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シアの国  作者: 薄荷堂
魔女
83/106

83.分岐点

「‥‥‥君が第一王子を被害者としてやった、というのは?」


「山がある、迂回するような形で右の国の港へ行き、右の国を通って間の国へ、そういった流通経路が太いのは、右の国の港湾というものが、商売をしやすく整備されていて、間の国の東部の港は、流通、という面より、海産物を扱う、という面で強いものとなっている、それ故なのか、とわからなかった」


「力関係だと?」


「ジーオは、間の国の外形から山から川から、領地に、農地なのか何なのかと、白い紙を渡されると、そこにすいすいと書けますよね?」


「書けるね」


「一番は、そのようにして、左の国のことを教えてやろうとしていると、三番に、一番は地図とか眺めているのが好きだからな、と言われました」


ジーオは、あの時のビュードノーアと同じ顔となって俯いてくれている。


「三番はそのように、教育というものを拒否しているも同然で遊んで暮らしてきたので、ゼンマイどばか娘から得た情報にあった、商業的な経路の太さを、そのまま国の力関係だとしているんだろうか、と私には思えていました」


「誰かがそのように教え込んだのだ、とは?」


「それを、私に言いますか?」


「そうか‥‥‥三番は三番で、三番の世界を作り上げているんだから、君にも三番の世界をご披露するばかり?」


「どばかなんです。どばかではあるんですが、頭脳というのは、間違いなく上等なんです。数学の本と一緒に、円形の魔法陣を見せてやると、三番はすぐに数学の本を読んで、きれいに魔法陣を描ける方法を習得しました。勉強?試験があるだろうが!やらん!な、勿体ないどばかなんだろうな、と思っています」


「なんて勿体ない‥‥‥けど、君に隠れて勉強はしてるのかも?」


「お子さまの心を荒ませた‥‥‥」


「あ、そうだね?周囲も、君には隠しているのかもしれないものね?」


(嬉しそうだな‥‥‥)


「支所を置くなんて‥‥‥私がやらせたのよね?」


「え‥‥‥どんちきババアのお手紙世界?」


「三番になりきって答えてください」


「‥‥‥そうだろうな!」


「どんちきババアはこのように、上層に立っちゃってます、体験をするのがだーい好き」


「え?!」


「ど名家ではないレンギョウ家のご当主さまではないレンギョウ商会会長のお姫さまを、どこぞのちょっとした成金の長女だと‥‥‥!腹立つ‥‥‥しかし訂正してやるなんてことを?」


「しなくていいね?」


「そう!急に!急に!レンギョウ商会のお姫さまだなんてとんでもお嬢さまととーんでもなく仲良しー!」


「誰かが教えやがったんだ、と?」


「そう!しかし?」


「利用してやろうと思って寄ってきた、という部分は変わらない?」


「どのくらいのお嬢さまなのかと、本人や本人の周囲に申告させてやるための行いだった、とは思いませんか?」


ジーオは、ゆっくりと一度頷いてから言う。


「そうやって情報を引き出す?」


「そうです。支所を置くなんて‥‥‥と、もしもジョルムが言っていたとすると、ジーオは説明してやりますよね?」


「そうだね。どこが気になるのか、と知ろうとする。さっきのは、君がやらせたんだ、と言ってくれてもいいし、情報をくれてもいい、という行い?」


「三番は気質?人柄?という部分でも、どんちきババアが支所というものをどのようなものだと認識しているのか、だとか、支所を置くという行いをどういったものだと考えているのか、というものを確認する、という行いをしませんので、どんちきババアの程度、というものを露見させることなく、情報を得ることだけをすることができるんです」


「上層に立っていますよ、という話しぶり?態度?でいれば、そのように扱ってもらえる?」


「どんちきババアが石ころを手にしてやってきて、煮込むのよね?と言っていれば、三番は煮込み料理を作ってやり、サラダにするのよね?と言っていれば、サラダを作ってやる、というイメージですね」


