第一話 妹は走り屋の卵
走るの大好きな雅子は僕の妹
僕は走れるけど、車いじりがすき
この二人が走り屋になっていく
ノクターンノベルズの妹萌え短編集”走り屋の妹”をベースに改稿してエロ要素をなくした全年齢版です。
「お兄ちゃん、今日も行くからね。サポート頼んだよ、今週末もイチゴちゃんの出番だよ」
「雅子好きだよね、よーし、いくよ」
「当たり前じゃん。高校の頃からサーキットで走ってるんだから。って、サーキットに最初に連れてったのお兄ちゃんだよ。でもあたしが一番はまっちゃったね」
妹の佐野 雅子。普段は軽自動車で会社に行っている、今年高校を卒業したばかりの19歳。
4月生まれなのだ。
僕、佐野 悟瑠は3月生まれの22歳で、大学を卒業して実家に就職したばかりだ。大学の頃は自動車部でラリーやジムカーナをやっていた。
おやじの仕事は中古車販売店をやっていて、整備工場も持っている。
大学時代は実家から通えたので、家業の販売店というか整備工場でバイトしていたのだ。
お陰でMIG溶接機やフレーム修正機はバッチリ使えるようになったし、板金もちょっとならできるようになった。
そのまま大学卒業後にそこに就職しているのだ。
妹は高校卒業と同時に「これ以上学校には行かない」と言って就職してしまった。
商業高校を断トツ1番の成績で卒業して、商業簿記2級、電卓検定初段、キーボード早打ち選手権全国準優勝、エクセル1級、アクセス1級、ビジュアルベーシックなら任せて、の技能を持っていたので、地元の最大手スーパーの経理部に学校推薦で入ってしまった。
その雅子が「行く」と言っているのは峠だ。
なぜなら妹が高2の時にサーキットに連れて行ったところ、同乗だったのだがはまってしまい、3年生になってすぐに準中免許を取るや否や、家業の中古販売店から代金を前借りした軽で走行会に行くほど嵌ってしまったのだ。
サーキットの時はピットクルーといって僕を引っ張っていって、走行費をねだるというちゃっかりさんでもあった。
それに車の改造や整備、運搬も僕にやらせるという上手い妹なのだ。
今、妹の雅子がイチゴちゃんと呼んでいるのは○15○ルビアで、形式からそう呼んでいる。
もともとは親戚のおばさん=母親の妹が独身のころ、スタイルが気に入ったのとコンパクトで運転しやすいということで買ったのだが、結婚して子供ができて使い勝手が悪くなってしまい乗らなくなったので、僕が大学3年生になると同時にもらったのだ。
そのおばさんは何を考えたのか知らないが、あろうことかターボ付きのスペックRの6速MT仕様だ。
ボディカラーこそグレー系であまり目立たないとはいえ、女性が乗るとそのころでも結構目立っていたのだ。
しかも純正フルエアロ仕様+オプションの○スモサス、○ujitsuboの○ワーゲッターで、女性が乗る車には全く見えないのだった。
標準装備でこの車にはヘリカルLSDがついているので、結構楽しく走れる。
この車はいったん僕がボディーをどんがらまでばらして補強を加え、開口部は整備工場のレーザー溶接機で完全にシームレス溶接にした。
それに車体にある穴という穴を鉄板を板金したものでふさいでレーザー溶接して剛性アップしたし、防錆のために工場にある亜鉛メッキ装置で溶接した後にメッキしなおした。
あとは、弱いといわれているセンターフロアとリアフロアのつなぎ目に補強材を入れてある。
フロアのサイドメンバーとトランクのサイドメンバーのつながりが弱いと、親父の友人のショップで分析していた。
そこをきちんとつながるようにショップ特製の補強板を入れると、リアの安定が激変したのだ。
純正品の補強板はスポット溶接なのだが、ショップではそれを拡大してしかも板厚を上げていた。
僕はその補強板を全面レーザー溶接したので、挙動が自然になったというか反応が早くなって、しかもリアが粘るようになった。
補強板はショップから買ったものを使っていた。
リアサスメンバーのピンにはGTR用のクロスメンバーも入れた。
サスペンションのAアームはGTR用にして剛性を重視したし、ラテラルロッドを純正でピロボール入りの〇ーマ用に入れ替えてある。
リア周りのボディ剛性を上げてスタビリティのキャパシティを上げて、その分ロール剛性を後ろに持っていって曲がる方向にして、トラクションがかかる設定にしたのだった。
