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ヒグマリーヌのお仕事☆

ヒグマリーヌとおともだち

作者: 渕澤もふこ

「童話:幼年、児童に向けた内容の読み物、クマね。いっちょやってやるクマ!」


 極悪マスコットのヒグマリーヌちゃんが、なにか一生懸命に書いています。


「小説家になろうの、ジャンル説明を読んできたクマ。聖なる乙女の話をちびっこたちに普及させるにはちょうど良いクマ☆」


 ヒグマリーヌちゃんは、新たな顧客獲得のため、今日も執筆に勤しんでいます☆

 昔々あるところに、ヒグマリーヌという可愛いマスコットがいました。

 ヒグマリーヌちゃんは、ブラックフレネミーを倒すために、ホーリー☆マジカル♡ランドという魔法世界からやってきたお友達です。

 フレネミーとは造語で、「フレンド」と「エネミー」を合わせた、友達のふりをした敵のことです。「アナタノタメヲオモッテイッテルノヨ」とよく吠えます。倒すと『アミティエ』と呼ばれる友情パワーを得ることができます。

 ヒグマリーヌちゃんは、世界に平和をもたらすために、仲間を探すことにしました。


「可愛いクマ~、ヒグマリーヌと一緒に戦うクマ☆」


 ヒグマリーヌちゃんは、チンチラのタマタロー、ニャンコのタマタマ、ワンコのフグリと共に、ブラックフレネミー退治に出掛けることにしました。


「可愛いクマ~♡」


 しかし、3匹が可愛すぎて、ヒグマリーヌちゃんはお仕事が進みません。ホーリー☆マジカル♡ランドの女神様にアミティエを送る期限は、刻一刻と迫っています。


「仕方ないクマ~」


 ヒグマリーヌちゃんは、3匹の飼い主であるリリィちゃんと友達になって、助けてもらうことにしました。

 リリィちゃんは左投げ左打ちといわれる凄い力を持った子で、ボールを投げさせたら右に出るものはいません。

 彼女の投げるボールが当たれば文字通り死球となり、ブラックフレネミーは消滅します。

 ヒグマリーヌちゃんは3匹の可愛い獣たちと遊びつつ、リリィちゃんとともに平和を守っていたのです。


「リリィ〜、金魚すくいしたいクマ!」

「ヒグマリーヌはすぐ変な名前付けるからダメ!!」

「金魚欲しいクマ!!出目金欲しいクマ!!」


 駄々を捏ねるヒグマリーヌちゃんは、金魚を手に入れたら名前は「沈」とつけると決めています。増えたら「珍」「陳」……のように別表記する予定ですが、読みはすべて同じです。

 夏祭りの屋台で絶対金魚すくいをすると、ヒグマリーヌちゃんは企んでいました。


「あ~らぁぁぁ!そこにいらっしゃるのは野々原ユリネさんじゃありませんことぉぉ?」


 そんな微笑ましいふれあいの最中、ツインテールに大きなリボンを付けた少女が現れました。リリィちゃんのクラスメイトです。


「その声は、姫薔薇ヶ丘マリアンヌさん!」

「今日も素朴感あふれた感じですわね!おーっほっほっほー!!」

「マリアンヌさんは今日もゴージャスですね。……ねえ、ヒグマリーヌ、あの子はブラックフレネミーじゃないの?」

「違うクマ~。ただのツンデレクマ」

「えー……」

「ヒグマリーヌと名前かぶってるクマねぇ。……あの子も仲間にしちゃおうクマ!リリィの負担が減るクマよ☆」

「え、嫌だよ。あの子、同じ部活だけど、他の球団のファン()だもん。ほら、髪型まで他球団のマスコットの真似してるし」

「ガチ勢の過激派だったクマか~。でも、リリィの肘のことを考えたら、球を投げられる子が他にいるだけでもありがたいと思うクマ」

「ヒグマリーヌ……」

「ちょっと!聞いてますの!?この私が、わざわざ、あなたに、話しかけてあげてますのよ!」

「金魚欲しいクマ〜」


 そんなこんなでマリアンヌちゃんをローズちゃんとして仲間に引き入れ、ヒグマリーヌちゃんたちはブラックフレネミーとの最終決戦に臨んだのです。


「どうせ、あなたは私のことなんて、なんとも思っていないんでしょう!!」

「ローズ!違うの!!あのアイスは、その、2人用だったから、ヒグマリーヌが食べたいって、だからその、えっと」

「初めて対戦した時から、生涯の好敵手(ライバル)だって、誰にも負けない戦友になるってそう誓ってたのに……やっぱり、私のことなんて都合の良い駒としか思っていなかったのね」

