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シアの国  作者: 薄荷堂
魔女
80/106

80.お子さま

「私とミィアンとヨツバに身分証だとして渡されたブローチは、受け取りはしたが、身分を証明して歩く気はない、として身に着けることはなかった。集めた古本を運び込んだ離宮に宿泊するようにと煩かったが、ポギャロと私達はレンギョウ商会のお宿に宿泊するために、ジーオを離宮前に残して移動していた」


「‥‥‥古本集める以外にした?」


「ジーオによると、一緒に買い物して歩いたそうだが、私はその土地のど名家おじさん達と遊び歩いていた」


きりっとした笑顔で挑むと、ポギャッドはとりあえず聞いてくれるようだ。


「‥‥‥酒?」


「まずは奥さまとか子供や孫。流行だとか、あって当然なものとか、種類が多いのが当たり前なものとか、常識だとか、通例だとか、皆さんにとっての、そういうもの、というものを教えてもらった。それから、おじさん達の家業だとか事業だとかについて教えてもらい、そうしてようやく、おじさんの気に入りの酒だとかつまみだとか、この酒はこうやって飲むのが美味しいだとか、酒を飲みに行く場所というものや、誰かと酒を飲むとはだとか、教えてもらった」


「ポギャロとヨツバさんも?」


「おじさん達は用心深い‥‥‥ミィアンを間の国で通用するお嬢さまにしたい!と言えば、おじさん達は快く家族という存在に会わせてくれたし、社会勉強、という便利な言葉を用いることで、私のようなどこぞのお子さまに、家業や事業について教えてくれたし、この二人はまだ初心者なんだ、と言えば、おじさん達はこぞって酒について教えてやってくれた」


「ノンアルコール?」


「ノンだと言い切っているくせに!お子さまはだめだと言いやがる‥‥‥エタノールはどうなんだ?!と言ってやると、手の甲にぽとんと落としてやろうか、と笑っていたのに、落としてくれなかった‥‥‥ジュース!ジュースと一緒だと言いやがるのにくれない!しかし、カクテルだそうなものは作らせてくれた!私は作ったね‥‥‥あんなもん乳酸菌入れてやれば、ミルキーな色合いになる!もちろん売った!おじさん達は、若い女の子に人気だと教えてくれた」


「‥‥‥甘い?」


「‥‥‥私が作ったのなんて、ホーミッヒのような完成された可愛さではない‥‥‥ミルキーな色合いの飲み物が甘くないなんて、そんな‥‥‥甘いものがお好きな男性だって飲みたがるかもしれないから、薄っすらとでもお汁粉を想起させるかもしれない色合いにするのもいいかもね、って言ってみたら、お汁粉というものを知らないおじさん達は、エンラッドの桃葉桔梗茶房に行こうツアーに参加してくれたね‥‥‥遊び狂ってたんでしょ?」


「‥‥‥船?」


「商品を甘いものにしてやれば参加してくれる!一口あーんだの半分こだのしてもらってね?」


「‥‥‥誰に?」


「そこは、まあ、大人の世界なので、あっさい性知識しか持ってないお子さまは、可能性、というものを知ってはいるので、お気に召した女の子さんがしてくれちゃうかもな、と予想して参加することにしたに決まってると判断するしかないよね?」


「‥‥‥接待だと思わない?」


「そーんなもん、ナナセのような純朴なお嬢さまは、勝利して手にしたものを食べようとしてて、視線を感じてしまえば、食べる?と可愛く聞いてやり、可愛さに悶えるきらきらおじさんに微笑んでやってから、美味しくいただくに決まっている!」


「‥‥‥まさかキリで一回降りると思う?」


「そんなもん決定済み!ハヤテも酒に興味があるんだが、ハヤテにとっては気心の知れた皆さんだけで楽しむものなので、おじさん達はおじさん達で楽しく過ごしていたんだね」


「こいつきったねぇ!きったねぇお子さま!」


「おうおう、おまえさんは、無垢なお子さまに聞かせることができるほどに、おっきれーに、ふぁーだの、ふぃーだの、していたのか?」


(どうなんだ?)


ポギャッドは、何か言おうとしては、断念することを繰り返していたのだが。


「‥‥‥きったねぇんだよ」


不貞腐れたように俯いてくれては、何があったのかと勘繰ってしまいそうになる。


「ありのままに言うと、左の国って、長男と三男が、なので、間の国の次男人気が凄いんです。おじさん達としては、間の国の次男に会わせる、という出来事を引き起こしておかないことには、ただでさえ気に入らない存在である、娘の夫候補なんてもんを直視することができないんですね。私は左の国の利というものを優先し、あなたとあなたのお相手との仲を軽んじています。また、私の持っている情報というのは古くなっているものでもあり、空虚なものでもあり、妄想に過ぎないものでもあります。続けますか?」


「‥‥‥お願いしよう」


「ジーオは離宮に宿泊していたそうだが、実際には宿泊していなかったようだ。私達と一緒に古本の受け入れをやっていたポギャロは、もっと呼んでこい、と追い払っていて、追い払われてくれなくなると、ジーオが仕込んだ皆さんは全員来てくれたようだ、と判断して離宮へ運ぶことを始めていた。来てくれる皆さんの中には、あ!ど糞餓鬼!となってくれる方もいたし、事前にエンラッドがそれとなく店で遭遇させてくれた方もいたし、一緒に集めさせてね?なお姉さんが来る‥‥‥」


