1冊目:優秀な民族
私が言うのも何なんだが我々の民族はこの国一優秀だと思う。
それはただの自慢ではなく事実で我々の民族が開発した物や料理が実際に他の地域に広まっている。
私はそのことに関して誇りを持っている。
そんな私はある時、こんな事を思いついた。
一体、我々が開発したものはどれだけ他の民族に豊かさを与えているのかと。
私はこの事どうしても知りたくて、貯金を全て使い、他の地域へ旅に出ることにした。
仲間たちには反対されると思ったがそんな事はなく寧ろ私の事を賞賛してくれた。
仲間の一人には土産話を楽しみにしてくれた。
さて、私の旅は快くはじまった。
数日後、ようやく村を見つけた。
どうやらこの村は我々の先祖が開発した料理が広まっているらしい。
早速、私はどのように料理を振舞っているか確かめるため、この村一番のレストランへ行ってみた。
私はレストランに着くなり、迷わずその料理を頼んだ。
盛り付けはいたって普通。我々の出す料理とは変わりはなかった。
さて、味の方はどうかと確かめようとした時、あるものが無いことに気がついた。
スプーンが無い
この料理を食べる時、我々はスプーンを使うのだがそれが無い。
不思議に思った私はシェフにスプーンは無いかと聞いた。
「スプーンですか?えーとその料理はフォークを使って食べるものですが…」
ショックだった。
よく見れば後から来た他の客は何も迷いも無くフォークを使って食べている。
我々の先祖が開発した料理をこんなに汚らしく食べるとは…
我々、優秀な民族への侮辱だ。
私は逃げる様に故郷へ帰った。
私が故郷へ帰ると仲間たちが歓迎してくれた。
本来は無事帰って来ることで嬉しいはずなのだが私の頭の浮かない表情でそんな事は起こらなかった。
私は見たものをありのままに伝えた。
ありえない、おかしい、狂ってやがる
皆んなの意見は私と同じ考えだった。
そして嬉しい事に故郷中にこれが伝わってくれた。
我々優秀な民族を侮辱したあの村をどうするか。
迷い無しでどんな手を使っても我々のやり方に正すと決まった。
そうと決まれば我々の行動は速かった。
優秀なのでもし、反抗した時のために武器をたくさん作り、故郷の有力者を含め大人数で、あの村へ向かった。
さて、それからどうなったかと言うと、非常に呆気なかった。
大人数が武装した我々を見て村の有力者は直ぐに降伏。
そして無理やり有力者の役職を辞めさせ、我々の代表が、その村の有力者となり、我々の開発したものの正しい使い方をする様、厳しい法律を作った。
一部では反発もあったが直ぐに粛清した。
当たり前である。我々、優秀な民族に楯突いたのだからな。
因みに、私は村の有力者となり、不自由のない生活を送っている。




