U.T.W.の比較的静かな部活動
「凄く興味深い事かと思わないかい?」
「何がだよ」
・・・放課後の第4PC室。
今、目の前でいつもの如く他愛のない・・・のか分からんが・・・言論を繰り広げているのは鷹穂。
高等部普通科1年7組の紅 鷹穂だ。
そしてだるそうに応答しているのは高等部コンピュータ科2年2組の高無 圭介だ。
「だからさ、死後の世界の話さ。一度でいいから見てみたいものだよ」
「そんなのあるのかも分からんぞ、てか俺は信じてない。」
因みに横でスケッチブックに向かっているのは美術科2年4組姫野 煌。
今は漫画家新人賞に応募する漫画のネームを描いているそうだ。
「鷹穂の言いたいのは有る無しの問題じゃないんでしょ」
彼女・・・失礼、彼は普通科2年1組朝霧 優。知らない奴が見たら確実に女と思うであろう風貌だ。
「そう。僕はこう思うね。生きてたら死後の世界を見ることは出来ないだろう。でも、よく考えれば死んでも死後の世界なんて見る事が出来ないのさ。」
「目が無いからな」
このやり取りを横目で見ながら本を読みふけっているのは普通科3年5組鵲 綾香。
俺も人の事は言えないが、無口で人との関わりがほとんど無い。
「つまり、死後の世界は、「死んだ後の世界」であるのに死んでも見る事が出来ないという。また耳も肌も鼻も口もましてや脳もない。その世界の存在を感じられない時点でその世界が存在する意義はない。そんなことも考えず「死後の世界」なんて物を作るのはいかがな事か」
「つまりお前は何が言いたいんだ、某真理教でも作るのか。」
最後に俺は普通科2年1組雨宮 影夜。我ながら人との関わりに積極的ではない。
「まあ作ってみたいねぇ、世界真理教なら」
なぜこの第4PC室にこんな学年も学科も違う人が集まっているのかというと。
ここが【U.T.W.】部室だからだ。
U.T.W.とは世界の真理、つまり「Ultimate Trues of the World」の略だ。何故だかは知らない。
今日はこの部室、比較的静かである。
いつもはとても五月蝿い。時々教師がやってきて注意してくるほどに。そう・・・
蛙鳴蝉噪なこの世界、少し・・・
覗いてみるか?