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Lesson.1 『モーリオンギルド』

 はい、皆さんこんにちは!講師役を務めさせて頂くアイリスです。


 このドキュメントは本編である「少女は大宇宙(おおぞら)で虹と唄う」に関するサブテキスト的な位置づけになるものです。本編の中で説明を行うと説明くさくなるけど、知ってると背景設定やキャラクターの言動が理解しやすくなるようなお話を本編の進行に合わせる形で解説させていただきます!

 なお私、講師役のアイリスは本編に登場する「アイリス・ブースタリア」の類似的存在(レゾナンス)なので本編の「私」と同等のパーソナリティを持っていますが、「私」とは違って物語外の存在として皆さんに直接語りかける形で説明させていただきますね!


 では前置きはこれぐらいにして、記念すべき第1回目は私達が所属している通商組織「モーリオン(黒水晶)ギルド」……通称「ギルド」についてのお話です。本編では私もトワもギルド所属なので、ギルドについて改めて考えたり、あるいは人に説明する事もないので具体的な描写はあまり行われていません。「主人公が所属してるなんかすごい組織」……という認識の方も多いと思います。本編を読み進めるだけならそれで全く問題がないんですが、一応補足としてのお話だと思ってくださいね。


 まず、私達の世界にも複数の「ギルド」と呼ばれる職人組織が存在していますが、一般的に組織名を冠せずに単に「ギルド」とだけ呼ぶ場合は「モーリオンギルド」の事を指している場合が多いです。なので私やトワ、それに物語の登場人物が口にする「ギルド」も基本的には全てモーリオンギルドの事ということになります。

 ではどうして私達のギルドがそこまで周知されているのかというと……その理由はモーリオンギルドが扱っている「商材」である「C3」にあります。C3については説明が少し長くなりますので次回に改めてお話ししますが……私達の世界ではC3が人類文明の中核を担うものなので、人類が入植している惑星でC3を必要としない星は存在しないと言えるぐらい重要物資だと思ってください。

 ですがその重要性に反してC3は採掘できる惑星が限られている上に、加工や調律には特殊な才能が必要になります。そのため、ギルドを介さずにC3を入手することは現実的ではないことから、少数の例外を除けほぼ全てと言っても良いぐらいの惑星にギルドの支部や出張所が開設されているんです。


 惑星間を旅する人はさほど多くない世界ですが、どこへ行っても遍在するギルドなので、わざわざ名前を付けて区別するまでもない……と思われているんでしょうね。私達の場合は自分が所属している組織なので、いちいち正式名称で呼ばないだけなんですけど。

 ほら、皆さんもそうでしょう?「私の学校」「うちのクラブ」「弊社」みたいな感じで、改めて説明する時以外は正式名称を名乗らないのと同じようなものだと思ってください。


 ちなみに正式名称の「モーリオン」は「黒水晶」と言う意味の言葉ですが、これは最高ランクのC3が漆黒の水晶体である事から付けられた名前なんです。宇宙を旅するギルドのメンバー、例えば「私」やトワにも与えられている「ギルド章」――あれ、まだもらってませんでしたっけ?まぁ、すぐにもらうことになるので気にしないでください。ともかくそのギルド章が黒水晶であることも、ギルドの象徴であることが由来になっています。

 ちなみにギルド章はSSランクのC3、つまり漆黒の黒水晶の表面に持ち主の名前と職種が刻まれていて、内部にパーソナルデータが記録されています。発行するためには支部長級――つまり管理官以上の職位を持つギルドメンバーからの推挙と、それに基づく統括局の承認が必要になります。

 ギルド章そのものの製造はSSランクのC3さえあればどこの支部でも比較的簡単にできるんですけど、この承認がなかなか取れないそうです。いくつか例外規定はあるそうですけど、統括局のスタンスは基本的に乱発されては困るというものなんだと思います。


 あ、統括局についてはこの後で改めてお話ししますね。参考までに、「私」のギルド章は職位的に自動発行される特例扱い。トワの方は通常申請でしたが……まぁ、あの子の能力的に申請が通らない訳がないですよね。


 そんなギルドですが、いつ、誰が創立したか失伝してしまっているほど古い組織なんです。ですが、名も知れぬ創始者の「ギルドは支配せず」という理念は現在も受け継がれていて、惑星の統治や支配には一切関与せず、人類に必要なインフラを――経済的な対価と引き換えに――頒布することを目的に私達は活動しています。


 どうして支配しないか、ですか?それは私達ギルドが本気で惑星を支配しようとしたら、一瞬で惑星どころか人類の文明圏の大半を支配できてしまうから、です。なにせ、C3が無ければ人類は文明を維持できませんから、その生産と流通を一手に握っている私達はいわば人類の生命線を掌握している事になりますからね。

 ですから「支配せず」という理念を掲げているとはいえ……実際に私たちギルドは人類文明の根幹を握っていますから、本当は誰もがそのことに気づいているはず。でも、だからこそ理念を守らなければならないって私は信じています。


 それに、もし迂闊に支配を行おうとすれば……おそらく全人類が一致団結してギルドに反撃を試みることは間違いありません。その結果、人類もギルドも共に衰退・滅亡するのは本末転倒ですからね……。それ故にギルドは内政干渉禁止の原則を掲げ、これを遵守する事で人類社会と共栄共存する方針を打ち立てているんです。だって、私達も人類の一員ですからね。

 でも、嘆かわしい事に過去にはギルドの力を悪用して惑星を支配しようとした悪党もいると聞いています。ギルド憲章の第1条第1項、最優先事項として禁止されているにもかかわらず。身内の事ですけど、そういう輩は粛正されても仕方ないって思います。いや、ほんとに。



