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神風ナイト  作者: Ringo
15/15

最終章 神風ナイト

最終章執筆終了時刻、11時30分頃。公開した時刻、11時40分orz



「逃げろ、未璃!!!」




「二が・・サねぇ・・・ゾ!」




「くそ、化け物めがぁぁぁ!!」




「お姉ちゃん、かみか・・・っ!」




 言いかけた台詞を飲み込んだ。彼女は、まだ連と話をしていなかった。その時だ。




「未璃!」




 名を連に呼ばれ、びくっと体が跳ねる。




「君にはとても感謝してる。だから・・・後で話そう。全て・・・」




「う、うん・・・」




 彼の事を見た未璃の頬は、少しだけ赤く染まっていた。





 最終章 神風騎士ナイト






 別行動中 祐介、ロゥランド


 ガガガガッ!!


 二丁の巨大なガトリング砲が唸り、巨大な騒音が鳴り響く。銃弾は標準を乱しつつも祐介とロゥランドを追っていた。


 その銃弾をギリギリの所で交わす二人。祐介は運動が苦手で息が荒くなっている。


「うおぉぉぉ!!」


「でも、人質は人質。お前等、あんま騒ぐとこの子、殺しちゃうよ?」


 ロゥランドの脚部はおかしな音が鳴り、もう限界も近かった。おまけに立場は断然に向こうが有利。ロゥランドの所持する武器は残るはアームガンと大口径ライフルと大型バズーカ砲。だが、バズーカ砲は負担を減らす為に捨ててしまったのだ。それに対し、白い騎士は二丁の大型ガトリング砲+十分すぎるほどの予備弾。また腕に取り付けられた相手を熱暴走させる強力なスパイク。


「勝ち目ねぇって!」


「私が奴を引きつけます。その隙に祐介騎士は逃げてください」


「お前一人でどうやって戦うんだよ! それに捕まってるあの子どうすんの?!」


「状況が状況です。諦めるの他ないのです」


「アホ! そう簡単に諦めんな!」


「ホラホラ、足が疲れてるみたいだぞ」


 祐介の足に一発被弾した。派手にすっころび、痛みを堪えようと足を掴み耐える祐介。その祐介にトドメを刺そうと騎士が寄ってきた。


 その背後へ飛びつき背中に銃口を突きつけロゥランドは何発も放った。それでも装甲をへこませる程度しか効果はでず、ロゥランドは壁へと投げ飛ばされた。


 ガシャン、と嫌な音が祐介に聞こえた。ロゥランドはそのまま機能が停止し、動かなくなってしまったのだ。


「まずはお前からにする」


 そう言って再び銃口を祐介に向けた。死からは逃げられない。なのに、彼は最後まで諦めず、這いずってでも逃げようとした。


「バカが。逃げれるわけがない」


「バカはどっちよ!!」


 背後に、白い騎士の背後に捕まっている筈の沙紀が、パイプイスを振りかざしてたっていた。彼女はその華奢な体に似合わぬ威圧感を放ち、表情は相当なまでに苛立ちが現れていた。