「マア、ヒドイ」

「カワイソウニ」

「アイス美味しいクマ~♡リリィはやっぱりヒグマリーヌの親友クマ~☆」

「ヒグマリーヌ、空気読んで!」

「うわーん!!」

「イッショニイキマショ」

「ラクニナレルワ」

「ローズ!!」


 リリィちゃんの迂闊な行動により闇堕ちしたローズちゃんは、ブラックフレネミーに囚われてしまいました。戦力は激減、聖なる力が尽き、リリィちゃんは絶体絶命です。


 そんな時、異世界から助けがありました。リリィちゃんは異世界の聖なる乙女から力を受け取り、究極進化を遂げアルティメットバージョンを手に入れたのです。

 しかし、それは別れを伴いました。リリィちゃんの親友ヒグマリーヌとの別れです。

 二人はいつかまた試合をしようと約束し、離れ離れになったのです。

 元の世界に戻ったリリィちゃんは、異世界から来た聖なる乙女たちと一緒に、ローズちゃんを助けに行きました。

 そして、無事にブラックフレネミーたちを倒し、アミティエを手に入れ、世界を救うことができました。


 異世界の経験豊富な聖なる乙女たちは、リリィちゃんとローズちゃんの話をたくさん聞いてあげました。そして試合で決着をつけることにしたのです。

 ローズチームとリリィチームの試合は死闘を極めました。ブラックフレネミーとの最終決戦でボールを投げ続けたリリィちゃんの肘は、もう限界だったのです。

 しかし、同じようにブラックフレネミーたちのボールを打ち続けたローズちゃんの腕も限界でした。

 延長12回裏、四番打者ローズちゃんの華麗なるピッチャー返しに倒れたリリィちゃんは負けを認め、ローズちゃんを親友だと認めたのです。リリィちゃんも、そこそこにツンデレでした。


 地球の平和を守ったあと、異世界の聖なる乙女たちは自分の世界へと帰って行きました。


 みんなの心の中に友情パワーがあれば、聖なる力が聖なる乙女を生み出します。

 ヒグマリーヌちゃんは、今日も世界の平和を守るためにお友達を探しています。ヒグマリーヌちゃんを見かけたら、応援してくださいね!


☆おしまい☆

「書けたクマ~!最高傑作クマ☆」


 ヒグマリーヌは書き上げた童話を、小説家になろうに投稿しようとした。だが、ルナールから「ジャンル詐欺だ!」と言われてしまい、しぶしぶ「短編 コメディー」ジャンルに投稿するのであった。


「下ネタ酷いのなんとかしろよ」

「ヒグマリーヌはそんなつもりないクマ!下ネタに聞こえるのは、ルナールの心が汚れているからクマ!」

「お前のせいで『聖なる乙女』になって、聖なる力に溢れてるのに、汚れているわけあるか!!」

「論破されたクマよ~」



【おまけ】

☆童話ジャンルの下ネタの許容範囲を調べるクマ☆


「……ヒグマリーヌ、お前だったのか。可愛いうちの鳥たちに下ネタを教え込んだのは」

「濡れ衣だクマ!ヒグマリーヌはあいつらにキンとタマってあだ名付けて可愛がってたクマ!毎朝『キン、タマおはようクマ~』って挨拶して、新鮮なお水を入れたグラスで一緒に乾杯してただけクマよ!あいつらが勝手に覚えただけクマ?」

「悪意しかないだろう!!」

「……『チ〜ン☆』っていい音がするから何回も鳴らしたのは認めるクマ。悪気はなかったクマよ……えーん、怒らないでほしいクマ〜!」

チラッ

「泣き真似しながら、爪の間からこっちの様子を伺うのをやめろ」

「悲しいクマ。ルナールはヒグマリーヌよりもキンとタマの方が大事クマね……」

「うちの子の名前はリモーヌとシトラスだ!」

「じゃあ金魚飼って欲しいクマ!」

「却下だ!!!下ネタ全開な名前付けたいだけだろう!!」

「察しがいいヤツは嫌いクマよ〜」


ルナールくんとヒグマリーヌちゃんは、今日も仲良しクマ~☆

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