最終話『フィオーレ・オンライン』
青薔薇とイフェイオンを持ち構えていると、メッセージが届く。
俺はコウヤに気づかれないように、メッセージを開くとそこにはこう書かれていた。
-『聖剣・青薔薇と星剣・イフェイオンを奪え』
特別クエスト、達成おめでとう!
君が持っている剣は紛れもなく、聖剣・青薔薇と星剣・イフェイオンだ。
よって今をもってこのクエストは終わり、ログアウトもできるようになる。
そして勿論、特別クエストを達成した君には豪華報酬だ、受けとるといい。ー
メッセージと一緒に報酬が届いた、その中には四角形の小さなキューブが入っている。
数字が羅列された、そのキューブは何に使うのかはわからない。
「何をしてるんだパテル君?」
「いいや、何でもない」
キューブを握りしめながら言うと、何かの電源が入ったようで、目の前に文字が現れる。
『ログアウトするプレイヤーを選んでください』と、書かれていた。どうやらこのキューブは、フィオーレ・オンラインの世界を管理できる部品のようなものらしい。
おかしな様子を感じたのか、コウヤが俺の動きを見て何かを見だした。
「へえ、もうログアウトできるようになってるね。パテル君、ここは一旦終わりにしないか?この世界も崩壊しかけているようだし」
周りを見ると、徐々に崩れていくのが分かる。
だがそうさせてはいけない、急いでキューブに出された問いに答える。
「俺とコウヤ以外ログアウトしろ」
「何を言っているんだいパテル君?」
不思議そうな顔でコウヤは言った。
すると、近くにいたエトワやウェネームが消えてログアウトしていた。
そのことに気づき、続いてコウヤも手を動かしログアウトしようとする。
「みんな消えちゃったみたいだね、ふっそれじゃ僕もさよならだ……ん?」
何度もログアウトを実行しようとするが、実行は全くされない。
慌てふためくコウヤは、俺のほうを見る。
「さてはパテル君……さっきなにかしたのかい?」
「あぁ、特別クエストの報酬で俺とコウヤ以外をログアウトさせた。そして俺とお前の戦いが終わるまでは、どちらもログアウトできないように設定した」
その話を聞いて驚くが、すぐに冷静になったコウヤは笑い始めた。
何かが壊れたコウヤは、俺に向かい、
「ふははっ面白いことをするねーパテル君は!気にいったよ、この世界を終わらせ、僕のことも倒そうっていうんだね」
「そうかもな……ただこれだけは決まってるこれで最後にするつもりだ」
「いいねパテル君、最後の戦いかその響き気にいったよ」
両手に持った剣で、コウヤに向かい斬りかかるが何も剣を出さない。
その隙に、イフェイオンで星の騎士たちを呼ぶ。
「イフェイオン!星の騎士の力を貸せ!」
すると周りには多くの騎士たちが、降り立つ。騎士たちに命令を出すようにして、剣をコウヤに向けると、勢いよく向かっていく。
だがコウヤは、自分の剣を出さずに素手ですべてを受け止める。
「言っておくけど、僕は強いよ」
「だから、剣を出さないのか」
笑顔で頷くコウヤ、その目には様々な感情が混ざっている気がした。
青薔薇の剣で斬りかかっても、難なくかわし攻撃が当たらない。
「なあパテル君、この世界が終わったら君はどうするんだい?」
「どうするって、俺はアーラと約束したから新しいこの世界を作るよ」
「そうなのか……君のその決意は本物のようだね」
両腕を広げたコウヤは辺りを見回す。
崩れていく中で、花や草が飛び散っていく、その様子は何とも神秘的なものであった。
そんな中、コウヤは言った。
「僕達が立っているここも、もうすぐ崩壊することだろう。次で最後にしよう」
そう言うと、コウヤは剣を取り出した。
剣は虹色に輝き、周りに散る花の色をすべて含んだような色をしている。
「さあ最後だ……」
「あぁ分かったよ」
二人の剣交わった瞬間に、光に包まれる。
そしてそのまま、フィオーレ・オンラインの世界に消えていく二人。
……ーー数日後。
フィオーレ・オンラインで起きたログアウトのできない事件は、ニュースになると思っていたが何かに揉み消されたのか報道されることはなかった。
だがフィオーレ・オンラインというゲームは消えて、VRMMOも見かけることがなくなった。今でもたまに、VRMMOの世界に入ろうとするが何度入ろうとしても、フィオーレ・オンラインはなくなったため電源もつくことはない。
でもたまに、あの世界での出来事が夢で出てくることがある。アーラが俺のことを呼んで青薔薇の剣を持ち、フィオーレ・オンラインの世界を駆け巡る夢を。
--電源が入りました。
---ようこそ、フィオーレ・オンラインゼロの世界へ
花とVRMMOの世界いかがだったでしょうか、ここまで読んでくれた方ありがとうございます。
面白いと思ってくれた方が、少なからずいたのなら嬉しいです。とりあえずフィオーレ・オンラインの世界はこれで一旦終わりです。エピローグは書こうか迷いましたが、タイトルを変えてまた違うフィオーレオンラインが始まるので、敢えて書かないでおきます。
短い小説ではありましたが、呼んでくれた方々本当にありがとうございました。