジムカーナをやっていた。

親父の仕事は中古車販売やっていて、自前の整備工場も整っている。

今はそこで中古車の納車前整備や修理をしている。

大学のころから親の会社でバイトしていたので、MIG溶接機や、フレーム修正機はバッチり使えるようになったし、板金も大分できるようになったし、○ントリペアもだ。

修理が好きだった僕はそのまま卒業後に親がやっている会社で整備をしているのだ。


「お兄ちゃん、今日はね、聞いたけど相手はメガー〇だって。でも結構早いって」


「トロフィーかな?FFなら多分、大Rで右フロントがいくからその後の下りタイトで失速かな?」


「そうか、そこまでなら着かれても大Rで仕留めればいいのね」


「ま、そういうことだよ、後半のタイトでちぎればいいよ、そこまで舵角減らしてフロントタイヤ温存だよ」


「OK」


そういうと車を準備して僕らはアジトとしている祖父母が住んでいた家を出る。

3年前、僕らが就職したときに祖父母は病院に通うのに不便ということで、僕らの実家に移った。

それと入れ替わりで雅子と僕が祖父母の家に住んでいる。

この2年間でイチゴちゃんも相当進化した。

エンジンはヘッドを交換して〇R20の○VLターボのにしてある。

そうすることで、○R固有の弱点であるY字ロッカーアーム折損トラブルが防げる。

カムは敢えて○12用にして、高回転をねらいつつも、中速トルクを膨らませてある。

加えてファイナルを3.9まで落としてある。

そうすることで、各ギヤのつながりが良くなって、走りやすいと雅子がいう。

もう一つはブレーキだ。

○33GTRのブレーキを移植したので、イチゴちゃんの車重とパワーなら頂上から下までガンガン踏んでも全く効きに変化が出ない。

ロールバーも組んで車体剛性のさらなるアップを行っている。

雅子のイチゴちゃんとロックンと呼んでいる僕のY〇1のロングTD42ターボの2台で集合場所のダウンヒルスタート地点に着いた。

既にチームの仲間がそろっていた。

車を降りると雅子が


「お兄ちゃん。ここまで進化したイチゴちゃんよ。だ角減らして攻めれるんだよ、ダウンヒルならエボでもどんと来いよ」


「もう、雅子は、調子乗るとすげえからなー」


「そうだね。雅子は乗ったら手が付けらんないからなー。あっという間にみんなを追い越したもんな」


「お兄ちゃん、準備するね、そうだロックン貸して、念のためコースをサーベイしてくる。上って来る時に見たけど。見落としないか?」


「いいよ、気を付けろサーベイで突っ込んだら恥だぞ」


「もちのろんよ」


「じゃ、イチゴちゃんを暖機して点検しておくよ」


「頼んだよ」


そういうと雅子はロックンでサーベイに行ってしまった。

途中から”ぶばばば、ばっしゅん”という排気を使う音が聞こえてくる。

僕の〇61もブレーキは○34用の19インチ対向を入れてあるがいかんせん車重が重いので、排気とリターダーも入れてある。

雅子はそれも器用に使ってみているのだろう。

30分ほどで戻ってきた。


「うーん、ちょっとあちこち水が流れてるね。落ち葉で詰まったかな?登りじゃあ気が付きにくいよ」


「そうか、画像はある?」


「撮ってきた。まずここかな?4コーナー入り口」


「うーん、そうなるとここは捨てよう。早めにブレーキかけてムキを変えよう」


「はーい、あとは7コーナー出口」


「ここは7コーナーがきついから影響少ないよ」


「そうか、そうそう、10と11コーナーのイン側のグレーチングがないの。盗まれてる。普段のラインだと落ちるかも。後は11は外のグレーチングもないの」


「ええ?じゃ、ちょっと外回るラインにしてアンダー出さないようにしないとね。でも、雅子のスピードならインはタイヤ半分落としても行けるね。外ではらみ過ぎるとヤベえからそのコーナーは捨てよう」


「わかった、タイヤ一本外ね。そうね。無理しないで捨てるのね」


「他は?」


「最終は外に落ち葉いっぱいだから、はらんだらおしまいね」


「ま、そのころは多分向こうはタイヤがいってるよ」


「そうだと楽でいいよね」


そう作戦を立てていた。

走り屋仲間がきた


「雅子、調子はどうよ?おう、悟瑠ありがと」


リーダの隆弘が声をかけた


「まあまあね」


「今日は頼んだぜ、ダウンヒルじゃ雅子がここのトップだからさ」


「ま、何とかね、隆文、クライムはヨロね」


「OK!」


そういうと、ここのルールを説明して開始だった。

ここは狭いので基本後追い方式にしている。

先行、後行を決め、先行が10秒以上離してゴールすれば勝ち、それ以下なら入れ替わってやり直しだが、この場合、前走で6秒以上差がついていたら6秒以上離してゴールしないとその時点で負けになる。

