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その6〜その10
夜な夜な僕に愛を囁く声の主が、遠く離れた山奥に打ち棄てられた頭蓋骨だということを知っている。
訪問先の小さい女の子が、玄関口の上から逆さにぬっと顔を出して、「お母さんはいないよ」と答えた。
色とりどりの盆灯籠が立ち並ぶ中、その一角だけ、どの家の墓にも白い盆灯籠のみ何本も立っている。
「決して開けてはいけないよ」と言われた小箱をひったくられたその日から、この街でのひったくりの被害はぱたりと途絶えた。
一人で残業している深夜のオフィスの外から、ケラケラと笑う子供の声が近づいて来る。
その8について。
広島のお盆は、色とりどりの盆灯籠をお墓に立てますが、新盆だけは白い盆灯籠を立てるのです。