第十六話 雅子のドリ車を交換
雅子がドリ車を変えます
いろんなバスが出てくるので紹介も兼ねて
「ねえ、お兄ちゃん。イチゴちゃんって今どうなってるの?もとに戻ったの?」
雅子が聞いてきたのはイチゴちゃんの引退レースとなった日から一月が経ってエンジン換装を終えて足回り系全部ノーマルに戻していた。
内装は手をつけていなかったのでそのままだったのでワイドにしていたフェンダーをもとに戻して、GTウイングを外し、バンパーも全部もとに戻し終わったどころだった。
会社が休みの日なのでアジトのガレージでイチゴちゃんのナンバー登録しなおしの準備していたら雅子がやって来た。
ガレージに自分のドリ車を見に来たのだろう。
「うん、エンジンは元に戻したけど、ヘッドはVV○のヘッドにしてる、それはヘッドの内部の部品が無いからかんべんな。空冷オイルクーラーもつけてる。念のためだけど。あの2.16リッターエンジン無事でラジエーターホースが破れただけでまだ使えるよ。あんなに油温上がっても歪みないんだから驚いたよ」
「部品ないなら仕方ないよね。へえ、あのエンジンは丈夫なんだね。それにイチゴちゃんは車体は開口部を全部レーザーでシームレス溶接にしてたんだよね。穴塞ぎと後ろのブレースは残すんだよね」
「うん、そうだよ。くっつけちゃったものは仕方ないから残してボディアライメント見たよ。ほとんど狂って無いからそのままだな。サスは純正に戻した。メンバー系、アーム系も純正に戻したよ。乗ってみたけどちょっとダンパー落としてもいいかもな。後ろの反応も良すぎるからどうすっかなあ?」
「そうねえ、車体ががっちりしすぎでしょ。足回りもいじるの?」
「そうなんだよ、車体のしなりで逃げていたのがなくなったから、逃がすにはどうしようか考え中。乗っててこんなに動き速くて硬かったっけって思う程なんだよ。もうちょっと穏やかにしたいなあ」
「そうね、バランスが崩れてるってことね」
「そうなんだよ」
「そうかあ、難しいんだね」
「うん、ボディも硬ければ良いってことでもなくて、ノーマルの足はボディがしなるのに合わせてあるのが良くわかるよ。今のままだと雨の日やばいかも。今はボディが硬くて力が逃げないから荷重移動にタイヤが負けてズルズルと行くかも」
「そういうこと?」
「そう、NA用のダンパーにするか?特注で落としたの作るしかないよ。マフラーももう純正のターボ用が無いからパワゲに戻すよ」
「そうかあ。叔母さんが乗ってた時の外観に戻ってるけど中味は全然違うんだね」
「まあな」
「お兄ちゃん、ところでうちにある車って今は何があるの?」
「ええと会社の専用とすればレッカーとオープン積載1台とアルミ積載1台。5台積みトレーラーと2台積みウイングトレーラーそれを引っ張るトラクター2台だろ、お袋専用の軽ワンボターボがあって親父用のクラウ〇か」
「後はバス達でしょ。他にはロックンとイチゴちゃん、サンゴちゃん、三四郎君と船底。あたしのドリ車」
「そうだな」
「ここにはバス全部置けるからいいし、パパは実家の庭っていうか会社の敷地に3台のバスでしょ」
「まあな。ここも今は会社の工場扱いになったんだよ。指定工場にしてないから何でも整備していいけど。今バスを置いているところは簡易的に何か組んで雨風しのげる様にしようと思ってるよ。お爺ちゃんが組んでくれるってさ」
「そうね。そういえばバスって何が有って今の仕様どうなってるの?ニックネームいろいろ付けたけど多過ぎよ。同じ顔したのが4台もあるじゃん」
「ああ、そうだね。大きくカテゴリーで分けると大型観光系、大型路線系、大型9メートル系、中型以下だよ。ここにあるのは全部大型」
「パパのは中型以下?」
「うん、親父のは中型以下。僕が持ってるのは大型観光系と大型路線系。雅子のは大型9メートル系だよ」
「そうか、系統で分けると4つね」
