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シアの国  作者: 薄荷堂
魔女
82/106

82.交渉

「なぜ、ポギャロを動かしたくないんだろうか?」


「軍を呼んでこられたくない、というのがまず。ティファカに出てこられては、ティファカを出せ、とやっていられなくなる、というのもだね。カイドウ?」


「あなたは、私の頼みを聞いてくれるのだろうか?」


「おまえは誰なんだ?」


「好きに呼ぶといい」


「俺のお相手は?」


「ラズベリーウサギちゃん」


ジーオは不満らしく、嫌そうに見下ろしてくる。


「三番は?」


「メロンラッコちゃん」


「ドンチッキは?」


「リンゴバンビちゃん」


「一番は?」


「スイカライオンちゃん」


ジーオは、小さく頷いているので、何かを知ったようだ。


「チアと呼ぶ」


「認識しよう。タイサンボクのおじさんが邪魔だろう?」


「邪魔だ」


「エンラッドから、タイサンボクのご当主さまに結婚式の準備を依頼するのはどう?」


「遊んでやるのか?」


「招待客には、最高位お嬢さま問題を知っていそうなご当主さま方と、右の国のガーロイドさんと、ヒイラギ卿を含む。始まっているんだか始まっていないんだかで、ティファカさまが挨拶して回って、ムオリットも第三王子として立たせておくと、主催者はあなたであり、主賓は誰なのかと明らかだ」


「あれを排除した、というお披露目とできる」


悪くない案だとは思ってくれていそうなのだが、ジーオは、ジョルムに書き留めるようにと指示してくれない。


「イヌマキのおじさんが、ここにいていいのかな状態で、後宮という選択肢について考えていそうです」


「ひっそりなんだよね」


「岬灯台グループ!」


「‥‥‥見たことある気がするよ?」


「お子さまはここで遊んで待っててね?ゾーンに作っておきましたし、当然!商品ポガロに合わせた大きさの岬灯台を販売中!」


「灯台なのに、プラネタリウム?」


「流れ星なるものを目撃したいポガロは、屋根で寝たいとアローラを連れ出そうとしますが、アローラはベッドで寝たいので助手熊の姿となってベッドを占領してしまいました。ベッドに自分が横になる領域を失ったポガロは、こいつは所詮ぬいぐるみ熊さんだぜ!と、どでかいクッションとしてやろうとしましたが、何だ?この触り心地?と、自分とはまったく違う素材でできているのだと小さく衝撃を‥‥‥ぬいぐるみ?ぬいぐるみ‥‥‥自分は‥‥‥?見た目で分類するとぬいぐるみ熊さん‥‥‥いや、組み合わせロボ‥‥‥こいつはぬいぐるみ熊さん‥‥‥見た目も触り心地もぬいぐるみ‥‥‥このようなふにゃふにゃな手で触ったとして、この触り心地を体感できやしないぬいぐるみ熊さん‥‥‥このぬいぐるみ熊さんの触り心地というものを知るには、ふにゃふにゃな手ではいけないんだ‥‥‥こっちはロボ!体感してやるぜ!と、ぬいぐるみ熊さんを堪能するポガロは、ベッドを広くする決意をし、アローラは、イタドリ博士に屋根の強度を上げさせよう、と決意しました。イタドリ博士が、流れ星ね、と発明したのは、子供騙しだそうな角灯。アローラは角灯をすっぽりと覆う、崖の上にある灯台を作り、魔法で室内を海にして、灯台の部分だけが海面の上に出るようにしておきました。アローラが星を見ろと言うので、アローラをお布団にしてみると、これはこれは!なるほど、星とはベッドで見るものだと知ったポガロは、少しだけ、夜更かしをしました」


「ポガロはアローラ以外も堪能するみたいじゃない?」


「アローラが出張熊さんを始めた」


「‥‥‥は?」


「夜は女の子や子猫で歩いていては危ないので、助手熊の姿となって散歩していると、怖い夢を見るから眠りたくないと言っている男の子さんに出会いました。男の子さんのお家はお邸で、高い天井がありそうです。イタドリ博士は男の子のパパさんに岬灯台を提案し、贅沢コースを選んでもらえたので、夜空には月もあり、朝に向かって夜が動いていきます。男の子は、ゆったりとした気分で眠ることができるようになりました」


「アローラ?」


「夜のお散歩中に出会ったのは、月明かりでお手紙を読んでいるお嬢さん。死んだおじいちゃんから手紙がくるの‥‥‥お嬢さんは泣いています。小さい頃は、引っ越し先で元気にしている、という内容だったのが、そろそろお嬢さんもお嫁に行かないとね、という内容となっていて、おじいちゃんは結婚式に出席しないし、お嫁に行ったらもうお手紙を書かないようにする、と言っている。イタドリ博士はお嬢さんのお相手に、むふふコースを提案し、お相手はお嬢さんを誘ってシーグラスを拾いに行きました。シーグラスでランプシェードを作った二人は、結婚式の夜に使ってみようと約束し、お嬢さんはランプシェードの角灯部分に置く蝋燭を作ることに。火を灯してきれいに見える色にしたいの、とお嬢さんは悩みます。アローラは、自分でも作りたくなって、シーグラスを拾いに行きました。角灯の二面のガラスにだけシーグラスを埋め込んで、本を読みながら、壁がシーグラスで照らされているのを眺めることのできるようになったアローラは、夜のお散歩に行くポガロにも、その角灯を貸してあげるようになりました」


「お散歩行っちゃうの?」


「ポガロはアローラの使ってる蝋燭とは別の香りのものを作ったので、それを使いたいんだね。アローラの八朔の皮から作った香りつき蝋燭。ポガロはアローラの手下になることなど選ばないが、八朔の香りはお好きであり、香りを纏ってベッドに入れば、アローラにお布団になってもらえる」


そろそろ気付いたらしく、ジーオは奥行きのある笑みとなっている。


「硝子工房?」


「シーグラスっぽく作成した硝子部材をお好きに並べて、月明かりのランプシェードとするお二人もいますし、アローラの角灯とするお客さまも!イヌマキのおじさんは窯というものがお好きですので、ティーセットとか、マグカップとかも作ってくれています!スプーンとか、角灯の部材を作りたいのでと、そっち方面も始めたようです。鞄工房のご主人が、色を作るという行いをもっと知りたいということでしたので、イヌマキのおじさんを紹介すると、思うような色が作れるようになったと言って、イヌマキのおじさんと作った風鈴とか見せてくれましたし、ランプシェードと角灯を見本として置いてくれて、マグカップのようなグッズも取り扱ってくれるようになりました!」


