表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/90

14 テスト勉強①

 

 図書室。


 扉を開けた瞬間、空気が変わる。

 教室とは違う、静かで少しひんやりした空気。紙とインクの匂いが混ざって、落ち着いた雰囲気を作っている。


 大きな窓からは午後のやわらかい光が差し込んで、本棚の影を長く伸ばしていた。

 ページをめくる音や、遠くの椅子のきしむ音だけが、小さく響く。


 その中で、向かい合って座る。


「ここ分かんない」


 凛がノートを少しこちらに寄せる。


「どこ」


 身を乗り出して、問題を覗き込む。


 その瞬間――


 距離が、近い。


「近い」


 思わず言う。


「見えないでしょ」


「見える」


「でも近い方が効率いい」


「なにの効率だよ」


 凛はさらっと言う。


「集中力」


「嘘だろ」


 ページの上で指が少し触れそうになる。

 紙の白さと、凛の髪の黒さが妙に対照的に見えた。


「本当だよ」


(顔が近い)


 息がかかりそうな距離。


 図書室の静けさのせいで、余計に意識がそっちに集中する。


「……離れろ」


 小声で言う。


「ドキドキしてる?」


「してねえ」


 即答。


 でも、声が少し低くなる。


「はい発熱」


「もうその診断やめろ」


 凛はくすっと笑う。


 その声が、やけに近くで響いた。


 ――――――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