「集める?」


「ジーオによると、ジーオの力になりたいんだが、差し出せるような本が無いので、人手、という形で、ジーオが私を懐柔するために協力してくれているそうだ。ポギャロと私達は、ポギャロが配ってくれた皆さんからだけ、ポギャロが配ってくれた本だけを受け入れる作業を、お店でお茶をしながら行っていた」


「ジーオは?」


「サカキの広場で集めると急に言い出し、私を晒して楽しむつもりだとしか思えなかったので、手本を見せろ、と言ってやると、日を改めることにして、きちんと告知してから留学生による古本集めだそうなことを始めた。ポギャロと領主さまと私達は、お店でお茶しながら眺めていた。集め終わったそうなとなると、こーんなに集まっちゃってどうしようかー?としつこい‥‥‥離宮に運び込んでおくことにしたそうだが、ポギャロが阻んでくれると、私達の滞在先に運び入れることにしようとしたので阻み?」


「サカキの広場で集めたのを持って古本集めに出て、サカキの広場で集めたのも、その地の広場で集めたかのように?」


「きちんと領主さまに許可を取ったのに、サカキの広場で集めた本も積んでいる馬車を広場に停めておいて、仕込んだ皆さんが持ってきてくれた分だけを馬車にさらに積み込み、毎回、馬車に積んであるのはその地で集まった分だとして離宮に運び入れることにしようとしたが、ポギャロが阻み、離宮に立ち入らせることもしていなかった。お姉さんには、迷惑なので立ち去ってくれるように言い、隣の席に座られてしまえば私達は移動し、というような対応をしていた」


「君も賛成してくれたのに?」


「言っていたね‥‥‥だが、間の国として却下された。それでも実行するのであれば勝手にやってもいいことにはしてもらえたので、ジーオが勝手に、御者をしてでも、私達に付きまとっていた。第一王子殿下の名を使用して、広場を使用する許可を得たのに、別名を自称して広場で古本集めだそうな行いをしては?」


「犯罪行為だね‥‥‥」


「しかし、すぐに逮捕してしまっては、あいつのせいで‥‥‥と、ジーオはどうせ思う」


「確実だね‥‥‥」


「ジーオによると、お姉さんはその土地のお嬢さまだそうで、護衛の皆さんによると、護衛の皆さんのお相手候補だとして泊めてやっていたお姉さんで、変な気を起こそうものならつまみ出せ、と言われていたのが、朝になれば、それなりなお相手のようだな、として別行動を開始‥‥‥」


「積んでいくね‥‥‥」


「ポギャロはどうせ、俺が遊び歩いているものとして言うに決まっている‥‥‥仕事の話をしていて、終わればどうぞとやられてしまえば、こうしてあしらうしかないだろう?」


「離宮‥‥‥?」


「ジーオだけ入り込んで宿泊していたそうだ‥‥‥」


「犯罪者‥‥‥」


「なんとポギャロを返してもらいたいからだったそうだ‥‥‥」


「はあー?!」


ポギャッドがいい反応を返してくれては面白い。


「出発した頃は、御者台にいるのに王子さま然とした恰好をしていてはな、と笑っていたのが、ポギャロを私が自分のものみたいに使役しているせいで、御者なんてもんに身をやつしていて、宿泊先を決めることもままならず、寄ってきてくれたおじさんと仲良くしていると、こいつらに再就職先を見つけてやらないとな‥‥‥という気分となり、成立するのであればと考えていたんだが、こいつらは今の仕事を放棄したりしない!」


何も言ってやる気など起きないのだと、こんなにも胡乱な目をしてみせてくれては面白い。


「一人で語り続けて、一人で結論を得ていなくなってくれる、と戻った部下が報告すると、そんなことあるの?!となって、王太子もどきに辟易としているどころではない皆さんが、自分も送り込んでくれ!と盛り上がったので、じゃあ、ということで、間の国との合同演習だとして、左の国の警察所属職員がやってきて、交代でジーオの護衛に紛れることをして、本当だー!と喜んでいた‥‥‥」


「‥‥‥いつから?」


「ちょうど古本集めに出かけるのに間に合ったので、全部知ってる。ジーオの言うことがどんどん変わっていくのも面白がってしまって、間の国の警察の皆さんに隠れて、変化を図にして、ここで方針を変えたな、とか読み解いたものも報告書につけたら、ビュードノーアさまが、ずっと黙ってそれを見てて、その姿を見てるのがまた面白いと警察所属職員は盛り上がっていた‥‥‥」


ポギャッドは首を傾げたそうにしているようにも見えるが、何をどう言ったものかとなっているようにも見える。


「ジーオが、古本集めるから持ってきてね、お手紙攻撃のための連絡お手紙が届いたら、置いておいて、古本と一緒にジーオに渡してよ、と依頼していたのではないだろうか」


「それか‥‥‥!御者台に乗ってるような、と言ってはあれなんだが、そういった格好をしているんだからと、ちょっといいお家程度、と言ってはまたあれなんだが、そのようなお家のお嬢さんと遊んでいたんだろう、とは思っても、もっと何かありそうに思えていたんだ。別名ってその宛先となっていたものかな?」