「そう。観光系は4台あって○デが2台、一台はフルサイズだよ。KL-RA552RBM改。長さ12メートルのボディは西○02C1。チューニングメニューは特製クランクとコンロッド、ツインシーケンシャルターボ、スカニ○V8用インタークーラー、ラジエター、後付オイルクーラー、燃料系はコモンレールにした。出力は580ps/2200RPM トルク200kg/1200RPMだよ。ミッションは強力なリターダー使いたくてトラクター用のH/L付き6MT。V8の4バルブで21リッター」
「めっちゃハヤのバスだよね。速いしエンジン回るし。リターダー効くもんね。でもでかいよね」
「うん。速くてでかいよね。もう一台はKCーRA531MBN。11.25のショートタイプ。ボディは西○92C1。チューニングメニューは特製クランクとコンロッド、 ツインターボ、RF8TB用タービン、インタークーラー、ラジエター、後付オイルクーラー。560ps用ポンプと480psのノズル。出力は510ps/2200RPMトルク180kg/1300RPM 、ミッションはやっぱりリターダー使いたいからトラクター用7MT流用したよ。18リッターのV8」
「これも結構速いやつね。」
「そう、次に○野だけど2台で1台目はKC-RU3FPCB。11.5メートルの純正ボディでチューニングメニューはタフト加工したクランクとツインターボ、F17Dの560ps用インタークーラー、ラジエター、燃料ポンプとノズル、後付けオイルクーラーだよ。出力は520ps/2200RPM 190kg/1300RPM、ミッションはこれも強力なリターダー使いたくってトラクター用の7MTにした。 20リッター4バルブのV8エンジン」
「トラクターのミッション?」
「そう、強力なリターダー使いたいからトラクター用にした。もう一台はU-RU2FNAB、11メートルの純正ボディでチューニングメニューはツインターボと520ps用インタークーラー、ラジエター、オイルクーラーで出力485ps/2200 トルクが172kg/1300RPM。これのミッションは新型セレ○の6MT流用だよ。これもV8で17.2リッター。そう言えは雅子、ニックネームってどうやってつけてるの?」
「ああそうね。全部ニックネーム付けたもんね。観光系はゴーゴーくんとなごみくん、ロザン君、ルーシーちゃんね。ゴーゴーくんは簡単よ、形式のRA552RBMの55から付けたの。なごみ君はRA531MBNのRAと53から、らごみくん⇒なごみくんだよ。ロザン君はRU3FPCBのRU3をるざん、⇒ロザン君。ルーシーちゃんも形式のRU2FNABからRU2でルーニ、⇒ルーシーちゃん」
「雅子は上手く語呂合わせるよね」
「でしょ、でしょ。大型路線系は?多いよね。」
「大型路線系は5台あって、ここも○デが2台あるよ、一台は17リッターのV8積んでてKC-UA521NAN。11メートルのボディは富士○の7E。チューニングメニューは480ps用ツインターボと520ps用インタークーラー、ラジエターで出力480ps/2200RPM トルク170kg/1300RPM。ミッションはトラック用7MT流用しちゃった。クランクはノーマルで持つからそのまま。」
「クランクいじってないんだね」
「うん、でもさ前後のバランスマスは大きくした。もう一台は12.5リッターの直6積んでるんだよ。U-UA440HAN。10.2メートルのボディは富士○7E。チューニングメニューは390ps用ターボとインタークーラー、ラジエターで出力350ps/2150RPM 127kg/1300RPM ミッションはゴーゴーくんの6速。」
「そうか6速にしたんだよね、あとは?」
「いす○も2台あってKC-LV280N:10.8メートルのボディは富士○7E。チューニングメニューはツインターボと480psターボ用インタークーラー、ラジエターで出力405ps/2200RPM 145kg/1400RPM。ミッションは8TD1の6速ミッション。15.2リッターのV8」
