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氾濫~ビオントの防壁は伊達じゃない。(前)

五日目~下刻


 エッジ…何やら巻き込まれているようだ。

 森…氾濫中。

 ギルドマスター…腰が心配。

<ビオント南東~ツルガの森>


ゆっくり周囲を警戒しながら、ツルガの森からビオントへと戻っております。現在、氾濫が迫っているとの事ですが、どうにも実感が湧かないというか…それよりも魔物が森に潜んでいるという目の前の危険の方が気になっていたりします。急に色々とイベントが押し寄せて来ているようで、今日は長い1日になりそうな予感です。どうせならこんな大きなイベントが起こるときには分かりやすいフラグを立てておいて欲しいなぁ…。


「僕らはどうするべきですかね?」


冒険者という立場ならただ避難する訳にはいかないよね。


「…ビオントの場合防壁が大体防ぐから、冒険者はギルドの指示で避難誘導、遊撃とかに動く」


「避難誘導、遊撃…避難誘導は何処にするんですか?」

「…南区に避難砦がある」


避難する砦?

あー、そういえばこっちに来るときに石造りの建物があったっけ。


「エッジは住んでる町の事を知らないんだね?」


レジーナさんの突っ込みは淡々とグイグイ押してくるよね~。


「住み始めて五日目なので、まだまだ知らない事が多いんです」

「…エッジの出身地じゃないの?」


この手の質問…どうしたもんかなぁ。


「…えっと、僕は遠方の田舎から流れてきてアルセラさんに拾われたので…」


うん、嘘は言ってない。


「そう……エッジもなんだ」


も?


「あ、あの!わたっ私もいますから!きっと大丈夫ですっ」


ラーシアさんが慰めてくれたのは嬉しいけど、かみかみの声援だと逆効果になっちゃうよ?


まあ、でも…


「とっても素敵な方々が一緒にいてくれるので大丈夫ですよ~」

「…えっへん」


ヤハネさんが胸を張っているけど、貴女に限っては残念、例外枠なんです。


「…なんだか疎外感?」


鋭いですね!


「ヤハネさんはまた特別なので、そのように感じるかもしれないですね」

「…えっへん?」


いまいち自信を持ちきれなかったらしい。




そうしてしばらく進んで森を出るまであと僅かとなったタイミングで、状況が変わってしまう。


「町に向かってる?」


レジーナさんの言葉は残念ながら外れていないようだ。


「どうやら平行して同じ方向へ進んでいたようですね」


森の入り口…この森は北側が二百メートルくらいの幅で南東に膨らむように広がっている…付近でそれらと遭遇してしまった。距離としては50メートルはまだ離れているけど、十数体のオークが僕らと同じ方向に進んでいる。これ、明らかにやばい状況です。


「…門まで走る」

「迎撃はしますか?」

「…走りながら撃てるの?」

「一応、足止め程度ならできます」

「あ、あのっエッジさんの凄いんですよ!硬くて長いのがどーんって!」


…一瞬だけ邪な思考が頭を過ぎりました。※だって男の子だもん。


「えっと、土の槍を放つわけですよ」

「むう…わたしは土は苦手…」


ヤハネさんは風ですもんね。


「皆さんは先に行ってください。僕は森から出る前に牽制をします」


その方が効果が高いはず。


「森から出た所を叩く…?」

「…それはあり。ラーシアは先に行ってわたしとレジーナは迎撃しながら退却する」


なんかサクサクと戦う流れになったけど、ヤハネさんもやる気のようだしそれ程厳しい相手では無いのかな?


「では、牽制しつつ合流しますね」

「…ん、無理せず適当に」

「了解です」


てな訳で。

オークがこちらに向かってきているので早速、魔法を使いましょう!


「貫け…大地の槍(アースランス)!!」


魔力が流れて行き目標地点でそれは発現する。


「グゲッ」


奇妙な発声が森に響く。

思ったよりも刺さってます。

数匹の足元に10本程生やしたんだけど、全部命中しちゃったよ?


「グヒイッ!」


なんと後続が刺さった奴らを踏み台にしてドタドタとこちらに向かってくるではないか!


「…貫け!!」


再び生やしましょう。斜めに生やすのがポイント。


「ギヤッ」


なんだろう。足元が疎か過ぎやしませんか?

…あ、腹が出てるから?


「って、まだ来る!」


あまり近寄られても困るので、潔く撤退だ。

でもその前に…


落とし穴(ピットフォール)


土魔法と罠の定番ですが実に使える落とし穴。イメージとしては土を穴の形に寄せ固める感じかな。あるいは穴の分をそのまま下にずらす感じ。穴の分を消すイメージだとやたらと魔力を消費するので、これは却下。まあその分時間は短縮できるけどね~。


「ッヒ」


走りながらチラッと後ろを確認したら一匹が見事に落ちてました。

…うわっ!弓だ!