「ドアベル?」


「離宮は広いので設置したいなと思い、イヌマキのおじさんによい音なものを依頼すると、色々作ってくれました。オーナメントのようなものもあって、展示したい!ということで、手作り体験できる場も作ることにしました。小さなドアがたくさんあって、開けると、ミニチュアポガロ達がいたり、職人が作っているところが見えたりします」


「紙も?」


「仕掛け絵本!もちろん、おじいちゃんのお手紙セットも販売中!ティーセットやドアベルに合わせた箱を作るのも面白そうでしたし、ランプシェードや角灯を持ち帰る際に使う箱、ジーオならどんなのにしますか?」


「出して使ってもらいたいと思うと簡素なデザインの箱にしたいような気もするけど、せっかくだから何か絵を入れたりしたくもなる‥‥‥」


「奥さまやお子さま方も一緒に悩み?」


「そこで岬灯台?」


「そうです。ランプシェードや角灯の出てくるお話に出てきますし、子供っぽい、とかそういう偏りがよくわからないマークでちょうどいい、とイヌマキのおじさんが採用してくれました。テーブルクロスの隅っこにも入れておいて、そこにランプシェードや角灯の見本を置いてくれていますし、マークの入っているエプロンを、手作り体験の従業員の制服に採用してくれました」


「店側が使うマークか」


「体験中の皆さんに使用してもらうマグカップにも入れておくと、店の備品なのだとよくわかりますし、これも料金に入っているな、と思ってもらえますよね?」


「そうだね。サービス、なんて部類だと思われなくて済むから、飲み物?」


「イヌマキのおじさんは、コーヒーミルなるものに魅了されてしまいました‥‥‥ランプシェードなどを作る作業が終われば移動して、ドアベルや硝子細工や真鍮細工などを展示しているエリアを通ってから、コーヒーや紅茶でお茶にしつつ、出来上がりを待ちます。出来上がれば個別に案内されて移動し、箱に収めた状態で置かれていた物の仕上がりを確認し、従業員が箱を閉じます。あとは、一緒に置かれているトートバッグに入れて持ち帰ることになりますが、色々と販売しているエリアもありますので、そこで買ったものを入れてもらえるトートバッグとお揃いなデザインとなっています」


「グループ?」


「そこなんです‥‥‥系列店みたいになってしまうのはな‥‥‥と思えば、マークが入っているものは対人な場所で使用しないことに?とも思いましたが、紙工房も作品なものを展示したいな、と言っていましたし、布などの工房も参加したいな、と言っていましたので、アローラの散歩道、という小さな商店街のようにしました。従業員の制服や、店の備品や、お買い上げなものを入れる袋には、岬灯台のマークが入っています」


「どこも展示だとか体験が主な店?」


「そうです。招待状だとかバースデーカードを注文できたりもしますし、サイズ違いお揃いでエプロンからドレスまで作れます。ちょっとだけ職人さんな領域まで入って選ぶことのできる場所ですね。それぞれの工房まで来てくれると、子供の絵を本に仕上げる、思い出の服をポーチの内布に使う、といった注文にも対応していますよ、という宣伝もしています。読書処で使用していた、喫茶ベニバナイチゴな備品はイヌマキのおじさんが引き取ってくれて、そこでドアベルの個別注文のような、お客さまとの打ち合わせをしているそうです。コーヒーミルの持ち手の部分とか、ドアの取っ手とか、おじさんはとても楽しそうでした」


「馬車?」


「もちろん作りました!動かないようにしてあるので、どうぞ乗って遊んでね、なものです」


「そっか。馬いらないんだからちょうどいいね」


「そうなんです。ちゃーんとお子さんは立って、引くポーズをしてくれます!おじさんはコーヒーミルはお好きですが、コーヒー豆はそこまで、でしたので、コーヒー豆を焙煎しているところが見えている、豆を売る店も参加しています。しかし、飲む、という行いをできるのは、手作り体験の休憩中だけです」


「各所で豆が違うの?」


「もちろんです!見学コースというものもありますので、展示しているエリアを通ってから、休憩なエリアでお茶をして帰る、ということも可能です」


「お菓子も?」


(わかってるね!)


「そちらも各所で違っていて、岬灯台な焼き印入りクッキーだとか、一口大マドレーヌ三種のような、おまけの小皿です、なものとなっています」


「おや?」


「もちろんあります!自分で盛り付けできるケーキの店!お好きなスポンジ!お好きなクリーム!お好きな果物!チョコのプレートだとかクッキーのプレートにお好きに描いて!シュークリームもやっています」


「え?自分で入れるの?」


「入れ放題!爆発させては皆さん笑っていますので、シュークリームについては、持ち帰れるのは店員さんがやってくれる分だけです」


「その場で食べることができるのは、シュークリームだけ?」


「そうです。岬灯台マークの入っているハンカチにのせて入れろよ、とやっています」


「ハンカチなのー?」


「入れたら出てってもらわないとですから。はい、次の方ー」


「え?」


「エンラッドの次女さまも働いていて、クリーム作りながら、ハンカチにシュー生地をのせてあげる係もやっています。疲れるので、一つボウルが仕上がれば交代です。イヌマキのお嬢さまは焼き印をきれいに入れる職人をやっていますし、ノイバラのお嬢さまはコーヒー淹れてますし、タイサンボクのおじさんも娘を参加させたいのかもしれませんね」


「そんなにいるのに?」


「イヌマキのおじさんは、御曹司さまカード持ってない‥‥‥」


「あー!そういう‥‥‥それぞれ相手がいるので待機時間を、というような状況ってこと?」


「私から見てもそう見えますし、おじさんにしてみれば、楽しく働いてないで、見つけてやらないとなんだろうな、とは思うけど、今現在おじさんの娘が自由ってことは、どこも‥‥‥?見つけるってどうやる‥‥‥?と、東部という土地の変動に、あわあわしている状況のようです」


「そうだね。もうカードを持ってる状態で、どやどやっと流れてきてるから‥‥‥後宮ね。イヌマキだからな‥‥‥受け入れる?」


「受け入れたくはあるんでしょうが、東部という土地もカード制のようになっていくのなら、戻った時‥‥‥と思ってしまって、あなたと話したいな、と思っていそうだな、と私は勝手に思っています」


「そうだな‥‥‥結婚式に来てもらえると有り難い」


「爆発させると思いますか?」


ジーオも笑っているというのに、目が真剣なので却下ということだろう。







◇◆◇◆◇◆◇







「ジーオは、おじさんを通して存在は知っているけれどなお嬢さまが、ジーオの知らないところで結婚していると、おじさん‥‥‥?って思いますよね?」


「思う」


「目の前に仕事として積んでもらえるような仕事ではないけれど、ジーオが剪定して接ぎ木してってしてきたおじさんネットワーク‥‥‥と思えば、そのおじさんから先の枝は、ごそっと取り除きたくなりませんか?」


