身請け①
始めてこういうのを書いたので変なところも多いと思います。
コトンっ、と前にスープと白色のパンが置かれた。
白いカブや、見たこともない肉がごろっと入ったスープだ。嗅いだことのない良い匂いが漂っている。
「まずは腹を満たせ。」
そう言ってスープを差し出してきた男を見上げてみる。見ただけでわかるほど作りのいい服を纏った男は、人間とは思えないほど背が高くて、私と同じほど太い腕をもつ巨人だ。本来自分が見ることも叶わないほど高貴な人物だと私をさらってオークションにかけた人間から聞いた。理由は分からないけど私を買い上げて、いま直接ご飯を渡してきてる。周りにはこれまた良い作りな服を着た使いらしき人間が数人いる。その中の一人は私と同じく赤い毛で猫の耳と尻尾が生えている。
明らかに場違いな汚らしい服を着た私は緊張が限界まで達していましたが、慢性的にお腹が空いていたのでひとまず目の前のスープを食べることにした。まずは肉を噛んでみるが、今までにないほど味が濃ゆくてつい咳き込んでしまう。落ち着いてからそれを口に入れて噛むと、柔らかくて匂いと味が口に広がる。白いパンはとても柔らかくて、記憶にあるくずを混ぜてかさ増しをした硬くて黒い平パンとは天と地の差がある。
夢中になってパンを食べてスープを飲み、またパンを食べてスープを飲んでいるとすぐにご飯がなくなった。量的に全く足りないと思っていたがなぜだか満足感がある。
「食器を持って一度部屋から退出してくれ。」私が食べ終わったのを見た男は食器を指さしながら使用人たちにそう話しました。これから何をされるのか考えると、嫌な記憶ばかり思い浮かんで吐きそうになる。しかし予想外に男は優しげな顔で私に語りかけてきた。
「私は北方辺境伯コンラート、これからお前の主人となる人間だ。さて、お前の名前はなんだ?」
すごそう(すごそう)という感想ぐらいしかでない。けど、さっきの使用人にも猫人はいたのを見ると良い人間に買われたのかもしれない。
「カトゥーラです…少なくとも周りはそう呼んできてました…」
呼び名としてはこれしか記憶に残ってない。あまり好きな響きではないけど。
「カトゥーラか…わかった。では早速だがお前のこれからについてだ。端的に言うと、お前はこれから俺等一族の補佐になってもらう。」
どう考えても不可能な命令に言葉を失う。
そんなの無理に決まっている。私は文字も読めないし算術なんて言うまでもない。無理だと否定したいが、この状況で反論なんてできるわけがない。呼吸が苦しくなっていく。
「落ち着け。何のために若いお前を買ったと思っている。これからお前は補佐になるための勉強をして、時期的に俺の跡継ぎの補佐をしてもらう。」
最悪でもあと数年は勉強だけして生きていけるらしい。でも一番大事なことがまだ分
からないままだ。震えながら声を上げる。
「…なんで私なんですか…?」
「伝統だ。ノルドは世代交代の時に跡継ぎの補佐を1人つける。基本的に信頼のおける部下を指定するが、俺の子はまだ若い。今の部下たちは高齢になりすぎるから、お前くらいの者を育て上げてみることにした。」
…なんで私なんですか?




