5章 小さな精霊
2人が出会ってから3年後2人が16歳になった頃、2人の仲はますます深まっていた。
「ルイ、そろそろしゅんとりりなに私がクリスタの墓参りの為だけに来てるわけじゃないこと、バレそうだわ。」「この場所もバレそうなのか?」ルイは焦ったように聞いた。「いいえ、ここはまだバレていないと思うわ。」
すみれがそういうとルイはホッとしたようだ。「ねぇ、ルイ。少しこの森を探検してみない?」「いいぞ」2人はいつも会っている場所から北に移動して行った。
…グス …グスン
「なにか聞こえる。なんだ?」「泣いてるのかしら?行ってみましょう。」すみれとルイは開けた場所に出た。そこは辺り一面が花畑になっていた。だが、どの花も綺麗に花を開いてるにも関わらず1輪だけ蕾のままの花があった。そして、その花の上では小さな小さな花の微精霊が涙をながしていた。
…グス …グスン
「微精霊さん。どうして泣いているの?」
「私のお花が咲かないの。他のお花は咲いたのに、どれだけ待っても咲かないの。」
そう言った微精霊は自分の下の花を指さした。
「微精霊?俺、初めて見た。私の花ってどういうことだ?」
「精霊はね、依代というものに宿っているのよ。依代っていうのは、魔力を持つもの全てのことを言うの。魔力を持つものなら形あるものもないものも、全てが依代になる。この蕾のままの花は、魔力が宿っているからこの小さな微精霊さんの依代なのでしょうね。」そう言ったすみれはそっと花の微精霊に触れた。「精霊さんあなたはあなたの依代の花を咲かせたいのね?」「えぇ、そうすれば私も微精霊から精霊になれるわ。」それを聞いたすみれはふふっと笑って言った。「私が少しだけ手伝ってあげる。蕾が咲かないのは魔力が足りないからよ。」そして、すみれは歌った。
♪~~~♪
少しずつ蕾が開いてゆく。
♪~~~♪
ついに花が咲いた。その花は周りの花に比べて、とても綺麗だった。澄み渡った水色の花、キラキラ光っているようだ。そして、微精霊は精霊へとなった3cm程の蕾の花を持っていた少女が10cm程の綺麗な水色の花を持った少女になった。花の精霊はとても喜んだ。辺り一面の花までも元気に綺麗に咲き誇っている。「なんか、ほかの花まで綺麗になってないか?」「精霊になったことで精霊の加護がほかの花たちに降り注いだのでしょうね。」「そうか小さくても精霊はすごいんだな。」ルイはとても悔しそうにそう言った。
「ありがとう。精霊の愛し子。あなたがもっと幸せになりますように。」「愛し子?なんだそれ?」コテッと顔を傾けてすみれを見てくるルイ。―そういう所可愛いな―「精霊の愛し子は精霊達に愛されてる者のことよ。精霊に愛されてる者は精霊達が契約していなくても力を貸してくれるのよ。」「そうか、すみれもすごいんだな...」「すごくないわよ。私は大切な人を守れなかったのだから。」そう言ってすみれは悔しそうに顔を歪めた。