本当は、僕がジムカーナをしようと思って仕上げ、公認まで取った車だったが、雅子が気に入ってしまい、今はサーキット車兼峠車になっている。
車体の剛性も前後バランスよく仕上げたので、相当乗りやすいらしい。
エンジンもすべてばらして重量を合わせ、おやじの知り合いの工場に頼んでクランクのバランス取りもしてもらったし、クランクプーリー、フライホイールに至るまでアッシーでバランスを取った。
シリンダーブロックも、ジムカーナの時にお世話になっていたショップというか工場でダミーヘッド+ダミークランクをつけてボーリングおよびホーニング加工して、すべて設計値に近づけてあるのだ。
その効果で、○Rとは思えないくらい振動が少なく、軽量フライホイールも相まってレスポンス良く静かに滑らかにレブリミットまで吹け上がる。
エンジンは他に等長エキマニ+ちょい大きめのタービンに合わせて燃料セッティング、フロントパイプ+スポーツ触媒にして、それと吸気系のインタークーラーからエンジンまでの配管をステンにしてあるくらいだ。
ジムカーナをあきらめたので、ヘッドのポートも親の知り合いの都下にある工場に頼んで加工してもらった。
カムは敢えて高回転は狙わず、吸気をNAカムにしてややリフト量と作用角を広げる程度にして、中速トルクを確保した。
それでも気を付けていないと、あっという間にレッドゾーンを超える。
サスペンションは峠に合わせてセッティングしてあるので、ジムカーナと違ってスタビリティ重視になっている。
妹がスーパーマーケットから帰ってくると夕飯を食べて、僕らはアジトと呼んでいる昔林業をやっていた母親の実家、すなわち祖父母の家から峠に向かった。
このアジトと呼んでいる僕らの祖父母の家は集落の端っこにある。
母方の祖父母たちは若いころ林業をやっていたが、今は廃業している。
僕らが作業の休憩中に使っているのは、林業していたころの製材所の上にある、以前人を雇っていた時の使用人部屋だ。
その部屋にはキッチンやトイレ、バス、エアコンまで完備していて、その気になれば暮らすことも可能だ。
その建物に使われている木材は最高級だが、節があって出荷できなかったものや、長在になってしまったものを集めて作ったのだが、大型のトラックや重い製材機を入れるため、基礎作をがっちりどころか杭を多数打ち込んだので、半世紀以上たっているがいまだに傾き等なくしっかりしている。
痛みかかっていた外装は、祖父が僕らが使いたいといったら喜んで自分で修繕と張り替えしてしまった。
自前のシロアリ駆除装置もかつての仕事の関係でもっていて、薬品を定期的に噴いていたので全く心配がない。
加えて防腐剤もしっかり噴いてあるので、腐りもない。
祖父が全盛期はここの製材所で製材して出荷していたらしい。加工した木材を在庫できるようにしているので、建屋は大型車が5台くらい収まる広さがある。
僕らはそこをガレージに改造して、イチゴちゃんとイチゴちゃんのサポートカーである僕のY○1サファ○ロング、妹の通勤用の○ッセ改ターボ、僕らの街乗り用の7〇系○ンクルワゴン改、レッカー車のKL-PK26〇FZが収まるようにしてある。
車両をいじる設備としては中古ではあるが、ボードオンリフト、エアーコンプレッサー、スポット溶接機、MIG溶接機、プロパン+酸素バーナー、レーザー溶接機、板金道具、定盤、2000トン油圧プレス、油圧牽引機、メカ牽引機、ボール盤、旋盤、フライス盤、ワゴン式工具箱、タイヤチェンジャーまでそろっているので、メンテどころか改造までできてしまう。
もっとも、スポット溶接機、レーザー溶接機、タイヤチェンジャー以外は祖父が林業で道具や木材運搬車等が壊れるとそこで修理していたので、それを受け継いだのだ。
2000トン油圧プレスは材木が反ってしまったときの修正用兼圧縮用で、かなり大きいのだ。
油圧牽引機は木材で変形したトレーラーを直すためのもので、その能力は200トンと聞いた。
この場所の敷地は大型車が20台くらい悠々と停められる広さがあり、父親がこの場所を借りて中古車販売店を始めた場所でもある。
高齢になって林業を廃業した祖父母は、市街地にある今の中古車販売店付きの僕らの家に入っている。
