U.T.W.と怪奇な少女事件
「なぁ、これ本当に大丈夫か」
「さーね?生徒会長はよく分からんから。」
次の日、何故か廃れたゲームセンターに来ている俺達。
「ていうか潰すって、そんなの僕らに出来る訳無いじゃん」
じゃあ何で来たんだよ優。
「生徒会は普段からこういう仕事をしてるのか。」
何故生徒会がこれをしているのかと言えば、単純にこの島は生徒会によって治安が保たれているようなものだからだ。警察はほぼ機能していない。
ゲームセンターの中に入ると、鷹穂が口を開いた。
「まあ生徒会長の言う事だ。十中八九不良なんていないさ」
「なら良かっ・・・良くないわ、それどういうことだよ」
普段より落ち着いている圭介。突っ込む時に感嘆符が付いていないのは稀だ。
落ち着いていると言えば優以外は落ち着いている。
煌は激辛ポップコーンを食べながら歩いているし、鵲先輩は例によって読書中だ。
「つまりだ。僕の知ってる生徒会長なら、【不良の始末】という名目で【もっと面倒な事】を依頼してくるはずなんだよ。彼はそういう人間だから。そもそも僕達が不良に殴りあいで勝てないことぐらい分かるだろう、普通に」
「分かるような分からないような。まあそう言う人なのか」
2人は落ち着いて話しているが、よく考えれば不良の始末なんかよりもっと危険な事をやらされているのかもしれないんだから警戒した方がいいと思うが。
1階全体を探索しているが、特に何も無い。暗い中だから見落としが無いとは言えない。でも何らかの音も聞こえないのでまあ何もないだろう。
「2階に何かあるかもしれ・・・」
「しっ!」
その時だ。圭介の言葉を煌が途中で遮った。小声で続ける。
「2階から微かに声と物音が聞こえたわ。」
静かに待っていると、確かに足音や壁に手をつく音、また何か喋り声のような音が聞こえる。何を言っているかは分からない。
「行きましょう!出来るだけ音を立てないで」
自販機の横を通り、慎重に階段を上って行く。
2階に着くと、奥のカウンターのところに、3つ人影が見えた。
1つはカウンターにもたれかかって座っている少女、2つはその前に立って何かを話している中肉中背の男と、少し大柄な男。少女はここからでは良く分からないが、背がかなり低い。小5くらいか。
「そこのクレーンゲームの機械の陰に隠れて様子を見ましょ」
全員でこそこそと移動する。ここまで来ると、会話が少し聞こえてきた。
「君、名前は何?」
「覚え、て・・・ない・・・ホントに・・・何も」
会話を聞いていると、どうやら知らない人同士なようだ。しかも少女は何も記憶が無いという。
するとだんだん会話が危ない方向に行っている気がしてきた。
「ちょっと来てほしいところがあるんだけどな」
「きて・・・ほしい?」
嫌な予感が倍増する。
「どうする・・・」
煌は迷っているようだ。
「いったら俺達も危ないぞ。かなり危険だ」
圭介がそう言った時、大柄な方の男が少女を起こして、手首を掴んだ。
「あっ・・・」
圭介が声を漏らした時には、既に鷹穂が男の方へ歩き始めていた。