第十四話 ドリ大会で見つけたバス
雅子の競技のサポートに行く。
そこで出会ったレアなバスとは?
「よし、クランクプレートの制作はうまくいったぞ。これを組んでやれば何とかいけるな」
僕はアジトで雅子のドリ車のエンジンおろすと腰下をばらしてブロック間バーとクランクキャップ倒れ防止のプレートを入れていた。
これは軽用のエンジンながらかつての富士○のエンジンについていた。
その目的はクランクシャフトを支えるキャップは片持ち梁になっているのでそのままだと倒れるような動きをする。
それを抑えたい、そのためにはクランクキャップ間をつなぐ必要がある。
すなわち一体ものでつないで突っ張るのが一番いいのだ。
それを真似て作ったのだ。
そうすることでクランクがしっかり支えられるので静かになるし、高負荷にも耐えられる。
また、バンク間バーはV型エンジンはブロックが音叉のような振動するのて、それを抑える。
抑えることでブロックに亀裂が入りにくくなると言われているので付けたのだ。
エンジンを組み上げると電動ホイストで吊ってドリ車に搭載していた。
ヘッドにカムが無いので、エンジン自体がコンパクトで、ドリ車の狭く低いエンジンルームにも簡単に乗ってしまう。
このエンジンにはターボは付けずにNAにして排気量でパワーを稼ぐ方式にしている。
このエンジンには草レース用の部品がふんだんに入っていて4バルブヘッド、中空プッシュロッド、フラットプレーンクランクになっている。
その特性を生かして5.3Lの排気量から500psを搾りだす。
雅子は生のエンジンのレスポンスの良さにほれ込んでいるようだ。
プレートを組んでエンジンをかけると心持ち音が軽くなったように感じた。
暖機を終えると持っている計測器で騒音を測っていた。
アイドルから少しづつ回転を上げていく。
データを取り終わって比べるとほとんどの領域で騒音レベルが下がっていたので効果はありそうだ。
後は雅子に乗ってもらおうと思っていた。
次の休みの日に僕らは隣の県のミニサーキットに車を持ち込んでいた。
「雅子、どうだよ。久しぶりの走行会じゃん」
「隆弘さん、お兄ちゃんにエンジンいじってもらったら調子いいよ」
「やっぱり生にしたんだよな」
「ああ、そうやったらいいことに草レース用の部品がいっぱいあってさ」
「そうよ、4Vヘッド迄あるのよ。中空プッシュロッドも」
「そうだよね。軽いもんね」
「そうよ、隆弘さん。それにこのエンジンはフラットプレーンクランクなのよ。これがまたいい仕事するの」
「雅子のいう通り、7000超え迄回るんだよ」
「へええ」
「吸排気の干渉が減っていいんだよ。フルデュアルで抜いてるから。フェラーリのV8ような音になるよ」
「そうか」
「今日はこの車の確認よ。タイトコースに合わせてセッティングしてきたから煮詰めるの」
「悟瑠が先か?」
「うん、組み上げたばかりだからエンジンの調子見てから。僕が見て異常ないなら細かいところは雅子。雅子が乗るんだから」
「そうだね。隆文、調子は?悟瑠さんに車作ってもらったんだからさ、次は結果出さないと」
「兄ちゃん、みんなレベルたかいよ、俺は峠で車に助けてもらっていたって良くわかるよ」
「良い車だろ」
「ああ、ドリ車のフー○はある意味楽だけどな」
「そうだよね。安定してる分スピンしにくいからね」
「コルベッ○のエンジンだろ。なんとかしろよ。悟瑠さんに恩返し」
「お兄はプレッシャーかけるし」
「って言うか、隆文はプレッシャーないとのんべんだらりじゃん」
「はいはい。トップめざすか」
「その意気だな」
その日はほぼ半日走ってセッティングを決めていた。
帰りのローダーの中で
「雅子、ほぼいい状態かな?」
「うん、ばっちり。車体の補剛も決まってるしここまでやればいけるよ」
「そうだな。気になったんだけど。隆文の車。後ろのキャンバーつきすぎでしょ。雅子位起こした方が進むでしょう」
「そう思う。キャンバー寝かせすぎかもね。あたしは1度だけど隆文は5度とか言ってた」
「やっぱしね。まあ仕方ない。と言っても隆文のエンジンは耐久重視で作ってあるからパワー足りないか?」
「そうか、どのくらい?550?」
「うん、550でやめた。隆文は2WDになれてないからちょっと落とさないと。4WDの感覚あるからまだちょっとカウンターの量が足りないんだよね。」