それは、高齢で医者とか買い物に不便なこの場所では両親も面倒見が大変ということで呼び寄せた。
祖父母と交代で僕と妹がその家に入った。
その日は僕がサポートカーと呼んでいる中古のクレーン付きレッカー車とイチゴちゃんの2台で峠に向かった。
「雅子、今日もか?」
「まあね、練習よ。お兄ちゃんのサポートもあるから」
「よくやるよな。悟瑠のレッカーもあるもんな。クレーン付きだからな。万一落ちても引き上げ楽だよね」
「まあな、隆文。ちょっとレッカー見てるの頼むぜ。雅子の練習に付き合ってくる」
「おう」
リーダーの隆弘の弟にそう言って、雅子に運転を教えていた。
元々センスのいい雅子はどんどん上手になっていく。
当面の課題は、連続するコーナーの進入時に姿勢を作れないことがあって、時にはアンダーを出してしまいスピードが落ちてリカバリーに時間がかかる。
まだ発展途上なので、ほぼ毎日通って練習していた。
タイヤは父親のやっている中古車屋で発生したものをもらってきて履いている。
まずは軽く流すところから練習。
「雅子、そこはもっと荷重を前軸に残して。踏むのが早すぎだよ。荷重抜けするでしょ」
「そうなんだね」
「うん。このタイミングじゃ荷重が抜けるからプッシュされてアンダーが強く出て、結局踏めないんだよ。動きがちょっとバラバラ。なんていうかな?ターンインが遅いんだよな。車の向きが変わるのが遅れるから、どうしても向きが変わり切る前に踏むことになってアンダーが出るんだよ」
「そうか、もう一回ね」
雅子とあーでもないこーでもないと言いながら練習して戻ると、どうやら走り屋と思える集団がやって来た。
「俺はチームパイレーツの中野って言う。バトルしたい。ここで一番速いのは誰だ?」
車を見ると、〇ルテッツァだ。
今日は隆弘が来ていない。僕が行くしかないと思って、
「僕だ。佐野 悟瑠」
「じゃあ、やろうか?へえ、可愛いじゃん。カノジョか?」
「そんなところだ」
「ちょっと練習したらやろうか」
「望むところだ」
「雅子、イチゴちゃん借りるぜ。今日はリーダーの隆弘がいない。サブの僕が行くしかないだろ」
「うん、お兄ちゃんよろしくね」
1時間後、練習を終えたアルテッツ〇乗りが来た。
その間、イチゴちゃんはジムカーナで使っていたタイヤに履き替えていた。
「いいぞ、ここのルールは?」
「ここは狭いんで後追い方式だ。ちぎれば勝ち。ちぎれないなら前後入れ替えてやる。ちぎる定義は10秒だ」
「よし、いいぞ。コイントスだな」
「おう、恨みっこなしだ」
コイントスの結果、先に行くのは僕だった。
「悟瑠さん、頼んだよ」
「おう」
雅子はレッカー車の中で拝みの姿勢になっている。
イチゴちゃんのエンジンの調子を見る。
ガオーン、ひゅーんと響く。
調子はよさそうだ。
「レディ。ゴー!」
スターターの合図でスタート。
1速5500rpmで構えていた僕は、クラッチを離すと同時にフルスロットル。
ぎゃぎゃぎゃっとSタイヤが鳴く。
ブーストがフルになって、あっという間にタコメーターの針はレッドの7000を超えて8000を目指す。
パシューン。1速から2速にシフトアップするためクラッチを踏むと、ブローオフから過給を抜く音が響く。
後ろの車からもプッシャーとブローオフの音が聞こえる。イチゴちゃんと同様に過給を抜く音を響かせるのは後ろのアルテッツ〇。
どうやらターボ付きのようだ。
そんなことは気にしていられない。2速全開、3速全開とスピードを上げていく。
最初のコーナーには2速に落として飛び込む。
僕は後ろの車が失速するのは後半だと思っていた。
なぜなら後半の方が下り勾配がきつく、ブレーキに負担が掛かる。
それにタイヤにも負担が掛かるので、イチゴちゃんよりも150kg以上重い相手の車は、見る限りノーマルローター+高性能パッド程度ではブレーキがいくはず――そう思っていた。
導風板を使って積極的に冷却するイチゴちゃんならいける。
そう思ってタイヤを温存して走る。
大Rをフルスロットルで抜けて差を広げ、後半の勾配のきついところに行く。
あとは無我夢中で全力で攻めた。
何とか11秒差をつけて勝っていたのだ。
「やるなー、さすが地元は強いな」
「たまたまでしょ。僕がビジターならここまで走れるか自信ない」
「そうか。世話になったな。またどこかで会おう」