「これも6速にしたんだよね」
「うん、もう一台がU-LV224K改:10.1メートルのボディは富士○7E。チューニングメニューはターボと380psターボ用インタークーラー、ラジエターで320ps/2200rpm 118kg/1300rpm。ミッションはキューピーちゃんの5速だよ。12リッターの直6。2台共にボディ同じ会社だからねえ」
「え?ミッションは大丈夫なの?ボディ同じなのよね。長さちょっと違うだけで獅子丸くんと見分けるの大変」
「まあ、大丈夫なはず。後ろのルーバーでわかるよ。5台目は○野。これはKC-HU3KMCA。直6で13リッターのハイパワーバージョン。10.7メートルの純正ボディ。チューニングメニューはターボと420ps用インタークーラー、ラジエターで360ps/2150rpm 135kg/1400rpmだよミッションはロザン君の6速」
「そういうこと?道理で同じ顔したボディが4台もあるわけね。どれがどれかわかんなくなっちゃうよ」
「ハハハそうだな。雅子が乗ってる9メートルも片方のボディは富士○7Eだもんな。そう言えばニックネームを全部に付けたんだろ」
「もちろんよ。KC-UA521NANはこの21NAからニイナちゃん、キュービッ〇KC-LV280Nは安直だけどキュービからキューピーちゃん。KC-HU3KMCAはHU3ふーさん⇒フーセンちゃん、U-UA440HANは440から獅子丸君、U-LV224Kは24Kから錦くん。ちょっと読み方変えたりしてるけどね。」
「そうだね。うまいもんだよ。」
「あたしのが9メートル系2台ね。」
「うん、雅子のは大型9メートルのカテゴリーだよ、○デのU-RP210GAN改:ボディは富士○7Eチューニングメニューはバス用300psターボ、インタークーラー、ラジエター、NF6TA用の燃料系で出力275ps/3000RPM 72kg/1400から2400RPM。ミッションは獅子丸君の5MT。もう一台は○そうのU-MM618改、純正ボディ。チューニングメニューは6M70の350ps用ターボとインタークーラー、ラジエター、6D24ターボのポンプで300ps/ 2900RPM 80kg/1700から2350RPM。ミッションは6D22用の5MT」
「結構出してるわねえ。このバスたちも速いもんね。ニックネームはU-RP210GANの方は210からニジュちゃん。伸ばすとユニットの名前と被っちゃうから。U-MM618は安直よ、MMからエムエム君」
「そうか。ちなみに親父が持ってる方は中型以下だよ。一台のちょっと長い方はいす○のP-LR312J。9メートルのボディは富士○の6E チューニングメニューはマニ割とダブルマフラー。出力は純正のままで175ps/3000RPM トルクは46kg/1700RPM。ちょっと短いほうがふそ○のK-102H。8.6メートルのボディは純正。チューニングメニューは、マニ割とダブルマフラー。出力は変えてなくて135ps/3100RPMトルクは35kg/2000RPM。一番小さいのが○野のP-RB115AA3で7メートルのリアエンジン車だよ。ボディは純正。チューニングメニューはマニ割とダブルマフラーこれも出力は変わってなくて115ps/3200PRM 28kg/2000RPM」
「 じゃあニックネームはP-LR312JがR31からあーるさい⇒アサイくん。K-102HはK-10からケーテンくん。P-RB115AA3は115だからいいこちゃんはどうかな?」
「いいと思うよ。親父のやることは昭和だよな。マニ割だって」
「へええ、マニ割ってなにかいいことあるの?」
「あれはV8の排気音がゴロゴロ言ってるでしょ。昔、V8にあこがれた人がそれに近い音にしたくてやったらしいよ」
「ああ、そうね。お兄ちゃんのバスってV8はフルデュアルだからゴロゴロ言うもんね」
