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85 終わり

 

 いつもの分かれ道。


 何度も通った場所。


 何度も「また明日」と言った場所。


 足が止まる。


 自然に。


「じゃあ」


 凛が言う。


 いつもと同じ言葉。


 でも、


 意味はもう、戻らない。


「……ああ」


 それだけ返す。


 少しだけ、間が空く。


 何か言うべき時間。


 でも、何も出てこない。


「ありがと」


 凛が言う。


 小さく。


 でも、はっきりと。


「……こっちこそ」


 やっと返す。


 それが精一杯だった。


 それ以上は、


 何も言えない。


 言ったら、


 何かが崩れそうで。


 凛が歩き出す。


 その背中が、ゆっくりと遠ざかる。


 呼べば、振り返るかもしれない。


 でも――


 呼ばない。


 振り返らない。


 振り返れない。


 自分も、反対方向へ歩き出す。


 足音が一つになる。


 さっきまであった隣の気配が、


 完全に消える。


 夜の中に、


 二人の時間だけが、


 静かに終わっていった。

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