「私もそう考えています。私の目を盗んで合言葉的に使用できる、とでも言っておいたので、広場でもその別名を使用するようにして、自分がジーオなんだ、と伝えて楽しんでいたんでしょうし、私が従者を連れまわして夜遊びしていないか心配でな‥‥‥とも言うようにしていたので、お姉さんがきちんと場所を指定して遊んでくれていたんでしょう」


「そういうのか‥‥‥君のスカート、不思議だね?」


「ズボンをスカート的に広いものとして、両脚の隙間となる部分を隠すために、一周はしないようにズボンの裾と同じ長さで巻いておくと、見た目はよくわからんデザインのスカートとなるが、可動域が広く保てるし、馬にも乗りやすい」


「‥‥‥自衛?」


「私にも、私の着用していたスカートのこの部分をめくろうとしているのだとしか思えなかった。それを、ポギャロが、私を後ろに下がらせる方法で防いでくれた。その際に私が持っていたお茶の用意が床に落ちて割れた。するとジーオは、何をしているのかと、ポギャロを責め始め、ポギャロが、再三申し入れている通り、私との物理的な距離を十分に保つようにしてもらいたい、何をしようとしていたのか、と仕事中な態度?」


「それを、揉め事だとするつもりなのか、と?」


「そのようなことを言ってはいたが、ジーオはずっと、お茶の用意が床に落ちて割れたことについて話していて、ポギャロが言っていることを、無視、し続けていた。ジーオは、急に、下がっていろと命じ、それに従わないポギャロを解任するとまで言ってから、解任したくないと言い出し、事を収めるにはどうするべきなのかと強要し続けていた。私が報告書として文書を作成し、間の国の王さまに届けてくれるようにと、ポギャロにお願いすると、ジーオは、行かせるな!と声を荒げ、私のせいで両国に亀裂が入る、だの、どうやって修復するつもりでいるんだ、だのと私を責めてから、糸くずがついていたので取ってやろうとしただけだ、と主張し始めたので、それも報告書として追加しておいた。ジーオは一人だけで勝手に、ジーオは糸くずを取ろうとしてくれただけだったんだと、私が納得したので事が収まったことにして、立ち去ってくれた」


「‥‥‥王に呼び出されたジーオは、左の国の第二王子殿下が乗り込んできて、話をしたら帰ってくれた、と報告した」


「ポギャロが、私達の滞在先に侵入するな、と教えてやると、扉を開けてもらえたということは、と語っていく‥‥‥ポギャロが、私達の滞在先に招き入れてもらえるまで、玄関前に立ち続けるな、招き入れるようにと強要し続けるな、と教えてやると、すんなり入れないようにとポギャロが言ったのか?そのせいで、と語っていく‥‥‥ポギャロが、招き入れてもらえれば、もう自由に過ごしていいものだとして過ごすな、と教えてやると、何度も来ているんだから知っているのに、一々案内してもらうのか?と語っていく‥‥‥私達の滞在先は門を施錠するようになった。しかしあれは乗り越えて入ってきて、玄関前で騒ぎ、窓でも扉でも、こんこんがたがたさせながら、いますよねー?来てますよー?応対してもらえませんかー?そうして警察が駆けつけてくる頃になると、門の前に移動しておいて、そんなことしませんよ‥‥‥え?どこの誰ですか?見えてる範囲にいたってことですよね?まさか監視してるなんてこと‥‥‥と周囲を見回し、集まってきてくれていたご近所さん達に、怪しいやつを見かけませんでしたか?大事な預かりものなんですよ、この通り護衛がついていますので、俺も同居して安心させてやりたいんですが、私がどうにも、と語っていく‥‥‥警察が立ち去ってくれないのは私のせいだそうで、出てきて何とか言ってくれないかー、いつも俺が来る時間帯は開けておくようにしてくれてるよなー、何か怒ってるのかー、きちんと話をするから、今はこの事態をどうにかしようとしてくれないかー‥‥‥警察が連行してくれると、やっと静かになり、戻ってきてしまうと、門の前に移動することと、敷地内でこんこんがたがたさせることを繰り返しながら、私のせいでご近所さんに白い目で、だの、仲直りしたいと思っているのに私のせいで、だの、もう夜遅いんだから訪ねてくるようなのは自分だけだとわかっているだろう、だのと語っていく‥‥‥なんてことしてないよな?!」


ポギャッドは目を瞑ってしまい、渋すぎる顔となっているジョルムは、続けて大丈夫だ、と小さく頷く。


「私が左の国にどんな報告をしているのかがよーくわかったそうで、そんなにあれが受け入れ担当であることが不満なら、交代するようにと言ってみてはどうなんだ、で止まり、あれが担当してていいよな?で止まり、今日はもう帰る、でいなくなってくれました。そうして次に来れば、存分におじいちゃんを意識して過ごすようになり、あれが住み着いているそうな温泉お宿にしつこく誘ってくるようになりました」