今回は雅子の先行だった。

車のタイヤをざっと自分の目で見て乗ろうとしたときに、


「おめえ、初戦で女に負けなんて恥以外ないぜ」


そう相手チームリーダーらしき奴がいうのが聞こえる。

それにピキッと雅子が反応する。

乗り込んでドアを閉め、5点式シートベルトを締めると


「へん、あたしはね、女とみて、そんな言い方しかできない奴は完膚なきまで叩いてやるんだよ。フン」


もう完全に雅子の目に炎が見える。

完全に雅子が乗ってしまった。

走り屋仲間も“こりゃまた”という顔している。

そう、雅子は女だからとか女なんかにという言葉に敏感に反応する。

その負けん気で今のスーパーでも突っ走っている、走りでもおなじだ。

僕をナビシートにのせてスタートだ。

スターターの合図でスタート、第1コーナーを立ち上がったところで、雅子はフルスロットルをくれる。

2速でもグングン好調に回転をあげるエンジン、タコメーターが9000のレッドゾーンに刺さる。

3速にたたき込んで更に全開、8000迄上がったところであっという間に第二2コーナーだ。


「そこは軽いブレーキングで荷重移動、あとは3速のまま、外にあえてはらませて」


雅子はその通り抜けていく、


「次の第3コーナーのインについて2速にダウン。インを閉めろよ」


「はいよ」


第3コーナー抜けるとまた2速でレッドゾーンを目指すタコメータ。


「次の4コーナー入り口に水があるぞ、早目に向きインでクリップ奥に、外行く分インに寄せて」


「オーケー」


言うとおりの早目のブレーキで2速に落として向きを変えると水の上はそのまま横Gをかけないようにしてクリア。

うまく出口に車体の向きを合わせて2速全開で5コーナーまでフルダッシュ、パワーの頂点を極めレッドゾーンをかすめる、刹那3速にシフトアップ、後をちらっとみると2車身離れてきた。