「そうそう、叩きと鳴きっていってて単気筒になってる方が叩き、残りが鳴きになるんだよ」
「あの、ピヨピヨ言ってるやつ?」
「そうそう」
「まったくう。パパったら昔を思い出してたのね。でもなんかパパのバスって全部ピヨピヨ言わなくて静かだけど」
「だろうね。親父が整備の現役の頃は何台も作ったみたいだよ。ステンレスで作るといい音が出ないとかやったらしいよ。バス3台は鳴きの方にサブタイコ入れてその先に純正のタイコも入れてるからでしょ。親父は叩き重視で作ったって言ってるよ。鳴かなくていいって昔やってたんだって」
「ふーん、排気音がドコドコ言うように変わったと思ったらなにやってんるんだか?」
「まあな。親父はステンパイプでエギマニ作っていたよ。がっちり中に砂つめて炙ってベンダーでまげていたよ。純正のエギマニ部品出ない恐れあるからだろうね」
「はああ、これだよ」
「エギマニのガスケットは東南アジアで買えるからね。親父のやることは見てるとほんと昭和だよ」
「パパってもう。なんかお兄ちゃんが整備のほういろいろやっててあたしが営業バンバンやってるから半分趣味人みたいなんだもん。ママに経理任せて」
そう言っている妹の佐野 雅子今はドリフト競技に嵌っていてドライバーとして競技に参加している23歳、普段は大型9メートルカテゴリーのニジュちゃんと呼んでいるバスのU-RP210GAN改275ps仕様、またはエムエム君と呼んでいるバスの○アロスターMMのU-MM618J改の300ps仕様で住んでいるアジトと言われている元祖父母の家から市内にある実家で経営している中古車屋に通っている。
入社して4年チョイ務めて異例の速さで係長迄出世して同期からは初の高卒役員誕生かとうわさされたスーパーを車に乗る仕事したいと言ってあっさり退職して家業についてしまった。
今は家業の中古車屋で専務となって経理関係全て見ているし、納車や部品手配も時には軽整備もする。
勿論、いろんな集計システムを組んでいて、両親も大助かりという。
妹は地元の商業高校を断トツの1番の成績で卒業して、商業簿記2級、電卓検定初段、キーボード早打ち選手権全国準優勝、エクセル1級、アクセス1級、ビジュアルベーシック1級と事務系なら引っ張りだこになるくらいの技能をもっていた。
それなので、進学せずに地元資本の大手スーパーの経理部に学校推薦で入って、高卒ながら5年目で大卒5年目よりも多くの給料をもらっていたが、もともと車に乗るのが大好きでいろんな車に乗れる家業に転職した。
家業に従事してからは危険物、大型免許を取って今は整備士の免許、牽引免許も取ってしまったほどの車好きだ。
スーパーでの実績は入社3年目で、各店舗から集まる情報処理集計システムを自分で組んでしまい、今まで買っていたソフトが不要になった。
しかも妹が作ったソフトのほうが勤めている会社に事情に合っているのと、パソコンになら大体標準で入っている○クセルを使うので、他に導入費とメンテナンス費用が浮いた。
万一、おかしなことが起きても、雅子がすぐに治せる。
それも褒美もあって、雅子は入社3年目という高卒では異例の速さで主任に昇格してしまったのだった。
それに集計の自動化を進めた結果、各店舗の仕入れと売上関連のほとんどが一目でわかるようになって社長も大喜び。
その成果が認められ、高卒の3年目の途中に主任に昇格して、部下を持ってその指導もするようになった。
4年目の7月からは入ってきた自分より年上の大卒を部下にもってチームを組んで仕事しているのだから驚く。
スーパーにいた頃の所属は経理部だが、5年目の4月からなんと係長に昇格して全社の業務効率化のリーダーに抜擢されていた。
そのチームで売り上げ仕入れ管理システムのソフトを雅子達が自力で組んでしまってさらに業務効率が上がったのだった。
しかし、当の雅子は出世には興味が全くなく、スーパーは給料のためと割り切っていたが、やっぱり好きな車の仕事がしたいといってあっさりとスーパーを辞めてしまった。