 パイプイスを渾身を込めて降りおろし、騎士の頭に直撃した。それでも、騎士へのダメージはゼロだろう。


「何だおまえ?」


「あたしを散々拘束してた罰だ!」


 そう言いながら何度もパイプイスを降りおろす。騎士は抵抗すら見せず立っていた。


「女に手を出す趣味はないけどなぁ、じゃまするな」


 白い騎士は沙紀を振り払い、銃口を沙紀に向けた。


「・・・消えろ」


 その瞬間だった。沙紀に向けられたガトリング砲は突如大きな手に捕まれた。そして、その隣には巨体の男が・・・。


 視線をそちらへ向けた瞬間、もう一方の巨大な拳が白い騎士の視界に飛び込んできたのだ。


 なす統べなく白い騎士は顔面にその鉄槌のと瓜二つの拳に吹き飛ばされる。その勢いは止まることなく壁へ体を持っていかれた。


 壁に全身を打ちつける鈍い音。もちろん、騎士は一発で意識を失っていた。


「まったくぅ、女の子が無理をしちゃだめよん?」


 汚い地声の主・・・。女装を施した巨体の大男(本人は女と言い切る)は、たった今鉄の鎧を殴った拳を何事もなかった様におろした。


「・・・キャ、キャンディ!」


「何この人・・・。変態?」


「キャンディ殿、応援助かりました」


「あんた達の事だからまたヘマすんじゃないかと思ったのよ。そしたら案の定絶体絶命じゃなぁい」


「祐介騎士、私も活動が限界です。戦闘の続行は難しいところです」


 ロゥランドの脚は未だヒビの入ったままだった。


「しょうがない、俺達は一足先に退却するか。あのクソジジィが教えてくれた下水道の道も覚えてる内に」


「あ、あなた、勇気をもって戦ったのは褒めるけど、あんまり無理しちゃだめよ? <あたしと同じ女性>なんですもの。それと、今日のあたし達の事は秘密にしておいてくれるかしら?」


「言う分けないでしょ! 変態に助けられたなんか!!」


 未だぐったりと倒れたままの白い騎士。よく見れば騎士の頭部の装甲が大きくヘコんでいる。恐らく中は鼻を骨折しているだろう。あとは、ガイア兵達に任せることにした祐介達はジディの情報をもとに下水道を使って退却することとなった。沙紀は自らガイア兵のもとへ行き、救護を

求めて行った。


 だが・・・。


「待ってください」


 下水道の蓋を開けかけたとき、ロゥランドは祐介の腕を止めた。


「やはり、連騎士とシルクが気になります。先ほどより夏源反応が強くなっていますし・・・。応援に向かった方が良いのでは?」


「って言っても、俺らは別に銃弾も殆どそこを尽きてるし、俺とお前もまともに戦える訳でも・・・あ」


 そこで、祐介の脳裏で何かが閃いた。


「そうだ、アイツのがあった・・・!」










「・・・ガッァ・・・!!」


 息が出来ない苦しさ。文字通り、連は今、黄金の騎士に首を捕まれ呼吸困難に陥っていたのだ。


「どうダ・・・くるしめェ・・・!!」


 その連を助けようと傷ついた体で立ち向かう杏奈。だが、その努力も虚しく騎士に振り払われた。


「くそぉ・・・連、死ぬなよぉ・・・!」


「おれ・・・には・・・まだぁ・・・っ」


「死ねェ!!」


 騎士が叫びさらに力を込める。だが、連もそれを黙っているはずがない。最後の力を振り絞り、腰に付いているナイフを握って騎士の右腕の新兵器に突き刺した。効果など、期待はしていなかったのだが。


 まさか、新兵器の中心部となっている部分だけ刃が通るとは知らなかった。降りおろしたナイフはそのまま新兵器の核に突き刺さっていたのだ。


「ぐぉぉォォォ!!!」


 痛みで獣のように叫ぶ黄金の騎士。もはや生身の部分が見えず、全身が取り込まれかけていた。何とか一命を取り留めた連はその場で大きく咳を繰り返して肺を整えた。


「あそこが、弱点か・・・!」


「なら・・・!」


 そう言ってふらつく足で立ち上がる杏奈。もはや彼女に体力は残されていなかった。


「いい、俺が止めを刺す」


「でも・・・ッ!」


「そんな体じゃ足手まといだ!」


 連に言われて渋々刀をおろす杏奈。


 すると、遠くから兄の声が響いてくる。


「連! これを使えーッ!」


 走りながら何かをこちらへぶん投げてきた。見事それをキャッチした連はそれが何なのかよく分からなかった。


「これは突出型のスパイクブレードだ! その銃口の部分を相手にぶつけながら押してもブレードが射出されるみたいだ! ロゥランドの装甲をぶち破った代物だ! 外すなよ!」


 頷いて連は重っ苦しい鎧を全て外した。そして隠密行動用のスーツの上にそのスパイク兵器を取り付けた。


 そして、苦しみ悶える黄金の騎士へ駆け寄り、腕に取り付いたバイオ・メタルに向けてーーー。


 射出されたブレードの誇る鋭さと熱量。バイオ・メタルの核となっている心臓のような形をした部分を一突きした。


「がぁあぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」


 今までに無い痛みを与えられた騎士はさらに声を上げた。


 次第に声も掠れ、鎧の外れた部分から見えた騎士の瞳は濁っていった。ぐらっと倒れ、心臓のようなものも動きを止めた。


「終わったのか?」


「そのようだ・・・な」






 その後、祐介達と杏奈は下水道から逃げていき、連は一人校舎に残ってあくまでも<被害を受けた生徒>をしなくてはならなかった。幸い、鎧などもロゥランドとキャンディが持っていってく、制服も見つけて届けてくれた。