向こうは立ち上がりでギヤが合わないのか?どうしても立ち上がるほんのわずかの時間だが離されている。

それが積み重なって徐々に差が開いてきた。


「雅子、良いぞ、今までの半分の舵角だ、いい具合に離れて来た、スピード乗ってるからな」


「やったね、次、右コーナー全開だよね」


「うん、対向車無し、イン目一杯だ」


雅子は後半に備えてタイヤを労わりつつも5コーナーは対向車線まで目いっぱい使って3速全開でぬけていく。

3速のまま立ち上がるとエンジンがふけ切る直前で6コーナーが来る。

そこは高速からタイトでしかも絞りこまれるので、目いっぱいブレーキングする。

そこで2速に叩き込んで、早めにインにつき、次の7コーナーの真ん中付近から侵入するようにすると立ち上がりが楽だ

ふと、後ろの奴は更に3車身下がって5車身離れた。

後ろの奴の走りを見ると焦りがみえる。

立ち上がりで勝てない分、シャカリキになってブレーキングで詰めようと必死の様だ。

かなりレイトブレーキングだ。


「雅子、出口に水がある、グリップ手前」


その通り雅子は7コーナーは立ち上がりにも影響しないようにクリップを手前にとって4コーナと同じく水の上では進路をまっすぐにして横Gをかけないで立ち上がる。

不意に後ろでライトの光が乱れる。

そっと見るとアウトギリギリにはらんで必死の立て直しだった。

どうやら、立ち上がり重視したらしく横Gかかかったままで水があるところには入ったみたいでフロントが流された。

相手はこのロスで更に5車身下がる。既に計10車身以上の差が開いている。

8コーナー、9コーナーはS字でここは道幅めいっぱいつかってストレートに抜けて10コーナー11コーナーにつなげる。

既に3速でタコメータは最高出力の8000に近い所を示している。

10コーナーではインに思い切り、側溝のふたを踏むくらいつくと次の11コーナーの立ち上がりが楽になる。

ところが今日は10コーナーのインのグレーチング=金属の側溝のふたがない、少し外寄りに走らねばならない。

その分11コーナーのたちあがりに影響するが仕方がない。


「雅子、タイヤ一本分アウト走れ。側溝に落ちないように」


「ハイよ」


雅子は指示通り10コーナーで側溝の上イン側タイヤを半分はみ出してクリア、その次の11コーナーも同じくイン側を半分はみ出してクリアだった。

その後は少し長めのストレートのあと大Rだ。

イチゴちゃんの3速を使い切って4速全開だ。

ストレートに入って後ろを確認する。

真っ暗なままだ。


「雅子、連絡来るまで走れ」


どうやら何かあったらしい。

予想できるのはスピンしたか側溝に落ちたかだろう


「うん、任せて」


「今日はいつもよりスピード乗ってるから早目にインに着け。ピンポイントだぞ」


大Rはスピードがのっているので普段よりも早目にインに着けいつものように全開でドリフトのまま抜ける。

ギャラリーから歓声が上がる。

雅子のこのドリフトを見に来ているのも多いのだ。

後はタイトコーナーの連続で10のコーナーを抜ければゴールだ

大Rを抜け一つ目のコーナーに入ったところで僕のスマートフォンが鳴った。


『悟瑠、メガーヌが側溝におちてリタイヤだ。ゴールに入れば雅子の勝ちだ』


「OK、ありがと」


「お兄ちゃんなんて?」


「メガーヌが側溝に落ちてリタイヤだと。流してゴールまで付けば勝ちだ」


「仕方ないねー、ロックんの出番じゃん。今日はコンドルちゃんじゃないよね」


雅子はそのあとは舵角を少しでも小さくする走りの練習して無事にゴールへ入った。

ターンしてゆっくり戻ると、11コーナーのイン側のところに無残にも前後両方側溝に落ちて動けない状態になっていたメガーヌを見つけた。


「ウインチ付きの車あるからもってくるよ」


そう言うとスタート地点に戻って僕の〇61をもってくる。


「ウインチで引き上げられるけど、サスアームは最悪壊れるかもしれないがいいか?」


そう相手に確認する


「すまん、どうすればいい?」


「いいか、思い切りステアを左に切れ、ウインチでゆっくり引っ張るから」


そういうと僕はウインチからワイヤーを出して、滑車をセットするとダブルラインでゆっくりメガーヌを引き上げる。

ギギギという音がしてまず前輪が上がる。


「今度はまっすぐにして」


そう指示する。

ドライバーはまっすぐになるまでステアリングを回す


「これだけいれば、後ろは持とう」


回りには10人以上いるのでFFの後ろなら人力で持ち上げた方が早い


「うん、そうだ。おーい、いいか踏めっていったらブレーキ踏めよ。後ろ持つぞ」


もう一人がドライバーに声をかける。


「よーし、イッセーのせ」


10人で持ち上げるとあっさりと後ろも側溝から出た。

相当ダメージはあるようだが、何とかふもとまでは自走できそうだ。


「修理工場どうする?」


「ありがと、レッカーするしかないかな。どこか停めれるところに」


「そうか、じゃ、3つ先の大Rのところだな。レッカーはうちのを持ってくる。ちょっと待ってろ。雅子アジトに行ってレッカー持ってくる。イチゴちゃんかりるぜ。隆弘。大Rのパーキング迄誘導頼む」


「任せろ、レッカー頼むぜ」


僕は雅子のイチゴちゃんに乗ってアジトにもどった。

レッカーを運転して駐車場に戻る。


「どうするかわからんが、うちの庭で預かる。念のためドーリーも使うからいいな」


「恩に切るぜ、いくらだ?」


「何言ってるんだ。個人所有のレッカー車だ。僕の車だからお代はいらんよ」


「ほんとに何から何まで。ありがと。明日。積載もって引き取りに来るよ」


「わかった。ゆっくり降りるからな」


僕はアームとドーリーで完全に浮かして運んでいく

アジトについておろす。

器具の片づけはみんなが手伝ってくれた。


「なんか、至れり尽くせりで感謝してるよ」


「気にするな。気をつけて帰ってくれ」


「ああ、明日何時ごろになるか言うよ」


「おう」


「また明日」


そういってそいつらは去っていった。

ドライバーは別の車のパッセンジャーシートに乗って帰って行った。


「雅子ー、やったなー。もうさすがだよ」


リーダーの隆弘が言う


「ありがと、あいつも一言余計だったね」


「そうだな。」


その日はそのままアジトで車を車庫に片付けると寝ていた。

次の日、朝一番に電話がかかってきて


「昼前に引き取りたいが都合は?」


「良ければ、勝手に持っていってくれ。カギは持っているよな」


「ああ、スペアがある」


「それなら好都合だ。僕が持ってるのはグローブボックス入れておくよ」


「わるいな。積載で積んでいくよ」


電話を切った。

僕と雅子は午前中イチゴちゃんのメンテしてお昼を食べに行っていた。

帰ってきたら、メガー〇はなくなっていた

スマートフォンにありがとうのメッセージが有ったので引き取ったとわかったのだ。

今回は雅子の進化で勝てたようななものだった。

雅子がどこまで進化するか楽しみだった。

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