スーパーではなんと課長待遇にするから残ってくれと言われたらしいが出世に興味が全くない雅子はスパッと辞めたのだった。
もちろん、部下にシステムの使い方、直し方すべて引き継いでいるので大きな発展は無理かもしれないが、将来ビジネススタイルが変わっても最低限の対応はできる様にしてきたらしい。
走りの面では妹は峠を走り始めて既に5年がたっていて、僕の古くからの友人がリーダーを務めるチームで僕と共にサブリーダーになっている。
ホームグラウンドでは断トツトップの速さで時には新たにチームに加入してきた後輩たちの運転指導もするようになっていた。
雅子が得意なのはダウンヒルで、大Rコーナーにノーブレーキで入ってアクセル全開のままドリフトさせっぱなしで抜けられるのは、チームの中ではいまだに僕と雅子しかいない。
それにサーキットを走らせてもダウンヒルのタイムもチームの中では一番だ。
今はドリ車を作って競技に参加するほどに嵌っている。
この前はなんと2回目で準優勝してしまったほどの出来だった。
帰りのローダーの中ではもらったトロフィーを見て嬉しそうに笑っていたのだが、表彰台の真ん中がいいといっていたくらいの負けず嫌いだ。
このドリ車はうちの会社でスポンサーしていて会社のPRの一環としてやっている。
僕:佐野 悟瑠は妹より4学年上の26歳。
地元の大学を卒業して家業の中古車屋に就職して5年目、大学の頃は自動車部でラリーやジムカーナをやっていた。
今はそこで中古車の納車前整備や修理をしていて、時には中古車の買い取り査定もする。
大学のころから家業の手伝い=バイトしていてMIG溶接機、レーザー溶接機、フレーム修正機はバッチり使えるようになったし、板金も大分できるようになったし、○ントリペアも勉強して資格もとった。
それに、カラスリペアと危険物の免許も取って玉掛けも資格を取っているので入社4年目の4月から整備工場の工場長兼副社長をしている。
大型免許は大学在学中にとってさらに就職してから直ぐにけん引免許もとっているので、オークションに買い付けに行く時には自分でキャリアトレーラーを運転していくこともある。
キャリアトレーラーも中古車で買ったものでもある。
商売柄、中古車市場では全く人気がないが、程度のいいFR車を見つけては整備して雅子の走り仲間へ売っている。
時にはミッションの換装もやっている。
公認改造車検も取って、合法的に乗れる仕様にして販売している。
2級整備士の資格も取ってあるので運行の管理士になれるのもありバスも持ちたい放題だ。
両親はどちらも車好きでそれが高じて中古車屋兼整備工場を経営している。
父親はこのところ僕の趣味に感化されたのか中古のバスを買ってきていじってはそれに乗って営業に行ってしまっている。
「ところで次の大会は?」
「うん、次は北の方」
「そうか、ちょっと遠いか?」
「うん、次はパスしてその次の富〇かな?車メンテしたくて」
「そうだね。次の出場までメンテしないとね」
「うん、それなんだけど。車代えてもいいかな?」
「なんか見つけたね」
「うん、やっぱりさどうしても今乗ってるのは挙動が速すぎて大変だからちょっとおとなしい方にしたいなって思って」
「へえ、もうスカイライ〇しかないじゃん」
「そうなんだけど。実はクーペの廃車見つけてあるの。なんかさ、輸入したんだけど登録できなくて捨てようしたのもらえるのよね。」
「へええ、いいじゃん」
「ママのつてで見つけちゃった。」
「お袋も好きだからなあ」
「でしょ。明日取りに行ってくるから積載使うね」
「おう、いいよ」
「ママもつての方に顔出すって。古い友達の実家みたいで」
「そうか。じゃあ雅子が積載運転して乗せてくるんだな」
「うん、明日の夜は積載で帰ってくるからニジュちゃんお店に置いてくる。ママは大型持ってないからね」
「そうしよう」