「そうよね。峠じゃドリフトになってもカウンターはあんまり使わないもんね」
「でしょ。まあ、隆文はもうちょっと練習だな」
「そうね」
雅子と駄弁りながらアジトに帰って来た。
ドリ車をおろすと次の日からの仕事に備えて休んでいたのだ。
ドリフトに嵌っている妹の佐野 雅子、普段はKZJ77Wのチューニングカーまたはこの前から稼働している雅子専用でエムエム君と呼んでいるバスのエアロスターM○のMM618Jでアジトから麓の市内にある実家で経営している中古車屋に通っている。
入社して4年チョイ務めて係長迄出世したスーパーを車に乗る仕事したいと言ってあっさり退職してしまった23歳。
今は家業の中古車屋では専務となって経理関係全て見ているし、納車や部品手配も時には軽整備もする。
勿論、いろんなシステムを組んでいて、両親も大助かりという。
妹は地元の商業高校を断トツの1番の成績で卒業して、商業簿記2級、電卓検定初段、キーボード早打ち選手権全国準優勝、エクセル1級、アクセス1級、ビジュアルベーシック1級と事務系なら引っ張りだこになるくらいの技能をもっていた。
それなので、進学せずに地元資本の大手スーパーの経理部に学校推薦で入って、高卒ながら5年目で大卒5年目と同じ給料をもらっていたが、もともと車に乗るのが大好きでいろんな車に乗れる家業に転職した、家業に従事してからは危険物、大型免許を取って今は整備士の免許も取るべく勉強中だ。
スーパーでの実績は入社3年目で、各店舗から集まる情報処理集計システムを自分で組んでしまい、今まで買っていたソフトが不要になった。
しかも妹が作ったソフトのほうが勤めている会社に事情に合っているのと、パソコンになら大体標準で入っている○クセルを使うので、他に導入費とメンテナンス費用が浮いた。
万一、おかしなことが起きても、雅子がすぐに治せる。
それも褒美もあって、雅子は入社3年目という高卒では異例の速さで主任に昇格してしまったのだった。
それに集計の自動化を進めた結果、各店舗の仕入れと売上関連のほとんどが一目でわかるようになって社長も大喜び。
その成果が認められ、高卒の3年目の途中に主任に昇格して、部下を持ってその指導もするようになったという。
4年目の7月からは入ってきた自分より年上の大卒を部下にもってチームを組んで仕事しているのだから驚く。
所属は、経理部だが、5年目の4月から係長に昇格して全社の業務効率化のリーダーに抜擢されて売り上げ仕入れ管理システムのソフトを雅子が自分のチームで組んでしまってさらに業務効率が上がったのだった。
しかし、当の雅子は出世には興味が全くなく、スーパーは給料のためと割り切っていたが、やっぱり好きな車の仕事がしたいといってあっさりとスーパーを辞めてしまった。
スーパーではなんと課長待遇にするから残ってくれと言われたらしいが出世に興味が全くない雅子はスパッと辞めたのだった。
もちろん、部下にシステムの使い方、直し方すべて引き継いでいるので大きな発展は無理かもしれないが、将来ビジネススタイルが変わっても最低限の対応はできる様にしてきたという。
妹は峠を走り始めて既に5年がたっていて、僕の古くからの友人がリーダーを務めるチームでサブリーダーになっている。
ホームグラウンドでは断トツトップの速さで時には新たにチームに加入してきた後輩たちの指導もするようになっていた。
得意なのはダウンヒルで、大Rコーナーにノーブレーキで入って全開のままドリフトさせっぱなしで抜けられるのは、チームの中ではいまだに雅子しかいない。
それにサーキットを走らせてもダウンヒルのタイムもチームの中では一番だ。
今はドリ車を作って競技に参加するほどになっている。
この前はなんと初出場で入賞してしまったほどだった。
帰りのローダーの中ではもらったトロフィーを見て嬉しそうに笑っていたのだ。
このドリ車はうちの会社でスポンサーしていて会社のPRとしてやっている。
僕:佐野 悟瑠は妹より4学年上の26歳。
地元の大学を卒業して家業の中古車屋に就職して5年目、大学の頃は自動車部でラリーやジムカーナをやっていた。
今はそこで中古車の納車前整備や修理をしていて、時には中古車の買い取り査定もする。
