第16話: 「派遣運営ってこんなに大変!?涼の奮闘記!」
「さて、最近うちの派遣会社も順調に回ってきたわけだが…」
涼は自分のデスクに座り、積み上がった書類を見つめながら、少し肩をすくめた。これまで次々とスキル持ちの人材を募集し、いろいろな依頼をこなしてきたが、その分だけ運営にも膨大な時間と手間がかかっていた。
「派遣する人材も増えてきたし、依頼も倍増してるから、俺の仕事も増える一方だな…。やっぱり会社を運営するって楽じゃないな…。」
デスクの上には、今後の依頼案件、報酬の支払い確認、人材の評価レポートといった書類が山積みになっている。涼はため息をつきながら、それを一つ一つ確認し始めた。
◇◇◇
「涼、調子はどう?」
突然アリアが事務所に入ってきて、涼に声をかけた。彼女は明るい笑顔を浮かべていたが、涼はその笑顔を見ている余裕すらなかった。
「調子って…これを見てくれよ!俺、最近ずっとこの山積みの書類と格闘してるんだよ。依頼が増えたのはいいことだけど、派遣会社ってこんなに管理が大変だとは思わなかったよ。」
涼は少し弱気になりながら、デスクに積まれた書類を指差した。アリアは驚いた表情をしながら、それを見て首をかしげた。
「確かに増えてるわね。でも、これも会社が成長している証拠じゃない?それに、涼はいつも冷静でしっかりしてるから、きっとこれも乗り越えられるわよ!」
アリアの励ましに、涼は少し元気を取り戻したが、それでも書類の山は彼を圧倒していた。
「まあ、そう言ってもらえるのはありがたいけどさ…そろそろ何とかしないと、俺の頭が爆発しそうだよ。特に最近、報酬の振り分けとか評価システムの管理が本当に厄介でさ。」
涼は、依頼をこなした人材に適切な報酬を振り分ける作業が、予想以上に手間取っていることをアリアに説明した。彼らの活躍に応じて報酬を公正に配分する必要があり、それが運営の中でも特に難しい部分だった。
「報酬の振り分けって、大変なのね…。でも、それだけみんなが涼の会社を頼りにしているってことじゃない?きっともう少ししたら、やり方が見えてくるわ。」
アリアの言葉に、涼は少し安心しつつも、まだ解決策を見つけられずにいた。
「そうだな…少し整理しないと。最近、依頼の規模や内容も多様化してるから、これまでのやり方だと限界が見えてきたんだよな。そろそろ仕組みを変える時期かもしれないな…。」
◇◇◇
その時、ロイが事務所にやってきて、さらに混乱を持ち込んだ。
「涼さん!ちょっと聞いてくれよ!最近、複合魔法の研究が進んでるんだけど、手が足りなくてさ…もっと研究者タイプの人材を派遣してくれないかな?」
「えぇぇ、また人材募集か…!?」
涼は思わず声を上げた。派遣する人材が増えれば増えるほど、それを管理する仕事も膨れ上がる。ロイの依頼は妥当ではあるが、涼にとってはさらなる負担増を意味していた。
「今はちょっと無理かもな…でも、次の募集会を早めに開いて、人材を確保するしかないか。」
ロイは少し困った顔をしながら、涼の肩に手を置いた。
「頼むよ涼さん…研究が停滞してしまうと、今後の魔法案件がこなせなくなるかもしれないし、ここが正念場だよ。」
「わかったよ、ロイ…。とりあえず、次の募集会を計画するよ。でも、俺の頭がもう限界に近いことを忘れないでくれよ…。」
涼はまたしてもため息をつきながら、デスクに向き直った。次々と増える依頼、増加する人材の管理、報酬配分の問題…これら全てを一人で処理していることに、少し疲れが出ていた。
◇◇◇
その日の午後、今度はカイルとグラムが涼の元にやってきた。
「なあ、涼。最近護衛の依頼が多くてさ、俺一人じゃさすがに全部は無理だ。新しい警備スキルを持った奴が欲しいんだけど、どうにかならないか?」
「俺も同じだ。建築の案件が急増してて、そろそろ新しい仲間を探しておく必要があるな。俺だけじゃ到底追いつけない。」
涼は頭を抱えた。このままでは運営が追いつかない。
「わかった…みんなの言うことはもっともだ。でもさ、俺一人でこれ全部どうやって管理すればいいんだよ…。」
涼は自分の限界を感じ始めていたが、そこでふと一つのアイデアが浮かんだ。
「そうだ!みんな、それぞれ自分のチームを作って、管理を分担してくれないか?俺一人で全部やるんじゃなくて、各分野のリーダーとしてそれぞれに人材を管理してもらうんだ。」
アリア、ロイ、グラム、カイルは目を見合わせて、すぐに賛同した。
「それいいじゃない!チームを作って、報告をまとめてくれれば、涼も少しは楽になるわね。」
ロイも笑いながら頷いた。「僕も賛成だ。僕が魔法部門を管理して、定期的に進捗を報告するよ。」
グラムも拳を握りしめて同意した。「俺は戦闘と建築部門を任せてもらおう。これでお前の仕事も少しは減るはずだ。」
カイルもにやりと笑いながら涼の肩を叩いた。「俺が探索や警備のリーダーをやるぜ。涼、お前はもっと大局を見てくれ。」
涼はみんなの協力に感謝しながら、少しずつ肩の荷が軽くなっていくのを感じた。
「ありがとう、みんな!これなら何とかやっていけそうだ。じゃあ、各チームの進捗管理と報告を任せるぞ!」
◇◇◇
こうして、涼の異世界人材派遣会社はチーム制を導入し、運営の負担を分散することに成功した。各分野のリーダーたちが管理を担当し、効率的な運営体制が整ったことで、涼はようやく自分の時間を取り戻すことができた。
「ふぅ、これで少しは楽になるな…。でも、やっぱり会社の運営って大変だよな。」
涼は一人つぶやきながら、デスクに座って次の依頼に備える。
「でも、これでまた一歩成長したな。次はどんな依頼が来るのか楽しみだ!」
涼は未来への期待を胸に、新たな挑戦に備えるのだった。