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2冊目:英雄と殺人鬼

あるところに一人の若者がいました。


その若者は戦争で何百人もの敵兵を殺し、自国を勝利に導いたので英雄と呼ばれました。


故郷に若者が帰ると、英雄の活躍を聞きつけた人々がやって来て彼を讃えました。


それから毎日、若者の元には、握手をしてくれだとか、自分の娘と結婚してくれと言ってくる人々が集まり、いつしか若者は村の人気者になっていました。




そんなある日の晩、若者がいつものように眠りに就こうと、寝室に入ると何処からか人の気配を感じました。


「おい!誰かいるのか⁈」


若者がそう叫ぶと、「あら。バレちまったかぁ…さすが英雄さん」と返事がして影から全身黒ずくめの背の低い男が現れました。


「お前は誰だ!」


「俺かい?俺はなぁ今国を騒がしている殺人鬼だ」


「殺人鬼だと⁈」


若者は男が殺人鬼だとわかり距離をとりました。


「おいおい、そんなに怖がんなって。俺はお前を殺しに来たんじゃねぇよ」


「じゃあ、何しに来たんだ」


「なぁに、俺と同じく人を殺し続けた英雄はどんな奴か見に来ただけだ。しかし、驚いたなぁ。こんなに若い奴だとは」


「おい!ちょっと待て‼︎俺がお前と同じだと」


「ん?違うのか」


「当たり前だろ。俺は国を守った英雄。お前は見境なく人を殺す殺人鬼。一緒にするな!」


「確かに、今の世間の認識はそうだろう。でも、俺もお前も何百人もの人を殺した事は一緒だろ」


「た、確かに」


「でもなんでだろうな、俺もお前も同じ事してんのにこんなにも扱いが違うだなんてさ」


「…」


「正義って怖いよな、人殺しは悪い事なのに、これは正義だって思えば、何も躊躇いなくできるよな」


「何が言いたい…」


「ただの、同業者からの忠告さ」


「忠告だと…」


「ああ、このまま英雄気取りで同じ事を続けてれば俺みたいになるぞ」


そう、殺人鬼が言うと「じゃあな」と言い残し、去って行きました。



英雄と殺人鬼、二人は似た者同士?それとも全く違う?

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