3.本心
訪問有り難う御座います!
久々の投稿になりました。
亀な更新申し訳ありません。
それでは、どうぞ!
今のところ1/2の確率だ。
まるで使命のように、水面より並木道まで走ることが毎度のことになっていた。何回かは水面の方が先に着いていたが、この間同様、今日も和斗の方が先に並木道に着いた。
とは言っても、今日は特に約束していない。今朝電車で来るとき、読み終えた本を持っていたから何となく返すのかなと思ったのだ。だとしたら放課後ここを通るはずだ。
「あれ、和斗じゃん」
「あぁ?」
本でも読んで、待とうとしていたところだった。
「またここかよ」
「最近つきあい悪いなぁ」
水面に告白する前だったら、放課後に遊び回るのが日常だった。もう二週間ぐらい経つだろうか。随分遊びに行っていない。
「もしやあれか、女でも出来たか!!」
「うるせぇな」
水面が来る前に、さっさと立ち去って欲しい。和斗でさえもまだ慣れていない節があるのだ。こんな奴らを見て、水面が何と思うか。怖がられたらたまらない。
しっしと手を振ると、一人があることに気が付いた。
「あれ、和斗何持ってんの」
ぱっと手に持っていたものを取り上げられる。
「あ、ちょっと返せよ」
「本!? お前本なんか読んでんの!?」
最悪だ。騒々しくなる前に、何とか取り返したい。
「てかさ、お前本嫌いじゃなかったか?」
「読んだら、毎回寝てたよな」
そうだ。確かに、本を広げるとすぐに寝てしまう。それは今も変わらない。水面に薦められた物以外は、今もまだ手に持っただけで眠気が襲ってくる。
「何? 好きになったの?」
勿論、今も変わらず――
「嫌いだよ」
でもそれも、水面に薦められたものは例外だ。楽しいし、心から好きだと思える。続きが読みたいと思う。
そんな事を言っても、どうせこいつらには分からないだろうが。
「そういやさ、あの話どうなってんだよ」
「ほら、あの。図書館の女の子」
「っ!!」
まさか、覚えているとは思わなかった。随分前に、少し話しただけだ。
「どうなったんだよ、その後」
真面目に答えるつもりは、毛頭無い。こんなやつらに水面の魅力は話しただけでも勿体無い。
「あぁ……」
適当に流そうとしていたときだった。
最悪だ。
「水面……?」
目に入ってきたのは、顔面を蒼白にし、こちらを凝視する水面の姿。
一気に顔から血の気が引いた。
今までの会話を聞かれていたとなると、最悪の答えしか思い浮かばない。やっと近づけたと思ったのに。
「やべ……。聞かれてた?」
「……後で覚えとけよ」
とにかく友人らは後で殴るとして、和斗は水面を追って駆け出した。
「水面!」
有り難う御座いました。