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19 文化祭準備②
放課後準備。
教室の机は端に寄せられて、真ん中には段ボールや木材が積まれている。
ガムテープの音、はさみの音、誰かの指示する声。
普段の静かな放課後とは全然違う、騒がしい空気。
窓の外は夕焼けで、オレンジ色の光が教室の中に広がっていた。
その光に照らされて、みんなの影が長く伸びる。
「これ持って」
凛が、無造作に箱を差し出してくる。
「重い」
受け取った瞬間、思わず顔をしかめる。
中身、絶対軽くない。
「頑張れ」
「お前もやれ」
「応援してる」
「意味ない」
軽口を叩きながら、なんとか運ぶ。
周りでも同じようなやり取りがあちこちで起きていて、
笑い声が絶えない。
凛はその横で、誰かと話しながらテープを切っている。
たまにこっちを見て、にやっと笑う。
(……くそ)
なんか、悔しい。
でも――
その空気が、嫌じゃない。
むしろ。
一緒に同じことをして、同じ場所にいて、
同じ時間を過ごしているだけで。
それだけで、なんか楽しい。
窓の外の夕焼けが、ゆっくりと色を変えていく。
その中で――
この時間が、少しだけ特別に感じられた。