「最悪な二人‥‥‥」


「持ってきたのが石ころであれば、石ころが見えないようによそってやり、トマトであれば、見えるようによそってやる。だって三番だから!」


「そういう‥‥‥ね。三番は間違いなく煮込む方法だとかを知っている、ということだよね?」


「そうなんです。おまえ、そんな計算できるんだな?といったことを思わされることばかりなんですが、指摘してしまっては、どばかを着込まれてしまいます‥‥‥」


「‥‥‥君って邪魔なの?」


「むかーし、あれ?と思ったのに、一番もですよ?一番の従者もですし、三番の従者は手にするところは見てなかった気がするけれどもですし、ボノバートだってライリだって絶対気付いてた!のに、三番は私が三番を陥れようと思って、クリームパンとあんぱんの見た目を激似としたものを持ってきやがったんだ!と主張し、三番はあんぱん食べようと思ってクリームパン食べることにしたんだ!と言い張りました」


「どばかを着込むようになったきっかけってこと?」


「ボノバートがわかんないって顔してたので、三番は絶対カスタード!カスタード大好き!カスタード姫!なんだから、カスタードを何よりもまず口にするという行いを徹底する自分でいたくて必死なんだね、と解説してやると、三番は、私を第二王子殿下の犬だと表現するようになりましたね」


眉間をぐっと押さえ、言葉を選ぼうと苦しむジーオを見ていると、笑ってるのにね、と心の中では灰兎が見上げてくる。


「どんちきババアが、右の国からの入国を阻むつもりなのよね?なんてことを言いだせば、王子の客人とするべきどなたかが入国する際には、国境のところで迎えて、王城へとお連れする、というような行いをするのに、王城からわざわざ来ました!とやるよりは、東部支所にいたので来ました!とする方が、客人としては、ありがとー!でいられるだろ?というように、ちょっとずらした情報を与える、といった配慮も完璧ですので、三番がどんちきババアに与えた情報、というのは、私とケイオスさまで連携して絨毯を汚したよ、な出来事が起きれば、左の国の警察の人員を派遣しよう!なものではなく、私に紅茶で染め上げさせよう!なものだったと思うんです。何の説明も無く、私に紅茶を与えてやるように、なものが来ていたこともあって、ドンチッキは、これ?紅茶?なんだよね?となりつつ茶葉をくれていたのではないでしょうか」


「そんなに持ってきてた?」


「茶葉を扱う店に連れていってくれて、ドンチッキはそういった店が初めてだったらしく、あれもこれも聞かないと選ぶなんて行いをできそうにない、という体験をしたのでと、紅茶について書かれている本を色々買ってきてくれました。ドンチッキは、私がどんな本を読んでいるか、というものを、報告書だとして私に隠れて三番に提出していたので、三番は、どんちきババアに情報を得ようとされると、紅茶の本を読んでいるみたいだな、と教えてやり、どんちきババアが、私ならケイオスさまの膝にぶつかっちゃったわー!で紅茶を絨毯にまき散らしていそうね‥‥‥と出してきやがったので、私なら紅茶で染め上げるな!どうせ茶葉を寄越せと言ってくるから送っておく!と言ってしまい、とっくに苛つかせまくっているカフェ経営者であるゼンマイどばか娘に業務用な茶葉をと言ってまたも苛つかせたのを、やきもち!と変換してみようにも無理だ‥‥‥ということで、とんでもなく嫌々ながらに、三番がいつも飲んでいる紅茶をどかっと送ってきやがり、受け取ったドンチッキとしては、え‥‥‥?全部同じ‥‥‥?中身‥‥‥紅茶?」


「え‥‥‥君‥‥‥えー‥‥‥っと‥‥‥」


「三番はどうせ、ゼンマイどばか娘のカフェに行けば、どんな設備なんだ?と従業員な領域に立ち入らせろと言ったり、もっと調度品を置いたらどうなんだと言ったり、こんな茶器を使っているのかと言ったりして、もう来ないで、と言われても通っては、もう来ないで、と言われています」