「なる」


「そのおじさんから先の枝が、どれだけぐっちゃぐちゃになっていっても、どうでもいいですよね?」


「どうでもいい」


「だからといって放置なんてしなくて、そのおじさんから先の部分ではない部分をどうにもされないようにと動きますよね?」


「動く」


「そのおじさんがそのおじさんを幹だとしていやがると、そのおじさんだけをぼきってやりたくなりますよね?」


「なる‥‥‥」


「てめぇら、何をそのおじさんから先の枝となっていやがるんだ?という気分になりますよね?」


「なる!」


「しかし、そのおじさん以外を残すかとなると残す選択などしないので、そのおじさんのところでぼきっとやって、枝ごとぽいしますよね?」


(‥‥‥言ってくれない)


交渉なんてものは儚い行いなのだと、お子さまを慰めてやるしかない。


砂浜も、雪も、遠くなる。


闇に溶けているのだからと、お子さまが顔を上げれば、そこには夜というものが見えてくる。


影を布とし、夕日で縫い、綿雪を詰めて作られたのがアローラなのだと知っている。


知っている。


三女が死に、私に付加されていたアローラという呼称はごみとなった。


ごみとできた。


そう思った。


私にとって、助手熊だけがアローラなのだと、言っていない。


私にとって、ロシーノなのだと、言っていない。


そんなものを説明する、そんな行いをする、それは悲しい。


どうしても、どうしても、悲しい。


それを知らない存在に、それを教えてやる必要なんてものが、あると私に思えない。


お子さまなのだと寝転べば、バンラームはいつも笑ってくれていた。


お子さまはもう行くのだと、そう思えば。








◇◆◇◆◇◆◇








「先ほどポギャロが連れていた女の子は、官舎のお隣さんのお孫さんであるマーシャで、南部地方で、母方の祖父母が果樹園をやっている」


マーシャがどこの家に所属しているのかと気付いたらしいジーオは、途端に顔を背けたそうにしている。


「‥‥‥八朔?」


「ポギャッドは私が八朔を分けてやらなかったのでという理由だとして果樹園を訪ね、直売的に売っていないのか、お隣さんで私が八朔を、という話をしたことにより、マーシャの母方の祖父母にやる気を出させ、胸糞く追い払われることになったそうです。お隣さんは、どうにもマーシャの母方の祖父母と合わず、お隣さんの奥さまのご両親が亡くなったこともあって、お隣さんの奥さまのご実家をきちんとしようとサカキの土地に滞在していました」


「引っ越し予定、だったんだよね?」


「そうです。南部へ戻る予定だったのに‥‥‥となってしまい、しかしながら、マーシャの父母としては、マーシャの母方の祖父母と距離を置くことを実行できそうだ、ということで、南部の中でも、東部に面している端っこへと移動することにして、そちらに用意した住居にお隣さんの荷物は移しておき、まずはマーシャの父母と同居してもらうことを始めたそうです」


「出ていけ、と?」


「そうやられている中で、マーシャの父母の引っ越し準備を済ませ、お隣さんとマーシャの父とマーシャを含む子供達だけで、南部の端っこへと移動したそうです。残された形になったマーシャの母は、しばらく腫れ物として扱われ、連れ戻せと言われれば、祖父母のせいでと責めてやり、お隣さんがマーシャにと贈ってくれた伊予柑の木を夜な夜な引っこ抜いては、マーシャ達のところへと送り、すべて送ってしまうと、自宅だった物件を売りに出して、マーシャ達と合流したそうです」


「ポギャロは手伝っていた?」


「マーシャの母方の祖父母は、幼女趣味なケイオスさまにマーシャが狙われているんだとわからないのか!と騒いでいたそうですが、マーシャは、ポギャロに教えられた通り、ポギャロはゼルガルさまの従者になりたいんだよ!と騒いでくれていたそうです」


「どういうの‥‥‥?」


「タイサンボクのおじさんは、やる気いっぱい!」


「だよねー‥‥‥ど名家ではあるよね?」


「本家、という扱いをするかどうか、という部分で、部外者、とできるようにも思います」


「本家、ね‥‥‥」


「おじさんの長女であるマーシャの年齢的に、今現在のあなたからすると、下端かなー、というところですよね?」


「面倒なんだよなー‥‥‥」


「お嬢さまのネットワークは、それはそれであるし、おじさんのネットワークは、それはそれであるけれども、そこを同じ加減で連動させられると‥‥‥というものであり、しかしながら、マーシャには妹がいるので、やるなら、第二王子殿下の分です!なんだ、としているんでしょうね」


「やらなくていいんだよなー‥‥‥」


「早く並んでおけば、その分得るものがあるとしている」


「それ‥‥‥」


「他のおじさん達の娘はみーんな、マーシャの前からどいてくれるー」


「それだよ‥‥‥おじさん達に、どけよ?って思ってるよね?」


「思ってる。早くどっか行って?第二王子殿下の隣に立つおじさんは、自分!」


「鬱陶しいんだよな‥‥‥専属契約?」


「してない」


「三番の世界?」


「ううん。ご当主さまが、してるって聞いてるって教えてくれて、果樹園に行って聞いたら、してるって言ったから、被害を申告しておいた。すると?」


「え?‥‥‥直売やりたくないから、そう言ってるだけ?」


「まず、そう供述した。犯罪だと教えてもらうと、ぼろぼろと喋って、はいもう帰っていいよね?」


「え?何を?」


「ぎゅっとまとめると、どこぞの誰かに、ゼンマイどばか娘の弟が練習としてマツリカ商会をやっている、と聞いた」


「え?それだけ?」


「そう。あとは、どこぞの誰かについて、わーぎゃー供述したが、で?」


「で?だ」


「しかし、前科持ちとなったのは、マツリカ商会のせいだそうだ」


「そこなんだ‥‥‥」


「ご当主さまは、また食べてよ、と言ってくれた」


「縁というものを続かせていこうと思える相手だね」


「そうだね。どんちきババアから、どこぞの誰かだとして手紙が来て、マーシャが文通するでしょうか?」


「タイサンボク、と思えば、あ、れ?母方?」


「そうなんです。戸籍上は、ど名家所属、ではある、だけ。お嬢さまとして育ててきていない。それを、ご当主さまと一緒に暮らしているので、おじさんが跡取りです!おじさんの娘は、どお嬢さまです!とぐいぐい背中を押している、のでしょうか?」


「娘もやる気に思えるね‥‥‥」


「ゼンマイどばか娘を自分の分の女の子だとしないあなたは、正真正銘の最強最後尾を務めることのできるゼンマイどばか娘を並ばせることをせずに、タイサンボクを並ばせてやっている」


心底疎ましいのだと、ジーオは見下ろしてくるのだが、心の中で、灰狸が魔女の後ろから動かずにいるのでは、お子さまは挑むしかない。


しかし、これでは。


(交渉‥‥‥?我慢比べ‥‥‥?ジーオにすれば嫌がらせ?)