大学のころから家業の手伝い=バイトしていてMIG溶接機、レーザー溶接機、フレーム修正機はバッチり使えるようになったし、板金も大分できるようになったし、○ントリペアも勉強して資格もとった。
それに、カラスリペアと危険物の免許も取って玉掛けも資格を取っているので去年4月から整備工場の工場長兼副社長をしている。
大型は在学中にとってさらに就職してからけん引免許もとっているので、オークションに買い付けに行く時には自分でキャリアトレーラーを運転していくこともある。
それも中古車で買ったものでもある
商売柄、中古車で市場では人気がないが、程度のいいFR車を見つけては整備して雅子の走り仲間へ売っている。
時にはミッションの換装もやっている。
改造車検も取って、合法的に乗れる仕様にして販売している。
3級整備士の資格もあるので運行の管理士になれるのでバスも持ちたい放題だ。
両親はどちらも車好きでそれが高じて中古車屋兼整備工場を経営している。
次の週末はつく○で開催だった。
ウオーミングアップも終わって雅子が走る番になっていた。
「雅子、行って来い。エンジンの制御とサスのセッティング、車体補剛はばっちりだ」
「行ってくるよ。今日も表彰台取るから」
「そうだな」
「雅子には参るなー、あの挙動速い車なのにあんなにドリフトアングル取ってしかもずっとカウンターあてっぱなしでしょ。最終なんて絞り込みなのにガンガンドリフトまんま前に行くんだからなー」
出番を待つ隆文が雅子の走りを見ながら言っている。
「それはホームコースの大Rでノーブレーキで入れるのは雅子だけだろ。そのくらいいい度胸してるんだよ」
「僕もそう思う。僕が怖いって思う速度でも雅子はガンガン行くからね」
「そうか。悟瑠が怖いって思ってもか。それなら納得だな。雅子は度胸って言うよりも自分の腕を信じてるんだろう」
「そうか、僕に足りないのはそれか」
「そう、自分の腕に自信持っていけ」
「うん」
結果は雅子は準優勝、隆文は6位で入賞はしたものの表彰台は逃していた
「あーん、悔しい。あとちょっとだったのに」
「雅子はよくやったよ。2回目だろ」
「そうだけどさ。表彰台の真ん中いいなあ」
帰りのローダーの中でそう言っている雅子。
盾とトロフィー、賞金をもらっていた。
見ていてもわかる位に今日の雅子の走りは切れていた。
大会はショートコースでの開催で、バックストレッチが使えない分最終コーナーで速度を乗せることが難しい中、雅子は最終コーナーに2速全開で突っ込んでそのまま終始カウンターを当てたままぬけてメインストレッチでも左右に3回直ドリ、第一コーナーも完全にドリフトさせてカウンターを当てたまま抜けていく
その姿はほれぼれするくらいのもので、今回唯一優勝に届かなかったのは、S字で振りの派手さがたりなかったのだ。
雅子は課題がわかったといって次見てろと思っているらしい。
「お兄ちゃん、いくらなんでも隆弘さんにあのバス運転させるの良くないよ」
帰り道、雅子が後ろを見て急に話題を変える
「あははは、そう言ったってな。疲れている雅子にローダー運転させるわけいかないだろ。隆文の車積んでるローダーは準中で乗れちゃうから、仲間に代わってもらったんだよ。」
「はあああ、まあいいや。走り屋仲間がサポートカー出してるから良いとしても。隆弘さんもレッカー見に来てバス乗って帰るなんて思わなかったよね」
「あははは~、まあな」
「お兄ちゃんはバスに嵌まったね」
そう、実はその日ついついまたレアなバスを大型車の中古販売店で見つけて契約して引き取ってしまった。
それは○すゞ U-LV224K ボディ:富士○7E 6QB L6 を積んだモデルだった。
新車は東○鉄道で使っていて排ガスの関係でそれが流れてこっちに来た。
そもそもは隆弘の会社で必要なレッカー車を探すために大型車のお店に見に行ったときに僕がたまたまそのお店で見つけてしまってレアなので即決で引き取って来たのだ。
お店の人は親父の知り合いで二つ返事で売ってくれた。
「まあ、そういうなって。隆弘もバスの整備練習するんだから」
「そうか。隆弘さんも今はうちの整備工場に出向か」
「そうだね。」
「隆文も来るからね。今、大型とってるって」