「‥‥‥膝にぶつかるの?」


「どんちきババアならやる!ということであり、どうせ、どんちきババアの母親の実家にまでこーんなのが聞こえてきちゃったのよねー!をやられることが容易に予想できますので、三番としては、塞いでやったぜ!気分となっていたのに、左の国の警察が登場するものを聞かされてしまい、私はなー!気軽に呼び出すからなー!どうせ、紅茶を使ったシフォンケーキとかパンとか焼かせてるんだろうな!とやり、ゼンマイどばか娘のカフェに行ったことがないはずのどんちきババアに、あれってゼンマイどばか娘も焼かせてるの?と聞かれてしまい、そんな可能性を考慮させられた!ということで、ババロア?な焼き型を送ってきたので、ドンチッキが、使う?と持ってきたんだろうな、と思ってます」


「‥‥‥焼き型?」


「パウンドケーキのような比較的ぎちっとした焼き菓子をそれで作ると、ぐるっとリンゴが入っている焼き菓子となり、どこを切るかでちょっと楽しめます」


「リンゴ?」


「皮をむいてそのまま食べる際によくやる切り方である、くし切りにしたリンゴを丸っと二個分ずぶずぶ埋めてから焼いて、リンゴとリンゴの間に包丁を入れることができると、きれいに切ることができます。ドンチッキはもっと入れたいと、隙間なくずぶずぶして焼いて、夢の焼き菓子を完成させていました」


「三番?」


「ホールケーキな大きさではなく、ドーナツにしては大きいねな大きさの型で、リンゴ一個分なものを焼いては食べていると、焼く度に必ず半分食べきるからと、小さめホールケーキな大きさの型をもらいました。そのようにして謎の焼き菓子を手にする方法があるのだと知ったゼンマイどばか娘も、ホールケーキな大きさの型を作ったんですが、小さい手で丸っとしているままのリンゴの皮をむくのは困難なので、すぐに涙腺芸を披露してしまっては、屈辱にまみれる日々となり、ついにリンゴをくしに切る役目を三番にやらせてやりました」


「‥‥‥それを三番?」


「ゼンマイどばか娘は丁寧に育てられた生粋のお嬢さまなので、がぶっと食べるなんてことができません。くし切りリンゴでは‥‥‥と、いざ食べようとなってから気付きましたので、三番が、半分持ち帰って両親と一緒に食べろ、と言ってくれると、涙腺芸を披露‥‥‥あそこが分岐点だったのだと、三番もさすがに気付いているでしょうね‥‥‥ゼンマイどばか娘は、三番は二度と誰かにリンゴをくしに切ってやるんじゃない、と言い残し、型も残して去っていきました‥‥‥三番としては、ケイオスさまも特定のお相手なんていないよな?公表してないもんな?そんな型を手にしても、どうせ留学生に謎の焼き菓子焼いてもらうしかないよな?というご気分だったんでしょうね。どうせ、被害者だそうなドンチッキを救ったのは私ですよね?」


「そうだね。君の有用性のようなものを示したかった?」


「フユーによってもたらされた間の国の窮地を救った、シア、というのが左の国にいるのでは、次男さまは私を排除しておいて、シアにぜひとも会いたい!となるとしているんですよ」


「‥‥‥誰なのかって、どんちきババア?」


「どうせ、どうやって救ったのかとなると書いてないんですよね?」


「そうだね。どんちきババアがやってるみたいに、三番のような誰かに‥‥‥被害者だと言って?その通りだな、となった?ものだとしているのかな?」


「三猫、だそうなものにシアも含められてしまっています。シアは灰猫で、リボンは赤、花はサザンカ。ゼンマイどばか娘は白猫で、リボンは空色。どんちきババアは黒猫」


「君は全部揃ってる、みたいなもの?」


「すべて左の国の王子さま方に贈ってもらったものなので、左の国の王子さま方がより重宝している猫はシア、というものだそうです」


「何それって君に言ってもなんだろうけど‥‥‥」


「左の国としてあなたに差し出すための着ぐるみです」


「シアというのは君じゃなくて、着ぐるみの呼び名?」


「そういうものだそうです。あなたに差し出すための着ぐるみを作り上げるために、シアという名に功績だそうなものを積んでいく、のが、そういったシアなんでしょうね」


「君がしてきたことは、すべてそこに積まれているとされている?」


「私がしているのは、シアという着ぐるみを着せるための女の子の選定だそうですので、功績だそうなものを積んでいるのはどんちきババア一人なんでしょうね。どんちきババアは、そういった訳のわからない功績を持たせてもらえると、それによりどお嬢さまと同等?同列?な存在となれるとしているのではないでしょうか」