「足りないのか?会長が当主になればいいのか?違うよな?並ばせる先にちょうどいいのがいるだろう?」


「‥‥‥ムオリット?に並ばせてし」


「ジョルム!こいつはあわよくばと思っている!自分の女の子としたくなるかもな、って思ってる!」


ジョルムはさっと手帳を顔の横に添えて、ジーオと壁を作る。


「ティファカさまに決まってるよな?」


「そう!ジーオ、ゼンマイどばか娘がいきなりティファカさまをお茶に誘えるのか?ゼンマイどばか娘には弟が二人もいる!ラージウがありなら、ね?」


「こいつ‥‥‥!」


「会長の次男は、正真正銘のど最強最後尾となることしかできないほどのお存在さまだろうが!会長の息子達が、おまえが並ばせてやっているマーシャに並ばれたらどうしてくれるんだ?」


「うーわ‥‥‥」


「俺の列に並べ、とは言えなくても、三番なんかを並ばせてやっているんじゃない、弟達を守るために僕を先頭に立たせてよ!どう?これならきゃわきゃわと言えるだろう?ジョルム、練習に付き合ってやって」


「いいよ!」


心の中では灰狸がほくそ笑み、ジーオも笑顔となっていく。


(目がな‥‥‥)


しかし、お子さまの交渉術を見せつけてやったぜ、と灰狸が魔女の後ろから出てきたので、やり遂げたお子さまとしては、余裕、というものを所持している。


「あなたには、お気に入りのおじさんがいるだろう?」


「‥‥‥おじさん?」


「タイサンボクの息子にしたいおじさん」


ジーオが、はっ!としてくれては、面白い。


(書いてる!)


ジョルムが書き留めてくれては、ほくそ笑んでもいいだろう。







◇◆◇◆◇◆◇







「私の勝手な印象なんですが、左の国からどお嬢さまをぽんともらうより、左の国のお嬢さまを右の国で淑女としてもらって、右の国のお妃さまから輿入れさせてもらう、という道順の方が、なだらか?お妃さまロードっぽい?」


「そういうのはあるよね。右の国にも知っておいてもらってから、お相手として出したい」


「そっちじゃねぇ!の、間の国の王妃さまが息子のお相手を右の国の後宮へ入れる選択肢を持っている、というのは、どんちきババアやマーシャのための道とされてしまいそうです」


「えー?‥‥‥えー?!ぱっと聞くと、王妃が預けたいと言えば実行できそうには思える‥‥‥そういった道だとして、ドンチッキがどんちきババアをどこぞのおじさんに預けてしまえば、おじさんはそう動く、ようなおじさんを見つけようとしていた?」


「そういった、後宮へ入れる、という手順?経路?を知っているんでしょうか?」


「そう聞くと‥‥‥だな」


「後宮に入るとお嬢さまとなれる、というような印象」


「え?‥‥‥違うよね?」


「違うと思っています。ドンチッキは、王妃さまが後宮へ入れる、とドンチッキが話しているのに、王さまのお女性さまとならなかったら結婚できるな!なものを感じていそうでした」


「そうなの?僕は、離れる?気軽に会えないようにはなる?というのが、だとか、王妃が選んであげた子を妃に迎えさせられる、みたいな見た目になるのが嫌なのかと」


「言ってしまうと、お妃さまとなる道、というものではない、ものですよね?」


「まあ、そうだね。後宮に入る、というのを、階層を上がる、というようなものだとしているということ?」


「どんちきババアは、ど名家に養子に迎えられるとどお嬢さま、という考えを持っていました」


「え‥‥‥どうしてそんなことが起きる?」


「左の国でも、ど名家がど庶民を養子に迎える、というのは、起きることのない現象、だと私は思っています」


「どんちきババアからすると、後宮に入る、というのは、右の国のど名家に養子に迎えてもらえる、というようなもの、ということ?」


「どうにでもして表現してしまうと、後宮に入るというのは、きれいな制服を着ていられる場所にいるようになる、というものであって、格式ある学校で学んでいたことのある女の子、だと見てもらえるようになる、というものですよね?」


「そうだね。本人の立っている階層がどうにもならないもの、とここでは表現しておこうかな」


「お妃さまになるために、と表現する行いについて話すのなら、ど名家お嬢さまが通過しなければならない地点ではない、ものですよね?」


「そういうものだね。ど名家お嬢さまだと、少し時間をおこうかな、という見え方になるだろう行いであり、お嬢さまだと、この子は格式ある学校で学んでいたことのある子ですので!と‥‥‥何だろうな‥‥‥ちょっと、おお!と思ってもらえる‥‥‥」


「そのように、本人の立っている階層によって、見え方の大きく異なるものですが、そのように見えているとなると?」


「僕や君のような、ど名家だとか国の関わり合いだとか‥‥‥王妃としては、おまえまだ成人してないだろ?というものだよね?」


「しかし待っていては、アイヤードは、おや?まだお嫁に行かないの?と見られてしまうことになるので、後宮で学んでいる、という時間を持ってもらうかい?という考えだったんですよね?」


「そうだろうと思うね。王妃としては、え?それならもういいの?と思ってしまっただろう、から、その、今すぐ抱きたいから妻としたい、というようなものだったのか?と、僕は思えていた。そうだね‥‥‥あいつはずっと、長男や次男の分の女の子、の中から選ぼうとしてきたんだから、視野がそこにしか向いていない‥‥‥それでも?」


「エンラッドは、アイヤードの分もカード持ってる!」


「そうなのかもなー‥‥‥きょろきょろしてしまえば、見えてくるものがあり‥‥‥どんちきババア?」


「ドンチッキが移動してきたとなれば、おじさん達は、ど糞餓鬼!こっちへおいで、となります。ので、そこには、タイサンボクのおじさんのような、上層に立っていないおじさんは含まれていません」


「煩そうだな‥‥‥」


「ドンチッキはおそらく、お隣さんがタイサンボクのご当主さまだと気付いていません」


「そうなの?!」


「奥さまのご実家で暮らしてきた婿養子さま、だと思っていそう」


「え?実際には?」


「あいつ、超、金持ってる‥‥‥」


「あ、え?」


「個人的に全部買うって話になってから、用地どうしよう状態だった領主さまが、ちょうだい!となって、えー?お隣さんのご自宅な部分とその近くはあげないからね、とやってました」