「これじゃあ、走り仲間の会社になっちゃうじゃん」
「あははは~そうかも。リーダーとサブリーダー3人がいる会社になっちゃうね。チューンの依頼が増えそうだ」
「整備工場をチューニングファクトリーにしないでよ。中古車屋の専属整備工場なんだから」
「大型車なら改造&チューニングファクトリーなりそうだ。親父は改造もやるらしいから。大型はほとんど改造車だからさ」
「はあああ、そうなのね。お兄ちゃんはあのバスにもターボつけるんでしよ」
「ああ、キューピーちゃんのミッション使うよ。余ってるから」
「んもう、お兄ちゃんの頭の中には弄る計画バッチリね」
「まあ、このところドリ車いじっていてなかなか時間取れないけど隆弘と隆文の練習もあるから。KCーRA531MBNとKC-UA521NANとU-RU2FNABにターボつける。ボデイの錆びないかも確認しないとね」
「まあそうだけどね。わかったわよ。今日は疲れたから帰って寝よ。表彰台の真ん中乗りたかったなあ」
「次だな。雅子ならいけるよ。もうちょっとパワーアップしてみようか?」
「パワーよりあたしの腕かな?ちょっと振りが足りなかったもんね。S字は難しいわ」
「そう思うならいいことじゃん。もっと練習だな」
「うん」
その日はアジトに帰ってローダーからドリ車をおろして倉庫に格納して休んでいた。
その週の初めに2台のバス用のクランクを特注で発注していた。
クランク前後のマス量を可能な限り増やした設定にしていたのだ。
そうやってゴーゴーくんと同じようにフライホイールとクランクプーリーについているバランスマスを取ろうとした。
RU2FNABはクランク室が小さく既にめいっぱいになっていたのでやむなく純正を使うことにしていた。
次の週の練習の時のこと、雅子はS字コーナーでおもいきり振っていた。
優勝した車の走りをみて完全にコピーそれどころか上回るふり幅で走っていた。
「うん、こうやればよかったのね。ここまで振るのはむずいけど踏めばいける」
「雅子はあっという間に上手くなるなー。僕のは前に進まなくてさ」
隆文が言っている。
「隆文。後ろのキャンバー起こしたら?寝すぎて前に進まないからスピード乗んないじゃん」
雅子が言っている。
「僕もそう思うよ。こっちのドリ車はあえてキャンバー起こして前に進むようにしてるから」
「そうか」
「隆文、キャンバー起こす。雅子ありがとう。アーム交換だな。要るなら作ろう」
隆弘と隆文は早速車のセッティングを変える算段していた。
練習が終わってアジトに帰る時にふと中古車屋さんに展示してある結構見かけないバスを見つけた。
「雅子。ちょっと見るぞ」
すぐさまローダーを停めてばたんとローダーのドアを閉めて中古車屋さんに見に行く
「はあああ、また見つけたの?」
ついてきた雅子は呆れ顔だ。
「ついつい見つけちまった」
「買うんでしょ。あたしが帰りはローダー運転かー」
「見る限りナンバー無いから引き取り別の日だよ。うちから仮ナンバー持ってこないと」
「まあ、良いや。あれ?これも短いよね」
「そう、エムエムくんと同じカテゴリーだよ」
「はあああ、まあいいや。また増やすんだから」
僕が見つけたこれまたレアなバスは○デのU-RP210GANで、ボデイは富士○の7E FE6のNAエンジンを積んだモデルでリーフサスだった。
その車を即決して契約、買ってくると後で取りに来るといって内金を払っていた。
「お兄ちゃん、ターボにするんでしょ。」
「まあな、高過給にして270は出したいな。トルクもたっぷり欲しい」
「ミッションもつの?」
「大丈夫。新しいやつにはハイパワーバージョンあるからそのミッション使う」
「さすがね。パーツ流用のプロ」
「まずは5台のバスの整備だな。V8はクランクケースに余裕ある方は特注のクランクを頼んだから来てからだな。後はU-LV224K改にどうやってターボつけるかだな。流用は昔のトラックにあるみたいだからそれ使う。ミッションはキューピーちゃんの5速」
「もう部品は発注したんだね。ねえ、お兄ちゃん、この9メートルあたしが乗っていいかな?」
「良いけど。」
「この前、サザン君を買ってくれた後輩がなんかさもう一台欲しいって言ってナナちゃん売ってだって」
「良いけど。雅子はこのバスで会社行くんだね」