「‥‥‥おじいちゃん?」


「眼鏡をかけて門の前に座り込んで過ごし、ご近所さんに会えば、あー、どうもー、留守みたいなんで待ってみてるんですよー、気になっちゃいますよねー‥‥‥警察が来れば、何かあったんですか?え?自分ですか?行き倒れ、じゃないな‥‥‥困っていたんじゃないんですよね‥‥‥え?どうしてですか?え?だって留守なんですよ?日持ちしない‥‥‥と、手にしていた籠の中を見せてやり、人気商品で売り切れちゃうから、並んでやっと買えたんですよ、と私と仲良しこよしにお約束したのでやってきたのだと語っていく‥‥‥私は約束なんてしていなくて、訪ねて来られては迷惑だとずーっと言い続けているんだ、と教えてもらうと、また一人で勘違いしちゃったのかな‥‥‥どうもな‥‥‥あっちによるとあしらってるらしいんですが、と確かに約束したのになかったことにされてしまったんだと語り終えると立ち去ろうとして、警察に呼び止められると、まさかこんなことで、と驚いてみせてから、どのような対応をされるのが妥当なのかと語っていく‥‥‥」


「ティファカ?」


「ティファカさまに会いたいだのと言って訪ねてくるようになり、どうしてティファカさまは滞在できるのかだのと言っては上がり込むようになり、二階でもどこでも勝手に入り込んでは、ティファカさまの自室を訪ねるのがいけないことなのか、だの、どうしてティファカさまと同じように過ごしてはいけないんだ、だのと語っていると、ラージウが来てくれて、追い出してくれました。あの二人って、ずっとジーオと会ってなかったんでしょうか?」


「‥‥‥そう、だろうな、と思うけど、まさか?」


ポギャッドは、ゆっくりと顔の向きを変えていき、ジョルムの方を見たのだが。


ジョルムは、ゆっくりと時間をかけて首を傾げていき、それに合わせてポギャッドも首を傾げていく。


「何かごちゃつくな、と感じていて、どうしちゃったの‥‥‥というのが混ざっているようには思っていたんですが、妹の前では頑張っちゃってたのかな、とか考えだすとわからず‥‥‥」


「聞こえてくる醜聞というものについては、三男ケイオスだと分類していても、目の前にいるのは長男ケイオスだと思っていたのかも、だな‥‥‥その、主観で構わないんだ。君はお茶の用意をしようとしていた?」


「私は、片手ではティーポットの取っ手部分を持ち、鍋つかみをはめたもう一方の手でティーポットを支えるようにして持って移動していました。そうしてあれの座っていた椅子の横を通り過ぎようとしていると、急にあれが、座っていた状態から腰を少し浮かせた状態となり、そこからさらにしゃがもうとしながらこちらへと向かってきます。あれは、スカートのこの部分を掴もうとしてきて、そのまま頭から突っ込もうとしているんだとしか、私には思えませんでした。ポギャロが私の腕を引いて、体の向きを変えさせつつ移動させてくれたので、部屋の中で誰も近くにいない部分であったソファに向けて、私が手を離し、ティーポットはソファの上にきちんと乗りました。あれは、私を押しのけようとする動作をしてから、ティーポットへと駆け寄り、ティーポットの取っ手を手にし、テーブルの上にあったものをティーポットで薙ぎ払う動作をし終えて、一度ぶらんと腕を伸ばした状態となってから、隣の部屋であるキッチンの床へとティーポットを放り投げました。その一連の動作によって、ティーポットから紅茶がまき散らされ、テーブルにあったものもティーポットも床に落ちて割れたり潰れたりしていましたし、まき散らされた紅茶がミィアンのスカートにもかかってしまっていました。何をしたんだ?!と私に言ってから、ミィアンのスカートの裾をまくり上げようとして、手の塞がっていたヨツバに手を踏ん付けられたあれは、ちょっと?ヨツバさん?俺いるんですが?とにこやかに言い、ヨツバに、すぐに立ち去ってくれ、と言われても、どうしてですか?ちゃんと話し合いましょ?とにこやかを続行していた。護衛さんが動けずにいたミィアンに移動を促し、ミィアンが移動を始めると、別の護衛さんがあれを後ろ手にさせようと構えてくれたので、ヨツバは足をどかし、あれは後ろ手となるように両腕を掴まれたまま立ち上がると、暴れているあれとの間に入ろうと私の背後に、私と同じ方向を前として立っていたポギャロに向かって、何をしているのかと始めました」


ポギャッドは頭を抱え、ジョルムは書き留めるのに忙しい。


「‥‥‥あれは、ミィアンさんが火傷したものだとでも?」


「私の不注意で怪我をさせてしまったかもしれないんですが、そうであったとしても、火傷しました、なんて教えてくれないものでしょうか‥‥‥という手紙が来たと、送り込まれてきてくれたバンラームさんの部下が教えてくれました。どうせ、ファーゼと合流したかったんですよ」


「‥‥‥派遣医局員?」


「あれは、大袈裟に騒ぎたくはないのでと、王太子もどきが信用していて、王太子もどきの周囲だとできる、医薬に詳しい人物をご所望。バンラームさんの部下は左の国の警察所属職員と合流し、その場にいた全員から聞き取りをして、左の国にこのように報告しますね、と間の国の王さまに報告してから、左の国に持参して報告しました」


