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その36〜その40
財産を半分に分けることを条件に離婚した元妻から、正確に半分に分けられた一人娘が送られて来た。
「またこの部屋か」とぼやきつつ、清掃職員は高層階の窓の外一面についた手形を拭き取って行く。
闇鍋の中から出て来たのは確かに、彼女がずっと抜けずに困っていた指輪だった。
故郷への道に足を踏み入れた瞬間、私は自分が今まで神隠しに遭っていたことに気づいた。
「君のおかげで学校の皆が一年平穏に暮らせるんだよ」と言う校長の笑顔を見て、僕は自分が今年の人身御供だと悟った。