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第7話: 「技術者を求めて!鍛冶屋のスキルが鍵を握る?」


「よし、ミラの『モンスター感知』がうまく騎士団に活躍したな。派遣会社も順調に成長してきたぞ!」


涼は王都の騎士団との討伐作戦を無事成功させたことで、少しずつ自信を深めていた。これで会社の評判も上がり、彼の「異世界人材派遣会社」に興味を持つ依頼が増えてくることだろう。しかし、まだまだ人材が不足しているのも事実だった。


「さて、次に必要なのは…んー、戦闘系は今のところ騎士団が頑張ってるし、建築系はリックが担当してるし…あ、そうだ!武器だよ!この世界じゃ、武器の質ってすごい大事だよな?」


涼はふと思い立った。騎士団の討伐を支えるのは、もちろん彼らのスキルもそうだが、肝心の武器がしっかりしていなければ話にならない。優れた武器があれば、騎士たちの戦闘力もさらに向上するはずだ。


「つまり、鍛冶師だ!技術を持った鍛冶師がいれば、俺の派遣会社はさらに強力になる…よし、早速鍛冶屋を探しに行こう!」


涼は気合を入れ、王都の鍛冶屋通りへ向かうことにした。


◇◇◇


王都には大小さまざまな鍛冶屋が並んでいた。どの店も煙が立ち上り、力強い音が響いている。金槌が鉄を叩く音、火が燃える音、そして冒険者たちが武器を選ぶ賑わいが聞こえてくる。


「ここだ!この通りに優秀な鍛冶師がいそうな気がする…!」


涼は、ずらりと並んだ店を見ては感心しながら、どこに声をかけようかと迷っていた。その中で、特に目立つ看板を掲げた鍛冶屋を見つける。


「お、この店は…『ドラグン鍛冶工房』?なんか強そうな名前だな。」


涼はその店の前で立ち止まり、しばらく迷った後、意を決してドアを開けた。中には、がっしりとした体格の鍛冶師が鋼を叩いている。彼は大柄な男で、鋭い目つきだが、どこか職人気質を感じさせる雰囲気があった。


「いらっしゃい!武器を探してるのか?それとも修理か?」


鍛冶師の男は、涼に向かって豪快に笑いかけながら、作業を一旦止めた。


「いや、実はそうじゃなくて…俺、人材派遣会社を立ち上げたんだけど、優秀な鍛冶師を探しててさ。君みたいな技術を持った人を派遣先で活躍させたいんだ。」


「ん?人材派遣会社?おいおい、なんだそれは…そんなもんがこの世界にあるなんて聞いたことがないぞ。」


男は面白そうに涼を見つめ、腕を組んだ。


「まあ、そりゃそうだよな。俺もこの世界に来たばかりで、こっちじゃまだ珍しいんだけどさ。要は、君みたいに優れたスキルを持つ人を、必要としている場所に派遣する仕事なんだよ。君の技術が他の場所でも活かせるかもしれないって思ってさ。」


鍛冶師の男はさらに興味深そうに頷き、ハンマーを置いて涼に近づいた。


「なるほどな…まあ、俺の技術が役に立つなら、そりゃ嬉しい話だ。でもよ、俺の仕事はこの店で武器を作ることだ。それに、俺が鍛えた武器は簡単に他人に渡せるほど安いもんじゃねぇ。俺の技術を使いたいなら、それ相応の覚悟は必要だぜ?」


「もちろん、俺も君の技術がどれほどのものか見てみたい。もし君が派遣先で活躍できるなら、きっと大きな仕事が待ってるはずだ。」


涼は真剣な表情で答えた。鍛冶師はしばらく涼を見つめていたが、やがてにやりと笑った。


「お前、面白い奴だな。名前は?」


「俺は篠原涼だ。異世界からやってきて、ここで人材派遣会社をやってるんだ。」


「涼か、俺はグラムだ。この店の主人であり、腕利きの鍛冶師だ。よし、いいだろう!お前の話に乗ってやる。だが、その前に…」


グラムは突然、背後の棚から大きな剣を取り出して、涼の前に差し出した。


「お前に、これを試してもらう!」


「え、俺が?これって…もしかして試されてる?」


「そうだ。俺の武器を扱えるかどうか、それがお前の本気度を測る試金石だ!」


涼は剣を見つめ、その重厚な作りに圧倒された。これはただの剣ではない、職人の技術が詰まった逸品だ。


「でも、俺は剣なんて扱えないし…あ、いや、ここで尻込みするわけにはいかないな。」


涼は意を決して剣を手に取った。しかし、その重さに驚愕した。


「うわ、重っ!?これ、マジか…」


涼は必死に剣を持ち上げようとするが、体が震えてしまう。見た目以上に重く、力が全く及ばない。


「おいおい、何やってんだ?そんなんで本気度が伝わるか?」


グラムは苦笑しながら見ているが、涼はなんとか持ち上げようと力を振り絞った。


「くっ…ぐぬぬ…!」


ようやく剣を持ち上げた涼は、なんとかそれを構えたが、全く振るうことができなかった。すぐに剣を下ろし、息を切らして地面に座り込んでしまった。


「はぁ、はぁ…無理だ。これ、俺には重すぎる…」


涼はヘトヘトになりながらも、諦めの気持ちを抱えた。しかし、そんな彼を見ていたグラムは、にやりと笑った。


「まあ、そうなると思ってたよ。だが、お前は最後まで諦めなかったな。それで十分だ。」


「え…?」


涼は驚いてグラムを見上げた。グラムは彼の肩を叩きながら続けた。


「俺の武器を持つこと自体が試験じゃねぇ。お前がどれだけ本気で挑むか、それを見たかったんだ。だから合格だよ、涼。」


「合格…?本当に?」


「そうだ。俺の技術をお前に貸してやる。ただし、約束してくれ。俺が作った武器を使う奴らには、必ず一流の腕前で戦ってもらうことを。」


「もちろん!君の技術は俺が責任を持って派遣先で使わせる。優秀な人材を集めて、君の武器を活かせるようにするよ!」


涼は興奮しながら立ち上がり、グラムと力強く握手を交わした。


◇◇◇


こうして、涼は優秀な鍛冶師であるグラムを自分の派遣会社に加えることに成功した。これで、派遣先には最高の武器を提供することができる。涼はこれからますます忙しくなるだろう




が、それが自分の会社の成長につながると確信していた。


「さあ、これで俺たちの会社はますます強力になるぞ!次はどんなスキル持ちを探すか…」


涼は新たな展開に胸を躍らせながら、次なる冒険に思いを馳せていた。


「でもやっぱり、これって内政改革コンサルの仕事だよな…俺、いつからこんなこと始めたんだっけ?」


涼はまた一人で突っ込みを入れながら、次の派遣先を探す旅に出るのであった。

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