「パパッて塗装の腕いいんだねえ。下手になったとか言いながらアサイクンとケーテン君の塗り替えおわってた。」
「ああ、実はその塗料は有効期限切れで捨てようかと思ってたんだよ」
「それを使ったのね」
「うん、しかも錆取りと補修してジンクメッキ迄やっていたよ。プラサフと白の捨て吹きして」
「それも?期限切れ?」
「うん、ちょっと期限切れちゃった。お客さんには使えないでしょ」
「そうよねえ。パパはそれ使ったのね。クリアもばっちり吹いていたから」
「うん、いいこちゃんは純正のカタログに載ってるカラーにしてたよ。ナンバー全部型式の数字にしてた。」
「なるほどね。それでドコドコマフラーとは結構シュールかも。まあ、パパも趣味ってことね」
「あはは、そうだねえ」
「じゃあさ、明日はお兄ちゃんと帰りが別々になるから別の車ね」
「うん、明日は僕は朝に親父を寄合の場所に送ってから行くからなごみくんでいくよ。毎日交換で通っているけどね」
「そうか、明日ニイナちゃん借りていいかな?忘れてたけど隆弘さん達も寄合で集まりの場所に行くんだった」
「いいよ。480psあるからニジュちゃんの感覚で踏んだらやばいけどね」
「そうね。リターダー使えるよね」
「うん、僕のバスは全部ジェイクは切ってある。アレ使うと純正のタイコでも排気音でかすぎるから」
「そうね。あれ?そう言えばパパの車ってどうすんの?排気使えるんだっけ?」
「使えないって言うか弱くなる。排気は単発系が効かないから」
「そうなのね。いい子ちゃんがきついのか?」
「うん、そういうことだね。仕方ないのかも。親父はステンでエギマニ作ってるからバタフライ2つ入れてるかもしれないな」
「わかった。じゃあ明日ね。今日はこれから友達に会うんだ。ニジュちゃんで行ってこよ。夕方には戻るから」
そう言うと雅子はニジュちゃんを暖機していた。
次の日の朝、僕はなごみくんのエンジンをかけ、その後、ニイナちゃんのエンジンを暖機していた。
2台とも異音はなく快調に回っている。
多少、オリジナルよりも味噌擂り振動が大きいようだがそれは仕方ないと割り切っていた。
「じゃあ、お兄ちゃん、ニイナちゃん借りるね」
「おう」
僕らはそれぞれバスに乗って会社に向かっていた。
一日の仕事が終わり、帰ってくると既に普段ニイナちゃんが停まっているところに積載が停まっていた。
アジトのガレージを見ると雅子が言っていた車が停めてあった。
玄関から入ると
「お兄ちゃん、お帰り。見てきたでしょ」
「うん、結構いい個体じゃん」
「うん、それなんで今のドリ車からエンジンと足回り移植して欲しいの。あたしもやるから」
「OK、早く帰れた日と休みの日だね」
「うん、ニイナちゃん速いよね。軽いから?」
「だろ。トラック用の7速入れてるから発進も楽でしょ。ギヤ比はワイドだけど」
「うん、ニイナちゃんはもともと排気量大きくてターボ無くてもいいのにターボ付けたでしょ。速くて乗りやすくて良いわね。この前回送したKL-UA452PAN改の方がなんか発進大変だった」
「そうだな。獅子丸君と同じエンジンだからね。KL-UA452PAN改の方が1トン以上重いからね」
「うん、そうそう、そういえばニイナちゃんとは別の顔だよね」
「そうだよ。同じ会社のシャシーだけどボディは会社が違うから」
「そうか、この前にスーパーに中型ロング入れたじゃん。その時のバスはこの前のKL-UA452PANと同じ顔だよね」
「そうだね。西〇96MCB1ってボディだよ」
「そうか」
「狩野さんのはニイナちゃんと同じ会社だから顔が似てたでしょ。7Bだよ」
「うん、そうだね。なるほどね」
「雅子。新しいドリ車は部品移植の前にドンガラにしてボディの補強するからね。今のドリ車にもがっちり補強は入ってるけど」
「うん、あたしもやるよ。レーザーでやるんでしょ」
「もちろん。ロールバーも入れる。ピラーにも溶接するからがっちりするよ。着地点も鉄板挟んで補強する」