空気の盾(エアシールド)!!」


四角い空気の盾、ギュッと空気を圧縮して壁を作るイメージ。

周りを風が吹き抜けるのは空いた空間に空気が流れ込んだからだろう。


ヒュッ


「おおっ」


空中で矢が止まっている!

でもこれ、もっと強いのが来たら貫通するんじゃないか?

…要検証事項、と。


「っと、今の内に…大地の壁(アースウォール)


ぐっ…身体に妙な感覚が…

あっ、もしかして空気の盾を残したままやったからかな?

波長がどうこうって言ってたし、土と風は相性が悪いという事なんだろう。


「エッジ!大丈夫だった?」


一目散に森を走り抜けて、そこから50メートル程の所に2人が待機していた。


「何匹かは倒したと思います。それでもまだ十匹以上です」

「…さすがわたしの弟子」


うんうんと頷いているヤハネさんは機嫌が良いようなので、突っ込まないでおこう。


「来る」


レジーナさんは弓を構えて、そのまますぐに矢を射った。


「グギッ」


相変わらず変な発声。

顔に矢が刺さってますが、ふらふらしながらもこっちに向かってくるのはさすが?


「…キリサクカゼノヤイバヨマイチリタマエ」


ヤハネさんが風の範囲魔法を放ったようだ。

数匹のオークが…バラバラになりましたよ?

この前見たのより強くないですか?


「…凄い」


レジーナさんが素直に驚いている。僕もちょっぴり見直した。


「…まだくる」


残りは数匹か?剣を掲げて突っ込んでくるけど…

なんというか、あんまり賢くはないんだね。

ここは一つ火の魔法を試してみよう。広いしね!


「…爆炎(バーストフレイム)


到達と同時に爆発する火炎の球を空気で覆って目標へと放つイメージ。

威力としてはメ○ミかファ○ラとかラハ○トくらい。


「…爆発魔法?」


ヤハネさんの呟きを合図のように、それはオークの一匹へと放たれて、数秒で到達。


ドォッン


空気の膨張破裂音と赤色が辺りに広がった。

熱がここまで来て、急速に爆発点へと空気が流れ込む。


「…凄い…」


レジーナさんが頭の帽子…の中の耳…を抑えたまま呟いた。

僕もそう思います。予想以上に爆発しました。


「…エッジはやっぱりエッジ」

「み、皆さん無事ですかー!!??」


三人でぼーっと火が消えるのを見ていたら、ラーシアさんがかなり全力で駆けたらしく、息を切らせて戻って来た。


「私達は無事だけど…」


レジーナさんが爆発地点を指差して続ける。


「あそこはボロボロ?」

「な、何があったんですか!?凄い音が聞こえて吃驚したんですよ!!」

「…エッジが爆発した」


ヤハネさん、それ、僕が木っ端微塵です。


「え、エッジさん、だ、だ大丈夫ですか!?」


「落ち着きましょう、僕は爆発してません。魔法が爆発したので、問題はありません」


「そ、そうですか、良かったです」


ほっとしているラーシアさんに癒されている場合ではないんだけど癒されるなぁ。


「…おわった?」


ヤハネさんは森の方を確認しているが、オークが出てくる気配は無さそうだった。


いやはや、魔法凄いです。使い方を間違えたらえらい事になりますよ…。


「あ、あの、警備の方に伝えたんですけど迎え討つしかできないから早く避難してくれって言われました。…これから私達はどうすれば…?」

「…ギルドに向かう」


それが一番良さそうです。


「…状況を知りたい」

「では急ぎましょうか」


アルセラさんの事も気になるし、町のヒト達も…。




<ビオント北~深淵の森>第三者視点


「お、おいあれって…」

「タイタン系…だな」


ガランド達、四人の冒険者は氾濫の後方を確認していた。

そしてその中に、3メートル級の巨人が数十体歩いているのを目視したのだった。


「準2級だったか?」

「そうだな、最低でも準2級といったところか。…俺達だと一体を相手で何とか、だろうな」


ガランドとアーナクは自分達の状況を冷静に分析してみるが、この時点であの集団と戦うという選択は無くなっていた。


「まだ後方の前の方だよな?」

「ああ、デカイ奴がまだ後ろから来るだろうな…」

「ちょっとー、どうすんの?」

「ここまで来て退くのか…?」


ガランドは無謀な策は避けるべきだと考えているが、若さ故の向こう見ずな部分はどうしても出てくる。


「いや、後方の戦力を確認してからだ。それから一気に駆けるぞ」

「はいはい、それじゃ、さっさと行きましょう~」


カポラの軽いノリに顔を顰める三人だったが、余計な言葉は出さずに動き出した。


氾濫が起こった場合、後方に強力な魔物や魔獣がいる事はそれまでの経験から分かっている事であるが、どんな種類がいるかはその時で変わる。彼らがそれを確認して報告する事ができればそれは立派な成果となる。しかし、魔物の中にどんな種類がいるのか解らないという事は相手にできるかどうかも判らない訳で、ガランドの選択はこの点に置いて些か浅慮だと言わざるを得ない。