「うん、普段使いなら三四郎君居るじゃん」
「まあなロックンでもいいんだが」
「そうね、普段はね。それにドリ車置くから倉庫ちょっと手狭だし。その後輩のご両親って言うかお父さんは旧車好きでサザン君気に入ったらしくって」
「あははは、旧車探せとか言わないよね」
「そうよね。ネオクラッシックがいいらしいの。80年代とか90年代前半とか」
「そうか、ええと。LPG混焼もつけっぱなしでいいか。黒煙対策で入れたんだよ」
「そうよね。5キロのボンベだよね」
「うん。公認は取ってるから良いけど。ガンガン踏まない限り簡単にLPGはなくなんないけどね。なくても大丈夫だよ。自動で止まるから。言っておいてもらえるといいかも」
「いいよ。言っておくよ。LPG混焼ッて考えたわね。パワーアップでしょ」
「パワーというよりも黒煙防止だね。DPI作動したら動作するから。シリンダー内の空気のあちこちに火種が有れば均一に近くなるでしょ」
「そうかあ。スワールチャンバーでも有効なんだね」
と、駄弁りながらアジトに着いた。
「明日はお兄ちゃんお休みだよね。」
「そうだよ。隆弘も休みだからU-LV224Kにターボつける。燃料ポンプはいいことに320ps対応のターボのポンプを使って噴射量上げてみる。このエンジンは結構黒煙出るから過給圧と噴射圧がっつり上げてみるんだ。大容量ラジエターに交換すればできちゃう」
「へえ、キューピーちゃんは?どうしてんの?」
「あれはいいことに上手く電制のポンプと520ps対応のインタークーラーとラジエター付けたから大丈夫。」
「はあああ、そうだ。買って来たバスにニックネーム付けないとね。ええとU-LV224Kは錦くんね。あたしが乗ろうともってるのはU-RP210GAN改はニジュちゃんね」
「やれやれ、まあいいか。よろしく」
次の日、僕と隆弘はお休みの日だったが会社の工場で移設が終わったばかりの機械をテストするといいつつ錦君のエンジンにターボを組んでいた。
調べると海外向けには船舶用でターボの設定があるようでパワー的には十分なのだ。
ラジエターは同じ会社の400馬力用の物にして、インタークーラーも同じく400馬力の物を流用していた。
「悟瑠、何とか組めそうだな」
「うん、念のためノズルをオーバーホールして置いたのが幸いしたな」
「そうだね。これができたら雅子用のU-RP210GAN改にもターボか」
「これは楽だよ。大型トラックの部品が使える。ポンプはこれも大型トラック用使えるし、インタークーラーもラジエターも大丈夫だ270ps超えれば良しだ」
「そうだな、部品が流用できるのはいいことだ。そう言えばこの個体はちょっと錆びあるけど何とかなりそうだな。全部中古部品でやるって言うのは悟瑠らしいよ」
「あはは、ボディは錆びとって防錆処理してパスター厚塗りかな?流用は昔からだよ。くっつけばなんでもいいから」
「まあ、そうだな。ボディカラーどうするかだな」
「そうだな、リバイバル塗装するときあるからさ、難しいよね」
「そうだね」
僕と隆弘、途中から教習終わって帰って来た隆文と3人でエンジンを組み立てていた。
もう夜になる時間に組みあがったエンジンにミッションをドッキングして車体に積み込み完了していた。
幸い、ペラに加工は不要で組み付いたので次の日にエンジン始動、水漏れ等ないか確認しようとしていた。
アジトに帰って来僕に雅子が
「お兄ちゃん、とうとうバス探してって来ちゃったよ。まえいたスーパーから依頼来た。出来れば改造して納車してほしいって」
「何するんだ?」
「うん、移動販売車。バス路線廃止になって車に乗れない人たちが買い物難民になってる。山間部じゃないんだよ。住宅街なんだけどあるくには遠くて困ってる人たちが」
「そうか、わかったよ。出来ればノンステップがいいんだけどなあ」
「狩野さんのバスッてどうか聞いてみようよ」
「そうだな、エンジンいじる必要あるかも」
僕は狩野さんに連絡とって聞いていた。
情報だとやはりロングの方がよく、しかもフルサイズは幅で邪魔になると聞いた。
それなら狩野さんと同じく中型ロングを探したほうがよさそうだ。
「雅子、明日から探すか。中型ロングだ。元祖は日○だからその辺のとふそ○だな。○野は比較的新しいモデルじゃないとメンテが大変だ。」
