第七話『リヌスの昔話』
何も言われずにリヌスについていく。
どこかに案内されているようだが、道のりは長いようだ。そのため、俺は歩いている途中でポワゾンフィールドや毒の剣の民について気になっていることをリヌスに聞こうとする。
「リヌスさん、このポワゾンフィールドについて聞いてもいいですか?」
「もちろん大丈夫だよ、何でも聞き給え」
気さくな雰囲気で返事をするリヌス。
そのおかげか質問する方も気軽に質問してもよさそうな気がした。
「それじゃまずは、ここは昔からこのような雰囲気だったんですか?」
「いいや違うよ。昔はもっときれいで素敵な場所だったんだ、ここについて知りたいなら少し昔話でも聴くかい?」
「はいお願いします」
「分かったよ、それでは話していくね」
リヌスは上を向きながら何かを思い出すかのように話し出した。
-昔々の事、まだこの世界に人が降り立ち少しした後の話。ポワゾンフィールドはジャフダンワールド
北にありました。ジャフダンワールドの中でも自然豊かな場所として知られるはずだった場所、だがそこには毒の剣を持つ民が現れるようになりました。
毒の剣の民が現れ、人々はポワゾンフィールドには近づかなくなりました。それから毒の民はこの場所を守るため自然の世話を一人一人がしました。その頃は毒の民同士で仲良く、皆が自分たちの繁栄のため、またいつか他の人にも来てもらうために必死なっていました。
ですがある日の事この地に伝説の花龍が現れ、ポワゾンフィールドを瞬きをした瞬間に灰としたようです。その被害に巻き込まれ死んだ者も多くいます。ほとんどが花龍の仕業で死に、戦った後の毒の民による毒が散らばり植物もなくなりこの場所は衰退していきましたー
「これが大雑把に話したこの世界に起こった出来事さ」
「……そう、だったんですね」
リヌスの顔を見ずに俯きながら言う。
その様子に目を大きくして肩を組むようにしてリヌスは、
「何を落ち込んだような顔をしている、これは昔の出来事。何も君が気に病むことはないさ」
「で、でも……」
「もう大丈夫それ以上は言わないほうがいい、これは私達毒の民が解決することだからね。パテル君は優しいね、そのような性格をしているとこの世界ではもたないかもしれないぞ」
リヌスは前を向きながらそう言った。
毒の剣の民については自分で全て解決しようとしているようだった。自分の仲間にも何も打ち明けずに、抱え込みその重圧を背負っている顔をしていた。そういった考えを悟られないためか陽気に話し、気さくな素振りを見せている。
他にも聞きたいことがあったが、もう質問はやめておこうと思い口を閉ざすとリヌスは笑顔で此方を見ながら、
「まだ話したいことがあるのだろ?」
「いやもう大丈夫です」
「そうかい?聞けることは早めに聞いておいたほうがいいと思うけどな、私達だっていつ君達の敵になるか分からないからね」
真剣な表情で目を見ながらリヌスは言った。
確かに言っていることは正しい、何かを遠慮していた気持ちをおさえて聞ける事は全て聞いたほうがいいと思い、リヌスに遠慮なく聞くことに決めた。
「分かりましたそこまで言うなら、俺は遠慮しませんよ。毒の剣の民について聞きます、アナたちは何者ですか?」
「難しい質問だね、確かにこのような体の色では見たことがなく変に思うかもしれないね。だけれど私達も君たちと同じ立派な人間だよ」
「そう……なんですね」
その答えに二通りの意味が俺の頭の中に浮かんだ。
一つはこの世界に置ける存在としての意味、もう一つはこの世界のユーザーであるという意味。何方にせよ人間であることに変わりはないと思い、次の質問をすることにした。
「リヌスさん達は俺達についてどう思ってるんですか?」