ポギャッドは小さく溜め息をつく。


「あれはあれの行いについては供述しませんでした」


「‥‥‥君の‥‥‥?あれの護衛視点?」


「主を守るというのは、と語りだしました。主の体裁だとか聞こえてくる内容だとかを、あるべき主の姿としようとするのも側近の務めだそうで、しかしあれはありのままを報告したいそうで、部屋の見取り図だそうなものを描く道具を要求し、与えてもらえないと、あれに続いて部屋の中を移動するように要求し、動こうとしない左の国の人員の方を見て溜め息をつき、これは何なんだ?と発言しました。左の国の人員が、あれが何をしたのか供述するように言うと、わざわざ出向いてきておいて、と言いたくなっているんだとわかってもらえないだろうか、と発言しました。左の国の人員が、あれが何をしたのか供述するように言うと、申し訳ないが持て成すことをしない、と発言して立ち去ろうとしましたが、あれしか移動を始めず、怯えている‥‥‥申し訳ないが、そちらが立ち去る選択をしてもらいたい、と発言しました。左の国の人員が、あれが何をしたのか供述するように言うと、フユー、お茶を頼めるか、と発言し、誰も動かず、誰も何も言わないでいると、部屋の中を見回し、場所を変えるのでどうだ?と発言して、溜め息をつきました。左の国の人員が、あれが何をしたのか供述するように言うと、フユー、部屋で話さないか、と発言し、誰も動かず、誰も何も言わないでいると、こちらへ、と発言してから移動を始め、部屋を出て廊下に立つと、扉の木枠に腕をつく体勢となり、個人ではなく王子だ、と発言してから、間の国の言葉で、わかるだろ?得意じゃないんだ、と発言しました。誰も動かず、誰も何も言わないまま静かになり、左の国の人員が、あれが何をしたのか供述するように言うと、間の国の言葉で、フユー、これが左の国の礼節なのか、と発言して笑い、間の国の言葉で、俺達は対等な関係だよな?まずは二人で話をして、それからだ、と発言しました。誰も動かず、誰も何も言わないでいると、あれは移動を始め、玄関を通り過ぎようとしたので、間の国の先の王さまが止めました。あれは、間の国の言葉で、じいちゃんまで出てきてやってどうするんだ?あっちは新しいものを用意すると言っているのを拒否してまで、現場だそうな場を保存しているそうだが、いつも通り暮らしている、対して俺はこれだ、と発言し、包帯を巻いている右手を見せ、さらに袖をまくっていきます。誰も動かず、誰も何も言わないでいると、あれは、間の国の言葉で、揉め事だとしたくない、確かに信用できる人に診てもらってこれだ、そういったことも表に出さない、俺はこのまま収めたいんだ、行くところがないと思っているようだが、官舎でも離宮でも、と発言し、私達のいた部屋の入口まで移動すると、扉の木枠部分に腕をつく体勢となり、間の国の言葉で、フユー、愛人だの何だの言ってないで、離宮に移れ、あいつは俺が何とかしてやる、東部からだ、いいな?と発言し、誰も動かず、誰も何も言わないでいると、部屋で待つが、そうだな、遅くなると、だから俺が迎えにくる、寝る準備を終えているようにな、と発言し、玄関から屋外へと出たので、間の国の警察が連行していきました」


「これでは、王も‥‥‥」


「あなたには、あなたのロードライト・ガーネットがあり、あなたの毎日を、王は知っている。あなたの毎日を知ろうとするおじさんもたーくさんいて、あなたという方を知りたいと思うお嬢さまも大勢いる。じいさまのあんこコントロール製法にかけられたお孫さま方にとって、あんこの価値を知るあなたは、同じ世界の住人であり、国の上層に立つ者として、対等にお付き合いしていく人物なのかと、次代というものを見据えている」


ポギャッドは、言いたくなさそうに、ぼそぼそと言う。


「‥‥‥君のスカート、売らないの?」


「ツアー参加者は、万が一という場合を想定して、移動に長けている衣服を心掛けようかな、と私と同じ構造のスカートを着用する選択をしたんだろう。これは、必要になる布の量が多く、手間も増えるので、一般的な構造のスカートと比べると値段が高くなる。ハヤテのように、きちんと一周するように巻きたいな、とそういったデザインとする方もいるし、ナナセのように、軍の制服を着る人員ではないんだけれど、馬に乗るというような大きな動きの必要となる作業にも参加しますよ、と見てわかるようにと、一周はさせずにいる、という方もいる。馬に乗ることができて、降りている時の見栄えもそれなりということで、医局の人員にも配ったんだろうね。ただ、お、出るね、でこの部分を広げて持って、吐き戻したものを受け止め、そのまま包んで処分して、巻く部分だけ作った、という出来事があった。それにより、小さな子のいるママさんにもこういった構造のスカートを紹介してみると、エプロン的に使えそうでいいわね、と言ってもらえて、巻く部分を三枚に本体一枚というセットで売ってみると、売れた!受け止めた出来事が、献身!と思えたそうなゼンマイどばか娘は、どうにか上から見下ろしたい!しかしできない!という体験をし、ふと思い至って、洗ってまた着てるみたいじゃない?と教えてくれた。作業着にしているので、その出来事を知っていて、巻く部分だけ作ったのだと知らない誰かの前では着ていないんだ、と言ってみると、じゃあいいか、となったのに、誰だったの?教えてよ、とやはりしつこく、割り出そうと聞き込みのようなことをしやがっていたので、損害請求してやろうとすると、私の所有物について、何も情報を出しません、という誓約書を書いた。ファーゼは、勝手に同じようなものを作ってもらったことにして着用して、ファーゼというのはいかほどまでに献身的な行いをする人物なのかと言いふらしていて、ゼンマイどばか娘は模造商品という屈辱を経験し、セットでママさん向けに売っている商品に使う生地と、お嬢さまが着用するようなものに使う生地の違いというものを勉強して、どうにかこうにか自分を落ち着けていた。私は、あれに私のスカートについての情報をもたらしたのは、ファーゼだとしか思えない」