そう言うと、その集団は去って行った。
僕はスタート地点に戻って、
「悟瑠さん、さすがですね」
「ここはホームコースだ。簡単に負けるわけにはいかんよ」
「お兄ちゃん腕は落ちていないよね。ぶっちぎり。あたしも練習するからね」
「そうか。ありがと。さて、帰るか?イチゴちゃんのブレーキの踏みごたえがなんか甘いんだよな」
「うん、それはそう思った。このところハードに踏んでるからなあ?」
「戻って上げて見よう」
その後はアジトに戻って、休みなのをいいことに二人で午前中いっぱい爆睡。
お昼を食べると、午後は昨日バトルになったイチゴちゃんのメンテナンスだ。
「イチゴちゃん、頼もしかったよー。お疲れさま、ありがとうね」
妹はそう言いながら、タイヤのチェックと、昨晩僕が気が付いたブレーキの踏みごたえが甘いところがどうしてか、思い当たる部分を確認していた。
「ねえ、お兄ちゃん、イチゴちゃんの前足のブレーキパッドのあたりがなんか変よ。斜めになってる」
フロントタイヤを外してパッドを抜き取った雅子が言う。
見ると、パッドが斜めに削れている。ローターのハブ側の方の当たりが少ないのか?外と内で減り方が違っているのだった。
「雅子、キャリパーが開いたのかも。ここんとこ下りが多かったから前のブレーキに負担かかったかな?」
「えー?どうしよっか?廃車から合うのない?」
「あ、そうだ。R○3ターボのブレーキあったな。ローターもあるからそれに付け替えよう。今度は鋳鉄だから重いけど剛性は上がるよ。R〇2GTRの初期のブレーキと一緒だ。ばね下変わるから減衰いじらないとかな?」
「やったー、これでブレーキ甘くなったように感じるの治るかな?」
「うん。ローターも大きくなるからバランス考えると後ろも交換かも。よし、交換するか。あ、やば、フルードの在庫がないや。ブレーキを工場から持ってくるついでだ、ブレーキホースもクラッチシリンダーのホースも交換しよ。ここまでやるなら、エンジンオイルとフィルターも交換するぞ」
「じゃあ、あたしは夕ご飯買っておくね。お兄ちゃんは部品とフルードとオイル取ってくるのね」
「うん、じゃ頼むよ」
僕はY6〇で、雅子は通勤車のエッ〇に乗って二手に分かれて出かけた。
ここのアジトは下手な整備工場よりも設備が整っているが、前後のブレーキ交換、ホース交換、オイル関係の交換には2時間くらいかかってしまい、初夏の夕暮れが近くなった時、やっと交換を終えた。
僕が後輪のブレーキを交換しているうちに、雅子は前輪のブレーキホースとクラッチホース、レリーズシリンダーを交換していた。
ブレーキキャリパーは前後ともオーバーホールしておいたので、すぐに使える。
シールキットを交換してフルードを満たして、錆びないようにしておいたのだ。
その後は二人でブレーキとクラッチのエア抜きをして、エンジンオイルフィルターも漏れがないかチェックしていた。
「お兄ちゃんありがと。イチゴちゃん調子上がったかな?」
「うん、そう。今日も行くんだろ」
「えへへー、行くの。その前にお風呂入って、このオイルいっぱい付いたの落として、お夕飯食べて、出発ね」
「ガスは大丈夫か?」
「あ、そうだ。半分しかないから詰める。イチゴちゃんにもご飯あげないとね。昨日の宿題練習するぞ。録画データ見たら、お兄ちゃんって結構早めに切ってるもんね。そのせいかしら、なんかスムーズね」
「練習したからな。じゃ、スタンド行ってからだな」
「お兄ちゃん、お風呂とテーブルよろしくね。あたしごはん準備するから」
そう言う雅子。妹は機械いじりもできるが、唯一料理が苦手である。
夕食の支度といっても、できるのはトン汁とか肉じゃがとか焼き肉とかの簡単なものだ。
それでもないよりはいい。僕も料理は上手ではない。
その日は焼き肉で、オニオン+豚肉のコマ切れを焼いて市販のタレで味付けしたものだ。
夕食のあとは二人で一緒にお風呂に入る。時間と水、ガス代がもったいないというのだ。
そんな生活をしている僕らだが、妹の雅子はどんどん吸収して速くなっていくのだった。
「今日も行くからね。レッカーよろしく」
暖機しながらにっこりしている妹だった。
エロ小説ばかり書いてきましたが、たまにはエロ抜きもいいかと
いつも読んで頂き、どうもありがとうございます。
今回はここで更新します




