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第3話~拒絶!~

その日の軒並荘の住人は彼、大瀧流の絶叫を目覚ましとすることになった。


「僕の、娘ええええええええええええええええええええええ!?」


ふだんはこの時間なら二度寝をする者も、万年独り身の彼から発せられた意外すぎる叫びに興味……いや、心配して、ゾロゾロと起き出した。


「どうしたんだい、大瀧君」

彼が住む部屋の右隣から、恰幅のよい中年男性が出てきた。


大月夜。普段は部屋に引きこもってパソコンなどをしているダメ中年である。


しかしダメなのはその生態だけで、中身は面倒見のいいみんなの相談役であるのも、また事実。


「おはよう、大月」

「お、おはようございます!」


父親の知り合いである好助が挨拶したのを見て、紅もぺこりと頭を下げる。後ろの尻尾のような髪も、あわせてぴょこりとなる。


「あはは、君は?」


「わ、私、成瀬紅です!お父さんの娘です!」


ちゃっかり自分が流の娘だと主張するあたり、つくづくよくできた娘である。


「ああ、それで大瀧君は叫んだ格好のまま固まっているんだね?あはは、実におもしろいな、なあ、好助君?」


「ええ、ものすごくうれしいです。今まで女っ気のなかった軒並荘にようやく紅一点が……って、今のしゃれじゃないですよ?」


ちなみに、これは補足だが。

軒並荘には管理人さんのほかにもう一人高校生の女の子がいる。


だが、人の価値観は様々、それこそ千差万別である。自分が欲情できない人間しか女性と認めない人間もいれば、それに加えて幼女好きというど~しようもない人間も世界にはいる。確実に少数派だが。というか少数派でなければ困る。


そして、その少数派のひとりが、軒並荘の『無毒』、堂野好助だった。


彼は紅がくる前はただ『幼女が好き』とほざく無害な男だった。だが。


「……ふむ、君はどうやら『無毒』の名を返上しなければならないみたいだね。今の君は危なっかしすぎる」

「別に構わないさ、そんな名前ぐらい。唯一の星に出逢えた僕は、どうあっても抑えることなどできやしない。絶対に僕好みに教え込んであげるよ」


さっと紅は身を引いた。その程度で助かるとは彼女も思っていないが。どうやったら自分の身体を守れるか、彼女の頭はいまだかつてないぐらい考えていた。


1.逃げる。

どこに?却下。


2.戦う。

どうやって?却下。


3.通報。


その考えが浮かんだと同時、スカートのポケットから携帯を取り出し、110番をプッシュ。


「あ、あの、警察ですか?あの、私少し、いやかなり貞操の危機なんです。……相手の名前?ええっとたしか、堂野好」


「すみませんでしたー!!」


一瞬で三メートル離れ、廊下にでこをつけての土下座。


「……あ、もういいです、危機は去りました。ではでは」


笑顔で電話を切った紅は、そのままの表情で平謝りの好助に近づく。


「お母さんいつも言ってました。『男の弱みを握ったら、掴んで離しちゃだめよ?男ってのは弱みを晒すのを何よりも恐れてる生き物だから』って。……意味、わかりますよね?」

「は、はい!わかります!」


もうなんかどっちが子供なんだかわからないぐらい立場逆転した二人。


というか紅のお母さんって何を吹き込んでたんだ?


未だ精神が現実世界に戻ってこない流を除いた全員(二人しかいない)が思った。


「じゃ、私にしちゃダメなこと、わかりますよね?」


紅自身も自分の身を護るのに必死だ。でも必死になればなるほど口調が冷静になり、思考力が上がるって本当によくできた娘である。


「は、はいはいはい!わかります!わかりますから、どうか、どうか警察だけはご勘弁!」

「……しかたないですね。勘弁してあげます」


まさしく嫌々、と言った風を装って紅は言う。好助が調子に乗らないための演技だ。本当に、紅のお母さんって何を吹き込んでいるのだろうか。


「お、お父さん……?ぼ、僕が……?」


ようやく硬直から立ち直ったかと思えば、彼の口から出てきたのは疑問の言葉。


「そ、そうです!私、あなたの娘です!」

変態を成敗するのに躊躇はしなくても、父親に自分の存在を認めてもらうのには、少しばかりの躊躇があるようだ。


もし、人違いだったら?もし、言い過ぎて拒絶されたら?


そんな不安が彼女は拭えない。いくらできた娘とは言え、彼女はまだ十歳になったばかりなのだ。


けれど、誰もがそれを認識しなかった。

思考は成熟しているかのように見える。 自分の意思をちゃんともっているように見える。


それは当たり前だ。彼女の母親がそう見えるように育てたのだから。


だからこそ、誰もわからなかった。







「う、嘘だ……!」






つい、出た言葉なのだろう。彼を責めることはできない。


ある日いきなり『あなたの娘です』と言われて受け入れろと言う方が無茶だろう。

そんなことぐらい、まともな思考をしている人間なら誰にだってわかる。



「…………っ!」



誰もが、成瀬紅もその『まともな思考をしている人間』だと疑わなかった。


「紅君!」


だから、紅が流の言葉を聞いて、ショックを受けたような顔になって三人のいる廊下から走ってどこかへ行くとは、誰も予想していなかった。


 こんにちは、作者のコノハです。

 今日から土曜まで、テストです。

 期末です。

 期末の後は学期末の授業です。

 

 なので、期末終わるまではこの『お父さんになっちゃった!?』はお休みです。

 すみません。二周間全部開けることになってしまいまして……。


 でも、来週の月曜日は絶対に投稿します!

 では、駄文散文失礼しました!

 ご愛読感謝、また来週!

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