 制服を着て、一人校舎をうろうろと徘徊する連。別校舎がやけに騒がしい。もう、こちらの校舎へもガイア兵が来るだろう。そのガイア兵に無事生き残っていた生徒として保護され、病院へ。そうすれば、全てが片づく。




 自分の教室を覗いてみた連。すると、そこには未璃が自分の席に座っていた。


「あ」


 二人の声が重なる。照れくさそうに視線を互いに反らす。


「あのね・・・。ごめんね、昼休み。もう、酷いこと言って」


「いや・・・」


「私、もう傷つくのは自分だけでいいと思ってたみたい。神風君をわざと私から遠ざけようと・・・」


「いや、俺も・・・自分が今まで未璃達に支えられてたのに気づかなかったから・・・。それに、俺は金で未璃の側にいるんじゃないってことも。自然と、君の側に居たかったみたいで・・・」


 ふと、未璃は疑問に思った。


「今、私のこと・・・<ミリ>って言った」


「・・・あ」


 自分でも知らぬ間に呼んでいた。恥ずかしさが溢れ顔が真っ赤になる。未璃はなぜだか微笑んでいた。


「いいよ。未璃で。そっちの方が私うれしいもの」


「え? 本当?」


「うん」


 何だか照れくさくなっていたのを二人は笑って誤魔化した。


「そ、そろそろ下に行こう。連の怪我も放っておけないし」


「え・・・今俺の名前・・・」


「おあいこでしょ!」


 そういって恥ずかしくなった未璃は先に教室を出て行ってしまった。


 やっと、安心した生活が送れるのだ。依頼でこの学校にいるとはいえ、年齢からしても高校へ通っても問題は無い筈だ。この学校で出会った掛け替えのないものを失いたくは無かった。連は心の中で決心した。


 そしてそれを未璃にいち早く伝えようと教室を出ていった。


 銃弾が掠り、肉が抉れた足は痛み、うまく歩けなかった。戦っている最中は何とも無かったが。


 先へ行ってしまった未璃を追いかけて、連は一生懸命歩いた。


 角を曲がり、ちょっと先の階段に、未璃がいた。


「未璃!」


 名を呼んで振り向かせた。彼女に今、言いたいことがあった。


 だが、振り向いた彼女の表情は目が点になり、何か叫んでいた。よく分からずただ連は歩いていた。耳を澄まして、よく聞いてみた。




 だが、もう遅かった。







「居たぞ! こっちだ!」


「一人倒れているぞ!」


「大丈夫かい?君。もう大丈夫だよ」


 何十人もの、鎧を纏った者が絶望する未璃の前に現れた。


 パンッ!


 今、一人の騎士が銃弾を放ち、一人の男を撃ち殺した。


 その男が握っているのはナイフ。血の垂れたナイフだ。男は悔いの無さそうな気味の悪い笑みを浮かべて打ち抜かれて死んだ。


「ブレイド社が雇ったはずの騎士は全部で3人。全員回収したはずだ! こいつは誰だ!?」


「まて・・・この男、ブレイド社のバッジを・・・しかもスーツだ・・・」


「この作戦の副指揮官を勤めていた男か!」


 騎士が倒れた連を抱える。担架に乗り、連れて行かれる。彼の右目は、大量の血が溢れだしていたのだ。
















 それから、2週間・・・。




 がらんっ!


