カミサマの素質
声が聞こえたその像に少し警戒するが、近づいて話を聞かないことには帰れない。
仕方なく眠ろうとしていた足を動かす。
三十分程歩いたところでその像の輪郭がハッキリと見え始めた。
少女か少年か分からないほど中性的かつ端整な顔立ちに、145センチの身長……小さい。
小学五年生くらいの子どもがそこにいた。
するといきなり、その少年とも少女とも受け取れる子どもが口を開いた。
「すいません。いきなりこんなところまで連れて来てしまって。でもあの世界では誰かに聞かれていたかもしれませんし……」
うん、ゴメンちょっと訳が分からない。
「ちょっと待って、勝手に話を進めないで、まずは状況を教えて」
「そうですね。まず、この世界はあなたが今まで住んでいた世界とは違います。もっと高度な世界です。うーん……、あなた達の言葉で説明すれば『天界』といえば分かりますかね?」
分かったことといえば…そうだなぁ………、うん、この子が早めの中二病でとっても思考回路が異常で末期ってことは分かった」
「ちょっと!酷い!!後半から声に出てましたよ!!」
どうやら聞こえていたらしい。
とりあえず、謝っておこう。
「えっと、ごめん……?」
「何故疑問形!!?」
うん、確信した。この子にはツッコミの才能がある。ツッコミ検定2級は余裕なんじゃないだろうか。
「いや、そんな資格は要りませんから、話を遮らないでください!!」
少女(?)は続けて言う。
「とにかく、何故かあなたから人間としてはあり得ないレベルの神の素質が溢れ出しているんです。だから、一回ここまで来て貰いました」
フムフム。とりあえず信じよう。でないとこの空間の説明とかできないし。
「さらに厄介な事に、これ以上素質が膨らみ続けてしまえば、世界のバランスが崩壊し、あなたの世界は因果律レベルで消えてしまうことになってしまうんですが……、ここであなたにカミサマになって貰えば、崩壊は防げます」
うーむ。信じがたいけど、もしもこれが本当で、オレの判断ひとつで世界消滅……なんてシャレにならねぇしなぁ………。
「うん、なるよ、カミサマ(?)に」
オレのこの一言で、この子の顔がパァァッと明るくなった。気のせいか、目が輝いている様にも…。
そして、この後オレは力を抑える為の封印を施してもらい、協力の対価としてとても役に立たないが、役に立つスキルを貰ったのだった…………。
できた!!