「エプロン?」


「バンラームさんが、目が行く部分を見せている、という行いを、誘っているだの、聞かれるのを待っているだのと判断したことにする人物というのがいるのだと教えてくれて、スカートの裾と同じくらいの長さのエプロンを着用するようにすることを提案してくれた。食べこぼしで服を汚してしまうことを防げるし、砂遊びをしても服は砂にまみれないのでちょうどよかったんだが、エプロンを着用している、というのを、幼い頃だけの行いだとしたことにはなるでしょう?」


「そうだね。大きくなれば、本来の?エプロンを着用するような場面でしか?着用しないことにする必要があるように思う」


「皆さん幼い子に向けて、これもエプロンなの?という聞き方をしてくれていて、そうして、私というのはそのような構造のスカートを着用しているのだ、という情報を、私の周囲に行き渡らせることを終えていたが、その場から移動してしまうと通用しないよね?」


「そうなるね」


「私は留学してからも、作業というものを行うようにして、エプロンを着用するようにしていたんだが、三人でお茶をしているところに、あれが押し入ってきて、家の中では着用するものだという認識を押し付けられ、王子が前にいるんだから取ったらどうなんだ、とやられてしまった。あからさまに、スカートに興味がありますよと、気持ち悪く振る舞っていたあれが、事前に私のスカートの情報を持っていなかったと、私は考えていない。スカートに興味を示して触れようとする、そうして私を性行為をするような女性だと認識していますよ、と示そうと考えていたのだとしか、私には思えない。私が嫌悪感を示し続けたので、それならばと、お子さま扱いしてやろうとしてくれたのが、あの出来事だ、などと私には思えない。私は、私の日常を、あれによって踏み荒らされ、エプロンを着用するという選択を奪われたと感じている。だが、私の選択した方法は、もう通用しないものだったのだ、とも認識している。こういった構造のものを、普段着として着用するのであれば、ハヤテのように、一周するデザインとするべきだったのだ、と自分なりの解決策のようなものを見つけてはいる。バンラームさんは、巻いているものの端と、着用する人体に対して左右対称となる位置に、フリルだとか、色の違う帯状の部材をつけるようにしてしまうのはどうか、とも提案してくれたが、私はそれを採用しなかった。バンラームさんには見えていたのだと思えば、バンラームさんに指示をもらうような行いをするべきなのかもしれない。私は勝手に、バンラームさんとの連携を構築できているものだとして行動している。私はあなた方を皆殺しへと導こうとしているのかもしれない」


「普段はきちんと王子業をこなしている、と?」


「私が知らないだけだそうで、こんなに皆にとっては真面目なひっそり王子なのに、と思えば、私は、あえて、三番を私のならせたい王子そのものだとしているように思われてしまうそうで、一番についても同じような現象が起きているそうだ」


「僕に見えているものは何なのかと思えてならないよ‥‥‥」


「間の国のおじさん達は、全員が、あれをどかしておいてくれ!と思っています」


「‥‥‥それでティファカを王太子?」


「おじさん達としては、あれを除外した縁組みをもう完成させていて、次男が頃合いとなるまでの期間は、そういった縁組みを実現させていく期間だと想定していると思うんです」


「おじさん達としては、縁組みを実現させたおじさんから、またカードを手にしていくものだとしていそうではあるよね」


「ティファカさまの結婚、それがお子さま方の中でまず実現する縁組みだとしてしまえば、皆さんは幼女の確保に忙しくなりますが、それも、これから起こることです」


「おじさん同士の世代を繋ぐ行いがね。おじさん達としては、中期的な予定を立てやすくしてもらえた、となるか‥‥‥官舎?」


「あれが私のために集めたそうな本を運び込ませろと煩く、領地の官舎として使用することになったとして、領主さまが前に出て阻んでいてくれた。左の国には、まずはバンラームさんが受け取って、バンラームさんから私へ与えてやってくれませんかね?なものが送り付けられていて、官舎には不釣り合いな家具が備え付けの家具とされてしまっていて、あれが官舎として整えたいんだが、そこでもバンラームさんが受け取ってから与えてやってくれるとスムーズだ、というものも送り付けられていました。間の国とも相談して、抗議、抗議、抗議、という形で、受け入れ担当だそうなものをしているのを嫌にならせよう、という方針となったと聞いています」


「君が提案してくれた?」


「まずは、手を洗う、タオルで拭く、合格すれば、石鹸を使って手を洗う、というように、何から何まで試験として積んでやって、これぜーんぶに合格してようやく、王族として表に出ることになるので、おまえは御印のブローチを着用することを許可されていないんだ、というものを提案したね」