「三番に、そうなんでしょ?と認定させると功績?」


「というものだと思えますね。私は、やべぇケイオスさまな内容のお手紙攻撃は、そういった使用法とするための、どんちきババアの犯行だと考えています」


「‥‥‥どんちきババアも魔女を披露しているとでも?」


「魔女‥‥‥私はアローラ・オオデマリだとされているんでしょうね。三番が私をシアとして呼び出しているので、どんちきババアはどんちきババアとして呼び出されてやるしかない、という仕組み‥‥‥ゼンマイどばか娘は私が生まれると、リンちゃん、と呼ばれるのを、とんでもお子さま扱いされているかのように感じるようになったらしく、リンラン、と呼んでもらいたい気持ちはあるんですが、疎外感だそうなものを感じてしまうらしく、私のせいで‥‥‥と思うに至っていました」


事前にと微笑んでおくと、ジーオは、は?となっている。


「私が、リン、と呼ぶようになると、こう、それまでになかったリンランの周囲の分類先を創設してしまったらしく、私のせいで‥‥‥と思うに至らせ、長い、と言うと、こいつ!と思うに至らせ、リンランと呼んで!となりました」


「これは?ゼンマイどばか娘さんとしては、ゼンマイどばか娘さんという白猫だとして呼び出される、というのがしっくり?すんなり?受け入れることのできるものだった、ということ?」


「そういった、かちりと組み合わせることのできるものを使用することができていますよね?」


「あー‥‥‥そう、だね」


「ファーゼロッテがファーゼな黒猫と、リンちゃんがリンランな白猫と、アローラがシアな灰猫では、黒猫はどんちきババアを隠しておくためのものであり、白猫はゼンマイどばか娘がお仕事中に着るものであり、灰猫は誰かに着せるための着ぐるみだと、どんちきババアの中では設定していそうです」


「僕には、君を引きずり下ろす?君の生皮を剥ぐ?みたいな印象で、その着ぐるみを着てるって、完全にやべぇ奴‥‥‥と思えるけど、どんちきババアとしては、はい、どお嬢さまになれました!となる‥‥‥」


「あなたは私によって呪われました」


「え?‥‥‥仕組み、を、君の言う通りなものだと考えているとそう思うだけで、何も知らずに、功績積みまくってるシアだとして会えば、え?成りすますってだけ、と言いたくなる‥‥‥」


「成りすましている私が誰なのか、あなたは知っているんでしょうか?」


「どんちきババアは僕が君を知っていると知らない?」


「どんちきババアが魔女を披露する、有用性の確認、間の国の次男さまへ‥‥‥訳がわからない‥‥‥ど庶民だろうがどお嬢さまだろうが食い散らかしているので、どんちきババアを一目見ればむしゃぶりつかずにいられない次男さま‥‥‥?」


ジーオは目に冷気をため込みつつも、言葉を発してくれるようだ。


「‥‥‥僕は君をフユーだと認識しているから、どんちきババアがシアだとして寄ってくると、どんちきババアをシアだと認識する、とどんちきババアはしている?」


「次男さまがむしゃぶりつきまくって落ち着いてくれると、私ったらそんなこと言ってたの?と、ありのままだそうなどんちきババアについて語りまくる。あなたがむしゃぶりつきたくなってむしゃぶりつくような誰かがあなたにむしゃぶりつかせまくってくれてから言っていることと、私が言っていること、あなたは誰かの言うことをあなたの事実として採用するでしょうね」


