ー序章ー 〜儚い少年の覚醒〜
ー少年は、花が好きだ。
季節を問わず、いつも学校の近くの公園にひっそりと咲いているバラの花を大事に大事に育てていた。
ある日、4人組の男達が、そのバラの花を貶しているところを目の当たりにした少年は、大切な花を汚すなと、その男達に立ち向かった。
体格差もあり、その男達との喧嘩に負けた少年は、それからのこと、会う度に暴行を受け、死ぬほど苦しい虐めにあうようになっていった。
2009年、夏。
梅雨真っ只中の記録的豪雨が続く中、
少年は虐められていた。
「ーーケッ、所詮そんなもんなんだなぁ? あんなでけぇ口叩いといて、今更弁解出来るとおもうなよっっ!!」
「何が強くなってみせるだぁ? クソ雑魚じゃねーか! なあに、お前が俺らに勝つことなどありえる訳ねぇよ!」
少年は、ずっと暴行を受け続けて意識が朦朧としている中、必死に叫び続けている。
「痛い! 痛い! 蹴らないで!」
「は?何言ってんの? お前から振ってきたんだぜ?やめるわけねェだろうがっ! ほーら、こっち向けよ〜 死ぬほど痛い目みせてやるからさぁ」
そういって、男はポケットからライターを取り出すと、少年の右腕を引っ張り、火をつけた。
「ーーーっっ!? 熱い! 止めて! 嫌だ嫌だ! 苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい」
「ん? 痛いの? よしよし、お兄ちゃんがもっと痛くしてあげるからねぇ〜っ! 死ね!」
熱い。
溶ける。
死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。
早くこの苦しみから解放されたい。
ただでさえ薄くなってゆく世界が更に濃霧へと包まれる。
ああ、このまま死ねるのだろうか。
けれど、とても悔しい。こんなことであいつらに殺されるなんて。
復讐がしたい。
痛めつけたい。
殺したい。
殺しても殺しきれないぐらいに殺したい。
絶対に許さない。
力が欲しい。
少年が、そう願った瞬間、少年から赤く黒い閃光が、男達に向け、放たれた。
「「ーーなっっっっ!?!?」」
薔薇色の液体が勢いよく飛び散り、まわりの壁や床が赤に染まった。
初めは何が起こったたのかも分からなかった少年だったが、やっとの事で状況を察知し、青ざめた。
そう、少年は特殊能力を使い、人を殺してしまったのだ。