ガランドの焦燥は、じわじわと彼等の行く道を狭く細くしていくのであった。




<ビオントギルド3階>


慌ただしい南門を抜けて、慌ただしい道中を経てギルドに着きました。南門では商人を中心に、逃げ出すヒトで大変でしたよ…。町から逃げるヒトは氾濫を知らないヒト達だそうで、ビオントにそれなりに住んでいるならあそこまで酷く慌てないらしい。確かに砦に避難するヒトは、焦ってはいるけど冷静に行動しているようだった。途中、宿屋のハーティさん達を確認したら避難の準備をしている所だった。あと、食堂のエミィさんは避難民の食事を用意する手伝いをするそうで、荷物をまとめていた。


…皆無事でいて欲しいものです。


ギルドに到着するとすんごいバタバタしてたので、メリルさんに会えないかと思ったけど丁度空いたらしくいつもの3階に通された。


「オークですか…」

「…わたしの活躍で解決」


掻い摘んで説明をしたら、渋い表情でメリルさんは呟いた。

思案しているらしく一点を見つめたままヤハネさんの言葉を聞き流したようだ。


「…他にはいませんでしたか?」

「…多分いない?」


ヤハネさんは答えつつ、ラーシアさんとレジーナさんに確認をした。


「あの、お、おそらく、あれ以上は…いなかったと思います」

「私もそう思う。…もっと深い所にいたなら分からないけど」


「そうですか。一応そちらにも気を付けるよう伝えましょう」


メリルさんはここで眼鏡をくいっと上げると続けて話し始める。


「防衛戦は長く見積もると数日に掛けて続くものと考えられます。皆さんには後方支援をお願いする事になります」


数日…籠城作戦みたいなものかな?


「ちなみに防衛はどんな感じでやるんですか?」

「基本的には防壁の上からの遠距離攻撃です。ビオントの防壁は並大抵の事では越えられませんから」


確かにあの壁は梯子とか20メートルも登ってられないし、ましてや魔物とかなら梯子とか使わないよね?


「ただ準2級以上の魔物や魔獣が出てきた場合は、門が破られる可能性はあります」


マジっすか?


「…タイタンが出てくると困る。あいつらの持つ槌は防壁を破壊できる。魔力が強いと防壁も勝てない」


タイタン…巨人の事だよね?

槌を持っている…

ん?そういえば武器とか防具って何処から持ってきてんだろう?

ヒトから奪った物?それとも生まれつき?オークも剣とか弓を持ってたけど…。


「氾濫の前半は殆どを防壁だけで防げるでしょう。しかし、後方の魔物達が本番と言えますね」


やっぱり甘くはないんですね。


「とりあえずではありますがエッジさん、これから避難砦に向かって下さい。そこでギルド職員の指示に従って支援をお願いします」


今の僕にできる事だとその辺が妥当ですよね~。


「ラーシアさん、レジーナさんも一緒に行動という事でお願いします」

「…わたしは?」

「ヤハネは私の指示に従って魔法支援となります。…い・い・で・す・ね?」


「…りょ、りょーかいであります」


うん、メリルさんの視線と見えない圧力にヤハネさんは色々と理解したようです。


「ところで、アルセラさんは大丈夫ですかね…?」


単独で動いてる訳だし、とても気になります。


「幸いな事に調査地域は氾濫の範囲から外れていますから、それ程心配はしなくてもいいと思いますよ」

「そうですか。ちょっと安心しました」

「状況によって行動指針は変わりますから、無茶な事はしないでしょう。…帰るべき所もありますからね」


言い終わるとメリルさんが一瞬ふわっと微笑んだ。

反則級の魅了効果があります!


「あの、私達は戦線に加わらなくてもいいの?」


レジーナさんが挙手をしてメリルさんに向かってそう訊いた。

もしかして戦いたいの?


「氾濫の規模がまだはっきりしていないので、配置はランクで分けられています。…最も、人手不足なので状況の変化によって変わりますが」

「あ、あのっ、ユニットはこのままでもいいですか?」

「ええ、バランスは良いでしょうし、あなた達もその方が安心でしょう?」


安心って?