「いいよね‥‥‥それにより、出てはいけないのに勝手に出ていたんだ、というのをどこでも言えるようになった」


何かを噛みしめてくれては、便利に使用してくれているのかもしれない。


「しかしそれにより、私達が東部に移動する時に、あれが官舎に移ると言い出していたが、それも領主さまが断っていた。ポギャロも一緒に移動を始めてしまうことにして、あれには、東部以外の離宮に運び込んだ本を官舎にまとめておいてもらうんだ、ということにしておいたが、ポギャロには、東部にある倉庫的物件に運び込んでもらっておいた」


「支所?」


「正直、左の国と戦争する気なのかな?というね」


「国家間ではほぼ使用していない国境を有してはいる、あの土地の山の上部分に支所を置く‥‥‥実態は軍の保養所のような研修施設のようなものではある‥‥‥」


「申し訳ないが立ち入った発言をする。山のなだらかな面に道を敷きなおし、国境の門をカイドウと接している部分へと移す、という話を?」


ポギャッドは、どうにか目を開けておき、ジョルムは、すっと手帳を構えてくれた。


「ティファカさまとラージウが、雑談的内緒話として話していて、二人は心底戸惑っている、と私には見えていた。私の予想ですが、あれが勝手に用地を確保しようとしたことにより、西部にも支所をという構想を出すしかなかったのでは?」


「そこをね‥‥‥どうしようかという段階だった。バランスというものを考えると西部にも置きたいが、立地や必要性という面ではいらないものだ。あれを置いておく場所として、軍の福利厚生な施設を、という案も出てはいたが、そのために国として作るのか、と‥‥‥そこでモクレン家三男の大騒ぎときて、支所を置いてしまっては、いかにも国防のためだと見えてしまう‥‥‥君も参加を?」


「楽しく訓練させてやることをせずに、管理人的に、あからさまに閑職として置いておくことを目指す、と聞いた。左の国からの道を、道幅を広くして、滑りにくい加工を施すだけでも、流通という部分が違ってくるだろうし、左の国の軍に、雪中行軍の訓練をさせてやることもできる。キャンプ場だ!」


「‥‥‥え?」


(あれ?)


「お隣さんは、手放すのではあるんだけれど、地面を見えないように覆ってずばーん建物?そんなのいる?と思ってしまっているんだ、と教えてくれた。領地で所有するとしておいて、軍の人員によって道幅を確保させ、その工程で木材を確保し、難易度を幅広く設定したアスレチック遊具を作らせたり、道に加工を施すのと同じように、炊事のできる場を作らせたり、いかにも芋洗いを連想させてやれる水浴び場を、大人数で洗濯をできる場として作らせたり、広場だとして面積を十分に取った個所をいくつも囲わせて、部隊別に散ることをしやすいようにさせたり、いかにも管理が必要ですな、用具入れとして使う小さな建物を点在させて、そこにボールだとかフリスビーのようなものから、体を鍛えるために使いますな用具も入れておくし、食堂として使うことができそうな、会議室という名の部屋もあり、調理器具や食器を収納しておくキッチンもあるお隣さんの自宅を管理棟だとでもしてしまえば?」


「「キャンプ場だー!」」


ポギャッドとジョルムは嬉しそうに声を重ねながらも、大きさは抑えていて面白い。


「入浴については温泉お宿の日帰り入浴を利用してもらえると、商店街のような部分を歩かせることもできるが、官舎というものを建てたがっていたので、キャンプ場の大浴場という建物を作るのもよさそうだし、キャンプ場のお宿というような繋がりだとする場を用意すると、テント泊はまだな、という親子連れにも利用してもらえそうで、湖で水遊びもできるので、一年を通して利用してもらえそうに思うし、湖まで用具を持っていかずに、キャンプ場でバーベキューな催しだけ行ってもらうこともできそうで、花火も肝試しもやり放題!」


「それで、角灯に蝋燭に石鹸!」


「慎ましやかながら、マツリカ商会も勝手におこぼれをね!私はポギャロと、こういうのはどうだろうか、と考える、という行いはしたのと、軍部局の長に、どんなアスレチックやレクリエーションやりたいか、バンラームさんに教えてあげて?という手紙は送っておいたが、そこからどうなったのかは知らないままで、ティファカさまとラージウは、戸惑いを深めているのかもしれない」


「あれの言ってることをどう扱えばと戸惑い、保養所や研修施設?と戸惑い、となっているかもな。だが、一時的ではない期間を通して軍の人員を使うという経験を積ませることができたのは、儲けものどころではない。狭い範囲ではあるが、地域との成り立たせ方のようなものも学ぶことができただろう。なんていい教材、と言いたくなるほどだ」


「ティファカさまが東部に着任、その補佐を王城にいるゼルガルさま、としておいて、お二方の間を行き来する仕事をラージウにも任せると?」


「徐々にラージウさんを、とできる。ナオジーは東部に置いて、将来的には僕が東部に着任し、ティファカが王城。僕がポギャロとジョルムか。それでジョルムも?」


「いいえ。喋るベビーカーやってないで仕事してろよ、ということです」


「お子さまなんだよな‥‥‥」


(まあな!)