「お願いね」
それから一月僕と雅子はドリ車の車体補剛、レギュレーションに合わせた安全装備を付けていた。
エンジンとミッションは古いドリ車から移植していたのだ。
「雅子、今度は後ろが簡単に行くかも。」
「そうなの?」
「補剛見直すけど、後ろのバネ2ランクぐらい落としたほうが良いかもね」
「バランスなのね」
「そうなんだよ。いくら補剛したと言ってもハッチバックとクーペじゃあぜんぜん違うよ。後ろに梁があるクーペとないハッチバックじゃあ」
「言われれみればそうよねえ、足はやりなおし?」
「組んで乗って見てだな」
「任せた」
僕は次の日に仮ナンバーで分解する前の新しいドリ車をお店迄走らせて見た。帰りは在庫にある現在のドリ車と同じ車種に仮ナンバーを付けて帰って来た。
補強なしとは言え、リア周りの剛性が段違いで感覚だけでは初期セッティングを出すのは難しいと考えてドリ車の足そのまま移植することに決めた。
「雅子、ドリ車は最初は今迄の足でいくことにしたよ。来週かな?ミニサーキットで調べよう」
「いいけど。隆弘さんチームの走行会やると言ってたね」
「うん。そこにドリ車持ち込んで走らせる。バネとスタビも持って行く」
「さすがお兄ちゃんね」
「船底で持って行くよ」
「うん。隆文もセッティング確認だって」
「キャンバー立てた仕様か」
「うん」
「あたしはエムエムくんで行くから。部品はエムエムくんで持って行く」
「そうしよ。コンプレッサーもでしょ。」
「もちろんよ。エアあると作業楽じゃん」
僕らはミニサーキットで雅子のドリ車のセッティング出来るよう準備していた。
次の週の休みの日、雅子と僕はミニサーキットにいた。
「雅子ドリ車交換?」
雅子の車を見た隆弘が言う
「うん、S字で振るには挙動速くてスタビリティ足りないから」
「よくあの車でやってるよね」
「まあね。やっぱりトランクあるほうが良いよ。イチゴちゃん乗っててそう思った」
「悟瑠、今回が新ドリ車のシェイクダウンか?」
「うん、最初僕が乗って確認する。最初の仕様決まればあとは簡単。そこから雅子の好みにしていけば良いよ」
「なるほどね。悟瑠、隆文のも最初の仕様提案してもらっていいか?」
「良いよ」
「悟瑠さん、すみません。キャンバー立てた仕様のベースお願いします」
「雅子のベース仕様きまったらな」
「ありがとうございます」
雅子の新ドリ車は予想した通り、後ろのバネと減衰を約20%落としていた方がしっくりきたのでこれでいいと決めた。
「隆文。乗ってみるぞ」
「悟瑠さんお願いいたします」
僕は隆文の車に乗ってセッティングしていた。
ちょっと入りが悪い割には後で巻き込んでオーバーステアぎみになるなので、フロントのバネと縮みの減衰を上げて入りを良くしてオーバーを抑えた仕様にしていた。
「隆文。これでどうだ?」
「ありがとうございます」
「隆文、お兄ちゃんがやったんだから乗りやすいはずよ」
「はい、そうだよな。悟瑠さんのセッティングだから」
「ちょっと先にあたしが乗って来たけどいい車になってるよ。」
「じゃあ、乗ってきます」
隆文が乗りに行った。
数周して戻ってくると
「悟瑠さん、安定しててすっごく踏める。ガンガン前に行くよ」
「でしょ。ちゃんとセッティング出すといいでしょ」
雅子が言っていたのだ。
走り終わってアジトに帰ってくると
「お兄ちゃんってセッティング上手いよね。ドリ車の乗り味今までのそっくりじゃん。それなのに動きが穏やかだからガンガン行けちゃう。このまま次の大会出るからね」
「そうか。気に入ってもらってよかったよ」
にっこりしている雅子は子供の頃の様だった。
さて、ドリ車を変えた雅子。
次はどうなる?
いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。
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