表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/90

22 文化祭当日①

 

 文化祭当日。


 校門の前から、もう騒がしい。

 カラフルな看板、呼び込みの声、制服じゃない服装の人たち。


 普段の学校とはまるで別世界みたいで、

 足を踏み入れた瞬間、空気が一段明るくなる。


 廊下には飾り付けがびっしりで、

 紙の花や手作りのポスターが、少し不格好なのにやけに楽しそうだった。


 自分のクラスの前に立つ。


 扉の上には「喫茶店」と書かれた看板。

 中からは笑い声と、食器の軽い音が聞こえてくる。


 一歩入ると――


 そこはもう、完全に“別の場所”だった。


 机は整えられて、クロスがかけられ、

 簡単な飾りでも、ちゃんと雰囲気が出ている。


 そして。


「いらっしゃいませー」


 凛の声。


 振り向く。


 制服にエプロンをつけて、

 いつもより少しだけきちんとした格好で、客を迎えている。


 その笑顔が、やけに自然だった。


(……普通にやってるな)


 しかも。


 思った以上に人気だった。


「この子感じいいね」なんて声が聞こえる。

 実際、凛の周りには人の流れができている。


 注文を取る手際も、案内の仕方も、無駄がない。


(……なんかムカつくな)


 理由は分からないけど、少しだけ面白くない。


 そんなことを思いながら、近づく。


「似合ってるな」


 声をかけると、凛が一瞬だけこっちを見る。


 少しだけ驚いた顔。


 それから、すぐに笑う。


「でしょ?」


 自信満々。


「ちょっとな」


 わざと抑えた言い方。


「素直じゃん」


「たまにはな」


 凛はくすっと笑う。


 そのまま「少々お待ちください」と別の客に向き直る。


 動きに迷いがない。


 声も明るい。


 いつもの軽さとは違う、ちゃんとした“役”をやっている感じ。


(……ほんとに似合ってるな)


 心の中でだけ、そう思う。


 教室の中は賑やかで、

 笑い声や会話が絶えず続いている。


 その中心にいる凛の姿が――


 なぜか、やけに目に残った。



 ――――――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