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その31〜その35
隣家で飼っている犬は、僕が近づいた時だけ、僕の後ろの何もない空間に向かって猛烈に吠え立てて来る。
近隣の家や車が次々に炎に包まれる動画がリアルタイムでネットにアップされ続けているのだが、実際にこの目で見ている街には火事の気配すらない。
客船の甲板の上から海を眺めていると、人のかたちをした何かが列をなして船の下を横切って行くのが見えた。
(この列車の窓のブラインドは何故全部閉まっているんだろう)と思いつつ何気なくブラインドを開けていたら、トンネルに入った途端こちらを覗き込む血まみれの顔と目が合った。
狂った医者によって体をつなぎ合わされた恋人たちは、一つになれた喜びと異形と化した悲しみを抱えつつ、今日も館の中を這い回っている。