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邪竜の餌として転生した我が命の瞬くような輝きよ

作者: みももも

注意:

 すごい中途半端なところで終わりますが、他作品に集中したいので、続きを書くことはありません。

 というか、短編なのでシステム的に続編は書けません。あしからず。


 そんな転生ものもありだなあ。ぐらいの軽い気持ちでお楽しみください。

 生まれ落ちた瞬間にすべてを理解した。

 これは転生というやつですわ。

 前世の記憶を引き継いでいて。

 あるいはすぐに忘れてしまうのでしょううか。

 少なくとも私のこの記憶はこの世界に起因するものではありません。

 私の世界は、少なくともこんなにも殺伐とはしていないはず……


 戦争が起きないわけじゃない。

 飢餓や貧困に無縁なわけでもない。

 地続きの、世界のどこかで多くの人が死んでいる。

 だけど少なくとも私の周りは、平和で、娯楽に満ちていた。


 状況を、まとめましょう。

 私の魂は、どうやら人型の生命に宿ったようですわ。

 三頭身ぐらいの小さな身体。

 自分の頭頂部にすら届かないほどの小さな腕。

 体重を支えるのには心許ないか弱い両足。

 意識だけがはっきりとしています。

 声は出ない。声帯を動かすのに十分な筋肉さえ、まだ身についていないのかもしれません。


 それは、良いのです。


 何せ転生なのですから。

 ゼロ歳児からやり直すとは、要するにそういうことなのでしょう。

 問題は、周りの状況……


 両親らしき、人影の姿が見えません。

 私の身体は乾ききっていて。

 羊水がべた付くこともなく、それどころか衣服が着せられてさえいます。

 状況から察するに、まさに今生まれた……わけではないのでしょうね。

 生まれて間もない生後何日か。

 自我というものが芽生えると同時に、私の記憶が発生した……のでしょうか。

 ああ、だとしたら顔も知らぬ私の両親よ。

 なにゆえにあなたは私をこのような場所に見捨てたのです。


 あたりを見渡すと、そこは人の住むような場所ではありません。

 柔らかいベッドというわけでなく、地面より少し高い台座の上に、私は鎮座させられている。

 私は知っています、これは祭壇というのに形が似ています。

 青い空、白い雲……天を舞う大きな影。

 それは私の記憶にあるどんな生き物よりも大きくて。

 不覚にもそれを見て美しいと思ってしまった。


「ああ……あぅ〜……」


 人はあまりにも綺麗な物を見ると、言葉を失ってしまうのかもしれない。

 言葉を与えられる前の私には、想像することしか出来なかった、のだけれど。

 少しずつ高度を下げて、それはどんどん近づいてくる。

 広げられた大きな翼は天に輝く太陽を喰らい、私に優しい日陰を作る。


 鋭い爪は、私を切り裂くのでしょうか。

 大きな口は、私を一口に飲み込むのでしょうか。

 舌なめずりをする君は、ああなるほど、お腹がすいているわけね。


 こんなにも美しい龍の糧になれるなら、私は不幸でないのかもしれない。

 だけどさ、神様。いくら何でも、これはないですよ。

 生まれたばっかでさ、人生これからだ! ってとこなのに。

 そのまま食べられて終わりだなんて、あんまりだと思わない?


【そう思うのであれば、お主自身でやり遂げて見せよ!】


 天に向かってつばを吐いたら、天から返事が返ってきましたわ……

 そんな無茶を言われても、人は生まれてすぐに走れるようには出来ていないのよ。

 ほら、この通り、私の身体は……あれ、立ち上がる?


 不可能の証明を。

 そう思って身体を動かしたら、身体が思った通りに動いてしまった。

 宙を舞う美しい君も、これにはさすがに驚くよね。

 降下をやめて、間抜けな顔で私を睨む。

 キッと空を見上げると、それは相変わらずの、巨体。

 でもどこか、さっきまでの畏怖ろしさは吹き飛んでしまったようで。

 天から見下ろすその瞳には、食欲以上の敵意が宿っているようで。


「よっしゃ、そういうことなら、やってやりますわ!」


 もしかしてさっきまでの私は、本当に言葉を失っていたのかも。

 そう思うほどに、私の口からは流ちょうな言葉があふれ出る。

 赤ん坊が立ち上がることすら出来たのです。

 言葉を話すぐらいがなんだ。そんなこと、子供でも出来ますわ!


 巨大な龍は、相変わらず高いところから見下ろして。

 ああなんか、その態度も気に入らなくなってきました。

 とはいえ降りてきて、目線を合わせて話せなど、龍に言っても無駄、でしょうね。

 ならば私から昇るしかない。そう、これは仕方のないことなのですわ!


 皮膚に『力』を感じ取り、『流れ』に私の身体を乗せる。

 私の足は地を離れ、私の目線は高く高く昇っていく。

 大地を見下ろし、すぐに龍と同じ視点に立てた。


——お主は……何者だ?——


 脳に、心に、直接声が響く。

 これが龍の会話術? 空気を震わすことすらせずに、意思を直接伝えるみたい?

 だとすれば、私も返事をすべきなのでしょう。


——私は、キラリよ。そういうあなたは何者ですの?——

 続きが気になる人は、誰か私の代わりに書いてくれませんか?


 いや、無理か。

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