「うん」
次の日、雅子はあちこちに連絡して探してた。
「お兄ちゃん、見つかった。なんか排ガスがKC-とKL-あるって」
「KCーの方がいいよ。余計なデバイスないから。KC-を買うよ。オイルもDH1でいいし」
「そうねあたしも見に行くよ、後は9メートルもあるって」
「ふーん、元祖もいいかもな」
「じゃあ、連絡するから、車準備しててよ」
「場所は?」
「この前、錦くん買ったところ。ちょうど入荷してきたって」
「行ってみよう」
「何で行くの?」
「獅子丸くんだな。隆弘たちにはニジュちゃんエンジンにターボつけるの頼む」
「そうなのね。」
「準備して出るぞ。暖機するか?ナビ仕掛けて」
「はい」
僕は親父に断ると雅子を連れて見に行った。
「獅子丸君は6速?」
「うん、ゴーゴーくんのミッション使ってる。430ps迄耐えれるから340psなら全く問題なし。」
「そうだよね。お兄ちゃんッて部品流用していじるの上手いもんね」
「くっつけばいいんだよ。ってことで。あ、もうすぐ着くぞ。」
「お兄ちゃん。このバスでって言うか1ナンバーだけど高速乗れるっていいよね」
「まあな。貨物なのと年式の関係でシートベルトの規制が違うからね。それに空なら速いから。340psは伊達じゃないよ」
「そうよね。」
僕らは錦くんを買った大型中古車専門店の駐車場に停めるとお店の人に聞きに行った
「これですね。今朝入ったばかりです。」
「査定証はありますか?」
「はい、これです。形式はKC-JP250NAN(改)です。エアサスのノンステップ」
「いいですねえ。これ買いますよ」
「ありがとうございます。業販価格ですね」
「任せますよ。」
「もう一台面白いの入ったんですよ。見ます?」
「お兄ちゃん、また買うの?」
「見てからだよ」
「はああ、また買うのね」
雅子は呆れていた
「これがさっき話していたバスです。」
店員が案内してくれたのは○野 KC-HU3KMCA 日○純正ボディで K13D を積んだモデルだった。
「これはいかほどで」
「業販価格ならこれくらいで。」
「これは僕が個人で乗るからこれくらいですかね」
電卓に打ち込んでみせる
「いえいえこちらこそいつもお世話になってますからこれで」
業販価格だった。
「すみません、それでは甘えます」
「お兄ちゃんやっぱり買うのね」
「おう、買っちゃったな」
「はああああ」
「KC-JP250NAN(改)は来たばかりでまだナンバー切ってないので乗って帰れますよ」
「じゃあ、今日乗って帰ります。念のための内金です」
内金として10万払うと僕はバスの鍵を受け取りエンジンをかけた。
「毎度ありがとうございます。」
買ったバスには僕が乗って、獅子丸君には雅子が乗っていた。
実家のお店に着くと
「お兄ちゃん、内装の改造計画を出してもらうからね。冷蔵庫と冷凍庫は要るはず」
「おう。狩野さんは冷蔵庫を積むのに苦労してるらしいね」
「まあ、これにもポケットWi-Fi積んでかな?」
「そうだな。KL-と違ってDPDとか無いからアイドリングしっぱなしでも結構大丈夫だよ。DPDの詰まりを気にしなくていいから」
「そうか、アイドル放置の自由度高いのね」
「もちろん、それなら良いだろ」
「お兄ちゃん、それにしてもまたバス増やすんだもんな」
「いいだろ。ハイパワー版はレア車だからさ」
「はああああ」
次の日、僕と雅子は出来上がったばかりの錦くんでKC-HU3KMCAを引き取りに行った。
お店の人はターボつけたというとびっくりしていた。
引き取って帰ってくると雅子が
「錦くんも早いよね。これも1ナンバーでしょ高速乗れちゃうのねでも5速は高速苦しいかな?」
「仕方ないさ。もちろん。路線系は全部1ナンバーにするよ。高速乗れるようにするからね」
「はあああ、これじゃあ」
「バスのいいところはいいことに空調ばっちりだからなんでも運べちゃうよ。その気になればエムエム君もできるしニジュちゃんもできるよ」
「そうだけどね」
「これもターボつけて1ナンバーだな」
「はあああああ」
呆れていた雅子だった
またコレクションが増えた
呆れる雅子
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