 場違いになほど大きな音を立ててドアを開け、その開けた主をその部屋に寝込む人たち全員が睨む。すみません、と一言謝り祐介が入ってきた。続いて頭に包帯を巻いた杏奈。


「よう! 来てやったぜ」


「もう他の怪我大丈夫か?」


 彼らが声をかけた相手・・・。それは連に向けられたものだった。


「ああ。お陰で切り傷と強打した所はね。足もいい感じ。もう学校へ行けるね」


「ほう、そうか。退院許可は下りたのか?」


 杏奈が聞いたら、連はちょっと溜め息を吐いて自分の顔を指さした。


「目が、まだみたいだ」


 連の指を指していた先・・・自分の顔ではなく彼の右目であった。だが、今は包帯で右目を隠されていた。それに、右頬にナイフで切りつけられた痕が残っていた。


「・・・やっぱり、視力は・・・」


「ああ。失明だと、よ」


 それを聞いたら杏奈は深く落ち込んでしまった。






 暫く連と会話をして部屋を出ていった祐介と杏奈。


「すまないな。私のせいだ、連があんなになってしまったのは・・・」


 テンションが下がっている杏奈。それとは間逆の祐介は連の代わりに答えた。


「別にお前のせいじゃないって。アイツだってそう思ってる。それに、なんか言ってたぜ? これで辞められるなら釣り合う代償さって」


 祐介から初めて杏奈に口に出される話しを聞いて、杏奈は大声を出さずにいられなかった。


「何っ! 辞めるのか! しょうきん・・・」


 言ってはならない言葉の所で祐介が口を塞いだ。


「バカ! 声でかいっての!」


 手を離すと、改めて声の大きさを絞って言った。


「連は賞金稼ぎを辞めるのか?」


「ああ、俺もだけど。そもそも、あの時、未璃ちゃんにそれを一番に伝えようとした矢先、偶然足を引きずった<北条>がいたらしい。それに気づくのが遅れた連はそのままアイツにナイフで切られたって訳」


「そうだったのか。・・・私と同じか」


 その最後の言葉を、祐介は聞き捨てならなかった。


「え、同じって、まさか・・・お前も辞めるの?」


「ああ。あの子と暮らすのに、あんな仕事をやっていける訳が無かろう。まともな職について、未璃と失った時間を取り戻そうと思ってね・・・」






 それから、さらに3週間後の朝。


 先生の話の途中、ドアの向こうから全力で駆ける「何か」の荒い息が聞こえていた。教室にいた何人かがそれに気づき不審に思う。


 すると黒板に近い方のドアが勢いよく開き、肩で大きく息をする「連」がいた。彼は酷く息を切らして、教室へ入った。完璧な遅刻だったが、諦めずに走ってきたところは真面目な彼らしい行動ともいえる。


「まったく、1ヶ月ぶりの学校の登校がいきなり遅刻ですか。あなたはけが人でもあるんですから、無理して走るのはやめなさい!」


 先生からの説教を素直に聞き入れ、連は謝り席へ着いた。


 およそ1ヶ月ぶりに彼の顔を見るものが多いだろう。だれもが彼の変貌に驚いていた。彼の眼帯姿にもだが、それよりも・・・。


「ねぇ、何か感じ変わったよねー」


「うん、明るくなったって気がする」


 今の連の表情は清々しく、明るいものだった。連も、失った時間を取り戻しているのだ。こうして、みんなと学校生活ができることが、今の連にとって最高の幸せだった。


「連、目大丈夫?」


 隣の席に座る未璃が心配で声をかけてきた。


「ああ。大丈夫。今は痛くもないよ」




 そう、変わった。全部。


 賞金稼ぎを辞め、普通の高校生として生きることを選んだのは、間違いじゃなかった。これからもっと楽しいことが待っているだろう。


「じゃぁ、一緒に高校生活、満喫しなきゃね!」




 ブレイド社はあの後、エクシード社のデータを盗んでいたことが発覚し、倒産となった。また、あの新兵器は鉄を取り込むことによってまるで生き物のように増殖する<バイオ・メタル>と言うものであり、国もあの兵器に関わる資料を全て抹消したのだ。




 こうして、連の新たな人生が始まった。


 彼は、これからどんな出来事にであるのだろうか。どんな困難や壁が待ちかまえていようと、連はこの人生を公開しないだろう。何故なら。




ーーー・・・信頼できる友達がいるから・・・ーーー




 神風ナイト 完

ほんと・・・自分のマイペースさには呆れます。ですが、何とか完成しました。

物語が正直乱れがちかもしれないけど「未完成の傑作より、完成した駄作」って言葉もあったり、なかったり?


ですが、今まで企画の方にはご迷惑をお掛けしました。この場を借りてお詫びを。


本当に遅れて申し訳ありませんでした!


これからも、凛檎は小説を書き続けますのでブログの方を覗いてみてくださいね~。ではノシ

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