U.T.W.と厄介な依頼
とある午後、第4PC室。
U.T.W.部員全員がここにいる。
「今日は全員集まってるな。」
鷹穂が急に改まったようにこちらを向いた。
お前が今日は絶対来いって言ったんだろうが。
「ちょっと僕の友人でさ、生徒会の人なんだけどそいつから面倒な事を頼まれて」
「なんだ、面倒な事って。」
ごほん、と咳払いして鷹穂が続ける。
おそらく生徒会のその人の声真似なのだろう、鷹穂が急に声を変えた。
【ちょっと忙しいから、代わりにお前らで溜まってる不良潰してきてー。報酬は部費拡張だ。以上!】
「だってさ。」
「はいストーップ!」
生徒会はそんな仕事をしていたのか。それ以前に明ヶ原に不良が溜まるような場所があるのか。
「何故それを俺達に頼む?」
「どうせ暇人なんだろってさ」
「何もしてない事バレてるんかよ!?」
これでまた休日の予定は埋まりそうだ。
俺達に不良なんか相手にできるのか。
「ところで、その生徒会の人って・・・」
優の質問に、鷹穂がちょっとにやけて答えた。
「生徒会長。高等部三年、藤田高之」
「生徒会長!?」
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
生徒会ビル最上階、生徒会長室。
「依頼は引き受けられたようだから、上手くやってくれそうだ。」
『了解。それより本当に彼らに頼んで大丈夫なの?』
男は電話越しの相手に向かって――――まあ電話では届かないが――――にやりと笑って、言った。
「大丈夫です。あなたの弟もいるしね」
『どれかと言えばそれを心配してんのよ。あいつ、私を探しに来たのかもしれないし』
「それはそれで面白いじゃないですか。では切りますよ。」
『はあ・・・あまりあいつを生徒会に近づけないでね・・・。じゃあ。』
電話を切ると、男はドアに向かって言った。
「入って良いぞ、緑」
すると、緑と呼ばれた制服を着た少女が部屋に入って来た。
「入りまーす。電話、誰からですか?彼女?」
「ふっ、今となってはそんなものかもな。」
肩をすくめて、少女は言った。
「また宵の連中ですか。この前の実験体の件でしょう、部活に依頼したんですね。」
「二つ下の中々話せる友人がいてな」
男は椅子から立ち上がり、窓に歩み寄って外を見下ろした。
「しっかり、やってくれよ・・・。」