「‥‥‥シアに成りすましているどんちきババアは、どんちきババアという別人についてだとして語っていく?」


「あなたのお相手が語るどんちきババアと、私が語るどんちきババア。私をどんちきババアを陥れようとしている罪人だとできます」


「知られている?事実そのままの?どんちきババアについての情報なんてものは、君によって教え込まれた偽物?紛い物?だとする、ということ?」


「どんちきババアはそういった手法?経路?なものもだーい好き。あなたが散々むしゃぶりついていた目の前にいるどんちきババアが、どんちきババアがどんちきババアだとしているどんちきババアであり、あなたが知っているどんちきババアだけが、どんちきババアのありのままの姿」


「‥‥‥どこで何してようと、知らないってことにしておいてね?」


「洗脳ではなく、お願い?おねだり?次男さまが知らないことにした部分は、ぜーんぶきれいにしておいて?次男さまがどんちきババアを組み上げるための部材を並べて、組み上げるのは次男さま?‥‥‥次男さまの目の前にいるどんちきババア、というものを次男さまのどんちきババアとして蓄積してくれるので、次男さまの目の前にいない時のどんちきババアなんてものは、次男さまのどんちきババアには蓄積されない?」


「どんちきババアが言う通りなどんちきババアを、どんちきババアだと認識する?」


「ゼンマイどばか娘に会いたいあまりに不可思議現象を引き起こしているんだから、会わせてあげればいいじゃないの、とゼンマイどばか娘としてどんちきババアがケイオスさまに溺愛されちゃってきてあげるわよ、とやりまくっても送り込んでもらえないので、どんちきババアを手元に置いている気になっている三番もどんちきババアを手放したくないのよね‥‥‥と、功績だそうなものを積みまくっていた、というのが私の考えです」


「三番の許可を得たものだとして、間の国に乗り込‥‥‥めれば誰でもいい?」


「そのための道を敷いたのがフユーであり、ケイオスさまは早くどんちきババアと交代してくれよとやべぇ毎日を送っていた、のだとされているでしょう。どんちきババアは三番の許可を得て間の国へ乗り込めば、交代だと言って、ミィアンとヨツバを置いていかせて、レンギョウ商会のお嬢としてあなたに辿り着かせてもらえればそれでよし、レンギョウ商会のお嬢ではないとされても、三猫のゼンマイどばか娘なんだとしておいて、それでもだめならと、出すものがたくさんあります。あなたにとってのどんちきババアは、どんちきババアがどのように吹聴するかによる、と置いておくしかないのが現状ですね」


「‥‥‥どうしてシアなんだろうか?」


「一人歩きというものをしている名だからではないでしょうか?」


「錬金術師とか?」


「そういうのもありますね。むかーし、式典にお昼寝中な私を持参してバンラームが出席しやがり、目が覚めた私は、思わずバンラームの目から水分というものを失わせようとしましたので、バンラームが苦しみだし、周囲にその名を知られた、という出来事がありました」


「‥‥‥持参?」


「執務室に鍵をかけたいからだそうです」


「‥‥‥苦しんで、知られた?」


「三番はバンラームが大好きなので、やめろー!って騒いだんです。バンラームの瞼が破り取られる夢を見ると言っては、毎日バンラームの瞼が無事であることを確認しに来てました」


「もしかして、君に離してもらおうと、バンラームさん自身から引きはがす?ような動作を?」


「私は、フユー、恥さらし、残虐性の塊、とも呼ばれるようになりましたね」


「厄災をもたらす鷲の子?」


「今のうちに駆除する、飼いならすという意見もありましたが、野生に返そう、という意見が勝ったようです」


「騒乱を引き起こす子猫?」


「子猫なんてイノセントぶってる、だとして、老婆だの化け猫だのと言われるようにもなりましたね」


「超絶危険生物?」


「コードネームは魔女だそうです」


ジーオは、小さく口を開けてしまいながらも、眉間には皺が寄っていて、じわりと笑いを滲ませていく。


懐かしい日々はもう遠く、それなのに、この人が笑っているのだから、浮遊するのが私でいいのだろう。

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