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恋愛系

不良の妹と不良じゃない兄

作者: KL

「おいくそ兄貴!さっさと飯用意しろよ!」


「ちょっと待ってろ今作ってるから」


「ちっトロクセェな」


毎日の日常。会社員の兄と高校生の妹の二人暮らし。妹のほうは不良である。


「ほら野菜炒め食べよう」


「ちっ・・・味薄過ぎんだろ!」


「これで丁度いいんだ適当に味は足しておいてくれ」


「ちっ気が利かない奴だぜ」


妹は塩をかけていく。どばどばと。それを兄はしかめっ面になりながらも何も言わなかった。


「食べ終わったらシンクの中に置いておいてくれ洗うから」


そういってささっと食べ終わった兄は自室に篭る。兄は人が良過ぎて人から頼みごとをよくされる。それを片付けるために毎日篭っているのだ。


「ちっ・・・さっさと寝ちまおう」


そういって妹は風呂に入ってさっさと寝た。


・・・


「ふわぁー・・・起きようっと」


兄はいつも早起きだ。睡眠時間がギリギリで気を抜くとぶっ倒れるレベルまで来ている。それでも毎日毎日働く。休みの日はほとんど無い。


「おーい!起きろー!朝だぞー!」


ドアを叩きながら起こす。妹が不良になる前は普通に身体を揺すって起こしていたが今はもう叶わない。


「ちっ・・・うるせぇよそんなに言わなくても起きるっての」


「なら良かったじゃ俺はもう出るからな!学校はちゃんと行けよ!ご飯はおいてある!お金もな!」


「ちっ・・・分かってるっての」



テーブルにはピザトーストとちゃんとした理由なら使ってもいいと諭吉が置いてあった。


「ちっ・・・あんなにぼろぼろになるまで働きやがって・・・」


しかし学校へは行かない。ゲームセンターで諭吉を消費する。と同じ学校の先輩がいた。


「おーお前も来てたのかどうだ?これからいっぱい?」


「あっ先輩・・・すいません今持ち合わせが無くて・・・」


「いいぜいいぜうちが払うからよ行こうぜ」


そういわれ酒が飲める店にいく。もう夜だ。


「(あのくそ兄貴心配しねぇかな・・・)」


「かんぱーい!・・・ぷはぁ!うまいねぇ」


「あっはい!うまいっす!」


「あのー?君達?ちょっと来てくれるかな?」


たまたま飲みに来ていた警官から年齢確認された。高1と高2だ。すぐに親に連絡がいった。


「こいつ!自分ならまだしも年下を誘って飲むとは何事だ!」


「うるせぇよなんだっていいだろ」


「なっ!よーし家に来い!じっくり話し合おうじゃないか!」


先輩は親に連れて行かれた。妹は兄が来ないのでいつまで経っても帰れなかった。


「おい!待たせたな!すいませんうちの妹がご迷惑かけました」


「はいこの年齢は難しいですからねゆっくり話し合ってください」


「はい失礼します・・・行くぞ」


「ちっひっぱんなよ!伸びるだろ!」


「おっとすまん車に乗りな」


そこから家に着くまで一言も話さなかった。兄は静かに怒っていた。しかし絶対にそれを表に出すことは無い。


「よしまぁ座れ・・・俺が置いたお金は何に使った?」


「ちっ・・・ゲームセンターと先輩と飲むために使った」


「そうかよしもう寝なさい明日は学校に行くように」


そういって自室に篭ろうとしてた兄の背中に一言投げかけた。


「・・・なんで怒ってくれないんだよ?」


「ん?」


「何で怒ってくれないんだよ!こんなに悪い事してるのに!学校にも行かないし貰ったお金は全部使っちまうのに!酒だって飲んだ!不良になったのだって!何で怒ってくれないんだよ!」


心で思っていることをぶつける。兄から一回も怒られたことの無い妹は一度怒ってほしかった。兄がいつも怒りたいのを我慢しているのは身振りで分かっていた。


「それはなお前が凄く大事だからだ母さんも父さんもいなくなった残るのはお前だけなんだだからお前の好きなようにすればいい」


「だったら!もっと怒ってほしい!不良をやめてほしいって!金を無駄遣いするなって!悪いことはするなって!言ってほしい!でもかならず頭を撫でて!」


最後のはただの願望だ。怒られたこともないし頭を撫でてもらったことも無い。こんなにも意識してるのに。


「分かった最後のだけは叶えてやるこっち来い」


近くまで来た妹をひたすらに撫でる。妹はたまらず抱きついた。


「よしよしいい子だもう不良とはやめてくれよ?」


「うん・・・うん」


・・・


「起きろー朝だぞー」


「ん・・・おはよお兄ちゃん」


「お兄ちゃん!?大丈夫か!?熱あるんじゃないか!?」


「まったく・・・平気呼びたくなったから呼んだだけそれだけよ」


「そっかじゃあ俺もう行くな飯とお金は置いてあるから」



「あっちょっとこっち向いて」


「ん?・・・うぐっ!?」


「ぷはぁ!私初めてだったんだから責任とってね?」


「俺だって初めてだよ・・・ありがとな今日は早く帰れるようにするから」


今日の朝はどこか違う。妹はしっかりと学校に行った。しっかりと勉強し家事も覚え始めている。兄の会社のひとコマ。


「あっすまないがこれやってくれるね?」


「すいません今日は無理そうです」


「むそうかたまには自分でやってみるとするかすまんな」


「いえまた今度の機会に」


「なんか変わったよねー頼み事してもしてくれなくなったしね」


「ねーたまには自分でやってみますかー」


兄も変わった。頼み事は受けなくなった。元々仕事は速かったためいつも定刻どおりに帰った。


・・・


「ただいまー」


「おかえりー部屋とかなんやら片付けておいたよ」


「んありがとう助かる」


「毎日これやってんだね・・・腰痛いよ」


「慣れだ慣れでもこれなら嫁に出せそうだな」


「私嫁には行かないよ?ずっとお兄ちゃんの傍にいる」


「りょーかいじゃあ一緒に寝るか?」


「うん!」


妹の華のような笑顔を見てあぁ自分ががんばってきてよかったなと素直に思える兄と素直に気持ちが言えた妹の仲睦まじい姿は一生続くことになった。死が二人を別つまでずっと。


FIN


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