ラジヲから
橙色の常夜灯がリノリウムの砂漠を干す。
鼓膜を撹拌させるエフエムからはあのナンバー。
武器になる針一本持ち込めない病棟の就寝時間は早い。
滴下式下剤を十五滴くらい直腸に流し込む。
僕は終生、テレビどころかラジヲの構造すら理解できないだろう。
知らない、知らなくていい。でも知ったほうがいいかもしれない。
僕は薄片な男だ。構造すら知らないのに弄んでる。
カナル式のシリコン樹脂から漏れる嗚咽。
もう笑いたいのか泣きたいのかもわからなくなってきた。
眠りたいのに濃厚ブラックインスタントコーヒー。
「ミンザイ」飲んで呂律くだけて脚からまって末端ゆるんで。
そして土嚢のような枕を噛む。
また一時間ごとの時報が頭蓋に残響を残して歩いてく。