「は、はいっ、エッジさんは安心です!」


レジーナさんもうんうんって頷いているけど、これは喜んでもいい事かなぁ。

人畜無害って感じだとそれはそれでどうなんだろう…。


「では、くれぐれも気を付けて行動するようにお願いします」

「はい、メリルさんも無理しないで下さいね。疲れた時はマッサージしますので遠慮無く言ってください」

「それは頼もしいですね。…その時はよろしくお願いします」


きっと、まともに休めないんだろうなぁ…。


疲れを癒すのも後方支援だろうし、色々と頑張ろう。




<深淵の森>第三者視点


深い森の中で、魔力の波が吹き荒れた。

それは渦を巻いて次第に一点へと集まり一つの塊となっていく。その際の衝撃で周りの木々は薙ぎ倒され、渦状の文様を地面の上に描き出していたが、地球のオカルトを知る者ならそれをこう説明するだろう。


…ミステリーサークル、と。


一つの塊は徐々にその形を変えながら大きくなっていた。それはまるで超高速で細胞分裂を繰り返す生命体のようでもあるし、細かなパーツを組み立てていく工程のようでもある。やがて、それが一つの存在となった時、辺りを揺るがす轟音が響き渡った。


それはまさに、咆哮。


その巨体から空気砲のように放たれた振動は前方に広がり、そこにあった木々は悉く粉砕されながら吹き飛んだ。


そして、それは前方に空いた空間を見据えるとその先へと進み始める。


一歩一歩確実に、強大な脅威が町に迫っていた。




<トルケリア北西~深淵の森>第三者視点


アルセラは森の中を進んでいた。魔獣、魔物、害獣にさえ出会わない為その進行は穏やかなものだった。


「…なんだこの感じは…?」


その疑問は最初から抱いていた嫌な気配を更に発展させたような、そんな気持ちから出たものである。


「静か過ぎるな」


アルセラは一度だけ氾濫を経験していたが、その時の経験からは今回の状況を判断できる材料は無かった。しかしどうにも嫌な気配がまとわりついてくるのだ。そこにアルセラはもどかしい思いを抱き、渋い表情になる。


「もう少し進むか…」


アルセラは森の奥へと調査を進める事にして歩み始めた。




<ビオント防壁>第三者視点


ビオントの北側防壁は高さ18メートル、奥行き12メートル、横幅は600メートルにもなる。また、両端に高さは半分程になるがもう100メートルの防壁が延びている。これは補完防壁と呼ばれ、この後ろは壁に囲まれている訳ではなく平地となっていて、はぐれ者…何処からか流れてきて何処かへと流れていく社会からはみ出した者達の事…がテントのような簡素な住居を作って住んでいる場所となっていた。しかしそこには現在、誰もいない。避難警告によって何処かへと去って行った後だからだ。


防壁の上ではそちらを気にする余裕も無く、深淵の森を見据える兵士が並んでいた。


「なあ俺、氾濫は初めてなんだけど、本当に大丈夫なのかな?」


手に持った弓と矢を確認しながら男は言った。


「俺も初めてだけど、隊長の話じゃ滅多な事じゃ壁は越えられないってさ」

「隊長は何回か経験してんだっけ?」

「みたいだな。一回は防壁からの攻撃と冒険者の追撃で片付いたそうだぞ。まあ、ランクの高い魔物がいないとまず大丈夫って事だ」

「…だといいけどな」


防壁の上に待機しているのは弓兵と、魔法兵であるが、彼らの役割は只管迎撃をする事だ。基本的に数回の一斉掃射の後は残弾の許す限り防壁の上で過ごす事になるのだが、今回の予測規模であればそれで大半が片付くと考えられていた。


「さーて、あと一刻もすれば見えてくるぞ…きっちり防いでやろうぜ」

「はあ…今夜は徹夜か…」


ビオント北防壁の後ろには50メートル間隔で階段状の壁が防壁に対して垂直に伸びていおり、上から見るとTが連なるようにも見える。これは防壁の支えのような役割も果たしているが、パーティションでもあり区切られた空間には砦が聳えていた。


その内の一つは監視塔となっていて、その高さは凡そ30メートル。土台の10メートル程の建物に円柱が乗っている外観で、中は吹き抜けになっており螺旋階段が監視所まで続く構造だ。


「…速いな」


監視役は遠目のスキルを持ち、それを見ていた。


「予測よりも先陣が速い。隊長に報告、攻撃射程到達予想時刻早まる、監視報告に留意されたし」

「了解」


報告役は、言うや否や建物の真ん中にある棒に飛び付き下へと滑り降りていった。最上部の監視所は床があって、その真ん中は人が通れる穴が開いておりそこに棒が通っているのだ。この棒は建物の真ん中を貫いていて、結構な高さからの降下となるのだが、もちろん高所恐怖症はここにはいない。


「…どの道夜が本番になるか…」


刻一刻とその瞬間が迫るのを確認しながら、監視役は大きく息を吐き出す。


「暗くなる前に全容が見えるといいが」


月明かりや光魔法があるとはいえ、夜の闇の恐怖は拭いきれないものだ。

今回の氾濫はこの点に関して都合が悪い。


そして、それは確実に戦況を左右する事になる…。



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