「用地にしようと思って?」


「そこでそうやる?」


「すっとやれよ!」


「それです‥‥‥個人的に所有してしまってから、領主が所有して国へとなると、土地の売買を小遣い稼ぎに活用したみたいになるだろうが、というのを、ポギャロが教えてやると、本当だ‥‥‥となってました」


「タイサンボクが土地を提供した、みたいになっていることを知らない?」


「本人としては、領主さまが所有して、国へ、という流れを知っていますので、周囲として知るとなるとサカキの地に支所を置くことになった、というだけだと思っていそう」


「目線がな‥‥‥と言いたくなるんだよな。ど糞餓鬼を寄ってこさせようとするおじさん達としては、タイサンボクはもう済んでる、というような気分だよね?」


「そうだったと思っています、が?」


「ドンチッキとしては、タイサンボクはど名家?どういう扱い?と思ってるかも?というので、おじさんが寄ってこようとしてると、寄ってこさせて‥‥‥?」


「ど糞餓鬼ネットワークと呼べるものに含まれていない、ということで、おや?というのは感じていそうなんですが、私が東部支所も置くことになると予想しているからかな?と思っていそうにも?」


「間の国のど名家、というのではなく、君のネットワーク、に含まれていないだけだと」


「しかしながら、ど糞餓鬼ネットワークに含まれていないのでは、次男さまのものにも含まれていなさそうにも?と思えて、寄ってこられて、留学生の接待なんですよね、としたのではないでしょうか」


「君を通せ、とね」


「西部へ戻ると、どこの幼女だ?というのを連れているおじさんが寄ってくるようになった、と言っていたので、タイサンボクのおじさんネットワークですよね?」


「やる気がな‥‥‥そうだね。タイサンボクのおじさんの動きによって、そのようなことが起きた、と思える」


「タイサンボクのおじさんとしては、マーシャ以外の幼女を長男さまの分だとしてやったぜ!」


「思ってそう‥‥‥幼女の先頭はおじさんの娘!」


「ドンチッキが寄ってこさせるとなると、上層なおじさんだけであり、上層なおじさんとしても、追い払ってよ‥‥‥な幼女だった、ようですが?」


「タイサンボクのおじさんとしては、みーんな、はい、退場!な気分となっていそうだな‥‥‥」


「ドンチッキはドンチッキで、雪かきして八朔もらってました」


「え‥‥‥」


ジーオは、がくんと肩を落とす。


「あ、そうか。嫌がらせ的贈り物ということ?」


「うち!八朔作ってるんで!なものだと、お隣さんも思っていましたので、そういう八朔だから食べてもらえると助かるよ、と教えてくれましたし、ドンチッキにも、そういうのだよ?と教えてあげていましたので、ドンチッキが自分から果樹園を訪ねていくなんて思えません。ポギャロとしても護衛の皆さんとしても、ずっと一緒にいたので、どうぞ食べてください!と、旬など通り越した八朔を持参されたと聞いて、えー‥‥‥と思ったそうです」


「そこで、来てくれましたよね?」


「そうなんです。マーシャの弟妹と母親も連れて、西部にある温泉お宿に来たんです‥‥‥」


「はー?泊まっているんだから出せよ?」


「それです‥‥‥すぐに通報してやると、おじさんとマーシャが、迷惑客であるかのように扱わないでくれー、ドンチッキに食べてもらいたいだけなんだー、ドンチッキがせっかく来てくれたのに祖父母がー、ドンチッキ本人ではなくとも従者にー、護衛の皆さんにー、と上演し、警察がおじさんとマーシャだけを連行しようとすると、家族なんだー、引き離さないでくれー、と騒いでいたのが、母親が何も言わないことを責め始め、母親に対する不満や文句をそれはそれは述べていたそうです。縁づく、という行いを放棄している行いだと、私には思えるんですが、そんなところもどんちきババアと同じように思えて、次男さまに直接会えてしまえば、もう選んでもらえたってこと!としているようにも思えるんです」


「何でも言ってくれ、てるのが、タイサンボクのご当主さまの引っ越しについてなのか‥‥‥」


「どうせ、もう、アローラの散歩道は、次男さまとおじさんとマーシャで、イヌマキのおじさんを奮い立たせて作ったかのように言われていますし、一緒に行こうよ、とパミザとデューイを誘っています。おじさんとマーシャには知られてしまわないように、私をマーシャの弟妹と母親に繋いでくれたのが、ノイバラのおじさんの奥さまです。八朔送り付けてやったぜ!と盛り上がられると、おじいちゃんとおばあちゃんにお手紙を書こうか、とやって、妹の手の形をクレヨンでなぞったものや、弟の描いた絵が主役なお手紙を送ったそうなんですが?」


「長女は‥‥‥母方の祖父母の悪口ずらー」


「正解!マーシャのこと書こうか、と言ってしまっては、勝手に読んだの?!とやられ、事実でしょ?!母方の祖父母がこーんな!なのは事実でしょ!?とやるのに、いつもは母方の祖父母と超仲良しで、誰もと仲良くすることができるって美徳!みたいにやっていて‥‥‥と母親は、マーシャの悪口言ってるなー、自分ー‥‥‥と、どんよりしていて、ノイバラの奥さまと会うのも、どうしてタイサンボクのおじさんとマーシャをノイバラのおじさんとお嬢さまに会わせてくれないの!とやられてしまっていて‥‥‥と、どんよりしていて、これからずーっと、次男さまが結婚するまで、この状態が続くのかな、と涙‥‥‥」


「急にやる気を、ということ?」


「母親によると、タイサンボクのご当主さまは、本当にいいの?と言ってくれていたそうで、しかし自分の両親のような人物と仲良くやろうとしてくれるなんて!となっていたので、結婚する時はよく考えもせずにいたそうですが、徐々に、こいつ‥‥‥というのが見えてくると、本当にいいの?って聞いてくれたのに!となるそうで、こーれだけ母親の両親と仲良くしておけば、もういいよね?というのが見えていて、跡継ぎとできる男児や、王子さまの分とできる女児を手に入れたおじさんは、タイサンボクの一員です!とやるために、きちんと結婚して、きちんと家庭というものを築いていて、ということをできた人物になりたかったんだろうな、と思えてならないそうです」


