第8話: 「新たな依頼!今度は魔法学校でスキル持ちを探せ?」
「よし、鍛冶師のグラムも加入して、うちの派遣会社もさらにパワーアップしたな!」
涼は、鍛冶師のグラムを仲間に加えたことで、派遣会社の基盤がしっかりしてきたことを実感していた。武器、建築、モンスター感知と、いろいろな分野で活躍できる人材が揃ってきた。しかし、それでもまだ足りない気がしていた。なぜなら、この世界では「魔法」も非常に重要な要素だからだ。
「でもさ、やっぱり異世界と言えば魔法だよなぁ。今のところ、うちには純粋な魔法使いがいない…それって、派遣会社としてはまだ不完全ってことだよな?」
涼はふと思い立ち、魔法を使える人材を探すことに決めた。もちろん、ただの魔法使いではなく、しっかりとしたスキルを持ち、派遣先で役に立つような優秀な人材が必要だ。
「そうと決まれば、まずは魔法学校とかに行ってみるのがいいんじゃないか?どこかにそういう場所があるはずだ!」
こうして、涼は魔法使いを探すために王都の魔法学校へ向かうことにした。
◇◇◇
王都の中心から少し離れた場所に、巨大な城のような建物がそびえ立っていた。そこが王国の魔法学校であり、若き魔法使いたちが日々技術を磨いている場所だ。
「おお…さすが異世界の魔法学校、なんかファンタジー感満載だな。これは期待できそうだ!」
涼はワクワクしながら、学校の正門をくぐった。中に入ると、ローブを着た学生たちが魔法の練習をしている光景が広がっていた。彼らは一心不乱に魔法を放っていたり、空中に浮かぶ書物を読んでいたりしていて、明らかに涼の世界とは違う不思議な雰囲気が漂っている。
「さてと、まずは誰に話しかけようか…うーん、適当に声をかけるのもなぁ。」
涼が迷っていると、突然背後から声がした。
「君、誰だい?見慣れない顔だね。」
振り返ると、そこには小柄で知的な雰囲気の青年が立っていた。彼は涼を興味深そうに見つめている。
「えっと、俺は篠原涼って言って、異世界から来て人材派遣会社をやってるんだ。魔法のスキルを持った優秀な人材を探しに来たんだけど…」
青年は目を輝かせ、興味津々の様子で涼をじっと見つめた。
「おお、人材派遣会社!面白いね!僕はロイ。魔法学校で研究をしているんだ。派遣会社ってことは、魔法使いを派遣するってことかい?」
「そうそう。優秀な魔法使いを必要な場所に派遣するんだ。でも、まだうちには魔法使いがいなくてさ、探してるところなんだ。」
「なるほどね。確かに、今の時代は魔法使いが不足しているから、君のような派遣会社があると助かるだろうね。僕も魔法のスキルには自信があるんだけど…」
ロイは何かを考え込むように口をつぐんだ。その様子を見て、涼は少し気になった。
「どうした?何か問題でもあるのか?」
ロイはしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。
「実は、僕の研究がまだ完成していないんだ。僕の専門は『複合魔法』というもので、異なる魔法を組み合わせて新しい魔法を生み出す研究をしているんだけど…今のところ、まだ実用化には至っていないんだ。」
「複合魔法?それって面白そうじゃないか!」
涼は目を輝かせた。複合魔法なんて聞いたこともないが、異なる魔法を組み合わせることで、普通の魔法以上の効果を発揮できる可能性がある。もしそれが完成すれば、派遣先で大きな力になるに違いない。
「その複合魔法、完成すればすごいことになりそうだな!どうだ、俺たちの派遣会社でそのスキルを活かしてみないか?」
ロイは驚いたように目を見開いた。
「えっ?僕が君の派遣会社で働くの?でも、研究がまだ…」
「研究なら、うちの派遣先で実践的に進めることもできるだろう?それに、実際に現場で使ってみれば、もっと完成に近づくんじゃないか?」
涼は自信満々にロイに提案した。ロイはしばらく考え込んだ後、ふっと笑みを浮かべた。
「確かに、それは一理あるかもね。研究室にこもっているだけじゃ、得られない経験があるはずだ。…よし、決めた!君の派遣会社で僕のスキルを活かしてみるよ!」
「やった!ありがとう、ロイ!」
こうして、涼は新たな仲間としてロイを迎え入れることに成功した。彼の複合魔法は、まだ完全ではないものの、将来大きな力を発揮する可能性がある。
◇◇◇
ロイを派遣会社に迎え入れた後、涼はさっそく彼を派遣先で試してみることにした。今回の派遣先は、王都の北部にある森で起こっている「モンスターの大発生」問題だ。騎士団からの依頼で、モンスターを一掃する作戦に参加することになっていた。
「ロイの複合魔法がどこまで通用するか、ここで試してみよう!」
涼はロイを連れて、現場に向かった。現場に着くと、すでに騎士団がモンスターの群れを迎え撃っていたが、その数は多く、苦戦している様子がうかがえた。
「やばいな、これは想像以上だ…ロイ、大丈夫か?」
涼が心配そうに尋ねると、ロイは自信満々に笑った。
「大丈夫さ。僕の複合魔法を見せてあげるよ。」
ロイは手をかざし、複数の魔法を同時に発動させた。火の魔法と風の魔法が融合し、巨大な火竜が出現したのだ。その火竜は一気にモンスターの群れに突進し、次々と焼き尽くしていく。
「す、すげえ!これが複合魔法か!」
涼は驚きの声を上げ、ロイの実力に感動した。モンスターたちはあっという間に火竜に倒され、森は静けさを取り戻した。
「よし、これで解決だな。ロイ、ありがとう!」
ロイは照れくさそうに笑った。「まあ、まだまだ研究途中だけど、これで派遣先でも役に立てるなら嬉しいよ。」
◇◇◇
こうして、涼の「異世界人材派遣会社」はまた一人、優秀な魔法使いを仲間に加え、さらに成長を遂げた。ロイの複合魔法はこれからも発展していく可能性を秘めており、派遣先での需要も増えていくだろう。
「さあ、次はどんなスキル持ちを探しに行こうかな…俺の派遣会社も、どんどん忙しくなってきたぞ!」
涼は次なる冒険に胸を膨らませ
ながら、また新たな人材を探す旅に出た。