勘違いものと奴隷ハーレムも神様がやるなら仕方がない
こういうファンタジーネタが書きたかったんです。多分。
「だから、大人しくチーレムしちゃいなよ!」
「神様がその体たらくでいいのですか」
「知名度向上のためには形振り構っていられないのサ!」
「なんかすいません」
今、俺の目の前に居るのは神様 (らしい)。うっかり殺したとか殺してないとか、正直訳が分からないまま死んだので怒りとか残念だとかそういう感情は湧いてこない。事態がとんとん拍子に進んでいって、何時の間にか俺は奴隷化の(ユニーク?)スキルとやらを貰って転生するらしい。
「いやでも、俺転生したところでやっていける自信ないので……俺の怒りとかが湧かないうちに殺してください」
「じゃあ転移に変更しよう!」
「コミュニケーションが下手で」
「通訳と念話もつけちゃうよ!」
「多分感染症とかですぐ死ぬ」
「おまけに神聖魔法もつけちゃう、大サービス! ごたごた言ってないで往っちゃいな!」
こうして俺は異世界に転移することになったのだが……
side村娘
「で、ここどこなんだよ」
その声を聞いたのは、ある朝の水くみに向かう途中でした。
『誰かいませんかー』
それは、啓示でした。私はその不安そうな、いいえそれは私の高鳴りでした。誰かが立っていました。それは神だったのです。私は問い掛けました、貴方は誰? と。
『神田』
そして確かに私は聴いたのです、神であると!
side 俺
途中から念話で話していることに気が付いたが、特に指摘されないのでそのままで通す。俺のボッチ生活によって鍛えられた感覚によると、この娘は俺に敵意を懐いていない。
『貴女の名は?』
「わ、私はマリヤといいます」
『マリヤか。私を君が住んでいるところに連れて行ってほしい』
「分かりました!」
side 村娘マリヤ
神は私たちと違う服装でした、都会の人とも違う、見たことのない服でした。私はそれが神であるからと考えました。考えてみてください、誰が好き好んで真っ黒な服を着るでしょうか!
『ここか』
そして神が着いた時、誰かの泣き声が響きました。私はその誰かを知っています、友達です。私の友が、友の親が死ぬことに対して泣いているのです。それは誰もが、生きている限り逃れられない別れでした。
『今のは』
私は答えました。
「人が、死ぬのです」
『それはどうしてだ』
「怪我です」
『怪我……そこに連れて行ってくれ』
私は戸惑いました、神とはいえよそ者を人の死ぬ間際に連れて行く意味などあるのでしょうか? それでも私は連れて行きました。神には確信があるようでした。私は神の深淵なるご意思を察するにはあまりに幼く無知だったのですが、幸いなことに私は神を連れて行きました。
side 俺
それはあんまりにも見ていられない、光景だった。
「マリヤか」
村の全員が集まっているんじゃないかというほどの人数が、その死を目撃しようと来ている。誰かは泣いていた。このまま放っておくと哀しみが伝染して皆泣いてしまうんじゃないか、そんな感じの、なんで俺はここに来てしまったんだと。居るだけで気分が滅入った、ただでさえ異世界に転移とかよく分からないことを体験していたのだから。だから、治した。
「え?」
神様から貰った神聖魔法は今にも死にそうな怪我人を一瞬で完治させた。周囲にどよめきが走り、やっちまったなと俺は心の中で頭を抱えた。暫く俺が黙っていると、次第にこいつは誰だという雰囲気になってくる。不味い、俺はついうっかりさっき出会ったばかりのマリヤに頼ってしまった。
『マリヤ』
「この人は、神です。今神は奇跡を行使なさったのです!」
「「おおっ!!」」
いや、おおっじゃねえよ。
side マリヤ
『マリヤ』
神は暫し悩まれた後、私に触れました。すると、私に首輪が出現しました。またしてもどよめき、私は神の言葉を待ちました。
「これは?」
『それは……………………加護だ』
「加護?」
『私に選ばれた証だ。飛び跳ねてみなさい』
よく分からないけれど取りあえずジャンプしました。そしたら、なんと、天井にぶつかるくらい高い位置に私は居たのです。私は感激しました、だって神に選ばれたのですから!
「私は神の使徒となったのですね!」
『…………そうだ』
side表記を使いこなせる人は天才だと思う。だって、サイドって書いても成立しないから。sideという英語によるぶつ切りは、技量が足りない人にとっての代案ではなく、むしろある種の切り替え方として広く、使い分けられる必要があると思う。
元々の発想は奴隷化スキルを貰ったけど時代が進んでて奴隷が違法になってたから神様の使徒という名目でごまかそうぜ的な。