「隙あらば、と言いたくなるやる気、ということか‥‥‥」


「弟妹だけ連れて離縁して行方をくらまそう!と提案すると、やりたい‥‥‥となってはいたんですが、妹がまだ一歳、二歳なので、働くには‥‥‥と、涙。弟はタイサンボクのご当主さまの養子として残してもらって、妹の子守を頼んで母親は外で働く、というのはどうか、と言ってみると、子供達の将来というものをよりよくできる部分というのは実行したいんだが、それによって、ご当主さまや弟をどうされるんだろう、と思えば‥‥‥と、涙。独立したい、けど方法が、というところで立ち止まっているようでしたし、金銭的に裕福ではあるようでしたので、間の国にも学問所を作ってやりました!」


「君はね‥‥‥そういうのが大好きらしいね?」


「楽しい!ドンチッキは、そういった選択肢を用意してしまっては、だめだったら離縁すればいい、という気持ちで結婚するようなのが増えることになる、と言っていたんですが、きっちんとした学びを実行させる場なので、所属させるには金銭的にかなり裕福でないと無理だ、というものとすると?」


「自然と、上層向けな場である、とできるね」


「しかし?」


「真似するのが出てくるから、王城や支所での就職を目指すものだとする?」


「そうです!王城や支所の中でも難関とされる部署での採用を目指す!どこからどう見ても?」


「上層がお客さま?」


「何言ってんだ?接待じゃねぇんだぞ?」


ど糞餓鬼を前にしたジーオは、さっと私から顔を背ける。


「おまえのようなのが、金さえ出せば所属できる、なんて思う集団所属員だ‥‥‥一切関わるなよ?」


「‥‥‥嫌だ」


「だったら、許可をくれよ‥‥‥」


「え?僕なの?」


「おまえが、その部署に就職するには、その学問所の願書を買おうとするところから始めるしかないというのは、と言っているんだろう?おまえがいい顔しない、できない!」


「あー‥‥‥れのことか。家としてのバランスが崩れそう、と思ったんだけど、真似しようがない、とできるし、資金というものが継続して確保できるような家に所属していないと、というもの‥‥‥願書を買おうとする?」


「左の国では、まず、会場となる敷地の外に並ばせておいて、開始時間になると、用件を書いた紙を提出させます」


「あー、そこでもうわかりそう」


「そうなんです。門のところで人員が受け取り、一度建物内へと持っていき、私が見て、面接へ進ませよう、と思えば、人員は整理券を持って門のところへ行き、整理券を渡し、購入希望者となった人を面接の控室へと案内します」


「そうか、そこでやっと、希望者として記録を管理してもらえるようになるのか」


「そうです。どんちきババアは、文書の束にしか見えないものを手に持って並び、後から来た人に順番を譲って最後尾のままでいようとしました」


「何を‥‥‥?」


「気味が悪いです‥‥‥警察の人員が出ていって、立ち去るように、と言って最後尾を守るようになっても、警察の人員の次に並んでいるんです、と来る人、来る人に、あの、並んでいるんです、と声をかけますし、警察の人員に向けて、特別扱いしないでもらえませんか?確かに父は宮廷の医局に勤めていますが、と語っていきます」


「‥‥‥すごい」


「警察の人員は何も言ってくれないのに、ずーっと語り続け、人員が門を閉めようとしていると、落としてしまったんですか?一緒に探します!と言って、隙間から敷地内へと侵入しようとして警察の人員に連行されていきました」


「‥‥‥ずっと、希望者として面接を受けに行かないと、と?」


「いいえ。願書販売の要項を読んでいないらしく、敷地の中へ入れてもらえると願書を、もらえる、ものだとしていました」


「学問所が所属させたいと思ってくれると、所属できるものだとしている?」


「おまえと同じだな?気が合いそうー」


ジーオは、苛っとするのだと顔をしかめて言う。


「学問所?」


「タイサンボクのおじさんの奥さまに提案してみてもらうと、幼児教育とできる内容でしたので、やって?とやると、マーガスがすぐ作った!アローラ学問所!」


「お子さまと一緒に?」


「そういうのです!赤ちゃんも一緒にお歌に合わせて踊ってみよう、というのもあれば、子供は子供で過ごしていてもらって、母親は、スタイを作ったり、ジャムを作ったり、ちょっと育ってるお子さんと一緒に、簡単なお菓子や食事や小物を作ったりもできますし、入所許可を得たちょっと育っているお子さんだけで一日過ごすということもしていますし、赤ちゃんは転がしておいて、母親達はお茶を飲みながら絵本の品評会、というようなこともできます」


「奥さま方で?」


「そうです。マーガスが表に立ちますが、内実は、奥さま方が進めて実現、となりましたので、タイサンボクのおじさんは斜に構えるようになってくれたそうです。マーシャが、自分の所属先も用意してよ、とやってきたそうで、果樹園を継ぐんでしょ?と言ってやると、それなら自分を果樹園まで送り迎えしてよ、と徒歩で行ける距離なのに言ったので、おじさんに送り迎えしてやるように言うと、奥さまは好き放題しているからっておじさんにそんな仕事をさせるのか!と言われ、マーシャの送り迎えはそんな仕事なの?と言ってやると、そーんなことない!おじさんとマーシャはこーんなに仲良しだもんな!とマーシャとべたべたするようになったそうです」


「‥‥‥距離を置けたようで何より、と言っておこうかな」


「お金がある、家事をしてくれる人を雇う、それをおじさんの愛人みたい、なんて言うおじさんは、家事をしてくる人を雇っているという感覚で奥さまを養っている、ということですよね?」


「そう言いたくなるね」


「箪笥を開けられるかもしれない、戸棚の扉を開けられるかもしれない、というようなのを嫌がる、という点について、妥協点を探るような会話をしようとしても、はいはい、家で家事と子育てしてない奥さまのことがとにかく気に入らないんだね、と思わされることしか言われないのでは、会話などしようと思いません。マーシャはおじさんと仲良くさせようとしてきて、おじさんは仲良しなんだとやってくれよとやってきて、子供というのは残酷です。奥さまが家事をしている間、外に遊びに行こう、お菓子を買いに行こう、そうして、奥さまよりおじさんを選ぶ、という行いをされると、奥さまは、分離、というものを体験するほどに、おじさんを疎ましく思っています。弟妹を連れていかれてしまう、それについていかないのでは、弟妹をもういらないと言っているのと同じだと、感じるほどに、奥さまは一人です」


「‥‥‥桃葉桔梗茶房で待機させられているのが?」


「どんちきババアのママさんは、弟妹が学問所の寮で生活するようになると、宮廷内の食堂で働くようになり、室長と一緒に宮廷内の宿舎を使用していました」


「三番に指示されて‥‥‥というのがな。ドンチッキ?」


「タイサンボクの三人がいるようであれば、連れて戻ることにするために、馬医と馬も?と悩んでいそうですね。私は、パミザに馬医を回収させて、馬医の実家で待機させたい。ドンチッキに何か伝えることが?」


