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またたび  作者: 亜佳 頽
旅立ち
13/21

タネン村議会②

 翌朝、少し薄暗い時間帯に目が覚めた。

 約束通りベットとシーツを片付けてから議会の外に出る。


 「さて…どうするか…」


 予定だともう出ていくところだけど、この村は今魔物への対処能力がない。これも何かの縁だ、移住の手伝いくらいはしてあげよう。さすがに村の護衛依頼は出してるだろうし、襲撃は問題ないだろうけど、護れる人は多いに越したことはないはず。


 「見て見ぬふりするわけにもいかないし…」


 ここは若い男性がいないだけで、未亡人とその子供は多いらしいし。


 議会から出て、荷物を取りに馬車の方に向かっていく。

 今後は議会か…まだ壊されていない空き家があればそこに泊まろう。


 タネン村は入り口から見て手前に畑、その先に家や議会がある。議会の辺りになるとそこそこ道が整備されている。

 評議会制が整えられているのを見るに、思ったより賑わってたのかも。


 少しすると、家の影からネベルクの付き人の一人が駆け寄ってきた。

 痩せ型で細い人だけど、やけに顔が濃ゆくて目力が強い人だ。

 


 「カトゥーラ殿、少しよろしいか?」


 「ん…?まぁ大丈夫だけど」


 「感謝します。

 私はネベルク様の秘書、ビッテです。単刀直入に言うと、議会で証言をしてもらいたいのです。

 我々が移住についての議決を急いでいる根拠である、襲撃の脅威について話してもらう必要があるかもしれないのです。」


 …まぁいっか。というか、そうかまだ議決がされない可能性があることがあるのかな…何にしろ、その手伝いになるなら喜ばしいことだ。


 「いいですけど…その場合私はどんな立場で議会に立つんですか?」


 「参考人として証言をしてもらいます。」

 

 参考人…専門家みたいな?


 「ところでビッテさん、私が泊まれる場所はありますか?空き家とか…」


 「あぁ、ございますよ。そうだな…向こうの、石屋根の家ならば大丈夫です。

 私の方で伝えておくのでそのまま荷物を詰め込んでください。」




 家の中は少し埃っぽいけど、一人なら十分なスペースがあった。なにより馬小屋があるのがうれしい、外に放置しすぎて馬が疲労気味なのだ。


 「にしても…巻き込まれたにゃねぇ〜」


 若干憂鬱だけど、まぁ仕方ない。



 荷物を直し、軽くご飯を食べて村を散策する。この時間になると人もぼちぼち見えてくる。

 子供とその母親らしい人とか、畑を見回っている初老の男性は見えるけど、若い男性が一人もいない。


 「まじょ!まじょだ!」

 「ちがうよ!ねこだよ!」


 「んにゃ…?」


 振り向いてみると、小さな…十歳くらいの女の子達が、私のローブを引っ張っている。その背後には、同じくらいの子供を10人くらいを引き連れているヒューラ議員がいる。

 人当たりのよい笑みを浮かべたシスターは、その子供に呼びかける。


 「ノーン、ピラーほらこちらに戻りなさい。…あら、カトゥーラさん…」


 私をみたヒューラ議員は、その笑みを引っ込めて困ったような顔をしている。


 「…昨日ぶりです、その子達は?」


 「…孤児です。ここから徴兵されたのは男性だけ。

…けれども、それについて行った妻も、既に都市に向かった者も多い。

…そして、往々にしてそのような時に、そのような者達は子供を連れる気なんてなかったのよ。

 そのような子供は教会で保護することに決定されているのです。」


 …そんなことがあったんだ。

 ため息混じりにそういうヒューラ議員には疲れが見え隠れしている。

 後ろでコソコソ話している小さな子達だけど、痩せ細ってる感じはしない。多分ここにいない子もいるだろうし、全員を教会だけで養うのは無理だと思う。


 「それだけの食料はあるんですね…というかこの村に来て痩せてる人を見ていない気が…」


 「貴方の…なんなのか知らないけれど、コンラート伯はきっちりと代償を支払ってくれてる。

…それこそ、ここら移住することを躊躇うほどに大量に、適切にね。」




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