 次にギルドの組織構成についてですが、なんとモーリオンギルドには「本部」というものが存在していません。もしかしたらどこかに存在しているのかもしれませんが、少なくとも「私」――アイリスの知りうる範囲には本部は存在していません。その代わり、人類の版図をいくつかのエリアに区切った星域(セクター)ごとに統括局と呼ばれる上部組織が存在していて、その下部組織として広域支部や惑星所属の地方支部、私達の故郷のような開拓団、採掘基地が存在しているそうです。

 そうです、というのはセクターが広すぎて「私」の知る限り余所のセクターとの交流が皆無だから。いや、どれだけ広いんでしょうね、人類の版図。ちなみに私とトワが所属しているのは第18管区と呼ばれる星域で、ここを管理する統括局はメラニー・スゥ局長の指揮の下、活動を行っています。スゥ局長はとても優秀な老齢の女性ですが「私」は少し苦手意識を持ってるみたいですね。なにせ「私」が管理官の試験を受けたときの面接官だったので……いつまで経っても頭の上がらない人って感じてるみたいです。でも良い人なんですよ、スゥ局長。「私」を孫みたいに思ってくれてるみたいですし。


 その統括局についてですが、管理する星域が極めて広範囲であるため特定の惑星に拠点を設けるのではなく、亜光速航行が可能な機動要塞を拠点に運営が行われています。スゥ局長が指揮しているのは「オラクルXVIII」と言う機動要塞ですが……もしかしたらいつか、トワ達もそこへ訪れる機会があるかもしれませんね。

 そしてギルドに所属している職員についてですが、ギルドの一員になるためには遺伝による特殊な能力、すなわちC3の調律能力を持つことが必須条件になっています。私やトワも含め、ギルドに登録されているメンバーは皆この能力を持っていますが、遺伝能力なので基本的に既存のギルドメンバーの血族でないと能力の獲得やギルドへの所属はできません。

 ごく例外的なケースとしてギルドを脱退した元メンバーの子供や孫とか、いわゆる御落胤的な感じの人とか、まぁそういう事情がある人で十分な調律能力を持つと判定された人が新規に会員として登録される事もありますが、これは非常にまれです。


 こういう血統重視の組織なので、「私」もトワも結婚相手はギルド内で見つけるように、と上から言われちゃう訳なんですが……。少なくとも故郷の星には「私」のお眼鏡にかなう男性はいませんでした。トワ?ああ、あの子は最初から色恋沙汰や異性にはまるで興味がないですよ。あの子の才能を思えば、統括局が聞いたら絶望するか激怒すると思いますけどね。


 そうそう、後は私達の世界――ギルドと惑星のお金についても少しお話しておきましょうか。私達の銀河では遍く惑星を統べる組織や団体は存在しませんから、各惑星ではそれぞれに独立した経済制度を持っています。ですから当然通貨体系についても惑星ごとに独自に定められています。

 開拓初期の惑星であればその星で不足している資源との兌換紙幣……例えば塩とか、食料とか、エネルギーとかを使う資源本位制が採用されていることが覆いようですね。

 惑星の経済が発達してくると不換紙幣……いわゆる現代の皆さんが使っている普通のお金、いわゆる「現金」を用いているところが多くなります。惑星政府が安定していると資源との交換を約束しなくても貨幣価値が維持できますからね。


 さらに惑星が発達すると金銭価値がデータ化された暗号資産が中心になるのですが……問題はそれらの通貨基準はいずれも惑星内に限定された価値しかもたない、ということです。

 例えば塩本位制の惑星で発行される「ソルトチケット」を持っていたとしても、暗号資産を使う海洋惑星へ行けば「ソルトチケット」が無価値になってしまいますよね?これでは星間貿易が行えません。そこで登場するのが私達モーリオンギルドなんです!……ごめんなさい、ちょっと胸を張ってしまいました。


 私達の故郷であるCM41F3Cのような他の経済システムが存在しないケースはもちろんですが、貨幣経済のシステムを持つ惑星上であっても、ギルド内で働く一般職員に対してギルドが支払うギルド独自の「通貨」が存在しています。そのギルド内通貨はギルドクレジット、通称GCと呼ばれるもので、ギルドに対する貢献度を数値化したものがそのまま貨幣価値を持ちます。

 惑星上でのみ活動するギルドメンバーの場合はGCが暗号資産のようなデータで管理されていますが、惑星間を移動する場合はC3を使ったトークンとして払い出しを行う事も可能になっています。本編ではあまり描写されませんが、「私」とトワが持っている「お金」は基本的にGCで、必要に応じて軌道ステーションで現地通貨に両替しています。


 そして先ほどのお話に戻りますが、ギルドの「商材」はどこの惑星でも必要とされ、かつ希少価値のあるものですし、C3が持つ価値はギルドによる保証が得られます。つまりギルドクレジットは「C3」を担保にしたC3本位制の通貨としてどの惑星でも等しく機能するんです。すごいでしょ?

 そのため星間貿易を行うトレーダーの人達は、各惑星の通貨ではなくGCを基軸通貨として使うことが多いんです。皆さんが国際貿易を行う際に自国通貨ではなく米ドルを使うのと同じようなイメージですね。もちろんGCと現地通貨は固定レートじゃないですよ?為替相場の変動で収益を上げるトレーダーは私達の世界にも存在しています。


 えっ、詳しいですねって? それはもちろん、私が勉強熱心だからです!トワのお姉ちゃんとして活躍するためにはちゃんと勉強しないといけないんです。努力家なんですよ「私」は。


 さて、少し長くなりましたので、では今回のお話はここまでです。また次回お会いしましょう!


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