「私自身は君たちについても誰でもあっても仲良くしたいとは思っている。だが私たちの中のほとんどが嫌っているだろう、そして私たちの仲間も同様に君たちを嫌っている。これはきっとしかたのないことなんだ」
「やっぱりそうなんですか」
「現実ではそうなっている、結局こういったことはわたしが動いても変わらないからね。個人の気持ちに変化がないと、和解はできないであろう」
そんな話をしているうちに何もない道を歩いたその先に、集落のような場所が見えた。
集落の入り口に立ち止まり、
「ここが君たちに来てほしかった場所さ」
そこには子供や大人、多くの毒の民がいた。
リヌスが来たことに気づいた子供が駆け寄り抱きついたりしている。何人かに一斉に抱きつかれリヌスはイオスに向かい、
「イオス……悪い君が案内をしてくれないか?」
「わ、分かったよ師匠!僕についてきてパテル、エトワ」
頷いてついていくと、一つの家にたどり着いた。
その家には誰もいなく入るように言われると、家の入り口でイオスは言った。
「今日はもう疲れただろ、ここで一晩止まると良い。何か話があるとしても君たちが知りたいことは師匠じゃないと分からないだろうから、僕はこれでさよならー」
「待ってくれイオス、何で君はリヌスさんが来た瞬間に対応が変わったんだい?」
後ろを向きながらイオスは何も言わずに何処かへ行こうとした。
だが俺の問いかけに応えようと思ったのか振り返らずに、
「そんなの決まってる、毒の民は皆リヌスのことを信用している。それに僕の師匠だからね、真面目にやってたって良いところ見せたいしさ」
「そうなのか……俺たちのことはまだ」
「うん悪いけど信用してないよ……それじゃっイオスちゃんは忙しいからバイバーイ」
後ろ向きで手を振り何処かに行ってしまう。
その姿を見たエトワは、
「この場所はいろいろと考えさせられるかもしれないな」
「そうだねエトワ」
「だけど僕達も彼らのことは信用してはいけない、何があるかわからないからな」
エトワの言葉に頷くと疲れていたのかすぐ横になってしまう。
歩いた距離は、確かに結構な距離だったため何ら疲れていても不思議ではない。俺も疲れが限界に来たのか、倒れるように寝てしまう。
目を覚ましたのか、瞑っていた目を開けるとそこには無数の薔薇が咲いていた。
どうやらアーラがまたこの世界に招いてくれたらしい、咲く薔薇を踏み潰さないようにしてアーラを探していると横になり眠っているアーラがいた。近づき話しかけようとPしたところで気付く、
「えっ……裸」
アーラは何も機内で寝ているのであった、裸のアーラを見てすぐに後ろを向くとその音で気づいたのかアーラが目覚めたようだ。後ろから近づいてくるアーラ、寝ぼけているのか裸のまま抱きついてきた。
「パテルーー……」
「お、おーいアーラ抱きついてくれるのは嬉しいけど、服を着てくれないかな」
「服……きゃっあ、あわっ」
服を着てないことを指摘され、初めて自分が全裸なのに気づき恥ずかしそうにする。
慌ててその場に合った服を着て、俺に向かい、
「わ、わたしの裸……見た?」
「見てないよ」
「う、嘘じゃない……?」
上目遣いで言うアーラに嘘がつけなくなり、ほんの少しだけ見てしまったと白状する。
正直に言ったのが良かったのか、目をそらしながらも小さな声でアーラは、
「パテルなら……いいよ」
「そ、そうなのか。よ、良かったなー」
「それよりもパテルに言いたい事があるの」
途端に見せたことのない真剣な眼差しになり言った。
何を言われるのか心配になるが、この様子から見るに何かしらの注意することを言われるのだろうと思い軽い気持ちで構えていると、アーラが大きな声で、
「リヌスという奴にはきをつけて!、あの人は人を殺したことがある」
想像もしていなかった言葉に戸惑いが隠し切れなくなり、言葉を失ってしまった。