「ヒイラギの次男さま?」


「三番のお気に入りではあるんだが、私の指示を聞いて、ポポア選別に馬医を入れておいてくれそうにも思えるし、桃葉桔梗にいる警察の人員も丸っと拘束してくれるような気もします。マーシャはどういう立場としてここにいるのかとなると、勝手に紛れているんだと思うんです」


「え?!」


「タイサンボクのおじさんが訪ねてきたよ、で三番が会ってやるとは思えません。どうせ、三番の客人であるかのように振る舞ってポギャロに寄っていき、三番から聞いていますか?と切り出せば?」


「胸糞悪‥‥‥」


「炊き出し班に紛れようとしていたようですが、ポギャロも食事を始めると、パミザとデューイと一緒にいますと歓談中です」


「ぬるっと一緒に移動する気でいるとしか思えないな‥‥‥」


「タイサンボクですもの!」


「なご気分でいる、とね‥‥‥」


「三番は、どうするんだ?大本命だそうなタイサンボクの令嬢が来ているが、とでも言ってやって、どんちきババアを送り出しているでしょう」


「張り合いに!?来てるのなら、僕はどうでもいいの?」


「ジョルムもらっていくねー」


私が立ち上がろうとすると、ぐいとリュックを引っ張られ、大変不愉快なのだと顔面で語っておく。


「判断が早い‥‥‥」


心の中では、灰兎が代わりに舌打ちしてくれている。


「どんちきババアに、ケイオスさまはこのように動いてくれているのよね?と手紙に書かれてしまうと?」


「三番の世界と同じく、もう、第一王子はそのように動いているものだとされてしまっている?」


「どんちきババアが、そのような手紙を、ケイオスさまにも、おじさん達にも、送るんです」


「あ‥‥‥手軽で悪質で、と並べたくなる手口だ」


「どんちきババアのお手紙世界では、ケイオスさまは、ちょっといいお家のおじさんに、次男さまのお相手であるどんちきババアにおじさんの娘をつけてやってよ、と手紙を送りつけていることになっていて、そこには、次男さまからな一枚?説明文?も添えられていますので、上層に含まれないおじさん達は、おじさんの娘を次男さまのお相手とするべく、どんちきババアを利用して、おじさんの娘を後宮へやるつもりになっていることになっています」


「おじさん達もそのようにとされてしまっているのか‥‥‥どの子にしようかしら?」


「それを経てタイサンボクを選んだ、となれば、次男さまはどんちきババアをタイサンボク以上だとして扱っているのだ、と示すことになりますね」


「手口だな‥‥‥とは思う。だが、上層に含まれないおじさん達の間ではそうなって、と思える」


「返事をくれたようなおじさんとは仲良くやっているでしょうし、おじさんの娘ではちょっと‥‥‥次男さまも、どんちきババアを主だとして扱ってくれないのではと言っているの、として、送ってもいない娘の直筆の手紙を次男さまが目にしてやって、足蹴にしてくれたんだから、次男さまの列に並ぼうなんて思わないでね?」


「すごーい‥‥‥」


「性欲三人分なおまえは、どちらもと仲良くやっていくんだろうな」


私がにこっとすると、ジーオは、うん?と微笑む。


「‥‥‥三人分なの?」


「兄弟全員分のお妃さまは、おまえのお女性さまだから。右の国での手下探しも終えているんだろうな。あの官舎を雪野原ちゃんとして、行儀作法も教えますし、退官したご夫妻のような方を講師として、何か専門家を育てるのはどうです?」


「そこにぶち込んでおけば、おまえの娘はどお嬢さまじゃねぇんだよ、ともでき、あ、僕がぽいしたいお嬢さまを、ぶち込む先とできるな。タイサンボクがぶち込まれたとなれば、それで、散ってくれそうにも‥‥‥」


「何を言っている?当然、願書を買おうとさせてやるところからだ!それでも挑んでくるのなら、雪野原ちゃんとしてやらんでもない!くらいでいてくださいよ‥‥‥接待じゃねぇんだぞ!」


再度ど糞餓鬼を前にしたジーオは、素早く私を視界から外してくれた。


「在籍許可証として、雪野原ちゃんブローチを与えましょう!」


「それはいいね」


「除籍となれば取り上げ、専門家として職を得ると、一つのアクアマリン以外は全部真珠のブローチと交換です」


「それもいいね」


「制服はもちろん青系の色使いのもので、ムオリットの好みのスカート丈です」


「ティファカが東部で、ムオリットが西部で、僕が王城か」


素通りされた無念をジョルムと分かち合っていると、ジーオは、私を視界に入れて言う。


「文通?」


「サカキの領主さまですと、どんちきババアから送り付けられた封筒の中に、ドンチッキ宛のものが入っていても、ポギャロ宛のものが入っていても、ほい、と渡し、二人とも、ほい、と捨てていそうです」


「だろうな‥‥‥しかしどんちきババアのお手紙世界では文通しまくっている、と‥‥‥」


「あなたは読んでいるんですか?」


「オセロ‥‥‥?」


「あなたは、見えない対戦相手、というものを想定してのオセロではなく、盤の近くを通りかかれば、一つ手にして、目についた場所に置いてひっくり返す、というようなオセロを言った?」


「それ‥‥‥ドンチッキが実際にやってるところを目撃して、よくわからない恐怖を感じた」


「こいつどんちきババアと同じ世界の住人だー!」


「君達にはそういう恐怖をね‥‥‥」


「あなたのお妃さまとなる方法として、右の国の後宮へ、となると、当然、あなたの紹介のようなものが必要ですよね?」


「それを要求される?」


「手元に置こうとしないとされそうですね」


「‥‥‥右の国にも?」


「一番いい部屋を空けてもらえるんですよね?次男さまったらどんちきババアのこと溺愛しちゃってるから、会いに来ちゃうと思うんです‥‥‥鍵のない窓、ありますよね?」


「君が言うと面白いな‥‥‥」


「ルガさまは月夜に内開きな窓から入ってきて、お茶をして、いなくなるんです」


「ルガさまを次男そのものだとしている?」


「ゼンマイどばか娘が聞く分には、次男さまをそのようにされているように聞こえていましたし、ルガさまなのに、寝かしつけなんてことをするのでと居座ろうとして、腹立たしいんですね」