「ラージウ・シャクヤク!」


「‥‥‥ティファカをシャクヤクに入れておけば、継げばシャクヤク王朝」


「メグノアードさまもシャクヤクに入れておいて、ティファカさまがラージウ以外を選んだ場合に、その御曹司さまのお家にメグノアードさまをあげて、御曹司さまをシャクヤクにもらいましょう!」


「サカキなら、メグノアードをやらずとも、サカキの地にあれがいるし、何より先代がいる。王太子がティファカ、を、いつまでも若々しいケイオスさまとポノレイさまの結婚式をして、そこで王太子就任とシャクヤクに入ったことも公表して、ポノレイ問題をすっきりさせることができて、あれを国として縁組みさせないと示すことにもなる。ティファカの結婚までに東部で固めてしまえば、メグノアードを他所にやることをせずに済む」


「どうせ、ポガロは私のものだ、とか言いますよ‥‥‥」


「早速吐き気だ‥‥‥」


「どうしてあなたを行かせなかったのか、それはあなたを行かせてしまっては、あれが困ることになるからだ」


「そうだろうね‥‥‥」


「どうせ、ポギャロだとはしていないんだけどもー?な態度でレンギョウ商会のお宿を訪ね、見破られたか、でゼルガルさまとして振る舞ったんですよ‥‥‥」


「いっくらでも好き放題言っていたんだろうな‥‥‥」


「実は、ゼンマイどばか娘が羨ましくて‥‥‥これからは自分として文通してもらえませんか?」


「え?僕?!」


「あれの語るババアだと、まあ!となって文通するようになっていそうです」


「‥‥‥混ぜてるよね?」


「そう感じましたね。あれにとって都合のよい人物として利用していました。そのように差出人を増やしていく手口を使用したことにして、ビュードノーアさまや第二王子殿下までも増やしてしまえば、誰が書いて出して受け取っていようとも、あれは、指示書、だとして使用することができますね」


「指示書ね‥‥‥」


「私は、間の国は支所を王子の縁組みのためにー、な王子的視点っぽく見せかけようとしているんだろうなー、というお手紙攻撃については、ファーゼが、書いて、出す作業を担当していたんだと考えています」


「それ‥‥‥何人が書いてるんだ、って思わせてくれる‥‥‥」


「来ると思うんですよ‥‥‥」


「ここに?!」


「私は、お宿を確保しにいくことにでもして、ポギャロと移動を始めたい。バンラームさんも、ファーゼが合流しようとしている対象であるあれを残して移動させたいので、どうしたものかとこの状況なのだと、私は考えています」


「そうか‥‥‥別行動するものだ、となっているね」


「護衛の中からどなたか別行動、というのは可能でしょうか?」


「可能だ」


「私とポギャロが移動を始めると、そのどなたかにも合流してもらい、広場を出れば、あれを置いていくつもりでいるのだとバンラームさんも気付いてくれるかもしれません。そのどなたかには、広場の外で待機してもらっておいて、ポギャッド達の部隊が広場を出てから合流するようにすると、バンラームさんは、ポギャッドの部隊が動くことを妨害しようとはしないと、私は考えます」


「あれを動かさないように、だね‥‥‥」


ポギャッドが食事を始めてくれたので、私は立ち上がり、探してみると。


(いるな‥‥‥)


炊き出し作業をしている丸では、ヒイラギ家の息子達がバンラームと何やら話している。


(人気なんだよな‥‥‥)


目が合い、私が微かに頷くと、ニーニトッセがこちらへと来てくれる。


(待ってて?)


伝わったのか、伝わっていないのか、隣の丸にいるポギャロは、瞬きだけを返してくれた。


近くまで来たニーニトッセは、どこまで伸びるのかと思わせてくれる成長ぶりで、なんだか懐かしい見上げ加減だ。


「どうせ、三番は、三女さまも連れていかせてやればいい、親子として‥‥‥で止まって、その先を止めてもらえるのを待っていた?」


「そのまんま‥‥‥心痛めちゃってますー」


「ナナセはお馬さまを連れてこちらへ向かおうとしていた?」


「馬を連れたあれに同行して、おまえと合流したがっていたが、一番にも‥‥‥」


「嫁ぐつもりで行くんだな?と言われ、あれは、ナナセをお嫁さんとして迎えに来ることができるようにしてくるので待っていてほしいとしか聞こえないことを言い、バンラームさんが、私と合流するぞー、と言って移動を始めると、あれは、泣く泣くナナセを置いていくことになったかのように盛り上がっていた?」


「やっていた‥‥‥ディードが何か見せてやると、馬と一緒に厩舎へ向かったようだった」


「どうせ見送りたいんだろうと、馬医として派遣することを提案しておいた。ナナセの荷物をまとめておいてから、お馬さまに主のいない移動をしてもらうために、荷馬車の荷台に寝藁や本のような、いつもあれと過ごしていた空間的なものを用意すると、乗ってくれるかもしれない、と伝えてもらった」


ニーニトッセは涙を滲ませた目を逸らし、私をそっと抱きしめる。


「大きくなったな」


私の身長に合わせるには、かなり屈むことになるニーニトッセの背中は広い。


世話になった。


いくらでも世話になった。


恩など知らない私でも、それが返すことなどできないものだと、知っているような気もするのだが。


心の中では燎原が燃えていく。


いくらでも、いくらでも、燃えていくといい。

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