第12話: 「新たな才能を発掘せよ!人材募集会で大混乱!?」
「さて、これで派遣会社も順調に回ってるし、次は人材のさらなる拡充が課題だな。」
涼は、派遣依頼の増加と共に、会社が順調に成長していることを感じつつ、次なるステップを考えていた。これまで派遣された人材たちは、各現場で活躍し、依頼主たちの評価も上々だった。しかし、それだけに新しいスキル持ちの人材が必要だということを痛感していた。
「今のままでも悪くないけど、もっとスキルを持った人たちがいれば、より多様な依頼に応えられるはずだよな…。となると、やっぱり募集をかけて人を集めるしかないか。」
涼はしばらく考えた後、意を決して「人材募集会」を開催することに決めた。異世界での求人というのはなかなか見ないものだが、派遣会社を運営する以上、しっかりとした基盤を作るためには、スキル持ちの新たな人材を集めることが不可欠だ。
◇◇◇
「さーて、いよいよ募集会の開催だな!準備もバッチリだし、今日はどんな人材が集まるか楽しみだ。」
涼は自信満々に街の広場に向かった。募集会は王都の中心広場で行われ、多くの人々が集まる予定だ。彼は、アリアやロイ、カイル、そして鍛冶師のグラムなど、既に会社に所属するメンバーにも協力してもらい、会場の設営や宣伝を手伝ってもらっていた。
「まさか、こんなに大掛かりなことになるなんて…でも、これくらいやらないと目立たないからな。」
涼は、準備された大きなテントやテーブル、派遣会社の看板を見上げながら呟いた。今日は、新たなスキル持ちを見つけるために、彼自身も応募者との面接を行う予定だ。
「よし、アリア、ロイ、カイル、グラム!みんなも頼むぞ。今日は人材をしっかり見極めるために力を貸してくれ!」
涼の呼びかけに、アリアが笑顔で答えた。
「任せておいて。私の直感で優秀な人材を見抜いてみせるわ!」
ロイも自信たっぷりに頷く。「僕も魔法スキルを持った人を探すのが楽しみだよ。複合魔法の研究にも協力してくれる仲間が見つかるかもしれないしね。」
グラムは腕を組んで、落ち着いた声で応じた。「俺は武器関連のスキルを持ってる奴がいたら、鍛え上げてやるさ。どんな奴が来るか楽しみだ。」
カイルもにやりと笑った。「俺は探索系のスキルを持った奴が来れば、すぐに実力を試してやるぜ。涼、お前も手を抜くなよ?」
「もちろん!今日はみんなで最高の人材を集めてやろう!」
涼は気合を入れ、募集会のスタートを宣言した。
◇◇◇
募集会が始まると、予想以上に多くの人々が集まった。広場には様々な冒険者や職人、魔法使い志望の若者たちが列を作り、次々と面接を受けにやってきた。
「おお、こんなに集まるとは思わなかったな…これは嬉しい悲鳴だ!」
涼は、一人ひとりの応募者に目を通しながら、彼らのスキルや経験を聞いていく。だが、やはり全員が即戦力というわけではなく、中にはかなり個性的な人物も混ざっている。
「次の方、どうぞー!」
声をかけると、背が高くひょろりとした青年がやってきた。彼は少し自信なさげに、涼に近づいてきた。
「ど、どうも…僕、フィルと言います。えっと…スキルは『水の操作』なんですけど、水を少し操れるだけで…」
「お、水の魔法か!でも、どうやって活かしてるんだ?」
涼は興味深そうに尋ねたが、フィルは少し困った顔をした。
「えっと、主に水を出して花に水やりをしたり、たまにお風呂のお湯を温めたりしてるくらいで…戦闘には向いてないんです。」
「な、なるほどね…」
涼は内心「ちょっと微妙だな」と思ったが、フィルの真剣な表情を見て、何か使い道があるかもしれないと考え始めた。
「まあ、水の操作ができるなら、例えば水源がない場所での補助とか、農業分野でも役立つかもしれないな。すぐに派遣できる場所があるかわからないけど、登録しておくよ!」
フィルはほっとした顔で礼を言い、立ち去った。
**◇◇◇**
次にやってきたのは、ゴツゴツした岩のような肌を持つ大男だった。彼は自信満々に涼の前に立ちはだかり、低い声で名乗った。
「俺の名はゴルド。スキルは『岩石操作』だ。どんな硬い岩でも、俺の手にかかれば粉々にできるぜ!」
「おお、それはすごい!岩を操るってことは、建築系の仕事にも役立ちそうだな。」
涼は感心しつつ、グラムに目を向けた。
「グラム、どう思う?」
グラムはゴルドの腕を見つめ、しばらく考えた後にうなずいた。
「面白い力だな。鍛冶や建築でも役立つだろうし、場合によっては防衛線で活躍できるかもしれない。」
「よし、ゴルド、君も登録だ!すぐに活躍してもらうことになりそうだな。」
ゴルドは満足げに笑い、涼に握手を求めた。
◇◇◇
さらに、次々と個性的な応募者がやってくる。
「私のスキルは『高速裁縫』です!一瞬で衣服を仕立てます!」
「俺は『風を読む』スキルを持っています。風の動きを感じて、敵の動きを先読みできます!」
「私は『影に潜む』スキルを持っています。姿を隠すのが得意です!」
涼は一人ひとりの応募者を丁寧に見極めながら、それぞれのスキルがどこで役立つかを考えていく。派遣会社の成長には、多様なスキルを持つ人材が不可欠だ。
「うーん、今日は思った以上に良い人材が集まったな…これで依頼にももっと幅広く対応できそうだ。」
涼は満足げに微笑みながら、次なる人材を迎え入れる準備を整えた。
◇◇◇
募集会が終わる頃、涼は広場を見渡してほっと一息ついた。多くの優秀な人材が集まり、派遣会社の未来はさらに明るいものになりそうだ。
「さて、これで新しい仲間も増えたし、次の依頼もバッチリこなせそうだな。よし、頑張るぞ!」
涼は心の中でガッツポーズを決め、これからの挑戦に胸を躍らせるのだった。
「でも、やっぱりこれって…内政改革みたいな感じだよな。まぁ、楽しいからいいか!」
涼はまた一人で突っ込みを入れながら、新たな冒険に向けて歩き出すのだった。