「足されるのが、どべぐちゃ?」


「あと、気色の悪い言動。どんちきババアが寝付かないことには、目を閉じることができないだろう?」


「わー‥‥‥ルガさまは?」


「ゼンマイどばか娘がどうしてか寝付けない時にやってきて、お茶をして、ゼンマイどばか娘が眠くなってきたな、となれば、じゃあね、と帰っていきます。話す内容は、今日は人参を端から端まで等間隔に切ることができた!というようなもので、ルガさまはゼンマイどばか娘に対して肯定的なことや応援してくれるようなことしか言いません。それを三番は、ルガさまは靴を脱いだら異臭騒ぎだの、ルガさまは靴下から親指がしっかり出ているだのと言って、ゼンマイどばか娘を追い込みます」


「追い込む?」


「ルガさまはどうせ、足なんて洗ってないんだろうな‥‥‥石鹸なんてものを知らないんだろうな、金塊とか使ってるんだろ?」


「腹立つ‥‥‥」


「金塊から、ぱぁーっと何か出てくるから、きらきらきらってきれいになるんだよ!」


「そのまま進むんだ‥‥‥」


「どんちきババアの次男さまを気色悪いって言うと、どんちきババアの体調を心配しているということは、次の日に大事な予定とかあるんだよ!」


「あ、そっちもなんだ」


「直接次男さまを確認せずに、次男さまとどべぐちゃる仲だということにするでしょうか?」


「僕としては、見かけたこともないと思っている」


「手っ取り早いのは、身近な誰かが、実は間の国の次男さまなのよ!」


「間の国の次男を確認して、その結果によって、あなたのことを間の国の次男だと思っていたの、とやる?」


「どいつを次男さまだとしているのかとなると、バンラームだと思うんですよ。あいつ一応御曹司さまなので、どんちきババアの中では次男さまとして扱っていたのよ、で済みますよね?」


「言いたい放題ね。サザンカ?」


「ある日、私を呼び出した三番は、間の国の空位説を知っているか、と言い出しましたので、あれ誰?と従者にやると、従者は首を傾げてくれました。三番を連れて、これ誰?と聞いて回ると、みーんな首を傾げてくれましたので、三番はしばらく閉じこもって暮らしてくれましたが、大好きビュードノーアお兄ちゃんを盾として連れていた三番は、次男さまの歳を知っているか、と言いましたので、三番の享年はいくつだったか?と一番に聞いてやると、一番は笑顔‥‥‥三番は何も言えなくなりましたので、立ち去りました。バンラームに私を持参させた三番は、ジャドルーオお兄ちゃんの歳は間の国の次男さまと同じだ、と言い出しましたので、斬首するにはまずは髪を切るそうだが、三番ならまず喉を潰すよね?と、ジョージに言ってみると、処刑という行いを厳粛に行うには必要な措置だと判断してくれた」


「ねえ‥‥‥ジョージって、うちの‥‥‥」


「司法部門の頂点おじさん!ジョージ・ハシドイ!さらに、三番という存在が間の国の王家についてとやかく言いやがっている現状をどう思う?とディアナさんの王さまに聞いてみると、由々しき事態だと言ってくれた」


「もっといた?」


「架空の王子を生み出した王子を生かしておいている理由を簡潔に述べろ、と言ってやると、左の国の王さまが、三番の首というものに価値を感じている訳ではないんだが、一番じゃなくて三番にして?ってやるのに使えそうかなって思ってる、と言ってくれた」


「まあ、うん‥‥‥」


「知らないそうだ‥‥‥」


「え‥‥‥何を?」


「隠されているそうだ‥‥‥」


「‥‥‥第二王子殿下の名?」


「正解!秘匿された存在ながらも、じいさまの大事なお孫さまなので、私が代行者として宮廷内できゃんきゃんやって、残飯もらって生きているそうだ。お兄ちゃんに会いたい!その思いを結実させるべく、ジャドルーオという仮り名を与えておいて、探しているんですって」


「えー、っと、それでは間の国の次男をやっているのが、左の国の第二王子殿下、みたいなことを三番は今日も言ってたんだよね?」


「言ってた。その日も言ってた。だから、三番は、第二王子殿下のことを、ゼルガル・サザンカ、という愛称めいたもので呼んでおこうかなって思ったんだが、探す手段として他にあるだろうか、と言いやがった‥‥‥左の国の王さまが、探すな、と命じた。解散‥‥‥」


「そこなんだ‥‥‥」


「間の国のおじさん達が帰国したとなると、間の国の次男さま、が!くれたそうだ」


「‥‥‥は?」


「三番が間の国に行くと、間の国の次男さまが、三番を左の国の第二王子殿下だと思っていて、ゼルガル・サザンカという愛称めいたものを自由使用してよ!と言ってくれてしまい、受け取るしかないだろう?返す、というものでもないし‥‥‥な?ゼンマイどばか娘がおまえを選んでくれないとわかりきっているんだとおまえも思っているんだから、一人で生きていけ、と言ってやると、しーん‥‥‥立ち去った」


「まさか、それにより、どんちきババアの行いを?」


「大変友好的な目で見ていますよ、と示すようになりましたね。次男さまには次男さまの結婚する時期の予定とかあるだろうが、どんちきババアは気が急いてな!」


「はー‥‥‥?考察の場で、ルージャンさんは、調節してあるみたいに言っていたよね?」


「三番はおホワイトさまやってますから‥‥‥」


「え?間の国の第一王子が三番に持ち込んで、三番が医局に持ち込んで、おホワイトさまが調べた結果だとして?」


「本体が王子であるどばかに、先輩から報告してください!と言われてしまえば、あのように先輩風というものを吹かせて報告するしかありません」


「‥‥‥君の夜遊びは?」


「酒が飲めないなんてことにしているのを連れていきませんよ」


「あー‥‥‥え?それで離宮に?」


「いえ、どばかにメグノアードくんとして一緒に来てました」


「ばか!どばか!」


「メグノアードくんは、ケイオスさまはお宿で寝てるって言ってましたね」


「‥‥‥え?第三王子ではない?」


「ってことなんでしょうね。メグって呼んでよ、と言っていました」


「おじさん達には?」


「おじさん達には、メグノアードくん」


「‥‥‥警察?」


「ババアが、店の従業員の慰安旅行で海にも立ち寄ったんだ、って教えてくれてしまうと、ドンチッキは、謎の青年集団だ、と言い出し、私が、ドンチッキを調べている警察職員なのではないか、と言いました」


「あいつ‥‥‥のんきに第一王子お殿下さまやってた?」


「ように見えましたね」


「‥‥‥あいつが離宮に来て?」


「お、第二王子お殿下さまか、と判断しましたが、本人としてはメグノアードさまとして来ていたのかもしれないですね」


「どうしてあんなに敵対してた?」


「本物が本物だとして出てくりゃ、本物につきますよ」


「あ、え?被害者ぶってたってこと?」


「幼気なお子さま、と言ってもらいたいな」


にこやかを意識してみたのだが、ジーオの目は冷たい。

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