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第25話: 「社員同士の絆!新たな仲間との出会い」

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「さあ、今日はいよいよ支部と本社の交流イベントだ!」


涼はリュエール支部の玄関で、集まってくる社員たちを眺めながら意気揚々と声を上げた。派遣会社として順調に成長を続ける中、今回は支部と本社の社員たちが交流し、互いの経験を共有する機会が設けられた。新しい仲間も加わり、社員同士の絆を深める絶好のチャンスだ。


「こういうイベントが大事なんだよな…日々の仕事で疲れているみんなに、少しでも楽しんでもらいたい。」


涼が嬉しそうに語っていると、隣でアリアが軽く笑みを浮かべながら耳打ちしてきた。


「涼も楽しんでるじゃない。今日は仕事を忘れて、みんなでリラックスする日よ。」


「いや、それはそうなんだけど、支部と本社の連携が重要だからな!ここでしっかりと絆を強めるんだ!」


アリアは涼の真面目さに微笑を浮かべ、肩をすくめた。


「まあ、たまにはいいわね。でも、カイルとグラムも張り切ってるみたいだから、ちょっと心配かも…」


「ん?何か問題でもあるのか?」


涼がそう聞くと、アリアは少し困ったように言葉を濁した。


「ええ、二人とも“宴会モード”に入っているのよ…特にカイルは、イベントの前夜から盛り上がりすぎていたわ。」


「えっ、早すぎるだろ…!」


---


◇◇◇


交流イベントが始まり、広場には本社と支部の社員たちが集まり、あちらこちらで賑やかな声が飛び交っていた。テントの下にはバーベキューグリルが並び、みんなでわいわいと食べ物を焼きながら交流を深めている。


「さあ、皆さん!今日は全員で楽しんで、互いの経験を共有していきましょう!」


涼の号令が響き渡ると、社員たちは一斉に盛り上がり始めた。焼き立ての肉を手に、笑顔で乾杯を交わす社員たち。カイルとグラムもその中心で大声を上げていた。


「おいおい、涼!これが会社の交流イベントってやつか?楽しいじゃねえか!」


カイルはすでに肉の串を片手に豪快に笑っている。彼は社交的な性格もあり、どこにいてもすぐに人と打ち解ける天才だった。


「カイル、相変わらず盛り上げるのは得意だな。もうちょっと落ち着けよ…」


涼は少しあきれながらも、カイルの明るい性格に感謝していた。イベントの雰囲気を和ませるには、カイルの存在が欠かせない。


そんな時、突然グラムが静かに近づいてきて、いつもの無骨な声で涼に話しかけた。


「涼、少し気になることがある。」


「ん?どうしたんだ、グラム?」


「新人たちの中に、ちょっと変わった奴がいる。さっきから一言も話さずに黙々と食べ続けてるんだが…」


グラムが指差す方向には、一人の若い男性が黙々とバーベキューを食べ続けていた。背はそれほど高くないが、引き締まった体つきで、鋭い目つきが印象的だ。しかし、誰とも話さず、ただ食べ物に集中している様子が少し異様だった。


「あれが新入社員か…。確かに、ちょっと浮いてる感じがするな。」


涼はその男性の様子に興味を持ち、彼の近くに歩み寄った。


「やあ、君が新しく加わった社員だね?食べ物が美味しそうで何よりだよ。名前はなんて言うんだ?」


その男性は一瞬涼を見上げるが、またすぐに焼きそばを食べ始める。


「俺は…レオン。食べ物があれば、特に不満はない。」


「いや、そんなこと言われても困るんだけど…」


涼は思わず苦笑いしながらレオンを観察した。どうやら非常に無口でマイペースな性格のようだが、その佇まいからは何か隠された実力が感じられた。


「レオンか…。新人だけど、実力はありそうだな。どんなスキルを持ってるんだ?」


レオンは一瞬口元を拭きながら答えた。


「『暗殺術』。依頼主の要望があれば、静かに、速やかに仕事を片付ける。」


「…暗殺術!?おいおい、うちの派遣会社はそんな危ない仕事を扱ってないぞ!」


涼が思わず叫ぶと、近くで聞いていたカイルが大笑いしながらやってきた。


「おいおい、涼。そんな驚くことじゃないぜ!こいつはちょっと変わったスキル持ちかもしれないけど、活かし方次第で大いに役立つかもしれないぞ。」


涼はカイルの言葉に納得しつつ、レオンをじっと見つめた。確かに「暗殺術」は物騒なスキルだが、何かしら派遣業務に活かせる方法があるかもしれない。


「…まあ、確かにスキルが無駄になることはないかもしれないな。今度、依頼に合わせて適切に配置してみるか。」


レオンはそれ以上何も言わず、再び黙々と食事に戻った。その後、グラムが静かに彼の横に座り、肉を一緒に食べ始めた。


「なんだかんだで、みんなうまくやってるみたいだな…」


涼は社員たちがそれぞれの個性を活かしながら楽しんでいる様子を見て、安心した表情を浮かべた。新しい仲間が加わり、個性豊かなメンバーが集まる中で、派遣会社はますます成長していく予感がしていた。


---


◇◇◇


その日の夜、イベントが終わると、涼たちは焚き火を囲んでリラックスしていた。社員同士の絆がさらに深まったことに満足しながら、涼は静かに語りかけた。


「今日は本当にいい日だったな。社員同士の絆が強まると、仕事にもいい影響が出るはずだ。」


アリアは涼の隣に腰を下ろし、優しい微笑を浮かべた。


「ええ、みんな楽しんでたし、新しい仲間もすぐに溶け込んだみたいね。」


涼はその言葉に頷きながら、ふとレオンのことを思い出した。


「そういえば、レオンは少し変わり者だけど、ああいうタイプも必要だな。どこかで大きな役割を果たしてくれそうな気がする。」


カイルが焚き火の向こうから大きな声で笑った。


「そうだな!どんなスキルだろうと、俺たちのチームに加われば、どんな仕事もやってのけるさ!」


グラムも静かに焚き火を見つめながら、短く言葉を放った。


「チームワークが大事だ。」


涼は仲間たちの言葉を聞きながら、派遣会社としての未来に確かな自信を感じていた。社員たちの個性を活かし、チーム全体が成長していく。この流れを維持しながら、さらに大きな目標に向かって進んでいこうと決意を新たにする。


「よし、次はもっと大きな依頼を受けて、さらに成長していくぞ!」


涼の言葉に、仲間たちは声を揃えて応えた。夜空には満天の星が輝き、彼らの新たな挑戦への道を照らしていた。


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